第一章:各移動方法のメリット・デメリット
@ 現金
一般的にいってキャッシュは為替レートが悪いです。もちろん交換する場所や時によって違ってきますし、昔ほどメチャクチャレートが悪くなってるわけでもありませんが、それでも現金の方が有利という局面は滅多にないと思います。現金に関する唯一の長所は、とりあえず自宅の現金をひっつかんで飛行機乗れば良いという簡便性で、ほとんどそれに尽きると思います。
例えば、
東京三菱銀行の為替レート表を見てみましょう。最初にこのページを書いた2005年11月02日時点でのオーストラリアドルとのレートは、TCなどが88円なのに比べて現金はなんと96円。おおよそ10%違いました。その後、08年9月は85円/98円、2010年2月で83円/91円、2011年7月1日では88.54円/96.24円、13年1月16日では95.59円/103.29円、同年07月27日時点では93.84円/101.54円、14年03月20日時点で94.56円/102.03円、16年01月18日で82.35円/90.05円、17年09月07日89.50円/97.20円、19年12月12日で76.61円/84.31円でした。コンスタントに10%程度の差がついていることがお分かりかと思います。
10%も違うということはデカいです。
100万円につき10万円損するということですから。
どうしても現金交換をしなければならなくなったら、後に述べるKVBもレートがいいと言われています。しかし、一番良いのは、これから日本に帰る人(オーストラリアドルを日本円に換えたい人)と直接交換することです。銀行の中間利ザヤをカットできますから究極のレートです。そうそう都合よく出会わないとは思いますが、在住日本人の掲示板などによく「オーストラリアドル売ります」広告が出ています。「帰国直前の(&遣い残した豪ドルの始末に困ってる)日本人がいる場所」ですが、つまりはホテルやバッパーで、アクティブな人だったらシドニー中の(日本人のいそうな)バッパーに貼り紙をして廻ることを思いついたりもするでしょう(しかしその交通費を考えたら、?)
以下のA〜Dについては、キャッシュほどのレート差はありません。しかし、手数料や利便性、安全性などで違いがあります。
過去の遺物化したTC(トラベラーズチェック)
TC(トラベラーズチェック)については、2014年03月末でTCの発行元であるアメリカンエクスプレスは、日本でのTCの販売を終了しちゃってます。これで事実上日本でTCを購入する機会はほぼ無いでしょうし、過去の遺物化してます。
だからTCに関して過去に書いた部分は削除しても良いのですが、しかし、世界的にはまだ存在してますし一応、一般教養的に残しておきます。興味のある人だけ。
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TCのメリットとしては
安全であること。
もう一つのメリットとしては、円高時にTCに替えることで
為替レートを確定できることです。TCは作成時のレートで確定しますから、その後円安になっていたら「早く替えておいて良かった」ということです。ただし、目論見が外れて、逆にもっと円高に振れたら「あああ、替えるんじゃなかった」と損になります。
TCは、大きなお金を一括で払うような場合(学校など)には、多量のキャッシュを持ち歩かなくて済みますから適しています。また、レート確定効果についていえば、これまでの動向から「今後これ以上の円高になることはない」と思える場合はGOでしょう。
デメリットとしては、
コスト(作成&交換手数料)が嵩むこと、
利便性に乏しいことです。
すなわち、TCには作成手数料かかります。これが銀行によって異なりつつも大体5000円くらいかかってしまいます。また、現地でオーストラリアドルに換金する際にも(マチマチだが)手数料が最低でも7ドル程度かかってしまいます。なおアメックスの窓口で交換すれば手数料は無料だったのですが有料化してて(以前窓口でガビーンとなった)。しかし、一支店1000ドルまでだったらWestpac銀行の「普通の窓口」(テラーと呼ばれている一般窓口)で交換すると無料になるというヘンな状況になってます。一気に沢山換金したかったら支店廻りをしなければならないという。
次に利便性。TCは不便です。
学校の支払いと、その他の観光・旅行関係くらいに使えるだけで、利用局面が著しく限られています。ゆえに
日常生活ではほとんど使えないといってもいいです。それは日本での生活を全部TCでやろうと考えてみたらお分かりになると思います。
なので結局換金しなければなりません。そして、その手間が面倒臭い。
確かにWestpac銀行窓口で交換してくれるとしても、銀行は月〜金の営業時間(午後4時まで、金曜だけ5時まで)しかダメですし、観光地の両替所だったら土日もやっているにしても今度は交換手数料がやたら高い。「うーん、面倒だ!」で一気に全部交換してしまったりするのですが、そうなるとその時点でTCの意味(安全性)は損なわれています。現地で銀行口座を開設し、その際にTCを交換入金するという手がありますが、その「口座開設」という手間が面倒だという。要するに「なにかしなければならない」という部分が利便性における欠点になるわけですね。
但し欠点と長所は表裏一体です。
「不便だからこそ良い」というメリットもあります。
一つは安全対策。
アナログ的な堅牢性です。TCは「紙」であり、しかも一枚づつシコシコと署名をし、パスポートの写真と照合し、、というアナログ方式なのですが、だからこそ堅牢であると。クレジットやATMその他のカード系、あるいはネットバンキングなどのデジタル系は簡便なのですが、それだけに停電したら終わりです。その他システムダウン、ネットがつながらない、カードの磁気不良、スキミング盗難、、、リスク山盛りでもろくもあるのですね。その点、TCはドン臭い反面、確実なのですね。
もう一つ関連するメリットを言っておくと、
ネストエッグ機能です。"Nest Egg"(巣の卵)というのは英語で「不慮の事態に備えたお金」という意味で、盗難紛失で「きゃー」となったとき、「しかし、まだTCが残っていたのでした」という緊急費用に使えるということです。たしかにTCは換金とか面倒なのですが、それが散財のブレーキになるというプラス面もある。容易に使えないからこそ「まさかのときの備蓄」として機能しうる。そういえば、僕も20年前にオーストラリアに来たときのTC200ドル分がボストンバッグの底板の下にまだ眠っています。
なお、これまでVISA、トーマスクック、Citi Bankなど複数のTCがあったのですが、2010年以降、日本で販売されているTCはアメックス発行のものだけのようです。アメックス発行のTCを各銀行を通じて買うということですね。Citi Bankはこれまで口座を持っていれば無料でTCを作成できたのですが、09年より額面の1%(口座を持ってなければ2%)の手数料をとるようになりました。
アメックスの窓口は
ここで検索できることになってますが、ただしこの情報は古いことが多く、その都度電話で聞いてみるべし(パンフレットに日本語の問い合せ窓口番号があるはず)。アメックスの交換窓口でシドニーでメジャーなところでいえば、CityならばGeroge St沿いのWynyardあるいはChinatownあたりのWestpac銀行の店内に間借りをしています。Westpac銀行とは仲良くしてるようですので、シティ内Westpac銀行に聞いてみたらいいでしょう。Bondi JunctionやChatswoodのWestpac銀行にも店内にアメックスのコーナーがあります。
使用時にはサインをしなければなりませんが、あまり少額(50ドルとか)で作ってしまうと、授業料の支払いなど大金の場合、腱鞘炎状態になりますので注意(^_^)。
日本円建てTCについて
日本円建てTCが一番得であるかのような風聞もあるのですが、なんでそう思うのか僕には良く分からないです。どう考えても、経済性でも利便性でも劣ると思うのですが。つまり、損なうえに面倒臭いだけだと。
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まず経済性(お得度)です。
試しに、日本でオーストラリアドル建てTCを作るよりも得かどうかを調べてみました。
日本で豪ドル建てのTCを作る場合、(
三菱東京UFJの外国為替相場) でみると、過去更新時である2011年07月01日には88.54円でした。これは
一般為替レートのTTS(電信送金レート)と同じです。一方で現地オーストラリアのANZ銀行が日本円TCを幾らで換金するかの
レートを見ると89.94円になってました。2012年08月24日でも、それぞれ84.54円、86.41円でした。2013年1月16日には95.55円と98.33円、07月23日時には93.84円と96.43円です(以下、最近に至るも似たり寄ったりです)。
つまり日本では93.84円(過去回は84.54、88.54、95.55)円出せば1豪ドルが買えるのに、現地では96.43円(86.41、89.94、98.33)円払わないと1豪ドル買えないのですから、日本で買った方が(日本で豪ドルTCを作った方が)得だということです。これは、4時点のそれもたった二機関の比較に過ぎませんから、それで全てを論ずるのは危険です。でも、少なくとも、日本円TCの方が常に得だというわけではないですよね。どっちかというと損だと。
次に利便性。「便利か?」ということですが、超がつくくらい不便だと思います。
日本円TCなんかほんっと使えませんもん。あなたが日系の土産物屋さんとか観光客御用達の日本レストランとか日本人しか利用しないツアーなど、モロに観光客!ってライフスタイルをするんだったら使える余地はあります。しかし、留学とかワーホリとか、現地人として暮す局面においては、まず使えないと思った方がいいです。日系資本の語学学校の授業料の支払いにすら使えません。それは日本でオーストラリアドル建てのTCを日常のコンビニで使えるか?と思ったらわかりやすいでしょう。
したがって、使えないから換金しなければなりません。上と重複しますが「換金しなきゃいけない」という時点でTCの安全性は損なわれます。しかも、オーストラリアドル建てTCならどこの銀行でも替えてくれますが、日本円TCともなると、サバーブの普通の支店になったら「取り扱っていない」と言われてしまう可能性もあります。しかし、シティの観光客用の交換所はレートがとても悪い。そのため交換レートの良いところを探すことになります。しかし、いちいち探すのが面倒になってきて、だったら最初に全額を空港や都心の銀行で換えてしまおうと思ったりするのですが、そうすると今度は多額の現金を持ち歩くことになり、益々なんのために安全なTCにしたのか分からなくなってしまいます。そうまでして日本円を持ち込みたいのでしたら、下に解説しておいたKVBの円送金の方がずっとお値打ちだと思います。
しかしですね、
そこまでして日本円にこだわる必要があるのか?という根本的なギモンがあるのですね。
円キャッシュや日本円TCのメリットはたった一つ。
「使い残したときに得」という点です。旅行資金として10万円用意して、全部豪ドルに替えてしまっていいのか?もし6万円しか遣わなかったら、残りの4万円分はまた日本円に戻し、二重に為替損を被ることになる。だったら遣い残してもいいように最初から日本円にしよう、と。このメリットはあります。しかし、留学・ワーホリで「遣い残したとき」なんかあるのか?大体が足りないから現地で稼ぐってパターンでしょう。もしあなたが数百万円以上も持ってくる気でいるなら、全額豪ドルTCにするかどうかは悩むかもしれません。レート変動リスクもあるし、止めた方がいいです。あとでゆっくり口座間送金するなど方法は幾らでもあります。
結局ところ日本円建てTCはキャッシュよりはマシかなという程度のところでしょう。
これをオススメする局面というのは、
まさに短期&日系べったりの海外旅行のような場合のみでしょう。何の問題意識もなく日本円現金を握りしめていくよりは得ですから。でも、ここで述べているのは、半年とか1年の留学、ワーホリの場合です。何度もいいますが、局面が全然違います。一週間程度の物見遊山の旅行組とは、そのシビアさにおいて格段の違いがあると思います。
オーストラリア生活心得: Always, Ask!〜アテにならない現場
関連して述べます。
オーストラリアの生活常識としていえば、「全てが一律になってると思うな」です。末端窓口での実務はびっくりするくらいマチマチで、同じ銀行に同じ日に行っても窓口担当者が違うと言うことが違うとか、日によって違うとか、支店によって違うというのは良くあります。転職社会のこちらでは皆さん職務内容を正確に把握していない。だからネットで情報を得て現場に行ってみても、その通りになっていないケースがよくあります。また、今日通用したことが明日も通用するとは限らないし、同日同所であっても窓口の人が変わったらもう言うことが違います。さらに、こちらは万事腰が軽いので、驚くほど簡単に規則も変えるし、支店の引越もします。もうアメックスの交換所なんかどれだけ引越してるか。また頻繁に変えるくせに周知が不徹底だから、スタッフの言うこともバラバラになる。
ゆえに実戦のコツとしては、 always ask!です。まず聞いてみろ、です。TCのケースで言えば、交換手数料は"fee"とか"charge"、無料は"free"。TC現物を見せながら、"Do I have to pay any fee? or for free? free of charge? "とか言ってれば教えてくれます。で、「無料だよ」というところ(人)でバシッと交換しちゃおう。
B 海外ATMと国際カード(デビットカードとプリペイドカード)
その昔は、「海外キャッシュカード」というのがあって、Citi Bank(今は住友信託銀行/SMBC PRESTIA)のウリだったのですが、多くの邦銀でも出来るようになり、そしてまた潮が引くように邦銀が撤退してます。
貸金決済法と邦銀のベタ降り傾向
これも2013年頃のトピックなんでタックしておきますね。
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邦銀がどんどん海外キャシュカード業務から撤退しています。新規発行終了ばっか。
みずほ銀行 - 2009年11月30日で新規発行終了。
三菱東京UFJ銀行 - 2005年9月末で新規発行終了。
三井住友銀行 - 2010年5月21日で新規発行終了。
香港上海銀行 (HSBC) - 2012年2月22日で新規発行終了。12月28日取扱い終了。
ソニー銀行 - 2011年7月12日で新規発行終了。2012年1月15日取扱い終了。
最後の牙城であった新生銀行も2018年12月でサービス終了
もうベタ降りです。この国際化の時代になぜ?と思ったら、どうも「資金決済に関する法律」が施行された影響のようです。
これは、これまで銀行など金融機関にしか認められていなかった為替取引(簡単に言えば「お金の移動」「送金サービス業」)を金融機関以外の事業者にも認めたという規制緩和です。少額決済などPayPalなどの電子マネーが利用されてきましたが、こういった事業者が送金サービスを行えるようになったこと。また、電子マネーやポイントなどはこれまで換金できなかったのですが、為替(決済)OKになったことで出来るようになります。
ということで昔の海外「キャッシュ」カードはほぼ絶滅してしまったのですが、しかし、それに代わるものとして、国際「デビット」カードと国際「プリペイド」カードが出てきています。それとはまた別に昔ながらの「クレジット」カードがあります。
もーね、メッチャややこしいですね。
ここで言っておきたいのは、
呼び名はどーでもいいってことです。
だいたい何が固有名詞(各銀行の商品名)なのか、なにが一般的な普通名詞なのかも定かではない。もともとクレジットとデビットは、会計帳簿でいう借方/貸方に対応しているんですけど、そんなこと考えているとワケがわからなくなります。
本当に各金融機関によって呼び名は千差万別です。「いい加減にしてくれい!」と言いたくなるくらいバラバラ。「バンクカード」でも、一般の銀行のカードのことかと思いきや「株式会社バンクカードサービス」なんてのがあったりして(横浜銀行の子会社)。あとは、クレジット一体型とか、プリペイド方式とか、オンラインディビットとか頭がウニになりそうです。
そのあたりのネーミングは、ハッキリいって趣味の世界です。「海外」というか「国際」というかみたいなものです、ネーミングなんかどーでもいいから、本質を見極めましょう。
では「本質」とはなにか?ですけど、煎じ詰めれば次の2点だと思います。
(1)海外ATMで使えるか(簡単&低費用でキャッシュが手に入るか)?
(2)為替交換をいつやるか?
です。
(2)の為替交換の時期については、最後の方にまとめてやります。ここでは海外ATMが使えるかどうかに焦点を絞って書きます。
海外ATMが有用なわけ
まず第一に、
現金の必要性=シェア費用です。
オーストラリアの場合は、日本よりもクレジットカードの利用が徹底していて、まずほとんどの場合で使えます(安いテイクアウェイなどでキャッシュオンリー店がありますが)。
しかしそれでも現金が必要な場合があります。
単なる観光ではなく、留学やワーホリで来られる肩に直結するのは
シェア(アコモデーション、ハウス)の費用です。
詳しくはシェアの項目を参照ですが、こちらのシェアアコモは不動産仲介業者が入ることは稀で、ほとんどの場合は普通の人同志でやりますから、クレジットカードなんか受け付けていません。したがって現金が必要です。着いてすぐシェアを探す場合(ホームステイをしないで)、すぐに現金が必要です。
「おはじめ」にいくらかかるか?ですが、だいたい「前家賃2週間分+保証金/敷金(ボンド〜退去時に返ってくる)2-4週間分」です。シェア代金が週200ドルだったら、800ドルから1200ドル必要です。これだけのキャッシュは用意しておかないとなりません。
第二に、
利便性です。
豪ドルキャシュを得るだけなら、空港の両替所で変えてもいいです。でも上でみたようにかなり損をする場合が多いです。また最初に大きな現金を抱えて過ごすわけで安全性の点でも問題アリです。銀行送金→引き出しもありますが、こちらの銀行口座を開設するのがまた手間ですし時間もかかります(そもそも住所も決まってないのにどうやって口座を開くの?問題がある)。
その点ATMで引き出すなら手間いらずです。
オーストラリア現地のATM、殆ど全てで利用できます。多くの場合PLUS、CIRRUS、VISA経由で下ろすのですが、ほぼ例外なくこちらのATMで受け付けています。
シドニーの
ATMはメチャクチャ沢山あります。しかも
全て24時間利用可です。
びっくりするくらい至るところにあり(スーパーやガソリンスタンド、パブの中にすらある)、「オーストラリアのATMの場所」なんかイチイチ確認する必要なんか毛頭ないです。普通の郊外の小さな商店街にも最低数カ所はあります。ありすぎて数える気にもならない。ほんとに「いつでもどこでも」です。
なお、予め外貨に交換してプリペイドカードにチャージしておくカードと、使った分だけ現在持ってる日本円の口座から引き落とされるカードがあります。後者の場合、遣い残した分はそのまま円で残存してますから、再び
円に戻す二重差損が発生しないことなどです。為替レートは、ATM利用時のレートになります。
注意点としては、お手持ちのカードが海外で利用できるか、あるいは自分の口座が海外で下ろせる設定にしているかどうか、そのあたりの手続きは各銀行によって違いますので、十分に確認しておく事です。
デメリットとしては
ATM使用料が200円ほど取られること、及びATM使用の場合の
為替レートが3-4%前後割高になることです。また、多くの場合
1日の使用限度額(1000ドル程度)があるので多額の支払いには不向きであることです(何日も連続して引き出さねばならず、その都度大金抱えて緊張します)。
使用料+レートやや悪は痛いのですが、最初の数千円単位の手数料(銀行送金の場合の口座開設費や送金手数料)のことを考えたら、何回下ろすかによって損益分岐点は決まってくるでしょう。非常に頻繁に下ろす人には割損になるけど、せいぜい十回未満だったらお得では?なぜなら、オーストラリア銀行口座を開いたところで、ATM使用料は取られる場合が多いし、口座の種類によってはカウンターでも手数料を取られたりします。あるいは口座管理料で月5ドルほど取られますから、ランニングコストは同じようにかかるからです。
なお、現地ATMの使い方の解説は、
生活体験マニュアル/お金について(1)外貨交換に書いてあります。
意外と気づかない大きなメリットは、
日本からの緊急ヘルプ送金に一番使えることです。
もうこの一点だけで「一枚はもってこい」と言いたいくらいです。
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なぜか?緊急の事故や負傷、盗難などで、現地で急にお金が必要になり、日本のご実家などから送金をお願いする事例を考えてみてください。
海外送金って面倒臭いですよ。鎖国JAPANではそういう機会が少ないから皆が慣れていない(慣れてないからこそ、あなたもこのページを読んでいるのでしょう)。とりあえず日本の銀行員さん、海外のこと知らなすぎ。こちらの銀行口座に送金する際、銀行、口座名義、番号、あとBSB番号くらいで事足りる筈です。それなのに不慣れだからか、やれ支店名が必要とか、支店住所が必要とか、SWIFTコードやら何やら、色々言うのですね。6桁のBSBコードに「○○銀行○○支店」という意味が入ってるのだからそれで十分なんだけどそれも知らない。だから「これでは送金できません」で突っ返される。そうすると、ご実家のある程度ご年配の方の場合、「そういうものか」と思ってしまい、「ダメだってさ」と返信が来る。
だから、万が一に備えてあらゆる口座情報を満載してメールで送ったり、電話で書き取らせたりするのだけど、これが大変。年配の方の場合「メールはちょっと、、」という人もいるし、電話口で英語の住所スペルなんかやってたら日が暮れます。ここまでリアルに言うのは、目の前で何十回となくそういう場面を見ているからです。すごい大変なんです。もちろん大変じゃない人、大変じゃない場合もありますよ。でも大変な場合が多い。ましてや旅行・ラウンド先でド田舎に居るときとか、日本への通信事情そのものが良くない場合もありうる。携帯着外、ネット不能なんかザラです。電波弱々の状態でこんなやりとりすることを考えてみてください。
しかし、ATMの場合はそもそも海外送金ではないのです。日本円を、日本の銀行口座に入金すれば良いだけです。つまりは普通に日常でやってることをやってもらえばいいから楽なんです。口座もハンコを預けてたりするから楽でしょ?したがってヘルプミー通信も極めて簡単に終る。「例の口座に5万円入れといて!頼む!」で済む。
そして日本の口座に入金があった瞬間、即座にこちらのATMで下ろせます。速い!緊急時には頼もしいです。これが海外送金だと、電信でも丸一日かかったり、文書だったら数日かかったりして、緊急事態を抱えたまま数日間イライラすることになります。つまりは「緊急」の役に立ってないということです。
従って、海外ATMキャッシュカードを作る場合、後日に備えて、自分ではなく、家人など後で頼むかもしれない人が、いかに簡単に補充等ができるか、という観点でお考えになるといいと思います。
結論的にいえば、「とりあえず一枚」くらいだったら、どこでもいいんじゃないかって思います。実際そこまでキャッシュが必要なのは最初のシェア費用くらいで、あとはバイトなり何なりで現地収入がありますしね。
あ、それとカードとATMの相性が悪いときがときどきあります。新生とコモンウェルスとだったかな?常にそうというわけでもないのだけど、「ご利用できません」みたいな表示が出るときがあります。こういう場合は、
あまり気にせずに別の銀行の別のATMでトライしてください。どういう法則性でどういう理由なのかまだつかめておらず、また河岸を変えたら即解決するので突っこんで考えてもいないのだけど、まあ「相性」ってのがあるのかね?って感じです。
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ワーホリ3−1:為替の動きにどう対応するか