あります。この世には星の数ほど職業があり、星の数ほどスキルがあります。それはオーストラリアでも同じですから、その気になればいくらでもあります。そもそも「異文化環境で生活する」「ちょっとのことではメゲないストレス耐性」などスキル以上に大事な
人間力も知らずしらずのうちに身につくでしょうし、アルバイトやボランティアを通じて新しいスキルや世界が開けていくこともあります。一方、さらに上級の英語力を身につけて就職機会を広げたり、英語を基軸とした仕事を探すという方向もあるでしょうし、大学や専門学校に進学するという選択肢もあります。
でも、「海外でキャリアップ!」というフレーズの虚構性もまたあります。広告宣伝文句によく出てくるものの、現実にそれでどれだけ就職機会が広がるか?収入UPがはかれるか?と
シビアに突き詰めていくと疑問なものもあります。もっとも、趣味は人生を豊かにしてくれますし、別にゼニカネに直結しなければ意味がないってものではないです。そこで、いろいろ紹介しつつも、APLaCらしく、そのあたりのシビアな考察も交えたいと思います。
英語力を発展させていく方向性 その1 →外資系就職、TOEIC対策など
せっかく頑張って英語を習得してきたのだから、英語を機軸にして将来のキャリアを考えたいという方もたくさんいらっしゃるでしょう。
その場合、
@英語力をメインスキルにするのではなく、英語力によって就労可能な範囲を広げる
A英語力そのものを武器(メインスキル)にする
という二つの方向性があります。
@の典型例は「英語圏の国で就職したり、ビジネスをする」ということですし、あるいは日本における外資系等の企業に就職するというものです。これらの場合、「英語は出来て当たり前」という必要前提条件であり、英語以外のメインスキルが当然に要求されます。ハードな方向性ではあるのですが、魅力的な選択肢でもあります。色々なケースが考えられるので場合分けをします。
海外で働く
「海外で働くプラン」ですが、ワーホリ・留学生のカジュアルジョブではなく、正規にフルタイムで採用される場合について述べます(ワーホリ・留学生などの場合については、
ワーホリ実戦講座第8章仕事編をご参照ください)。
正規採用ですが、しかし、これは難しいです。
英語力やメインスキル以上に
就労可能なビザという超難関が立ちはだかっていることをまず知ってください。ビザがなければ不法就労になり、キャリアどころか”前科”になってしまいます。外国で就労できるビザを出して貰う方法は、@その国の永住権を取る、Aその国の企業に採用され、そこにスポンサーになってもらって、労働ビザをゲットする、B日本で就職し、海外に派遣・駐在する、という3つのパターンがあります。なかなかトリッキーな領域なのですが、真剣にお考えの方は、まず基礎構造をしっかりとご理解ください。
@の場合は、とにもかくにも永住権をいかにして取るかというのが最大の焦点になります。逆に、永住権さえ取れれば、極端な話、あとは英語がダメダメだろうがスキルがなかろうが、選ばなければ仕事はあります。オーストラリアでも職安が仕事を紹介してくれるし、スキルがなければTAFEなど職業訓練学校(留学生には高いが国民・永住権者には破格に安い)で職業訓練が受けられます。仕事がなければ失業保険すら支給されます(待機期間はありますが)。というわけで、この路線をお考えの方は、学校ではなく、まずはビザ代行業者さんににご相談なさるべきでしょう。オーストラリアの永住権については
オーストラリア移住の方法論をご覧ください。
もっとも、その永住権をとるためには相当な英語力が必要とされます。英語力証明としてIELTS試験が用いられるのですが、そのハードルは年々高くなる一方で、王道の独立移住永住権を取る場合、2011年7月から施行される新法ではIELTS6点取得していないとそもそも申請すら出来なくなりました。
Aのケースは、ワーホリや学生ビザで滞在中にバイトで働いていた企業に気に入られて、労働ビザに昇格するようなケースが多いでしょう。日本から現地企業に応募して採用されるケースもありますが、それなりのキャリアやコネが求められます。Bのケースは、舞台は全て日本ですから、その意味では楽なのですが、その代わり希望の国に行けるかどうかは分かりません。オーストラリア駐在という話だったのが、事情が変わってイラクに飛ばされる、、なんて哀しい話もあるでしょう。またABの場合、雇用者あってのビザですから、喧嘩して辞めるときは、その国を離れるときになります。なお、Bの第一歩は下の「日本で就職する場合」にあたります。
日本で就職する
日本国内の外資系、あるいは商社など語学力重視の国内企業に就職する場合ついては、皆さんもよくご存知のTOEICなどの試験でハイスコアをあげるということがいい”お土産”になるでしょう。
それ以上に、MBA資格、MITで情報工学を修めるなど特殊なスキルや資格を身につけて日本に凱旋帰国するパターンもあります。取っつきやすいところでは、アロマセラピーとか児童英語教師資格などもあります。ただし、これらの資格が「本当に役に立つか」どうかは、ここのような海外のサイトを調べていてもダメです。ご自身が就職を希望するエリアの各企業の採用方針を綿密にリサーチしてください。なぜなら、海外で得た資格がそのまま日本で通用するケースはマレだからです。例えばオーストラリアで弁護士資格を取っても、日本の弁護士になれるわけではありません(外国人弁護士登録をして限られた業務をするだけ)。オーストラリアで数年建築士として稼働してた人でも、日本に帰ったら、「海外でのキャリアは一切評価の対象にしません」とハッキリ言われてしまったそうです。「何となく就職に有利そう」と思っていても、現実には全く役に立たないケースもありますから、「本当に役に立つか」かどうか、資格の相互乗り入れはあるかなど、日本の就職市場でしっかりと吟味する必要があります。
チャンスの増大傾向〜いわゆるグローバル人材
詳しくは
「世界と日本のトレンドと将来のキャリア/国内市場の縮小と海外シフトと新たな就職機会(」や
「オーストラリア留学/ワーホリ/移住の新しい局面」に書きましたが、英語力や留学経験が、以前にまして就職にプラスに働く潮流になってきています。
理由は簡単で、日本の国内市場が縮小するにしたがって海外市場に活路を見いだそうとする日本企業が増えてきているからです。「このままではマズイ!」という危機感は、一般の市民よりも、現場に近くて状況がよく見えている国や大企業の方が強いようで、あれこれ仕掛けを作って皆を留学に行かせています。細かな新聞記事のスクラップは、上記リンクで見ていただきたいのですが、新入社員に海外留学を義務づける企業やら、留学経験者を雇用する企業に補助金をつける自治体が出てきたり、新入生の一定割合に留学を義務づける大学、留学支援政策をとる自治体が増えてきたり、「口も出すけど金も出す」というのが昨今の傾向でしょう。東大ですら危機感のあまり帰国留学生のために9月入学を検討しているくらいですから。
これまで留学生など海外経験者は日本社会で煙たがられる傾向もありました。まあ、今でもあるとは思いますが、アウェイ環境で揉まれてきて人間力も自我も強くなっている海外経験者は、和を重んじて空気読む日本社会から弾き出されるわけですね。帰国子女に対する差別やらイジメやら。しかし、今となっては「そんなこと言ってる場合ではない」のでしょう。なんせ日本が世界市場から弾き出されるかもしれないわけですから。日本社会(企業)独特の、ぬくぬくした仲良しクラブ的な技術や資質は、一歩海外に出たらまるで通用しません。そこでは、非・日本人的な資質がむしろ”珍重”されるわけで、それが巡りめぐって就職機会の増大につながっているということでしょう。
こういう状況において、あなたのどういうキャリアやスキルが就職において訴求力を持つか?それは基本的に各企業次第でしょう。ベトナムに新販売拠点を作るからベトナム語やベトナム現地事情に精通している人材が欲しいという焦点を絞ったニーズもあるでしょう。しかし、そんな都合の良い人材がゴロゴロ転がっているわけもなく、結局のところ「普通の日本人とは違う」部分、つまり普通の日本人よりも英語をはじめとする言語力があり、外国の人とのコミュ力もあり、異文化の荒波でもバランスを保てるメンタルや洞察力、バイタリティ、つまりは海外環境に慣れているという素質の部分をみて採用していくしかないと思います。
それを考えた場合、後述のように英語力というわかりやすい武器を磨いていく方向性はもちろんのこと、海外で実際に働いたことがあるというのも訴求力を持つでしょう。それはジャパレスで働いたこともポイントの一つになるでしょうし、鉱山や地下鉄工事で働いたとか、犬の散歩のバイトをやってましたとか、そのあたりだって普通の日本人には未知の領域です。あるいは仕事ではなく、いわゆる「武勇伝」的なエピソードもあるでしょう。自転車で一周しましたとか、途中で全財産盗まれて無一文になったけど必死に動いてサバイバルしましたとか、その種のことですね。「ほお?」「なかなかやるじゃん」と思わせる「ちょっといい話」系です。
もっとも、日本企業に採用される場合、完全にガイジンになってしまったら相手も二の足を踏むかもしれないので、海外対応スキルを搭載しているけど、あくまで根っこは日本人で、日本のカルチャー知ってます、重んじますよというアピールも又必要かもしれません。まあ、このあたりは何となく分かると思いますし、ここで僕があれこれ心配することではないかも知れませんね。
対応する英語試験=TOEIC、IELTS、ケンブリッジ検定
TOEIC
「最も役に立つが、最も役に立たない」という最もトリッキーな資格がTOIECでしょう。とりあえず日本の就職戦線で即効性の威力を発揮するのがTOEICであり、この効能は他の資格やスキルを圧倒しています。しかし、いくら高得点を上げても本当の英語の現場で通用しないのもこの資格です。僕がお世話した人達でもTOEIC900点以上の人は結構いますが、それでも語学学校でしごかれてます。
なんでこんなにヘンなのかというと、もともとTOEICは世界でも英語が下手な二大民族=日本と韓国でのみポピュラーな試験であり、世界的には殆ど無名に近いし、試験形式からいっても本当に英語の実力が分かるかどうか疑問と言われています(僕も疑問)。「日本の就職には役に立つが、英語力という点ではあんまり意味がない」変な試験なのですが、こんな試験をありがたがって就職や昇進の基準にしてる時点で、日本企業(の上層部)がいかに英語が出来ないかを暴露してるようなものなのです。しかし、やる以上は、単純に就職の為のお守り、コケオドシの道具と徹底的に割り切るべし。なお、本当に使える英語を求める職場(バリバリの外資とか)は、TOEICではなく、また試験や資格でもなく、面接の試験官がネィティブだったりするから、面接や筆記で英語力の査定も簡単に出来ちゃうと思います。
さて、TOEIC点取り虫作戦ですが、こちらで真面目に英語学校に半年から一年行けば、間違いなく800点後半くらいまでいけます。ワーホリで4か月通学して、ラウンドなどで英語環境で1年揉まれていても800点はクリアするでしょう。1年英語漬けになってたら、素の実力で600か700点くらいまではいける筈です。知識はなくても、"sounds natural"だけで点は取れるはずです。あとの100点、200点の底上げは、ひとえに受験技術です。
シドニーではこの種のTOEIC受験対策コースが多くあります。
スティーブン先生のTOEIC講座などが有名ですが、その内容は徹底して「点の取り方」という受験技術であり、毎日数時間ひたすら過去問を2週間(10日)程度やって「ヒッカケ問題のパターンを覚える」ことです。それだけで100点以上軽くUPするでしょう。
TOEICを重視するあまり、最初からTOIEC対策コースが充実した学校を選ぼうとする人もおられますが、受験対策は最後の2週間で足ります。点取り技術も「地の英語力」あってこそ意味があるのですから、最初は一般英語コースで地味に基礎力をつけ、日常生活で英語に慣れ、いよいよ帰国という段階になってガーと集中的に受験テクニックを習得して、そのピーク時に瞬間最大風速のようなハイスコアを取るのが賢いと思います。なお、1日2時間程度のパートタイムコースが殆どですから、ワーホリ通学期間の17週にカウントされませんし、学生ビザも不要です(逆にこれでは学生ビザは取れない)。
IELTS(あいえるつ)
これはイギリスにおける英語試験で、もっぱら大学進学などの英語力査定(アメリカにおけるTOEFLのように)に用いられます。それゆえアカデミックな論文の読み書きが重視されます。また、スピーキングもリスニングも単独でみっちり試験が行われますので、本当に英語ができないと点が取れません。勿論受験技術もありますが、マグレで高得点は取れない本格派であり、IELTSで6点とれたら「英語が出来る」といっていいです。黒帯の初段レベルですね。日本での知名度は低く、就職に役に立つかどうかは疑問ですが、こちらで永住権を取る場合、進学する場合には避けて通れない関門ですので、やる人は多いです。僕も受けました。なお単純に高得点を狙うだけだったら、シドニーではなく日本で受験した方が良いと言われています(受験生のレベルが低いから点を取りやすいとか)。
ケンブリッジ検定
英語圏で就職しようとする場合の本当の登竜門はこの試験でしょう。だからこそ就職チャンスの多いヨーロピアンが殺到して受講しています。日本では知名度は低いので就職には効能が低いし、永住権取得にも役に立たないけど、世界的には有名。IELTSのようにアカデミックに偏ることもなく、オールラウンドに出来ないと合格させてくれません。点数はなく、合格/不合格だけ、年に3回しか試験がないなど厳しい試験ですが、これに合格したら「英語が出来る」と言って良いです。FCEで初段、CAEで二段みたいな感じ。
英語力を発展させていく方向性 その2 →英語教師
次に、「英語をメインスキルとして生かしていく」方向性です。
これは、日本に帰って英語教師になったり、翻訳・通訳などの仕事をされるパターンがあります。
本格的な英語教師コース
英語教師養成コースは、TESOLと呼ばれ、”Teaching English to Speakers of Other Languages ”の頭文字を取ったものです。
この分野については、
Navitasという学校(旧ACE)が最も老舗でしょう。この学校はオーストラリアの民間学校では一番古いというだけではなく、もともとは教師養成学校として発足していますから。
それだけにACEの中で教師養成コースは、ATTC(Australian TESOL Training Centre)という別部局が司っており、コースの豊富です。ちょっと前までは、CELTA (英語教授技術に関するケンブリッジ検定)、DELTA(左のディプロマコース)などがあり、我々のように英語を母国語としない人のコースとしては「COURSES FOR OVERSEAS TEACHERS OF ENGLISH」というのがありました。しかし、このようにアカデミックな硬派コースは売れないのか、近年かなりコース編成を変えてきています。
最新のコース編成は、児童英語教師(English For Teaching Children (5週)→中高生への英語教師(English For Teaching Teenagers (5週)、普通のTESOL(TESOL Skills Module (10週)+Teaching Knowledge Test (TKT)(週)という構成になっています。
児童英語教師は、ここ数年日本人向けにポピュラーになってきたので、それに乗っかろうということでしょうか。ただし、ティーエイジャー向けのコースやTKTなどをやってるあたり他校との差別化でしょう。一般的に英語教師養成については、あくまでも普遍的な英語教授法を教えるもので、広く世界に通用する反面、日本市場の特殊なニーズに合うかどうかは別問題です。特に児童英語や中高英語を日本でやろうとする場合は、日本独特の英語教育の状況(受験勉強、会話力へ偏重、教職資格との関係)など、個別コースについて、どのくらいフィットするか事前に慎重に調査しておく必要があります。また、英語を習うのではなく教える側に廻るだけに、相当の英語力が前提として要求されるでしょうし、当然授業もシリアスだと思いますから、”カジュアルにプラスアルファ”という選択肢に入れて良いかどうか、多少疑問はあります。
バリバリに学究的にTESOLをやりたい方は、たとえばUTS(シドニー工科大学)のTESOLコース
Master of Arts in TESOL。
あと、同じく英語教師養成学校から始まっているのが
IH(International House)という学校です。こじんまりとしたアットホームな学校ですが、もともとはケンブリッジのCELTAというネイティブ向けの最高峰コースから始まり、次に一般英語教師(TESOL)、さらに児童英語教師養成(TECSOL)と裾野が広がっていっています。通常の英語学校も同キャンパス内にありますが、半分は英語教師養成学校という教職を真剣に考える人には、同攻の士が多いナイスな環境になってます。
児童英語教師
かつては日本語教師養成コースの人気が高かったのですが、世界における日本の存在感の凋落と需要の低下によるのでしょうが、徐々に下火になり、その代わり、日本で就職するための児童英語教師養成コースが徐々に盛んになってきました。これは文部科学省が小学校教育で英語をやろうと言い始めたことに対応しているのだと思われます。2002年から「総合的な学習の時間」が導入され、2011年には小学校5、6年生の英語が必修化されるようで、こうした動きの中で英語教育が注目されているようです。
日本ではJ−SHINEという児童英語教師資格がありますが、国家資格でも業界資格でもなく、イチNPO団体である
J-Shine(小学校英語指導者認定協議会)が認定しているものです。この団体は2003年2月に登録申請したNPOであり、また役員を見てもトレーナー検定員に小学校教諭が一人いるだけで、理事は大学教授やアルク社やイーオンなどの日本の英会話学校だったりします。また資格といいつつも、検定制度や試験があるわけではなく、同団体が認定したトレーニング機関のカリキュラムを修了し、その機関の推薦をもって資格認定を行うというシステムのようです。
これまでシドニーでは、Kids ABCという学校がダントツに老舗であり、主催者の大西さんという方は、小学校英語教育とかJ-Shineが出てくるよりもずっと前からこのエリアで活動しておられ、指折りの先進者だと思われます。Kids ABCは現在は
英語学校のSELCと提携しており、また
独自のHPももっておられます。
その他、シドニーで児童英語教師養成コースを開校しているのは、上述のNavitasとIHの他にも、
LETS、そして
ラリングアなどがあります。コース内容は学校によって微妙に違いますが、大体6週間程度のカリキュラムのようです。
「今後ますます日本での需要がみこまれる児童英語教師資格をシドニーで取ってみませんか?」と留学エージェントらしく言いたいところですが、「うーん、そうなうかな」と思ってしまう部分もあります。以下夢を壊すようなことを書きますので、読みたくない人は飛ばしてください。
→ちょっと気になるから続きを読んでみる
冒頭にも書いた「本当に役に立つのか?これで就職できるのか?」という点ですが、十数年以上先行して人気があり、確固とした資格として認められている日本語教師資格に関して取材した限りでは、この種の資格というのは、現場においては実はそんなに決定的な意味を持たないようです。結局は実力であり、営業努力である、と。予備校の教師職と同じく、消費者=受講生&保護者に人気があるかどうか、「客を呼べる先生」であるかどうかを雇用主としては最も重視すると。それはそうだと思うのですね。日本語教師、児童英語教師よりも遙かに切実で、需要が高い塾や予備校講師には資格らしい資格がありませんが、それで問題なく廻ってますから。
J-SHINEですが、最も老舗で最も造詣が深く、最も日本での就職へのコネクションをもっていそうなKids ABCが未加入です。直接聞いたわけではありませんが、J-SHINE創立時には斯界の権威として立ち会われたそうですが、その後離脱されているようです。詳しくは分かりませんが、少なくともHPにはその旨触れられていないということです。
次に小学校英語教育と外部教員の就職状況についてネットで検索したのですが、現場もいろいろ混乱しているようです。小学校で英語を教えると行っても、小学校教員には英語についての十分なスキルがない、さてどうするか?というのが問題の状況です。対策として教育職員免許法の改正が挙げられます。教職免許は学校別あるいは科目別に与えられる相当免許主義を採用しているところ、これを緩めたり、弾力的に運用しようというものです。また大学における教職課程の変更なども検討されています。免許法第3条の2の特別非常勤講師制度。あとは現在の教員に対する研修制度。「先生に教える」というこの文脈で、ALT(Assistant Language Teacher)、JTE(Japanese Teacher of English:日本人英語講師)が登場し、前者の場合は外人さんが日本人教師に英語の教え方を教えるわけですが、JETプログラムなどの活用などが挙げられています。
話の流れとしては、小学校で英語をやる→教員が大量に足りない→対策となるわけで、その対策の一環として外部教員を雇おう、そのなかにJ-SHINEなど児童英語カリキュラムを履修した人材を当てようということです。「将来有望な資格」と言われるユエンですね。ただし、小学校教員は何もこのカリキュラムを履修した人だけがなるのではありません。就職の際のライバルは山ほどいます。まずは正規の教職員。国策として早期英語教育をやるなら短期的には教員に研修を行い、長期的には教職課程を変化させることで対応するでしょう。ということは外部教員はあくまで過渡期におけるテンポラリーな助っ人であり、長期的に永続するかといわれると微妙。あとJETプログラム(語学交換)やワーホリで日本にやってきた金髪・青い目のお兄さんお姉さんがライバルになるでしょう。また日本人でも、中高の英語教員、退官教員、さらに予備校や英語塾の教師。英語が出来るという点では、英検一級保持者、プロの翻訳・通訳者、英語圏の滞在経験の長い日本人がいます。つまりは「結局、営業努力」という話になりそうです。
一方、日本における早期英語教育ブームは非常に盛んであり、少子化だというのに1兆円ビジネスに育っているようです。子供への英語塾、英語教育に関する出版物、DVD。さらには英語教育者の養成講座などの、いわゆる「資格ビジネス」とよばれる産業です。
といって、僕は何もJ-SHINEや児童英語教師にイチャモンをつけているのではありません。英語教育スキルを持った民間の人材が増えることは、日本にとっても素晴らしいことだと思いますし、そのための基準作りをしようという理念は良いことだと思っています。またJ-SHINEが検定試験を行っていないのも、「適性は試験ではわからないから」としている立場は評価します。
ここであれこれ考えているのは、「将来のキャリア」になるかどうか、ぶっちゃけた話これで生計が立てられるのか、「メシが食えるのか」という単刀直入に実利的な部分です。そういう視点で検証するに、早期英語教育を検索しててもあんまりこの種のコースや資格が出てこないのですね。逆に”J-SHINE”で検索すると、コースの紹介という広告ページばかりだったりします。また、
J-SHINEの事務局副長の山口隆博さんが率直に指摘されているように、J-SHINEの登録者の99%は女性であり、子育ても一段落して社会参加をしたいという主婦層のニーズに合致するそうです。実際に稼働しての謝金(”給与"ではない)は全国平均でヒトコマ1900円、自治体によって差があり、待遇が良いところでは月額20万円+ボーナスですが、逆に一学期で図書券1000円というところもあるそうです。結局これで生計を立てていくのは難しく、英語学校に就職するか、自分で英語塾を開くかという方向性になろうと言われています。非常に的確な指摘であり、好感が持てます。
その他、小学校の外部教員として稼働するとした場合、あの独特の”学校カルチャー”に馴染めるか、その中でどう待遇されるかという日常レベルでの視点もあります。将来展望としては、中長期的には本職の教員が研修をして増えていくだろうこと、それに6週間で養成できるのならば、現場の教員が夏期などに特別研修休暇をとって受講すれば済むことではないかという視点もあります。
もっと根本的に、本当に小学生に英語教育が必要か?という議論もあります。例えば韓国は日本よりも遙かに早期英語教育先進国ですが、別に韓国人が英語が上手になったという実感もないですし、早期英語のために妻子はアメリカ・カナダに行き、お父さんは「キロギ・アッパ(雁の父)」と呼ばれる哀しい現状もある報道されています(
読売新聞記事)。僕個人の意見は、過去の
エッセイで書いたように、必要ないというものですし、小学校英語教育に関する批判は一部では強いです。難しく考えるよりも、中高6年間英語やってきたあなたがどれだけ効果があったかはよくご存知だと思いますし、それを週ヒトコマ小学5、6年に増やしてどれだけ効果あるのか。むしろ英語嫌いを増産するだけではないのかという気もしますね。それに文部省のこれまでの教育指導要領やその改正がどれだけ実効性あったのかという過去があります。現在の中高英語、さらに詰め込み教育をやれば落ちこぼれを大量に出し、ゆとり教育をやればアホが増えたと非難されてるわけで、まあ文部科学省だけの責任ではないのですが、多くは期待しない方が良いのでは、と。
以上、もしあなたが児童英語教育を一生の仕事とされるのであれば、上記のマイナス面も十分に頭に入れてください。門外漢である僕が、「しょせん他人事」というスタンスで数時間ネットで検索しただけでもいろいろな状況がわかります。他人事ではなく、自分の一生に関わることであれば、自分でしっかりお調べになることをオススメします。参考になりそうなリンクをはっておきます。
・
文部科学省の小学校外国語活動サイト
〜当局の動きを知るためには良いでしょう。
・
小学校英語−教員免許法施行規則の改正/旺文社教育情報センター 〜文中でも紹介した免許法についての情報です
・
「小学校に英語がやってくる?〜教室で何が起きているか〜」を視聴して/大津由紀雄論文 〜NHKの特集番組をもとに現状を述べています
・
日本の小学校英語教育を再考する/寺島隆吉論文
〜硬骨な小学校英語論ですが、面白いです
以上のネガティブ面をぜーんぶ考慮した上で、それでも僕は児童英語コースを”一定の条件”のもとでオススメします。
@子供が好きであり、英語が好きであること=これは教師としての最低限の適性です。適性のない教師の下について不快な目に遭われた経験は、あなたにだってあるでしょう。悲劇を繰り返さないために。
Aこれで将来のキャリアはバッチリだ!と短絡的に考えないこと=将来バッチリなんて資格は、いまどきこの地上にありません。医師になっても、弁護士になっても、だからといって直ちに食えるほど世の中甘くないです。
この二点だけです。これだけクリアしてたらOKです。
児童英語教師コースは、僕自身は受講したことはありませんが、経験者の話をいろいろお聞きするに、わずか数週間、受講生はほぼ日本人だけといえども相当に濃いですし、こなすだけでも精一杯というハードなコースです。それだけに大きな充実感は得られるでしょうし、とりあえず楽しいと思います。もとより、これだけで人生OKにはならないものの、新しい世界に進むキッカケにはなるでしょう。最初の一歩としては有用だと思います。それに内容的にも、英語は面白いし、海外も面白いし、子供に教えるのは楽しいでしょう。小学校英語を義務化するのは問題が多いと思いますが、子供が楽しく学び、視野が広がること自体はとても素晴らしいことだと思います。意義はバリバリあります。
実際に教室現場に立ったときのことを想像すると、「海外ではこうするんですよ」という海外文化の紹介やお話が大事なトピックになると思います。例えば、敬虔なクリスチャンでは、食事の前に say graceといってお祈りをします。「天にまします我らが主よ〜」ってやつです。あれを英語で言えますか?言ってるところを見たことがありますか?誰が言うのかルールを知ってますか?あるいは海外(オーストラリア)の子供達が日頃どうやって遊んでいるのか、Simon saidsのゲームとか、パパとママは本当に朝の出がけにキスしてるのか、子供達から沢山の質問を受けるでしょう。直接英語教育とは関係ないとしても、子供達の興味を喚起したり、英語へ誘うためにも、それを答えきってこそのプロです。ですので、滞在期間中、貪欲に海外の文化を吸収してください。どんなことでも体験してください。それがあなたのプロとしての豊かな栄養分になります。また、長期的な展望を考えてみた場合、小学校の外部教員ではなく、最終的には自分で塾を開くという方向になる可能性も高いでしょう。そのときに「営業」=子供達に好かれ、保護者からは信頼される=ための金看板や武器も必要でしょう。
あれこれ考えると、オーストラリアに来ていきなり受講するのではなく、最後に廻した方がいいかもしれないですね。なぜなら、来た当初は自分が英語を学ばねばならない立場にあり、最も自分の英語力がついた時点で受講した方が効率が良いこと。また、シドニーに限って言えば、日本人講師の日本人スタッフですので、自分でどんどん学校見学することが出来るので、ゆっくり考える時間があった方が良いことです。
日本語教師
これは一昔前はかなり人気があったのですが、最近は下火になってしまいましたね。老舗のTLCCもやめちゃったし。
もともとオーストラリアは日本語教育熱が盛んな国でした。オーストラリアは外国語教育が盛んなのですが、初期においては移民達の権利保護(自国文化の保護)、やがてオーストラリアのマルチカルチャル政策のため(異文化に触れる機会を増やす)と発展し、90年代になると新興アジア諸国との経済活動などもっぱら経済的な文脈で語られるようになったと言われます。日本はオーストラリアの最大の貿易国ですし、日本が世界に冠たる経済大国として光ってた時期ですので、日本語教育熱が最も盛んになっていました。しかし、90年後半に連立与党に政権が変わり、さらにアジア経済危機が起きると、現金なもので政府の興味は急に失せ、予算も無くなり、殆ど一顧だにされなくなります。今は労働政権に戻ってますが、世界における日本の地位低下、中国の浮上により、いまではアジア言語をやるんだったら中国語でしょう。
しかし、そうは言っても日本語教師そのものは立派な職業ですし、たかがオーストラリアごとき、たかが政府の政策ごときでどうなるものでもありません。それに日本語教育熱が盛んだった頃のオーストラリアでも、実際にオーストラリアでビザをゲットして日本語教師になるのは至難の業でしたから、別に状況は変わっていないとも言えるわけです。それに、理想を言えば日本語教師こそ将来有望であって欲しいです。なぜなら多くの若くて優秀な外国の人が来たくなる魅力的な国であって欲しいですし、またそうでもしない限り少子高齢化の日本を底上げすることは難しいからです。
シドニーでも日本語教師養成講座は幾つかの学校で健在ですし、本来は日本語学校だったラリングアなんか老舗中の老舗でしょう。日本語教師をとりまく状況についてベーシックなものは、いまはなきTLCCという学校で
以前取材したページがあります。お蔵入りするつもりでしたが、該当箇所は尚も参考になるので残しておきます。
★大学における通訳・翻訳科とNAATI
こちらの大学の勉強は超ハードで、とても”英語プラスアルファ”とか”カジュアル”といった雰囲気はありませんから、ここに掲載するのは場違いではあるのですが、関連して述べておきます。
→続きを表示させる
NATTIというのは、National Accreditation Authority for Translators & Interpreters の略で、よく”ナーティ”と言われたりします。オーストラリア公認の通訳・翻訳の資格試験であり、またそれを主催する機関です。いわば政府公認の”お墨付き”なわけで、この資格を持っていると、オーストラリアの官公庁に提出する公式文書の翻訳や通訳ができます。NATTIの詳細は、
NATTIのホームページを参照のこと
ただこの試験は鬼もハダシで逃げ出すというくらい難関で、日本人で合格するのは年間数えるほどしかないとも言われています。僕の知り合いでも何人か合格された方がいますが、かなりハンパではない努力をされておられました。NAATIに合格するのは、別に大学等の専門の教育機関に通う必要はなく、試験さえ通ればいいわけですが、大学の翻訳コースを受講される人が多いです。僕の知人もみな、ウェスタンシドニー大学とか、マッコリー大学に通っておられました。もっとも、ビザ業者さんの主催するNATTI対策講座を受講される方(大学と並行したりして)もおられます。
ただし、注意すべき点が2点あります。その1は、NATTIを目指して大学に通う場合の多くは、オーストラリアの永住権獲得とリンクしていることです。逆にいえば、永住権のための必要なポイントをゲットするために、ボーナスポイントのもらえるNATTIや大学卒業資格を得ようという戦略的な見地で大学に行かれる人が多いということです。永住権取得のカテゴリーとして新卒者独立移住や、加点事由としてのNATTI資格などですね。ここで、「そうか、大学いってNATTIを取ったら永住権が取れるのか」と早合点しないでください。
別の個所(オーストラリア移住について)にも書きましたが、永住権の是非はあなたが現在何歳であるかによっても変わりますし、またこの規定というのが猫の目のようにコロコロと変わります。永住権取得はかなり厳しくなっており、その昔1年学校に行けばよかったのが2年に延長され、さらに卒業後1年間の実務経験を要するなど頻繁に変更されます。また優遇職業リストも変わってます。NATTI経由で永住権を取得した方々も新卒者永住ビザというルートがなかった頃の話です。これらの点は非常に専門的で且つリアルタイムの知識を必要としますので、ビザ代行業者さんに詳しくご相談ください。ここでは、日本人におけるNATTIというのは、単にスキルだけではなく、ビザと深く絡み合っている(いた)という点だけ述べておきます。
注意すべき第2点は、NAATI資格があるからといって仕事の保証があるわけではないことです。これは資格試験一般について言えると思うのですが、資格=生計に直接つながるものではありません(というか、つながる方が少ない)。僕の経験で言えば、司法試験を通って弁護士になったとしても直ちに食えるというものではないです。何が必要かというと”営業”です。資格があってもお客さんがいなければ意味ないのですね。翻訳、通訳も同じことで、資格があっても仕事があるとは限らない、というかまず無いと思ったほうがいいくらいです。ただ、医師や弁護士と違ってこれらの職業が良いのは、資格が無くても営業できることです。確かにNATTIに合格していないとオーストラリアの公的業務はできませんが、それも仕事全体の中の一部に過ぎないでしょうし、日本でやる分には関係ないでしょう。村上春樹も何冊も翻訳をこなしてますが、別に彼がオーストラリアのNATTIに合格してるなんてことはないでしょう(調べたわけではないけど)。ですので、あなた自身が有能な通訳、翻訳実務をこなせるだけの実力を持ち、それをお客さんに認められてればそれでいいわけです。
じゃあ、NAATI等のコースはまったく意味がないかというと、そんなことはないです。一番大事な「実力」を養うという意味で、とても重要なステップになると思います。もちろん教育機関を利用しなくても実力は得られますが、それは英語でもなんでも同じことです。要は独学でやるよりも効率がいいと思うかどうかでしょう。
コミュニティカレッジ
一方、「お勉強」というよりは「趣味」に近い領域もあります。ダンスを習ったり、陶芸やったりとかです。これもコースや先生はほとんど無限にあると思いますが、とっつきやすいところでは、community college、通称”コミカレ”があります。
これは、日本におけるカルチャーセンターのようなもので、住民がカジュアルに学ぶための機関です。別にオーストラリア国民に限るとかいう制限は全然ありませんし、ワーホリでも観光ビザの方でも参加できます。シドニーでも、地域地域でいろいろやっておりまして、大きなところでは Sydney Comunity College, WEAなどがあります。
大体、年に数回コース開講があり、新聞をとってると、その時期のコースを詳細に載せたブローシャー(パンフレット)が新聞に織り込まれてきます。でも、事務所にいけばくれるでしょうし、大体のところはWEBサイトを持ってますから、ご参照ください。
シドニー近郊でしたら、
Sydney Comunity College
WEA Sydney(Workers' Educational Association Sydney)
Eastern Suburb Evening Collge
などがメジャーどころだと思います。あと、シドニー大学など各大学でもやっていますし、どこのサバーブにもあるコミュニティセンター、図書館、教会などの掲示板などに貼ってあったりしますので、気楽に入っていって探してみるのもいいと思います。
コースの内容は、上のサイトをご覧になればわかると思いますが、実に多岐にわたっていて、 アボリジニー文化、アート系、ビジネス系、コンピューター、工芸、ダンス、演劇、各国語会話、環境、映像、健康、投資、音楽、写真、社会学、ウォーキング、料理などなど、「よくまあ、こんなに」と思うくらいあります。たとえば、手元にイースタンサバーブのブローシャーがありますが、そこから「Dance」という項目のクラスを見てみますと、アフリカンダンス、社交ダンス、ベリーダンス(これは人気があるのか2クラスもある)、ブラジリアンダンス、フラメンコダンス、ジャズ・ファンクダンス、ラテンストリートダンス、ナイトクラブ・ラテン、スィング・ロックダンス、アーバントライバルダンスなどなど。Clowinigなんてのもありまして、これはクラウン=ピエロのことですから、ピエロのような滑稽で道化風の動きの研究でしょう。
このあたりが200民族以上を抱えているマルカルチャル都市シドニーの異文化環境の層の厚さと強みだと思います。大体、毎週決まった曜日の夜間(6時半とか7時とか)から2時間程度。これを8週ないし10週くらいやって、費用は全部で100ドル前後です。安いです。昼間働いている地元のオージーがやってきますので、実践的な英語の勉強の場としても活用できるでしょう。
この種の文化施設や教室は、人口比率を考えるとかなりオーストラリアというのは多いと思います。現地にきて生活をはじめられたら、お近くのコミュニティセンターや市役所、図書館などに行かれるといいです。思わぬところでいろんな講座をやってますよ。
ワークショップ・ショートコース
一定期間継続するまとまったコースではなく、一回ポッキリや数日オンリーの集中コースもあります。
これはもう探せば無限にあるというくらいあります。
たとえば、シドニーのフィッシュマーケットでもクッキングスクールをやってます。
Sydney Fish Marketのホームページの右の"Program of Classes"をクリックしていくと、色々なワークショップが設けられているのがわかります。たとえば、ある日のクラスを書き写してみると、”Bisque and Chowder 6.30pm - 8.30pm Class Code: BIS $70 Seafood soups are always popular. Perfect a delicate seafood bisque and a delicious clam chowder at this hands-on dinner class.”ということで、魚介スープとクラムチャウダーの教室をやってたりします。結構高いですけど(^_^)。これも良く見てると、一週間のうちに4−5日というかなり頻繁なペースでやっています。
バリスタ、RSAコース
バリスタは(エスプレッソ系)コーヒーを入れる職人さん、RAS(Responsible Service of Alcohol) はお酒を扱う飲食店での勤務資格であり、最近、語学学校などでも取り入れるようになりました。
これらのコースは街中で幾らでもやってます。バリスタに関して言えば、日本のUCCコーヒーのように、こちらにもコーヒーメーカーがあり、そこがコーヒー販売促進のために「あなたもバリスタになりませんか?」みたいなコースをよくやってます。大体数時間のコースですね。勿論英語ですけど、現場で作業するから、そんなに言葉がネックになることはないです。
検索すれば山ほどでてきますが、いくつかリンクを張っておきます。
http://www.redballoondays.com.au/experience/BAB552"
http://www.coffeeinstitute.com.au/
http://www.jetblackespresso.com.au/
http://www.baristabasics.com.au/
RSA資格についても同様で、
http://www.tcptraining.com/Hospitality/RSANSW/tabid/77/Default.aspx
http://www.rsasydney.com/
http://www.studynow.com.au/RSA-and-RCG-Courses-in-Sydney.html
などなど検索すれば幾らでも出てきます。
ビューティ、ヒーリング、セラピー系
ネイルアートやアロマセラピーなど、ビューティあるいは自然療法系のクラスも百花繚乱だったりします。専門学校として存立し、留学生でも学生ビザが取れる形でコース設定してあるところもいろいろあります。と、同時に、そういう専門学校が、サマースクールや、インテンシブコース、イントロダクションコースとして1日ないし数日、あるいは”単位のバラ取り”のような形で提供しているケースも多々あります。
シドニーのアロマの学校でいえば、
Nature Care College、
Australian Collage of Natural Therapies in Sydney (ACNT)などが有名なところでしょう。エージェント業界的な話をすれば、ACNTの方が留学エージェントとの取引が活発のようなので、日本では有名みたいですね。前者のネイケアは、ウチの近所であり且つカミさんも通って資格やディプロマを取ったこともあるという非常にパーソナルな親近感もあって知ってますが、僕自身は通ったこともないので良し悪しは正直いって分かりません。ただ、通学中アサインメントや授業で四苦八苦していたカミさんの様子や、垣間見せてもらった資料などから察するに、大学とまではいかないまでもかなりハードなことをやらされていたようです。解剖学とか徹底的にやらされるし、化学やら薬理やらもかじらされたようですし、マッサージ実習50時間とかやってましたからね。
ただそこまでシリアスでなくても、ワンポイントのショートコースがあります。それぞれのホームページのコースの欄をみるとあるのですが、例えばネイケアの場合、タイムテーブル&サマーセミナーのパンフレットをダウンロードしたら書いてあります。
このあたりの領域になってきますと、もう”経験者は語る”的にカミさんが書いているホームページに振っちゃいます。
一般論と他の人の通学体験はここに、そして
本人の通学体験談はここにあります。実をいうと、カミさんのホームページって「いまさら」みたいな感じであんまりマトモに読んだことなかったのですが(夫婦なんてそんなもんでしょ)、今ぱらぱらと読んでみたら「ほう、そんなことやってたのか」と感心したりして。贔屓目抜きに結構よく書けてますので、興味ある方はどうぞ。
最後に手前味噌で恐縮ですが、半径5メートル内の出来事ですので紹介しておきます。実は、カミさん自身もワークショップを主催してます。詳しくは、
ここを参照。3in1という人間の筋肉反射を利用したカンセリング技法(キネシオロジー)や、現代レイキなどをやってます。
日系コース or ローカルコース? その一長一短
シドニー現地には、日本人が日本語で教えている講座も多々あります。英語ベースのローカルコースとどちらがよいかは一概に言えませんし、一概にいうべきでもないです。2−3考えるべきポイントを挙げておくと、、、
@、ローカルの場合
まず例によって求められるのが英語力でしょう。一般に技芸系は事務&学究系よりも英語ハードルが低く、IELTS5点くらいでも入れてくれますが、その5点ですらかなり大変です。仮に入れたとしても授業についていくのが大変でしょう。ということで、まず自分の英語力を知るのと同時に、実際に見て学校の雰囲気を知っておかれるといいと思います。
学校を見ることには幾つかの意味があります。一つはローカルといいつつも実は留学生御用達、留学生によって成り立っているような学校もあるからです。クラスの中は殆どが日本人留学生ばかりだったとか。別に同胞日本人がいても悪いこととは思わないのですが、でも留学前のイメージがガラガラと崩れたりすることもあるでしょう。百聞は一見にしかず。
もう一つは、留学生が少なく現地オージーばかりだったとしても、それが故に英語が不自由な人間の肩身が狭い、というか「居場所なし!」みたいにシンドイ場合もあるわけです。毎日シクシク泣き濡れて暮らすのもツラい話ですので、その学校がどのくらい海外留学生に対応しているのかがポイントになります。留学生向けのカウンセラーがいるとか。
このどちらのパターンかというのは一般にカタログ的学校選びをしていても分かりません。例えば上に述べたACNTは海外留学生御用達みたいな傾向がありますし、ネイケアは逆にローカル学生だけで十分で留学生に対しては「もう要らん」とばかりにハードな環境だったりします。このミックスした丁度いい頃合の学校があればいいのですが、中々に難しい。ゆえに実際に校内を歩いてみて雰囲気を感じ取ってください。
A、日系の場合
これは日本人同士ですので言語の問題はゼロです。うれしいです(^^)。ただし、同民族同士であるがゆえに人間的相性が結構ディープに問題になる部分があります。通っておられる生徒さん同士の波長もあるでしょう。これはシェアと同じ問題ですが、日本人同士の方が要求水準が高いのでしんどい傾向があります。いわゆる「人間関係」ってやつです。賢いアナタにはもうこれ以上言わなくてもいいですよね。
やはり実際に見て、そして会ってお話をして、「ああ、この人なら!」という「いい先生」に巡り会うことだと思います。だから「学校選び」というよりは「出会い」です。奇妙なことを言ってるようですが、本来スキルの習得というのはシステム化された「通学」ではなく、「師事」というパーソナルな師弟関係で培われるのが王道でしょう。特にこういった手に職・技芸系はそうだと思いますよ。是非、終生「恩師」と呼べる素晴らしい方に巡り会ってください。
もう一点、日系の場合、日本でも展開しているスクールが「シドニー校」というカタチでやっておられる場合もあります。その場合わざわざ海外に出てこなくても日本でも学べるわけですので、そこの利害得失を考えられるといいです。またこういった大手学校の場合、ときとして日本古来の「家元」的なシステムになっていたりもします。例えば、後に独立開業するときには許可料を払うとか、年会費があるとか、サプライは指定業者から買わねばならないとか、自分がお弟子さんを取ったら上納金(ロイヤリティ)があるとかです。それが直ちに悪いとかいうつもりもないし、一定の合理性も勿論あるでしょう。ですが、そういうシステムが窮屈に感じられる人もおられるでしょうから、事前にお聞きになるといいと思います。なんせ日本語で聞けるんですからね。なおロイヤリティとかコミッションという英語があることからも分かるように、こういうシステムは海外にもあります。しかし後日日本に帰って独立開業するなら、やはり国内での営業条件というのがシビアに問われるでしょう。
ビジネス学校、大学
これはもう「プラスアルファ」といった「カジュアルで付加的」なものではないのでここではフィーチャーしません。それでも何点かカナメの部分を書いておきます。
大学に関しては、まず「めっちゃくちゃシンドイ!」ということを頭に叩き込んでおいてください。入るだけの英語力(IELTS7点とか)を得るだけでも普通の日本人だったら語学学校1年では難しいでしょう。そして入った後も英語力はアナタの足を引っ張り続けるでしょう。
ここが中々ピンと来ないところなのですが、僕の知人の話でも相当なものです。ある人は、同じ講義を昼間、夜学部の2回、そのうえ録音したテープをまた一回の合計3回聞いてようやくカツカツついていけたといいます。また、アメリカ暮らしが長く、IELTS8.5というネィティブ並の英語力を持っている人でも法学部なんかに行ったもんだから全然ついていけず、在学中にも高い授業料(1時間100ドルとか)払って英語の個人レッスンを受け続けたそうです。また、塾の英語の講師キャリア十数年で「文法で知らないことはない」と豪語していた知人も、最初のセメスタで4科目中2科目落としていきなりカド番になったそうです。
だからまず英語をやれ、発狂レベルで猛勉強しろと。ずっと昔に日本で僕がやっていた司法試験受験くらいのレベルだと思います。気軽に行くようなところではないと思いますね。「本当にこれが学びたいんだああ!」と叫ぶような熱い想いと共に行くところです。単に「大卒資格」を得たいだけだったら日本の大学を激しくオススメします。留学エージェントがこんなこと言っていいんか?という気がしますが、本当なんだから仕方ないです。日本の大学は、世界でもっともイージーにバチャロー(四年生大卒資格)が取れてしまう地球最後のパラダイスです。ほんとにガラパゴスなんですよね。
次に、どの大学のどの学科のどの教授に学びたいのか、そこまで考えるのが望ましいです。なんとなく進学するところではなく、「芸人の弟子入り」と考えるくらいで丁度いいです。また、いやしくも大学に行こうとするなら、自分で直接担当教授に面会アポを取ってあれこれ聞くくらいはやってください。特に日本で既に大学を出ている人は、「これはもう履修済みだから受けなくてもいいでしょ?」という履修免除の交渉をやってみてください。うまくすれば3年コースが2年になる場合もあり、それだけで予算がン百万円浮きます。
ビジネス学校ですが、これは玉石混淆で、大体のルールでいえば、いい学校は大学並に学費が高く、それなりの学校はそれなりであることです。で、「それなりの学校」に人気が集まったりして、それは何故かと言えば「ビザ取り学校」という暗黙のジャンルがあるからです。ここから先は、
「滞在延長方法論〜いわゆるビザ取り学校について」で特集しましたので(
別窓)、そちらをご参照下さい。
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