ブリスベンに滞在されている藤本さんから、貴重な自動車輸入の体験記を寄稿していただきました。 藤本さんはお住まいになっていた金沢から愛車をオーストラリアまで持っていこうとされたのですが、自動車の輸入には当然ながら関税がかかります。この関税率が馬鹿になりません。ン十万円すぐにぶっ飛びます。しかし、無関税で自動車を持っていく方法もあります。 関税というのは何故にかかるか?というと、その国の国内市場・業者の保護です。海外から超格安の商品がそのままの値段で流れ込んできたら、その国の国内産業は壊滅的な打撃を受ける場合もあります。例えば、海外から日本に、日本米と遜色ない品質のお米が10キロ100円という破格の値段で入ってきたら、日本国内の農業は壊滅的な打撃を受けるでしょう。ですので、輸入を禁止したり、認めるにしても入ってくる段階で関税をかけて国内市場を守ろうとします。これはどこの国でも程度も差こそあれやっています。 オーストラリアに車を輸入する場合も、破格の安値(実際、日本における中古車の値段は、オーストラリアの中古市場からしたら破格に安いです)で入ってこられたら、オーストラリア国内の自動車市場はかなりの打撃を受けます。だから20%以上の高関税をかけています。 では、物の道理からいって、輸入しても国内市場に出回らなかったら問題はないわけですよね?つまり、自動車だったら自分だけが専用で乗り、オーストラリアで売らず、比較的短期でオーストラリアからその自動車を持って出て行けば、オーストラリアの国内市場には何の被害も無いわけです。このような場合は、例外的に関税がかからずに自動車を持ち込むことができます。 OK。理屈はわかった。しかし、じゃあ具体的にどうやればいいのでしょう?自動車を持っていくっていっても、ポケットに詰め込んでいくわけにはいきません。ちょっと考えただけでも、運送費用、海外への輸出入手続、外国に着いてからの受け取り手続き、関税免除のための申請書類、証明書類の数々、想像もつかないくらい面倒くさそうなお役所仕事が待っていそうな気がします。他人に聞こうにも、そんなことやった人が周囲にいるわけもないです。多くの人は、そこで諦めてしまうのでしょう。 しかし、藤本さんは諦めませんでした。紆余曲折の末、見事やり遂げ、ブリスベンで快適な愛車生活を送ることに成功されました。 以下は、藤本さんに書いていただいた、貴重な自動車無関税輸入の記録です。 なお、お書きになられた経験・情報は2002年10月時点(渡航時)のものです。 |
<Part 1 : 国内編> <Part 2 : 海外奮闘編> |
PART 1 国内編 |
1 はじめに |
2 カルネとは? |
<カルネ> 【名】カルネ、無関税許可書、割引回数券, Carnet do Passage en douaneの略称, 申請窓口 JAF(申請は自分の住んでいる行政区分に応じたJAFの組織が原則) 提出書類 申請書、自動車の登録証書、パスポートコピー、誓約書、印鑑証明 "SPARE PARTS LIST","PERSONAL ITEMS LIST"(車に積んでいくものの一覧表) 費用 申請料(私の場合¥21,500)、カルネ保証金(私の場合¥30,000)=帰国後返済さる。 国際ナンバープレートおよびJマーク代金(¥6,500) カルネ寄託金(私の場合¥1,100,000)=帰国後返済される。 所用期間 : 申請からカルネ手帳(といいます)交付まで、2週間。 その他 ; @申請書提出・カルネ手帳受領とも郵送が可能なのですが、そのどちらかには、申請者本人か代理人がJAFに行って担当の人から説明を聞かないといけないことになっています。 A交付を受けたカルネ手帳は帰国後JAFに返納することになっています。この返納されたカルネ手帳にオーストラリア税関の入・出国を証明するスタンプと日本税関の入国を証明する「所在地証明」があることを条件に、JAFは「カルネ保証金」と「カルネ寄託金」の返済をしてくれます。 |
3 自動車の「登録証書」始末記 |
4 車の輸出入は何処がやってくれるの |
(1)日本→オーストラリアの場合 青色の数字は実際にかかった額 1.海上運賃 11.64m**@US$65=US$756.6(\90,000) \114,329 2.TRS Charge(船積手数料・通関事務代行・保管料) ¥20,000 3.Brisbane Port Service Charge AU$8.8*11.64m*=AU$102.43(\7,200) AU$93.18 4.検疫検査料 AU$16.5(\1,200) AU$25 5.Australia通関料 AS$150〜180(\11,000〜\13,000) AU$129.5 合計 約\131,000 (2)オーストラリア→日本の場合 6.海上運賃 11.64m**@AS$80=AU$931.2(\65,000) 7.Brisbane Port Service Charge AU$8.8*11.64m*=AU$102.43(\7,200) 8.日本での輸入取扱手数料\41,800 合計 約\114,000 *AU$での支払い分には別に10%のGSTがかかります。 |
Part 2. 海外奮闘編 |
5 第一関門は「走行許可書」 |
6 自分自身が「任意保険」 |
日本 | オーストラリア | |
<強制保険> | ||
呼び名 | 自賠責 | Conpulsory Third Party(CTP) |
保障対象 | 対人のみ | 対人のみ |
保障限度 | 傷害の場合は最高120万円、死亡の場合は最高3000万円・重度後遺障害の場合は最高4000万円まで | 無制限 |
<任意保険> | ||
呼び名 | 任意保険 |
@Property Third Party AFull Comprehensive |
保障対象 | 対人対物 | @は対物のみ A |
搭乗者 | 搭乗者A | |
対自車 | 対自車A | |
盗難 | 盗難A | |
保障限度 | いろいろ | いろいろ |
7 おわりに |
寄稿者; 藤本次男 昭和12年生まれ。 石川県金沢市在住。 ブリスベンの生活習慣や街のようすを楽むため、 夫婦で2002/10〜2003/3まで滞在(観光ピザ) |