タクシー一般について
まずは一般的にこちらのタクシーについて。
日本と似ている点
・右ハンドル車であること、
・車の屋根に「TAXI」と書いてあり、空車の場合、屋根にオレンジ色のランプが点灯されること
ただし、日本のいわゆる「ぼんぼり」ほど大きくはない
・名称も「タクシー(Taxi)」であること(あまりキャブ(Cab)とは言わない)、
・道を走ってるタクシーを止めるには手を挙げて示せば良いこと、
・空港その他の主要箇所にタクシー乗場があること、
・電話を掛けて呼ぶことも出来ること
・中にちゃんと料金メーターがついているので料金を誤魔化されたり、頑張って価格交渉をする必要もないこと、
・チップはある程度は払う場合が多いのだろうが、「ねばならない」というものではないこと
ただし、セント単位、時に数ドル程度のお釣は貰って当然という横着な運転手もいますし、きっちり数えて5セント単位でお釣をくれる人もいます。人それぞれ(それは日本も同じか)
↓以下は日本と違う点で、多少戸惑われることもあるでしょう。
自分でドアを開けて、助手席に乗る
フレンドリーな土地柄なのか、ちょうど「友達の車に乗せて貰う」くらいの感じでいるといいです。
まず、日本と違って後部左扉が自動開閉ではないので、タクシーが目の前で停車してもドアが開けてくれるわけではありません。また降りるときも自分でドアを開けます。これが慣れないとついウッカリしてボ〜っと待ってしまいます。
なお、タクシーに限らず、日本人は自動車のドアを威勢良くバーンと閉める癖があるということで(半ドア懸念でしょうが)、僕らは「威勢がいい」と思っても向こうは「乱暴/無礼」と受け取るので気を付けた方がいいです。僕も「この国ではドアは静かに閉めるんだよ」と言われたことがあります。考えてみれば、他人の家のドアを思いっきり叩きつけるように閉じたら「喧嘩を売ってる」と思われても仕方ないでしょう。乱暴なドアの閉め方を「スラム(slum)」といい、"Don't slam the door!" "You gonna break my car?!"とかメッチャクチャ怒られている人とかいるので注意。
一人で乗るときは、助手席に乗る習慣がありますが、もちろん全員が全員そうしているわけではなく、一人でも後部座席に座る人はいます。無理して助手席に乗る必要は毛頭ないです。後部座席に乗ったらアンフレンドリーと思われないかな?とか頑張って空気を読む必要はないです。でも、後部座席の方が多くなったかもしれませんね。これは、タクシー強盗対策に運転手の周囲にプラスチックの異様な囲いを作ることが義務づけられてから、なんとなく助手席に乗っても妙な雰囲気になったこともあると思います。
助手席でもシートベルトの着用が法律で義務づけられてますので(後部座席も)、しないと運転手さんにするよう言われます。
タクシー料金
NSW州のタクシーの料金は、2012年3月2日現在、
初乗り(Flag Fall)3ドル40セントで、
1キロ毎に2ドル06セント(Distance Rate)という異様にハンパな料金になってます(%で値上げしてきた結果でしょう)。初乗りが円換算で300円を切る(80円レート)というリーズナブルな料金なので、近距離で小刻みに利用するのは結構便利でしょう。なお、「待ち料金」は、1時間53.33ドル(1分88.8セント)で、時速26 km以下になったら適用されます。信号待ちと渋滞で殆ど動かなかったら、距離は進んでなくても料金はどんどん上がるわけですね。まあ、これは日本も同じですけど。なお、タクシーメーターの刻みは細かく、ひっきりなしに数字が上っていくので最初はドキドキしますが、クールに見ていてください。
深夜割増(夜10時から翌朝6時、Night-time Surcharge)は、距離料金の20%増し。予約は2ドル30セント。なお、カントリーエリアでは多少料金体系が異なります(Schedule 2 - Country Areas)。
以上の料金は最高限度額で州政府によって決められています。
詳しくはココを参照。
高速料金も当然ですがチャージされます。シティからハーバーブリッジを渡ってノースに行くとき、行きには料金がかからなくても帰路にかかる場合にはチャージされます。今ハーバーブリッジの値段はややこしく、時間によって最高4ドル、最低2ドル50です。ハーバートンネルもチャージがかかります。ここ10年でだいぶ高速道路が増えてきたので、ルートによってはちょこちょこ取られるでしょう。予め自分の料金が幾らになるか気になる人は、
Sydney Motorwayというサイトにいくと計算してくれます一番高い高速道路でも5ドル程度だったと思いきや、今は空港からノースに抜けるイースタン・ディストリビューターが5ドル50セントもします。
車種
大体中型車で、ステーションワゴン(ライトバンのような車)もそこそこ走ってます。Maxi-Cabという6人以上乗れるワンボックスカーの場合の料金は微妙に違います(同じ場合もあるので微妙なのだが、詳しくは上のHPを)。簡単なシェアの引越くらいだったらステーションワゴンタイプで結構間に合ってしまうこともあります。
車椅子用の後部座敷が異様に大きいタクシーも頻繁に見かけます(右の写真→)。
色は地味に白かシルバーが多いです。いわゆるイエローキャブはシドニーでは見かけません。派手なクルマを探していると見つかりません。
タクシーの呼び方
都心部、繁華街や幹線道路だったら格別、こちらはタクシーは普通にそんなに走っていません。したがって、タクシーというのは町で手を上げて呼び止めるよりは、「電話を掛けて来て貰うもの」です。その意味では日本の郊外や地方の住宅地的な感覚です。ちなみに、町でタクシーを呼び止めることを
street hailといい、hail a taxi で「タクシーを呼び止める」という意味になります。もひとつ、英語のトリビアをいうと、飛行機が滑走路をゆるゆると走っていることを"taxi"といいます。こちらの空港見学に行ったときに、ガイドさんが盛んにタクシー、タクシーって言うから、「どこにタクシーなんか走ってるんだ?」と不思議に思ったのを覚えてます。
余談はさておき、タクシーの呼び方です。
@.タクシー会社に電話する
タクシー会社の番号は、どこも"13"で始まる6桁の番号。町を走ってるタクシーの車体に書いてあります。代表的な番号は、133 300、13 10 17、13 31 00など。何処でも良いです。
A.音声自動メッセージ
大体、自動応答システムになっており、こちらの発音を聞き分けて次に進むという、便利なんだか面倒臭いんだか分からないシステムになってます。
発音のテストをされているみたいに、何度発音しても「聞き取れません」とダメ出しをされるという。そのままほっておくと、自然にオペーレーターの方につながります。
B.日時、場所を指定してタクシーを呼ぶ
すぐにも来て欲しいときは、"Could you plaese send me a taxi now?" でいいでしょう。言い方はいろいろあるし、"Hi, I need a taxi now"でもいいです。今すぐではない場合は、予約になるので、"Can I make a booking for taxi please?"
大体、聞かれることは決まっていて、
どこまでいくか(destination=デスティネーション=目的地)、何人いるか (How many people)、どこで(pick-up point)などを言います。今すぐの場合は、現在位置を教えろと言われます (where are you now? 丁寧には、Could you give me your location or address please?)。
現地位置の言い方は、家で待つ場合には住所を言えばいいですが、通りすがりの路上で道に迷ったとかいう場合は、道と道の交差点あたりにいき、そこに表示されているストリートの名前をみながら電話をするといいです。「サバーブは○○。そして○○ストリートにいます。スペルは、」という感じで、"I'm on Berry street, in North Sydney, Berry, B-E-R-R-Y, B fo BBQ, E for English, R for Rainbow, R fow Rainbow again, and Y for Yellow. OK?" そして、"Crossing Street?" と交差ストリートの名前を尋ねられるときもあり、そのときは交差道路の名前を読み上げるといいです。「交差道路を聞かれる」というのは、ちょっと意表を突かれて戸惑うことがある程度で、それさえ分かれば何とかなると思います。
どのくらいで来ますか?は、How long 構文。How long does it take? など。
タクシーのあれこれ
運転手のタイプ
これはもう人ぞれぞれで、愛想のいい陽気な人もいれば、不機嫌そうな人もいます。これも日本と同じです。ただ移民の人が多く英語ネイティブでない人の比率が高いので、面白い話を聞けるときもありますし、祖国訛りの英語で聞き取りにくいこともあります。
運転手さんから話し掛けられるとしたら、統計をとったわけではありませんが、観光客と思われると「ぅえぁゆふらむ?」と聞かれる場合が一番多いのではないでしょうか。「どっから来たの?Where are you from?」と言ってるわけですね。「ジャパン」と答えておけば、「うん、なるほど」という感じでニコニコしてはりますね。あとは「オーストラリアはどうだい?いい国だろう?」のような他愛のない話が多いようです。話が弾んでくると、「結婚しろって親はうるさいんだけどねえ、でもねえ」「生活大変だよ、今日なんか朝からずっと走ってるのに、あなたでまだ3人目のお客さんだよ」とかいう話になって、まあ、日本と同じでしょう。
昔々のコンテンツですが、
シドニー雑記帳:タクシーの運ちゃんというのがあります。色んな国から来た色んな人が運転してるので面白いですよ。最初に出てくるチャイニーズのおっちゃんの「結婚しない理由」は僕も同席してましたが、"bossy"(ボスのように振る舞う)という英単語をこのとき初めて知りました。"Women become bossy after marriage, you know?"には笑った(^_^)。
タクシーでの英会話
基本的に必要なタクシーでの会話は
「行き先を告げること」です。それが通じなければ話になりません。さて言い方ですが、これも最も単純で一般的なのは
「○○(行き先)、プリーズ」です。空港でしたら「エアポート、プリーズ」で最低限OKです。もう少し付加したいならば、最初に"Could you go to"をつければいいです。
見知らぬ土地では詳しい道順を指示できる筈もなく、「目的地や地名を告げる」以外に方法がないのですが、目的地がエアポートのように有名なところだったらいいですが、問題はそうでない場合です。
問題になりそう点を予めピックアップしておくと、
@そもそも地名の読み方が分からない場合
−意外とその場合の方が多いでしょう。wooloomooloo(ウールームールー)など「なんだこりゃ」という地名が結構あります
A読み方は分かっても発音が大変な場合
−例えば、Strathfield(ストラスフィールド)などr、th、f、lと面倒な発音が凝縮しています
B同名の場所が複数ある場合
−例えば、同じホテルでも何ヶ所も支店がある場合など、さらに補足情報が必要とされます。また前頁で述べたように、同じ名前の道路は幾らでもあります。
C指示は正確でも運転手が知らない場合
−運転手さんが道を知らないのは、それほど珍しいことではありません。
などの場合が考えられます。
これらの簡単で確実な対策は、
目的地の正確な住所を紙に書いて持っていく、地図やパンフレット等があるなら持参して示すということでしょう。
不幸にして地図も書いた紙もなく、いくら指示しても全然理解して貰えなかった場合(そうそうないでしょうが)、そんなことでメゲていてはダメで、関連する言葉を連発していくといいです。「○○をしにいく」「海の近くの」「付近に○○があると聞いてる」「5キロくらい離れている」などです。これで案外通じる場合が多いです。まるで連想ゲームですが、そうです、初級実戦英会話は連想ゲームの世界です。むしろ適当に喋れるようになってからが危ない。僕も、初期の頃に、"Camperdown"を"Campbelltwon"とあっさり勘違いされ、一発で"OK!"といって発進したのはいいものの、「ちょ、ちょ、どこ行くんだあ?」となったことがあります。何がイケナイかというと、"per"の部分でR音を効かさず、単に日本語の「パー」と言ってしまったからです。この両者は「キャで始まってアウンで終る」わけで、その実戦的な違いはR音が響いているかどうかです。皆様もお気をつけを。3キロ先に行くつもりが50キロ先まで運ばれそうになりましたので、やはり指示は正確に。
下車を指示する言い方は、これという決定打はないのですが、「あそこ」と指差しながら
OK、ストップ、プリーズが一番簡単でしょう。日本語のカタカナ英語でも、雰囲気で通じます。
小技をきかせたかったら、
あそこ(overthere、オーバーゼア)、あたり(付近)(around、アラウンド)、信号(traffic lights、トラフィックライツ)、交差点(crossing、クロッシング)、角(corner、コーナー) などの言葉も知っておくといいでしょう。よりネィティブっぽく、ちゃんと言いたかったら、
pull over(徐行して車を停める)、curb(歩道の縁石、路肩)なんて単語もあります。
桂文珍さんの落語で「『揚げ豆腐』と言え」というのがありましたが、I get off(降ります)のことで、なるほどそう聞こえます(在日経験のあるイギリス人にこの話をしたら「確かにそうなる」と言ってましたので、そうなのでしょう)。前章までに述べたところと重複しますが、一般に「正式にはなんと言うんだ?」といっても、あまり誰も正式に言ってなく、雰囲気に合せて適当に言ってるだけという気がします。
ここで日本でやってるタクシーへの指示を、例によって忠実に英語に訳してみましょう。
−ええっと、このあたりだったように思うんだけど
(Well、I think around here)
−そう、そのまま真っ直ぐ行って
(Yah,go straight,please)
−そうです、まだ真っ直ぐ行って
(Yes,still go straight)
−それで、次の信号のところを右に曲がって下さい
(and......,at the next traffic lights,turn right please)
−そうです、この信号です
(Yes,this one)
−それで、次の通りももう一回右折してください
(and,next street,also turn right please)
−そうそう、そうです
(Yes,that's right)
−それで次の通りを過ぎてもらって/あそこに見える通りを越えて
(and,across the next street,overthere)
−通りを越えたらそこで止まって下さい
(after crossing、pull over here please?)
−はいどうも、ここでいいです
(ya,it's OK,I get off.Thank you,)
これが最も自然という保証もないのですが、ニュアンスはざっとこんな感じでしょう。
特別に何か凄い構文があるわけでもなく、出てくる単語も中学英語レベル止まりです。何か英会話の準備をされるならば、長い文章を暗記されるよりも、「あそこで」とか「右折して」とか短めの「小技」を沢山もってると現場で重宝すると思います。個人的な経験では、ちょっとした一言が出てこなくて絶句することが多いですし。
もっともこんなに細かく指示しなくても、紙に書いた住所を示せば大体事足りるでしょうが。
忘れ物/遺失物
「遺失物」は、
lost property (ロスト・プロパティ)といいます。
How to Register Property Lost in a Taxiに各タクシー会社の番号が一覧で載ってます。
一応転記しておくと、
Taxis Combined Services (02) 9020 2252
ABC (02) 9020 2252
Manly (02) 9981 6666
Legion Cabs (02) 9273 4444
Lime Taxis (02) 8585 1122
Premier Cabs (02) 8868 4333 Mon - Fri, 8:00am - 4:00pm
RSL Cabs (02) 8338 1046 Mon - Fri, 8:30am - 4:30pm
South Western Cabs (02) 9020 2252 Mon - Fri, 8:30am - 4:30pm
St George Cabs (02) 9554 4000 Mon - Fri, 8:30am - 5:00pm
VIP Cabs (02) 9826 8013
タクシー内に忘れ物をしたような場合のために、どの会社のタクシーに乗ったのかちゃんと覚えておくといいです。携帯でタクシーを呼んだ場合には、送信履歴が残ってるからトレースできます。
なお、
131500.com.auの遺失物コンタクトのページも電車、バス、フェリーなどシドニー交通期間を網羅したコンタクト先が一覧表になってて便利です。
ぼったくられたとき
シドニーはそう滅多にぼったくられはしないとは思いますが、人間が皆が品行方正であるべくもなく、ホッペが赤いとカモろうとする不心得者もないとは言えないです。
大体の目安ですが、空港からシティまで行って50ドル以内で収まると思います。混み具合にもよりますけど。
パーティ帰りで歩くのがかったるくなったとか、遅くなったとか、バスが来ないとかいう場合、最寄り駅までのほんの2キロ程度でも乗っていくのも手です。2キロだって歩けば30分だし、疲れるもん。この程度だったら10ドル前後で収まると思います。逆に10分程度の乗車で30ドル以上請求される場合は(高速道路を100キロでぶっ飛ばしているとかいう場合は別として)、ぼったくられてる可能性が高いです。
もし、タクシーの料金に疑義があるなら聞いてみたらいいです。タクシーの料金のページは上記の
州政府のサイトですが、要旨だけプリントアウトして持っていて、それを示しながら、"could you explain please? I think you might have made a mistake"と穏やかに話しかけるといいです。「おんどりゃ〜」とかやると険悪になって、向こうも引っ込みが付かなくなるから。こんなものを持ってたら、向こうだって「こいつは騙せないな、ヤバいな、もしかして政府の役人?」と勝手に勘違いしてくれるかもしれません。
運ちゃんがビビるのは無理もなく、シドニーでタクシーの運転手をやるのは難しい試験に受からねばならないし、個人タクシーの場合はその権利を買うだけで一財産かかります。そして、客からコンプレイン(苦情)を申し立てることはよくあることですし(こちらの人は速攻でやる、しかもブチブチ文句系ではなく簡潔に事実関係を述べるなど上手)、それで調査が入るとタクシーの運転手は結構ピンチです。だから、仮にぼったくろうとするなら、絶対こいつはコンプレインしないという人を狙うでしょう。
コンプレインは、Taxi Customer Feedback Management System 1800 648 478ですが、
ネットでもできます。別の箇所でも書きましたが、コンプレインは単なる苦情(不満感情の吐露)というよりも、社会を良くしていく一種のボランティ的な市民活動、もっといえば市民の義務くらいにすら思ってるフシがあり、やることやらないでブチブチ愚痴ってると、周囲のオージーから結構軽蔑されたりします。
長々書いたのは、そのくらいのテンションをもっていると(別にガチガチに臨戦態勢になるのではなく、あくまでリラックスして)、逆にホッペの赤さがッ取れて、大人オーラを発しますから、ぼったくられる可能性が減少するだろうってことです。
ちなみに世界各都市のタクシー料金を、出発地と目的地を入力すると自動的に計算してくれるサイトがありました。
World TaxiMeter.comで、やってみると、公式運賃とグーグルの距離計算を機械的に当てはめ、混雑度(待機料金)をミックスしたもので、まあ、当たらずといえども遠からずという感じです。大体の感じは掴めると思いますよ。日本でやろうとしたら、日本はなかったです。ニューデリーやシンガポールはあるのに。