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あしたのために(その1)〜バスを制覇せよ





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 言うまでもないですが、オーストラリアにワーホリで行くということは、見知らぬ異国で一人ぼっちで生きていくということです。一人で食糧をゲットし、一人で住む所を探し、一人で生活をし、一人でお金を稼ぎ、一人でやりたいことをガンガンやっていくことです。

 いくら高いお金を払って誰かにサポートを依頼しても、そんな他力本願でやっていける領域なんか微々たるものです。圧倒的大部分は一人でなんとかしなければならない。それは当然のことですし、また充分可能なことです。いざ自分が出来てしまえば「なんでこんなことにビビってたのか?」という気分になるくらい大したことではないです。

 「生まれて初めて」という体験は怖い。誰でも怖い。でも、スプーン一杯分の勇気で乗り越えてください。一日も早く一本立ちしましょう。後回しにすればするほど心理的に恐くなってきます。先送りしてドツボにはまるのは不良債権処理と同じ。今日やらないことは、明日はもっとやらない。がんばろー。

 そこで、未知の荒野を切り開くための、最低限度の基礎スキルと装備について説明します。

4.公共交通機関(特にバス)を乗りこなすこと (到着直後から遅くとも数日以内)


 公共交通機関の利用の仕方については、

生活体験マニュアル基礎編
 6.1. 徒歩  (トリッキーな信号、住居表示の読み方) 
 6.2. タクシー
 6.3. バス
 6.4. 電車

 に書いてあるのでご参照下さい。



 さて、上で基礎編を学んだところで、実戦です。  まずはバス。バスは必ず!制覇してください。

”鉄っちゃん民族”日本人の電車愛好癖  
 いきなり余談ですが、最初にあなたの「常識」を壊しておきましょう。

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とりあえずOpal Card買う


 まずは、ニュースエージェントでもキオスクでもどこでもいいから、Opal Cardをゲットしましょう。

 以前はトラベルテンだの、マイマルチなど複雑なシステムでしたけど、今はオーパルカード一本で済みます。楽になったもんです。

 あとは、オーパルカード解説ページ読んでください。

 もうこれだけで、この章は済み!です。

 オーパルカードがメインになって、シンプル化されてますし、極論すればそれ以外のことは知る必要も無いです。単にオーパルカードをタップしておけばそれでいいです。


学びの機会

 ただ、楽になった分、「学びの機会」は消えるのですね。以前は複雑で大変だっただけに、多くのものを学べました。以下、ここは学べという部分を抜書きしておきます。

発音の恐ろしさ

 以前はトラベルテンやらマイマルチ2やら複雑なチケットを店で買ったり、バスの運ちゃんに行き先を正確に伝えたりしなければなりませんでした。そこで「本物の発音の難しさ」をトラウマが生じるくらいの強烈さで思い知らされたものです。

 

モノを買う時の注意点

 その1:たった数語でいいけど、その代わりハッキリ明確に発音する。日本人の英語が現場で通じない理由の大部分は「声が小さい」からです。大きな声で喋る、これが第一歩。

 その2:絶対「プリーズ」を忘れないこと。プリーズを抜かして喋るのはかなり失礼な言い方で、プリーズを入れなくていいのは刑務所と軍隊だけ。喧嘩を売るつもりがないなら、プリーズを絶対つけよう。

行き先を伝える〜発音のコツ

 バスのシステムは、距離によって料金が変わるシステムになってます。日本の都市部のバスのように全線均一料金ではないです。長い距離を載ればそれだけ料金も高くなるシステムです。

 距離に応じて料金が変わる場合、日本では、後ろから乗車して整理券を受け取り、前から降りるときに整理券を提出して精算しますが、こちらは、前から乗り、最初に運転手に行き先を正直に申告するという性善説に立っています。しかし、行き先を言おうにも、こちらのバス停には名前がないので(本当はあるんだけど◯◯ストリートとかそんなので聞いても何処かはわからん)、一般地名で言うしかないです。

 ★もっとも、今はオーパルカードでタップするだけでOK!です。
 バスについているGPSで自動的に距離を積算してくれて、勝手にOPALカードから引き落としてくれますから手間いらずです。

 ただし、オーパルカードはNSW州のシドニー周辺だけですし、各州都にはまた別のカードがあったりします。ラウンドなど田舎に行ったら、そんなカードなんか全然ないエリアも多いでしょう。ということで後日の予習方々、さらに書いておきます。

 例えば、ボンダイジャンクションまで行きたい場合は、運転手さんに、"I'm going to Bondi Junction"あるいは単に"Bondi Junction"と告げると、運転手さんが、"Four Thirty"(4ドル30セント)などと教えてくれるので、料金をその場で払いレシートを受け取ることになります(今はオーパルシングルチケットを買う)。

 ここで、問題になるのが、
 発音が悪いので全然聞き取ってもらえない
 地名の読み方が間違っているので全然通じない
 という恐怖の事態が生じることです。たとえば、"Leichhardt"などは”ライカード”と読むのですが、なかなか読めないですよね。ガイドブックなどで”リーシャート”とトボケたルビが振ってあることもあります。ここで通じないとツライですよ。GoogleMAPのカタカナ表示は全然アテになりません。かーなり間違ってます。特にラッシュ時とか、満員の乗客の注目を浴び、後ろには長蛇の列ですが、言っても言っても通じない。僕も最初の頃、そういう経験をしました。ほんと、泣きたくなりますよ(-_-;)。

 こんな感じです。
"I'm going to Newtown"
"Sorry?"
"I'm going to Newtown"
"Sorry?"
"I'm going to Newtown"
"I can't hear you."
"I'm going to Newtown"
"Speak louder, please?"
"I'm going to Newtown"
"Still I can't hear you, much louder!!"
"I'm going to Newtown"
"Oh, NO! What are you talking about?!"

 結局、こっちの声は小さくなり、大きくなるのは相手の声だけという悲しいことに。

 そこで威力を発揮するのがカードなのですね。これだと何も会話をせずに、タップすればいいだけです。
 楽になった分、「発音の恐ろしさ」を実感する学びの機会が減ります。

空港への安いルート(400番バスと420番バス)


 400、420番という長距離路線バス、この系統はシドニー空港から破格に安くいけるルートとして有名です。

 以前は400番一発で、西(Burwood)〜空港〜東(Bondi Junction)だったのですが、いつのまにか、400番(東専用)でBondi Junction〜空港止まり、420番(西メインで東ちょい)でBurwood〜空港〜Mascot経由Eastgarden(Bondiまではいかない)に分割されてしまいました。

 シティに行かないのが問題ではあるのですが、なんせ空港まで電車でいくと片道15ドル以上します。空港線だけ異様に高いのです。オーパルカードを持っていても、電車で行く場合は、空港駅で乗降するためには別に追加料金が掛かります。

 ところがこのバス路線で行くと普通の市バス料金でいけるのでかなり安くなります。友達を空港に送迎に行く場合、お財布に優しいルートです。

 ★また初めてシドニーに来られる人で、バジェットコンシャスの人の場合、空港の売店でオーパルカードをを買い、意地でも400番のバス停を探し(また分りにくいところにあるんだ、”ナンバー・フォーハンドレッド!”と人に聞くべし)、乗ればいいです。シティに向うならば、Bondi Junction駅経由なんてかったるいことをせずに、逆方向(西方向)のRockdale駅まで出て、そこで電車に乗り換えた方が全然早いです(手前のBanksia駅でも良いが、Rockdale駅の方が大きいので止まる本数が多い)。


 ちなみに運ちゃんや道行く人に行き先を聞く場合ですが、手ぶらで聞いたら沈没する可能性がありますから、それなりのギアが必要でしょう。すなわち地図

 どんな地図でもいいです。スマホにGoogle Mapで表示させてもいい(画面を写メっておくといい)。目的地が書いてある地図を手にし、その地図を示しながら、「ココに行きたいんだあ!」と言えば通じます。"I want to go there"と。地図もないときは、目的地の住所なりサバーブを書いた紙を用意しましょう。ライカードなら"Leichhardt"と書いた紙を見せれば発音の失敗は防げます。一種の筆談ですね。「ライカード」なんてカタカナで書いちゃダメですよ(^_^)。慣れてきて、地名の発音も結構出来るようになってきたらカッコよく聞けるようになります。がんばろー。

とにかく一回乗ってみよう


 あなたが最初シドニーの何処にいるかによっても違うでしょうが、とにかく一度はバスに乗ってみましょう。一回でも乗ってみれば、恐怖心は無くなります。要するに、日本と同じ普通のバスです。乗ったら、「あ、バスだな」とアホみたいな感想を抱くでしょうが、それでいいです。来たばかりの頃は、「未知の恐怖」に取り囲まれています。怖いのは「やったことない」という未知部分からくるのであって、そのこと自体はハードなことでも何でもないです。一回でもやりさえすれば「未知」という部分が消えますから、ぐっと精神的には楽になります。バスから降りる頃には、自分がバスに乗るのにビビっていたという記憶すらもなくなったりします。とにかく、やってみ、ってことです。

 まずは練習。いきなりシェアのアポを取って、予定時刻までに知らない場所に行くのが最初のバス体験というのはちと厳しい。失敗が許される余裕のあるときに、失敗しても大したことのない距離を乗ってみましょう。

 あなたがステイ先とか、バッパーにいるような場合、とりあえず分かりやすくシティまで行ってきたらいいと思います。シティから20キロも30キロも離れているとかなら別ですが、おそらくは10キロ範囲でしょう。バス料金なんか、今は2.24ドル、3.73ドル、4.80ドルの三段階しかないし(昔はもっと複雑多岐だった)、最高料金でも400円ちょいなんだからビビることはないです。

 それにシティに向かうバスは、大体がシティが終着駅ですから楽です。もし、あなたが既にシティにいるのでしたらとりあえず何のバスでもいいから乗って、ほんの数箇所バス停を移動する程度でもいいですから(地図で自分の位置がフォローできる程度)進んでみましょう。

 シティ外からシティに往復する場合は、ここが大事なんですが、自分が乗ってきたバス停の位置を地図上で確認し、また風景を目に焼き付けておいてください。そして、停留所に記されているシティ行きのバスの系統番号をメモっておいてください。また、シティで降りた場合は、自分が降りた場所をこれまた地図で確認して置いてください。地図にシルシをつけるくらいに。そして、これらが帰ってくる場合の基礎情報になります。

 一般にバスというのは、メジャーなところ(シティとかそのエリアで中心的な商業地)に行くのは楽です。マトが巨大だからですし、多くのバスはそこに向かうから、多少乗り間違えても大事には至らない。でも、メジャーなところからマイナーなところ(住宅地)に行く場合が難しいです。系統番号ひとつ間違っただけでとんでもないところにいくかもしれないし、目印になりうるようなランドマークもないですし、どこで降りればいいのかも似たような風景が続くからよくわからない。難易度高し。だから、先に難易度の易しい、メジャー方向の上り路線を利用し、バス初体験をし、難易度の高い帰路で地図とにらめっこしながら、「よし、○○地点通過、ああ、この場所は覚えてるぞ!」とやっていくと無理なくステップアップできるでしょう。行って帰ってこれたらもう大丈夫。

 ちなみに、一括パックというサービスでは、着いてすぐに(当日か翌日)に僕と一緒にバスと電車を乗ります。かなり集中的にあっちゃこっちゃ乗って、結構遠くまでいってご飯食べて帰ってきます。数時間のあいだに固めて5-6回乗りますから、その頃にはもう余裕のよっちゃんで乗れるようになります。また、Google Mapの行き先検索とか、Trip Viewというすぐれものアプリの使い方(これが結構難しい)とか、Opal Cardアプリの見方とかも教えます。集中してやれば数時間でもう怖いものなしになれるし、どこにでも行けるようになります。

補足 キセルとその発覚
 オーパルカードの場合、キセルというのは基本ありえないのですが、それでもチケットの残高が少なくて料金に達しない時は、キセル扱いになって、200ドル!の罰金を喰らいます。残高(タップの度に表示される)に気をつけて、10ドルを下回ったら、トップアップ(リチャージ)しておくといいです。

 以下の話は、昔話なんですけど、なかなか悲喜こもごもで面白かったので残しておきます。

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  →サバイバル実戦講座その2(「正しい地図」を入手せよ)に進む


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