OPAL CARDについて
2014年からシドニー交通局が鳴り物入りで宣伝している新製品がOPAL CARDです。今ではすっかり定着して、事実上これしかオプションがないです(シングルチケットも変えるけど、「シングルオーパルチケット」になる)。
これは複雑なので、独立して
解説ページ を作りましたので、そちらをご参照ください。
★電車に関して要旨をいえば、電車メインに使うだけでも買っておいて損はないです。というかオーパルカードにしないとオフピーク割引が使えなくなるので、買っておかないと損とも言えます。その他特典(60分ルールとか)がかなり多いし、カード本体は無料ですしね。リチャージして使い残した分がもったいないだけで。完全に一回だけとかいうならシングル(オーパル)チケットがいいです。
在りし日のCity Rail
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シドニーの電車ですが、2000年のシドニーオリンピック前までは、「19世紀のシステム」と形容されていたくらいでした。
例えば駅員さんが次の行先プレートを棒で引っ張ってパタンと上から降ろすだけとか(写真左)、時計と積み木細工のような駅名でできた木製の柱を人力で時計をあわせて次の電車を示すとか(写真右)。
非常に古色蒼然というか、いっそアンティークと呼びたいくらいのものでした。今となっては懐かしいですね。
2012年現在はここまで渋くありませんが、つい最近まで↑のような有様だったことから、大体の推測はつくと思います。19世紀のシステムは脱却して、20世紀のシステムになってます。今は21世紀だって。
つまり、スイカとか、ICカード乗車券とか、お財布携帯とか、無い無い、そんなもん!ってな感じです。導入が検討されてはいるけど、まだ当分先。逆に言えばそんなにソフィスティケイトされていないから、不便っちゃ不便だけど、よそ者にも分かりやすいっちゃ分かりやすいです。
◆料金
電車の料金は、CityRailのサイトで調べることが出来ます。毎年のように値上がりしてます。
現在ではオーパルカード(スイカみたいな)が普及しており、これだけ買っておけばいいです。
10キロまで3.54 ドル(オフピークは2.47ドル)、20キロまで4.40ドル(3.08)、20-35キロ5.05(3.53)
(オフピークというのは、月〜金の朝7-9時、夕方4-6.30時)
◆切符の買い方
オーパルカードの普及に伴い、普通の切符のことを「オーパル・シングル・チケット」と呼ぶようになりました。まあ、実体は変わらないけど、とりあえず「オーパル」をつけてみると。薄いカードサイズのものです。日本のものよりも大きいです。
ただ、オーパルカード買っておけば良いです(数日滞在の観光客であってもその方が得かと思うし)。
★表示させない以下の解説はもう不要かと思います。まあ、英会話のレッスンにもなりますので、一応残しておきますけど。
窓口で切符を買うときは、@行先、A枚数 を告げます。
言い方ですが、これを一文で“Could I have two tickets to Kings Cross、please?”とか纏めて喋ろうとすると大変ですので(そんなに馬鹿丁寧に喋ってる人はまれ)、「トゥー・ティケッツ、キングスクロス、」「キングスクロス、トゥーピープル」などと分解して並べた方が簡単だし、わかりやすいでしょう。
さて料金ですが、日本だと駅構内にバーンと路線図が掲示してあって料金も書いてあるのですが、こちらではそういうものはないです。窓口で料金を告げてもらうか、下記の自動販売機でボタンを押して調べるかという方法になります。
★表示させない
切符の自動販売機
今はもうオーパルカードのリチャージあるいはシングルオーパルカード販売機一本に絞られてたりしますので、もう解説する必要もないです。
以下は歴史的参考資料でしかないです。
正面には、目的地の駅名がアルファベット順にズラーっと並んでいますので、まず自分の目的地とする駅名のボタンを押します。するとコイン投入口の横にある電光掲示板に料金が表示される仕組みになってます。RETURN(往復切符)のボタンを押すと往復運賃が表示されます。
慣れればいちいち路線図で料金を確認するより便利なのですが、ともあれ目的地の駅のスペルだけは押さえておく必要があります。完璧に暗記しなくても見れば分かりますが、最初の文字(頭文字)を間違えると混乱します。例えば「オーバーン」という駅がありますがこれはOBANではなくAUBURNであり、頭文字"O"の欄を必死に探しても見つからないということになるので注意。
販売機はコインだけでなく小額紙幣(5、10、20ドル札)もいけますが、あまり性能が良くなく何度入れてもべーっと戻ってくることが多いので、コインを切らしている場合、皆さん窓口で買ってるようです(最近はわりと性能が良くなってきたかな)。
買い方や投入金額の表示も日本と逆で、まず最初に行先のボタンを(往復だったら往復ボタンも)押し、その後にお金を入れます。金額表示も、自分が幾ら投入したかではなく、「あと幾ら必要か」という表示になっていて、お金を投入するほど表示金額は少なくなっていくものがあります。例えば、2.60(2ドル60セント)と表示されているところに、20セント投入すると2.40なり、さらに1ドル入れると1.40になり、規定金額に達したら切符が出てきます。知らないと「え?」「この機械壊れてる!」と混乱しがちですので注意。
多くが新型のタッチパネル式でEFTPOS(デビットカード)が使えるものになってます。
◆路線の選択
駅の改札付近にはディスプレイによって、次の電車の情報(何分後着、停車駅)が表示されるようになっています。
また、各プラットホームにも次の電車の情報がディスプレイで出ています。
シドニー近郊路線図
Cityのトリッキーな部分
郊外は簡単なんですけど、シティは路線が入り乱れるだけに多少トリッキーになっています。以下、気がついた特徴と注意点を述べます。
全ての路線がレッドファーン、セントラル、タウンホールの3駅を通過する
日常生活におけるカンドコロは、
この3駅で待てば必ずどの電車に乗れる ってことです。
逆に気をつけるべきは、
・ウィンヤード駅からボンダイ行きには乗れない
・サーキュラーキーより右(東)側の駅ではノースに行けない
シティ間の至近距離の移動(Wynyard〜Townhall〜Central駅間)
タウンホールからセントラルまで一駅なのですが、これは反時計回りに進めばそうなるだけで、迂闊に時計回りの電車に乗ってしまったらぐるりと一周することになるので、イライラしますよ。
複雑怪奇なタウンホール駅
上の写真↑をご覧下さい。これは昔、シティのタウンホールで撮ったものですが、同じプラットホームに降りる階段に3番、5番、6番ホームがあることになってます。え?ホームなんか両側二車線しかないのになんで3路線入ってるの?ということです。
ここがトリッキーなところですが、タウンホール駅は特にスペースが狭いので、
ホームの下にホームがある という、お正月のお節料理の重箱みたいな構造になってます。ホームが二階層になっているので、ある階段は一回づつだけど、エスカレーターは最下層まで直通するという忍者屋敷みたいな構造になってます。最初これがわからなくて、まさかホームの下にもう一つ別のホームがあるとは夢にも思わず、どこから乗ればいいんだー!で混乱したのを覚えてます。
↑ホームの下にさらにホームがある図
ホームと路線が必ずしも一致しないこと
あなたがタウンホールにいて、プラットホーム6番から緑色の空港線を使って空港に行こうとします。間一髪で乗り遅れて次の電車を待ってるときに、
次の電車が同じ路線(緑)である保証はない、 です。オレンジ色の路線(Bankstown路線)が来るかもしれないからです。
日本の都会のターミナルは、ほぼ一つの路線に一つ(以上)のプラットホームがあてがわれていますが(準急とか急行のバラエティはあっても)、
こちらは(タウンホール駅は)一つのプラットホームを複数の路線が共有するので、「○番線ホームに来た電車乗ればいい」とは言えない です。
路線図で緑だから緑色に塗られた電車が来るのか?といえば、全然そんなことはないです。路線ごとに色やデザインが違うなんてこともなく、どれも同じ(新型か旧型車両かくらいの差)なので、益々わかりにくいです。
さらに時刻表なんてあってなきが如しですから、時刻で判断して乗車するのはアブナイです。
ということで、乗る際には
ディスプレイを見て、何番線に何分後にどこに行く電車がくるのか、しっかり確認 して乗ってください。
上は空港(国際線)駅のホームの表示です。左側が「プラットホーム1」でセントラル駅などシティ方面にいく電車です。あと6分でデパート(Depart=出発=三単現のSがついてる)すると。その次は13分後だと。
なお、タウンホール駅からセントラル駅に行くような近距離移動の場合、プラットホーム1からも、2からも、4からもいけます。一番早く来るやつに乗ればいいんですけど、まごまごしてると乗り過ごして、また次に来る電車に乗るべく階段上がって下がってって右往左往することになりますのでご注意を。
ナイトライド(Nightride)
これは夜間専門のバスです。終電が出てしまった後の電車の駅間を走るもので、かなり便利です。
ナイトライドのページ 参照。
実際には、必ずしも駅にこだわらず駅のないところ(ライカードなど)にも行きます。例えばN70番はタウンホールからライカード、バーウッド、ストラスフィールド経由ではるばるペンリス(ブルーマウンテンの麓)まで行きます。下記のルートマップ参照。
ルートと時刻表はここ にあります。まあ、今はスマホのアプリで大体わかりますけどね。Google MapとTripViewとかがあればコトは済みます。最低でも1時間に一本は出てます。終電前からサービスが始まります。
結構チョコチョコ止まってくれるし、夜間だから移動は早いです。パーティ、イベント、バイトの帰路などで使う場合もあるでしょうから事前に調べておくといいです。
駅のアナウンスとヒアリングの練習
一応、電車が来るとアナウンスもしますが、これが慣れないと聞き取りにくいです。
だいたい終着駅のあと、各停車駅の名前を列挙してるだけですが、各駅停車の場合、“
all stations to Chatswood”「チャッツウッド駅まで各駅に停まります」と言います。
日常的にそんなに電車を使わないのでウロ覚えですけど、こんな感じでアナウンスしてます。
"The train comes on plathome No. 5 goes to Liverpool. First stop, Wynyard, Circular Quay, St James, Museum, Central, Redfern, Sydenham (ここで中間のErskineville、St Peters はスキップされ停まらない)、Campsie (ここでMarrickville、Dulwich Hill、Hurlstone Park、Canterbury はスキップ)then all stations to Birrong(ここまでは各駅停車)....という感じです。
参考になりそうなものをYouTubeで探していたら、これがハマってしまって(パロディものも多いので)。
以下の二つを参考までに挙げておきます。
VIDEO
↑上のビデオは、やたら前後が長いのがタマにキズですが、一番キレイにアナウンスが録れてました(40秒目くらいから始まります)。女性のテープアナウンスのもので、非常にきれいな発音で、聞き取りやすいです。周囲もうるさくもないし。こういう聞き取りやすいビデオなどで、発音の練習や、地名の読み方(どう発音するか)とかを学ばれるといいと思います。地名(人名)の読み方って辞書ひいても載ってないし、こういう機会をつかまえないと中々進まない。最後に言ってるのは、「間もなく発車します。ドアにお気をつけ下さい」(This train is now due to depart. Please stand clear)。
VIDEO
上↑のビデオは、セントラル駅ですが、なぜかテープではなくライブで男性駅員が喋ってます。一転して聞き取りにくいと思いますが、でも、実際の現場の英語はこちらの方ですので、頑張って聞き取ってみてください。ビデオの最後の方で、撮られていることに気づいた車掌さんがちょっとポーズを取るところが面白いです。
右はけっこう僕も苦戦しましたが、多分、こう言っているのでしょう。
"Train alongside platform 18 (is) Blacktown service, this train (goes) with stopping at Redfern, Burwood, Strathfield, Lidcome, Auburn, Granville, Parrmatta, then all staitons to Blacktown. They come to the alongside Platform 18."
( )内は文法的には入るだろうけど省略されていると思われる。
◆改札と検札
改札は、都心部などの大きな駅では自動改札になっています。形状は日本と多少違いますが、見れば分かるでしょう。ここにオーパルカードをタップする部分がありますので、そこをタップしてください。
昔は自動改札機にカード状の切符を入れていたのですが、日本と違って、通過してから切符を受け取るのではなく、切符を受け取ってから通過しますが、まあ1秒戸惑うくらいで、どってことはないです。もし窓口で買って、レシート状の切符を貰った場合は(最近は殆どないと思うが、印刷機が故障したとか)、自動改札機ではなく横にいる駅員さんに渡せばいいです。
また、郊外の駅では自動改札がなくところが多く、どうなっているかというと、
「改札がない」 というすごいシステムになっています。これは依然として多くの駅がそのままです。全面リニューアルとかすれば自動改札が入るようですが、あんまり導入する気も(予算も)ないようですね。
まあ、今ではオーパルカードのタッチパネルの棒柱が林立してて、そこにオーパルカードを押し当てて(タップする)ことになってます。
しかし、それだけの話で、入場に関しては殆どフリーパスでそのまま(切符を買わなくても、そしてオーパルカードをタップしなくても)自由にホームに行けます。ホームに券売機がある駅もあります。
出札も同じくオーパルカードの棒柱にタップするだけです。別にタップしてるかどうかチェックしている監視員もいません。その昔は、駅員さんが出てきて切符を受け取ったり、パス(定期券)を見たりしてましたが、当時でも常にそうしてるわけでもなく、誰もいないときもあります。その場合、客は何事もなかったように切符を駅のごみ箱に捨てたりしていました。
ルーズな運行
さておおらかなのはいいのですが、運行ダイヤになると、おおらか過ぎる面もあります。それでも比較的真面目に時刻通り(2〜3分遅れ以内に)やってくる場合が多いのですが、時折待てど暮らせどやって来ないという場合があります。
今ではTripViewなどのアプリで正確に今どこにいるかフォローできるので、格段に楽になりましたけど。
以下は、おおらかな時代な昔話です(まあ、遅れるとかメチャクチャって部分はそんなに変わってないかもだけど)。
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「ちょっとトラブルがあって(よく起きる)遅れます」と何気なくアナウンスがあったと思ったら
50分遅れたり 、どこかの駅についたら信号待ちか何かで
「30分程待ちます」 と放送したり、気の持ちようとしては
「冬場に新幹線に乗るようなもの」 程度に考えておいた方がいいかもしれません。その心は、
まず時間どおりいくだろうが、場合によっては(雪などで)遅れることもあり、それもまた珍しくない という程度です。
さらに、
毎週週末になるとどっかの路線がメンテのために工事していて、運休していたりします 。これはトラックワーク(Track Work)と言いますので、日常的に利用されている方は、駅構内に貼り紙がしてあってアナウンスしていますので、コマメに注意されるといいです。
CityRailのホームページ でもアナウンスされます。なお、運休時にはちゃんと代行バスが出ます。ただ、信号待ちしながらウネウネ進むので倍くらい時間がかかります。
この類の「いい加減さ」でいえば、
『プラットホームの「次の電車」の表示が間違ってました』 と車内アナウンスがあったこともありますし、
扉が故障していて開かない車両 を連結させてそのまま走っていたりします。
きちんとホームに停車するのに失敗し端の車両はドアが開かない (開けてもホームがない)ということもあります。電車に限らず、そういえば
バスの運転手が運転していて道に迷って 、乗客が皆で道を教えて事無きを得たとか、
空港の時計が間違っていた こともあるとか話に聞きますし、
TVの番組も平気で数分程度前後して始まります 。頼りになるのは自分だけということですし、あまり細かいことにカリカリしてたらやっていけないということなのでしょう。
この程度ならご愛敬ですが、銀行(銀行もお金の計算を平気で間違える)、郵便(郵便物が行方不明になることもある)、電話などの生活諸手続もすべてこの調子なので(観光関係はわりとしっかりしてるようですが)、笑ってられない場合もあります。もっとも、その代り交渉すると融通がききやすいという面もありますが。バスの珍談奇談はよくあります。夜に乗ってて、最後の乗客になったところ、運転手が「どこまで行くの?」と聞いてきて、路線もヘチマもなく、家の前でバスで送ってもらったりとか。いい加減なんだけど、人間臭いんですよね。
最近ではけっこうキチキチしてきて、こういう「古き良きオーストラリア」らしさが失われつつあるかのように思います。その代わりストレスの嵩じたオージーサラリーマンが飲み屋で酔っぱらって喧嘩してなんて話も聞きます。なんか日本みたいになってきているなあって、これは来てから一貫して思ってます。でも、まだまだ彼我の格差は激しいですけど。
余談ついでに言うと、知人のオーストラリア人の意見によると、国民全員がほぼ電車を利用する日本と違って、ここでは生まれて一度も電車に乗ったことがないという人も珍しくない車社会であると。つまり、電車は、必ずしも日本と同じように、重要な交通機関として位置づけられているわけではなく、そのため(公害防止などの理念から電車を利用しようという掛け声は高いのですが)いま一つインフラ整備に予算が廻されないという問題もあるそうです。言われてみればシドニーには私鉄もありませんし、単に国民性の違いで全てが説明できるものでもなさそうです。それに、本当に「いい加減な国民性」なら、カンタス航空の無事故記録なんか達成できるわけないようにも思いますし。
なお、いっとき、「いい加減にしろ!」的に不手際が続いたときがあって、そのときはシティレイルも市民に袋だたきにあってましたね。また、公共交通機関などインフラ整備の不足は、基本的に猛烈な勢いでシドニーの人口が膨張し続けていることに由来します。誰がやっても無理だってくらい人口が増えてます。少子化、人口減とか言ってる日本とは好対照なのですが、人が増えすぎるのも困りものです。
そのあたりについて、過去のエッセイでも書いてます。ご興味があれば。