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2年目ワーホリの難しさ(その2)
           〜いわゆる「ワーホリ定食」論




 ワーホリ実戦講座 INDEX ↓

日本社会の定食文化

 筋書きのない「2年目」をどう過ごすかは、結局のところ1年目をどう過ごしたか?によって規定されるのでしょう。

 ただ何となく「メニューをこなす」みたいにやってきた人は、メニューが切れ目が縁の切れ目になりがちです。逆に、メニューなんて関係なくやりたいことをやってきた人は、2年目に突入してもそれは単なるカレンダー上の出来事に過ぎず、相変わらずセッセとやりたいことをやり続けるでしょう。あるいは、やりたいことが一段落したら1年目の途中であってもとっとと帰国しますし、2年目を取っても権利留保にして使わなかったりもします。

 この「メニュー」が「ワーホリ定食」と僕が呼んでいるパターンです。
 それだけの話なんですが、なんでわざわざ一章設けて書くかといえば二つ理由があります。一つは一般の日本人にとって非常に苦手なエリアであること、二つ目はこれからの時代ココがとてもポイントになること、です。

「全」に逆らって「個」を立たせる反抗期

 「つべこべ言わずにコレをやれ!」と頭ごなしに押しつけられることは沢山あります。物心がついてから「○○しなさい」「○○してはいけません」「来年は○○なんだから」「もっと○○らしく」「そろそろ○○も考えなくちゃ」「○○はどうする気なの?」、、、やれ、歯磨きしなさい、お勉強しなさい、早く食べちゃいなさい、○○ちゃんとは一緒に遊んではいけません、ちゃんと進学/就職/結婚しなさい、そろそろ老後のことも考えなくちゃね、、、それらは別に珍しいことでも悪いことでもなく、それこそが躾であり、教育であり、社会で生きていくための基礎でもあります。いつの時代もどこの部族も大なり小なりやってきます。「そろそろ一人でライオンと戦ってこなきゃね〜」なんてところもあります。

 他方、人間には意思や個性やワガママがあります。言われるまま従っているとこの”個”の部分がムズムズしてきて、しまいには反発してきます。「私って何なの?命令されるだけのロボットじゃない」となって、「ヤダ!」「したくないもん」とギャンギャン個を主張するようになります。よくある「全と個の対立」ですが、全に刃向かうことで個を確認し、自立しようとするプロセス。生物的な自立としての第一次反抗期、社会的な自立として第二次反抗期。ちょろっと筆を滑らせると、ワーホリというのは第三次反抗期なのかもしれません。個を再構築するプロセス。

 全と個のバランスはどこが最適なのか?正解があるわけでもないのでしょうが、従順に全に従ってばかりいると個が弱くなるという相関関係はあるでしょう。その逆もしかり。個性が強すぎると社会的不適合になるし、従順すぎると没個性になる。バランスが難しいです。

日本の成功モデル=「皆と同じこと」を「皆よりも上手にやる」

 オーストラリアなど西欧社会に比べると、日本の場合は全→個のベクトルが強いと思います。こちらのスーパー等でよく親子の会話を耳にしますが、子供がむずかってると"Give me reasons!" "That's not good excuse"などと言ってます。「納得のいく理由を言え」「それでは反論としては不十分だ」ということで、この世で自分のワガママを押し通したかったら、「まず主張しろ」「そして説得しろ」と教育しているわけです。そしてそれ以前に、”What do you say?"(あなたはどう思うの?)、"why?"(なぜそう思うの?)とひっきりなしに聞いてきます。あなたもこちらに来たら沢山聞かれるでしょう。つまりは「個を立たせろ」「立たせた個を全に通用させる技術を磨け」というシツケをする。逆に、どんなアホアホな意見でもヘタクソな英語でも、意見らしきことを言い出せば、とりあえずは聞いてくれますし、頭ごなしにベシャ!というのは少ない。

 日本の場合はこの逆が多く、子供がむずかっても「しょうがないわねえ」とか「お母さん、恥ずかしいでしょ」という”説得”の仕方をする傾向があります。社会も似たようなもので、個人がキャラを立たせようとすると、「空気読めよ」「察しろよ」「お前だけだぞ」という発想で迎撃される。そうなると「皆はどうするの?」と全体の動向を的確に察知し、それに巧みに合わせていくことが生存のための基礎技術になる。また、客観的にも皆と同じようなことをやってれば、大体成功する場合が多い。だから「皆と同じことを皆よりも上手にやること」が日本社会におけるサクセスモデルになり、それに至らない場合は「せめて人並み」が人生の方法論になっている。

 義務教育が終っても、当たり前のように高校大学に進学し、就活を始める。もうそーゆーメニューになっている。皆が似たようなことをやっており、そこでの成功は、与えられたメニューの中で皆よりも頭一つ抜きんでることです。人よりも社会的評価の高いガッコや会社に入ることが成功であると。それは競争であるから、楽なことではないです。てか大変です。大変なんだけど、そこにはレース的な快感もあるし、それなりに盛り上がりもするし、達成感もあります。このあたりは常識的な話で、皆さんも既にご存知でしょう。

 さて、全→個への働きかけ、「個性を殺して全体にシンクロさせていく手順」が、ここでいう「メニュー」になります。

 このメニューは、何も進学や就職に限りません。流行とかブームも一つのメニューでしょうし、売れている雑誌の特集記事はひとつの”教科書”として機能し、マスコミや評論家の主張もまた煎じ詰めればメニューです。

 朝和定食=「ご飯・味噌汁・海苔・漬物・オカズ小品」というように、「○○するなら、○と○と○ね」みたいなセットメニュー的な発想や「定食文化」が、僕らの発想行動パターンに刷り込まれているように思います。

 ずっと昔の女性は年頃になったら「嫁にいく」というメニューになっており、そのためには「花嫁修業」をするメニューになっており、さらに修行の内容はお茶とお花と、、と相場メニューが決まっていた。間違ってもブラジルのカポエラなんか出てこない。

ワーホリ定食

 はい、いよいよ本題です。ワーホリ/留学においてもその種のメニューがあるということです。

 まずネットで情報を集めて、エージェントを決めて、語学学校にいって、最初はホームステイで、次にシェアをして、現地についたらJAMSなどの日系ネットや情報センターを活用して、ジャパレスで働いて、ラウンド・ファームにいって二回目をとる、、という「メニュー」があります。これがワーホリ定食です。

 僕らはメニュー社会で生きてきたからメニューものには強いです。

 メニューという形で示されてなくても、いろいろと情報を収集するなかで、「なるほど、○○と○○だな」と定番の構成ピースを見つけ出すのが上手。その中から自分の能力や予算に応じて適宜アレンジしていくのも上手。またメニューで示されている「課題」をこなすのも得意。そして課題をいかに上手にこなすかにささやかな達成感や喜びを感じるようにもなっている。

 だから、二回目ワーホリのようにメニューが途切れると「え?」となってしまう。本当に何をして良いのか分からなくなってしまう。

定食文化の欠陥と個性を立たせる技術

 メニュー人生、定食文化の致命的な欠陥は、全に合わせすぎるから個が立たないことです。周囲から反対され、村八分になっても、「じゃあかしい、道を開けろ!俺はコレがやりたいんだあああ!」という獰猛な個性を育むキッカケがない。また、立たせた個性を強引に社会で押し通すためのノウハウや技術を磨く機会をミスる。

 「個を立たせる」といっても、そのまま主張するだけだったらただのワガママや変人として圧殺されかねないです。
 だから周囲を「なるほどね」と思わせるプレゼン技術にはじまって、密かに同志を集めるとか、ギリギリまで猫をかむっているとか、はらりと本性を剥き出しにするそのタイミングとか、そのあたりは山ほど技術論があるのですが、その種の事柄は「未履修」でしょう。

 地で個性が強い人(僕のように典型的なB型とか)は生まれ育ってくる過程で自然に覚えていくけど、多くの日本的な「よい子」はそのあたりがヘタというか、そもそもそういう技術があるということすら知らない。自分が自分であるための戦い方、その戦闘技術を知らない。知らなくなってメニューさえこなしていれば何とかなりますから。

 それでもこれからの時代、少しは知っておいた方がいいと思います。そしてワーホリやら、海外というのは良い練習機会になるでしょう。なんせオーストラリアにワーホリに来る日本人は数でいえば年間1万人とかそんなもんで、語学留学と併せても、日本から離れて海外に行くということ自体が、圧倒的に少数派、反主流派の行動であるわけです。日本の定食文化に「海外」なんてないといってもいい。

 だからこそチャンスなんですよね。周囲(親や知人)を説得する技術やら、いつ切り出しらいいかとか。どうやれば周囲は納得するか、無事に離陸し、無事に着陸できるか。これって、ワガママを通す技法ですから。

 逆に言えばワーホリを選択しながら「皆はどうしてるの?」とメニューを気にするのも変な話なんですよね。もともとがワガママで来ていて、ここで「皆は?」と気にしたってあんまり意味がない。ワガママのやり方を他人に聞くというのもおかしいでしょ?

「メニュー」はなんのためにあるのか?

 ところで、メニューというのは、あなたを「自分の頭では何一つ決められない従順な羊に洗脳していくプログラム」として開発されたわけでは、もちろんありません。

 ラジオ体操やヨガのポーズのようにその道のプロが編み出した効率的なプログラムであり、多くの先人が試行錯誤しながら踏み固めていった道です。すごーく意味があるし、多くの場合はメニュー通りこなしていれば間違いはないでしょう。日本古来の技芸でも「型から入る」といいますが、定められた型どおり身体を動かしていけば、自然に魂も入ってくるというわけです。

 ただし、繰り返しになりますが、あまりにも無批判に受け入れていると、本当に自分で考えられなくなっちゃいます。結果、自由になったら何をしたらいいのか分からなくなり、しまいには自由を恐れたり、嫌ったりします。そうなったらアホです。その度合いは、例えば、夏休みの自由研究とか卒論とか、自分で自由にテーマを決めて自由にやれというのを苦手に思い、決められたドリルをやってる方がまだマシだと思い出したら、もう黄色信号でしょう。僕は自由課題が一番好きでしたが(全く理解されずにヒドい点を付けられたことも多々あるが)、でも、ドリルをやる快感もわかります。大変だけど楽だもんね。

 メニューだ定食だと書いてます、別に僕はメニューに敵対しろと言ってるわけではないです。メニューは優秀な知的財産であり使い勝手の良いソフトウェアです。だから意地になってシカトしなくてもいい。やるべきことは簡単で「参考、ヒントにする」「賢く利用」すればいいです。

「利用」と「依存」の大いなる差異

 ただしあくまで「利用」ですよ。「依存」でも「盲従」でもないです。この差異は微妙ですが、巨大でもあります。見分け方としては、なぜそういうメニューになるのかをよく理解しているか、ゼロベースで考えて導き出せるかどうかです。例えば、円周率が3.14というのは誰でも知ってますが、円周率とは何なのか、なぜ3.14になるのかを自力でゼロから考えられるかどうか。もし考えられなかったら、円周率に「依存」し盲従している。

 ここで簡単な問題を出します。今、目の前に茶筒のような円筒形の物体があります。物差しで測ったら直径10センチでした。じゃあ円の周囲は何センチでしょう?円周率を使えば31.4センチとすぐ出ますよね。でも、円周率を使わないで円周の長さを見つけてください。あるいは円周率がいくつになるか、大雑把で良いから自力で発見してください。これが出来ない(10秒以内に思いつかないなら)円周率に「依存」している。依存とは、それが無くなったら何も出来なくなる状態を言う。

 そういえば「ゆとり教育」で円周率を3と教えているのがけしからんという批判がありましたね。でも、3を3.14と覚えていようが自力で円周率を出すことが出来なかったら意味がないんじゃないか?と僕は思います。

 ワーホリ定食に即して言えば、なぜ最初はホームステイなのか(なぜ最後ではないのか)?なぜ語学学校に行くのか?など、ゼロベースで考えられるかどうかです。「何となくそーゆーものだと思いこんでいる(思いこまされている)」ようでは、メニューが無くなった途端に立ちすくんでしまう。

 そこで利用するにしても、基本的にはゼロベースで自分でメニューが作れるようになっておかねばならない。自分でメニューをゼロから作れるてこそ、はじめて利用も出来るし、参考にもできます。


  →次に続く(10-3:ゼロベースでの自家製メニューの組立て)



ワーホリ実戦講座 INDEX

1:ワーホリとは?近年の環境変化
1−1:グローバリゼーションの読み解き方とワーホリの新活用法
1−3:二回目ワーホリ
2: Watershed(分水嶺)運命の分かれ道〜 あまりに高い言葉と文化の壁
3.早いうちに「やる気」を「経験」にエクスチェンジすること
4.サバイバル力養成実戦講座 あしたのために〜その1(バスを制覇せよ)
5.サバイバル力養成実戦講座 あしたのために〜その2(地図を入手せよ)
6ー1.サバイバル力養成実戦講座 あしたのために〜その3(携帯電話を入手せよ)
6ー2.サバイバル力養成実戦講座 あしたのために〜その3(携帯電話編 その2)

7.シェアを探そう〜100%英語環境でのシェア探しがなぜ成功の第一関門になるのか?
※↑関連シドニーシェア探し入門を参照

8−1.仕事をしよう(その1) 仕事の効用 
8−2.仕事をしよう(その2) 仕事の探し方 日系〜ジャバレス編
8−3.仕事をしよう(その3) 仕事の探し方(2) 日系その他編、ローカル編
8−4.仕事をしよう(その4) 英文履歴書・実戦例

9−1.ラウンドのススメ(その1) 
9−2.ラウンドのススメ(その2) 
9−3.ラウンドのススメ(その3) 宿について
9−4.ラウンドのススメ(その4) 一人旅、車の旅

10−1.2年目ワーホリの難しさ(その1) 
10−2.2年目ワーホリの難しさ(その2) 「ワーホリ定食」論
10−3.2年目ワーホリの難しさ(その3) ゼロベースからの自家製メニュー
10−4.2年目ワーホリの難しさ(その4) 余談(自分の場合)と結語