仕事の探し方 −−人材紹介会社と直接求人広告
シドニーモーニングヘラルドという地元の新聞が土曜日に「Employment」と題して求人広告版を出していますが、今となっては
My Careerで検索する方が主流でしょう。他には、日豪プレスやJAMS、Cheersなど日本語情報雑誌やWEBサイトの求人広告欄を利用する方法もあります。
ここで幾つかリンクを張っておきます。いずれも職探しサイトで"Japanese"という検索キーワードで入れた結果にリンクを張っておきます。別にこのキーワードで無ければならない理由もなく、そこはお好みですが、とりあえず取っつきやすいということで。
ところで、こういった求人広告欄を見ていると、求人している会社が直接出している広告と、人材紹介会社が出している広告とがあり、どうも日本に比べると人材紹介会社による人材募集の比率はかなり高いように感じられます。転職の多い社会ですので、求人のタイミングが日本に比べるとずっと多いため、会社の人事部もその度にイチイチ何百通もの履歴書を読み、何十回も面接するのが面倒臭いから、条件に合う人だけを選択して紹介してくれる人材紹介会社の活躍の機会が多いのだろうと思われます。<
ですから、職探しの際にはシドニーに数社ある、日本語スピーカーを扱う人材紹介会社宛に履歴書を送り、面接を受けて登録しておかれることをお勧めします。もちろん、直接求人広告を出している会社に採用されるチャンスもありますが、人材紹介会社には新聞や雑誌の求人欄には掲載されない求人もかなり来ているようです。と同時に、これまでも散々述べてきたように、自分でもコネを広げてどんどん動いていくことです。
ワーキングビザのスポンサーを探している場合には、人材紹介会社に登録してもあまり期待しない方が良いかもしれません。というのは人材紹介会社から人材を求めている会社に紹介するのは1〜2人。どうしてもビザの面で面倒のない人から優先して紹介することになります。
もともと採用が「部品交換」に過ぎないという原点からすれば、ワーキングビザが必要というだけで要らぬコストがかかることになり、「高い部品」になってしまうからです。もうこの時点で不利です。また、スポンサードは「キミが欲しい」と言ってもらってなんぼですから、「部品」ではなく「人格」として認識される必要があります。
だとすれば、先に人格や腕を見せていった方が早いということになります。すなわち、ワーキングビザ狙いの場合には、こういった求人広告や人材紹介会社とは別に、興味のある会社に直接売り込みアタックするのが効率的でしょう。電話帳で片っ端から電話かけてもいいし、直接尋ねていってもいいし、自己アピール文と履歴書をメールで送ったり、とにかく面接の機会を作ってもらうよう働きかける。そして、学生ビザやワーキングホリデービザの期限内にインターンや試験採用してもらって、働きぶりを認めてもらう。これが面倒なようで実は最短距離かもしれません。
しかし何度も言いますが、これといった決まった黄金の方法論があるわけではないのです。求人だって人材紹介だって、だからといってダメなわけではないのです。最終的には「出会い」論なのですから、こうすれば必ず出会うという決まった道筋があるわけではない反面、こんなことをしても無駄というのも又ないのです。ゆえに諦めずに広く射程を取って、同時並行的に多極的にアプローチされると良いと思います。
履歴書 Resume/CV
採用会社、あるいは人材紹介会社との最初のコンタクトになるのが、
履歴書(「RESUME」または「CURRICULUM VITAE(略してC.V.)」)。この履歴書の書き方如何で、採用への第一歩である面接に呼ばれるか否かが決まります。
求人広告の内容をよく読んで、できればその会社について調査し、相手が求めている人材像を明確にした上で、自分の売り込みポイントを考慮しながら、作戦を練ってください。こう考えていくと、履歴書の内容は提出する会社によって変わってくるはずです。
一般的な履歴書の書き方を手順を追って説明します。
網羅すべき項目は、まずPERSONAL DETAILS, WORK HISTORY(職歴), EDUCATION(学歴)。
オーストラリアは日本ほど学歴社会ではないし、そもそも日本の大学名を言われても現地の人には分かりませんから、それよりも「これまでどんなことを勉強して、どんなことを身につけてきたか」を表現することが重要です。
まず、PERSONAL DETAILSですが、ここには通常、名前と住所、電話番号くらい書けば十分です。生年月日や年齢、性別、国籍による採用上の差別は法律で禁じられているので、書く必要はありません。しかし、日系企業の場合には、やっぱり聞かなきゃ気が済まないのか、制度上問題があるのか、書いてないと必ず聞いてきますので、だったら最初から書いておいてあげた方が親切というものでしょう。
また、意外と盲点なのが保持しているビザ。ビザの種類によって雇用者は対応を考えねばなりませんから、書いた方が親切。もっと言うなら、永住ビザを持っている人は書けばアドバンテージになりますし、逆に観光ビザや学生ビザの人は書かないでおくのも、ひとつのテクニックです。(とりあえず面接に持込んで、いい印象を与えてからビザのことを相談する。)
整理すると、PERSONAL DETAILSで書くべきことは:
NAME/ADDRESS/PHONE/Email/DATE OF BIRTH/SEX/NATIONALITY/VISA STATUS ぐらいでしょう。
次に、
WORK HISTORY(職歴) ですが、日本とは逆に最近のことから過去に遡って書いていきます。
会社名、所属部署の名前だけでなく、会社の事業内容や所属部署の仕事と自分が担当していた仕事内容が、相手によく分かるように手短かに説明すべきです。ここでの表現力が勝敗を決めるといっても過言ではない。簡潔な英文で、あなたの経験した仕事内容を詳しく伝えるよう努力してください。また、その会社のロケーション(シドニーなのか東京なのか)、入社日と退社日(「○年○月〜○年○月」といった形式)も明記しましょう。日本の履歴書のように退職理由(「自己都合により退社」とか)は書く必要ありません。
履歴書は長けりゃいいってもんではありませんが、仕事経験があまりない方、あるいは応募する仕事内容とこれまでの職歴が直接関係ない場合には、アルバイト経験でアピールするのも一つの方法です。
CASUAL WORK という項目を作って、どんな内容の仕事をしていたかを簡潔に説明しておきましょう。
ついでに、自分が持っている
技術(SKILLS)、資格(QUALIFICATION)を箇条書きしておくのも、いい方法です。専門技術的なことは勿論、他にも「日本語文章力」とか「コミュニケーション能力」とか「オーガニゼーション能力」とか、特に資格はなくとも自信あることってあるでしょう。ここは欧米系の社会ですから、多少大袈裟なくらいで丁度よいのです。
お次は、
EDUCATION(学歴)です。日本の履歴書みたいに小学校やら中学やらの情報は要りません。(地縁の関係ない外国では、出身地やら小学校など書いたところで意味がない)これまた現在に近い方から過去へと遡って、大学か、高校くらいまで書けばよいでしょう。単に入学年月、卒業年月と学校名を羅列するのではなく、どんなことを勉強し、どんな論文を書き、どんな資格(Certificate of ****, Diploma of ****, Bachelor of ****等)を取得したのか、詳しく簡潔に記載しましょう。大学卒業後に、ビジネスカレッジや英語学校に通ったり、会社の研修に参加したりした場合には、それがたとえ週イチの夜だけの講座であったとしても、状況によっては書く価値があるかもしれません。あんまり細かいことまでダラダラ書いても読むのが面倒なだけですが、応募する業種や仕事内容に関係することなら書くに値します。
その他、書かなくてもいいことですが、ボランティア活動や地域活動などに取り組んだ経験がああって、それが自分自身のアピールにつながると思うならば、COMMUNITY ACTIVITIES といった項目を作って、活動期間、活動内容など書くとよいでしょう。
ただ、希望職種や職歴と全く関係のないこと(事務職に応募しているのにヤマハのピアノ検定○級とか、高校時代バレー部のキャプテンだったとか)を書くと、「勘違いしてる人」と取られてしまうかもしれませんので、ご用心。日本のように体育会系で頑張っていた根性や体力とか、仕事とは関係なく極めている趣味などは評価してくれる土壌はないようです。趣味やら家族構成やら彼氏との関係まで聞かれる日本の採用シーンと比べると、かなりクールな感じはします。オフィスの中で個人的に仲良くなることはあっても、少なくとも会社としては、「あなたのプライベートには関心ないです」といった感じです。
最後に
"REFEREES"(直訳すると「参考人」ですね)として、あなたの働きぶりを証明してくれる人の名前と連絡先を3名ほど挙げておくとよいでしょう。REFEREEは元直属の上司や、大学時代の担当教授などが妥当なところですが、元同僚でも構いません。実際に会社の人事部からこの人たち宛てに電話が入ることもありますので、「上手な話術で適当に誉めておいてくれる人」を選びましょう。もし、
"REFERENCE"(照会状の回答のようなもの)を書面で貰っておくことが出来るなら、それも履歴書に添付した方が、より信頼を得られることと思います。
尚、あったりまえのことですが、スペルミス、文法間違いなど初歩的なミスは、あってもご愛敬だけど、ないに越したことはありません。また、手書きの履歴書はあまりいい印象をもたれないようです。個人的には「パソコン持ってない人だっているんだし、そんなんどーだっていいじゃん」と思いますが、タイピングしていないというだけで「パソコンも使えないヤツ」「常識をわきまえないヤツ」と判断する担当者もいるので、知り合いに借りるなり、大学のパソコンルームを借りるなりして、きちんとタイプした方が無難です。
また、日系企業の場合、英文の履歴書の他に日本語の履歴書の提出を求められる場合があります。この場合には、「いわゆる日本の履歴書の常識」に沿って作成すればよいと思われます。(記載項目が英文と異なっても構わない。)
最後に。履歴書を送る際には自己PRも兼ねた手紙を添付するのが常識です。確かに求人広告には「履歴書送れ」とだけ書いてありますが、挨拶状なしの応募レターを受け取った人事担当者は、ほとんど中身も読まずにゴミ箱に投げ捨てると思ってよいでしょう。相手は何百通もの応募レターの中から厳選するわけです。詰まらないミスでチャンスを逃すことのないように、気を配ってください。
オージーはこの戦々恐々としたジョブ・ハンティングに如何に勝ち抜くかには長けています。応募レターを開けたら、まず大きな文字で「SEE ME, FIRST!!」と主張した色紙が出てきて、思わずのけぞったこともあるくらいです。
面接
面接は"job Interview"といいます。
細かいことはよく分かりませんし、人それぞれ会社それぞれでしょうが、大まかに「謙遜は損」ということは言えると思います。多少自信がなくとも、さぞや自信ありげに自己表現すること。オージーに限らず、日本人であっても人事担当者の中には「謙遜」という概念の持つ品格を理解しない人も多くいるようですので、「私を雇うと、あなたにとってこんなにベネフィットがある」という具合に、しっかり自己アピールした方がいいです。一種の「セールストーク」ですから。
アピールすべき内容を英文でまとめて、鏡の前でスピーチの練習をしておくといいかもしれません。前もって作成した英文を暗記して練習しておけ、というのは、実際英語ネイティブ向けのジョブ・ハンティングのノウハウ本にも載っていました。また「鏡の前でのしゃべる練習」は、実は英語学校時代に先生から教わったのですが、別にジョブ・ハンティングに限らず、こうやってスピーチの練習をしておくと、自分のボディランゲージも客観的にチェックできますし、英語力そのものも向上するように感じます。