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語学学校の選び方
 Part 5:英語力による適性 (初級・中級・上級)



5.英語力による選択基準


 どういう学校が良いか=どういう学校があなたに合うかは、「あなたはどういう人か?」によって左右されます。そして「どういう人」の中に、今現在の英語力も大きな要素になります。

 例えば現時点で英語力が上級レベルにある人は、あまり日本人比率など気にすることはないです。上級レベルになればほっといても日本人率は激減するからです。仮に日本人が居たとしてもそれはあなたと同程度の努力を積み上げてきた実力者であり、居ても邪魔にはなりませんし、切磋琢磨できるいい友達になれるでしょう。また、ローカルでの仕事など社会への門が開かれていく時期ですから、学校以外で英語を磨く機会も沢山あるでしょう。

 しかし初級レベルの人は、勉強がどうとかいう以前に、現地での生活そのものが大変でしょうから、その点での配慮が必要だと思います。

 このように今現在の英語レベルによって、最適な学校のベクトルもまた変わります。「選択基準(3)雰囲気」にやや重複しますが、そのあたりを書いてみたいと思います。


初級編 まずは楽しく!


 まず初級レベルです。
 どのくらいが「初級」かというと、学校のクラス編成でレベル1 (Biginner)、2 (Elementary) くらい、TOEICでいえば500点以下くらいです。いきなり英語で、"What did you do yesterday?"とポンと聞かれて、3秒以内に反応出来ない。そもそも質問の意味がわからない、わかるけど咄嗟に言葉が出てこない、出てきても単語しか出てこない、何とかセンテンスにして喋ろうとしても正しい語順やSVO構文に則していない、ましてや前置詞とか冠詞なんか考える余裕なんか無い、、というくらいのレベルです。

 この初級レベルの人において最も大事なことは、「英語の楽しさを知る」ことです。
 水泳でも初心者レベルだったら、「まずは水に慣れる、水を恐がらない」という”馴染む”時期が必要ですが、英語も全く同じ事です。キャプテン翼君の「ボールはともだち」感覚で、「英語はともだち、楽しいな」という、英語を使って世界が広がる楽しさを皮膚感覚で知ることが何よりも大事です。

 ここであまり初めからガリ勉やりすぎると、英語そのものがキライになりかねません。大体日本人で中高6年間英語をやっておきながら、まだ初級だということは、中高時代あまり英語が好きではなかったか、英語は好きだけ「勉強」という行為が好きではなかったってタイプでしょう?これまでのような「お勉強」をそのままリピートしても、また同じ事の繰り返しになりかねない。

 だから、まず、「英語に慣れる」「楽しさを知る」ことです。

 ではどうやって慣れるか?慣れることが何故大事か?
 ここでちょっと横道に逸れます。日本人は謙遜しますから、「いや、英語は全然、、、」と皆さん頭をかくのですが、いくら英語が出来ないといってもABCのアルファベットが全く書けないという日本人を見たことはないです。犬はドッグ、猫はキャット、学校はスクール、私はアイ、貴方はユー、そのくらいは知ってるでしょう?さらに、現在進行形や、完了形くらいは出来はしなくても、聞いたことくらいあるでしょう。出来ないといいながら、結構知っているのです。これがネパール語とかタガログ語になったら全く知らないでしょう。アルファベットすら書けない、見当も付かない、「全然」というのはそのレベルです。それに比べたら英語は結構知ってるんですよ。だいたい就学率99%の日本人で、英語初級者というのは本質的に存在しないとすら思ってます。

 しかし、その結構知ってるはずの英語が現場になると出てこない。頭が真っ白になってしまうのは何故か?というと、単純に英語を使うことに慣れてないからです。やり慣れてないから頭がパニックになる、ただそれだけのことです。例えば遅刻した言い訳で、「駅に行ったら忘れ物に気づいて、取りに帰ってた」と英語で言おうと思っても、今だったら「あ、、、」で絶句してしまうかもしれませんが、I went to the station, and I forgot something, and I back to my house again, くらいだったら言えるんじゃないですか?知らない単語も文法も殆どないでしょう?もちろん完璧ではないけど、これでも十分通じます。「本来出来るはずのことが出来ない」のは、何か理由がある筈で、それはもっぱら「慣れてないから焦ってしまう」からでしょう。

 だから、慣れることが大事なのです。慣れてしまえば、少なくとも知ってる範囲では英語が出てくるようになります。そして、多くの場合、それだけで中級にいけます。ただし、その慣れるのに通学3か月くらいかかってしまうので、出来るだけ慣れる時間を短くする、慣れやすい環境が大事だと、ということです。

 慣れるためには楽しくてフレンドリーな学校がいいです。なぜなら、英語を阻害しているのが主としてメンタルな事由、焦ったり緊張したりしていることなのだから、それを取り除ける環境、楽しくて、ほがらかな気分になれることが大事です。

 次に「フレンドリーの質」もまた重要です。人によって溶け込める雰囲気は違うでしょう。やたらハイパーテンションで馬鹿陽気だったら、逆に引いてしまうって人もいるでしょう。よって雰囲気重視。これ以降は、「選択基準(3)雰囲気」に続きます。

 和気あいあいと幼稚園的雰囲気でやってるのは大事なんだけど、しかし向学心も高いという雰囲気が大事です。キャッキャ笑ってるけど、モチベーションは高いという。また、国籍でもヨーロピアンとか南米でもレベル1,2クラスの人はいますから、レベルが低くてもそれなりに国籍がバラついている学校が良いでしょう。もともと初級レベルはアジア人が多いので、クラスに一人二人彫りの深い奴がいるくらいで十分だと思います。それだけでも雰囲気は変わりますから。


 このレベルにおける注意すべきポイントとしては、最初からそんなにやる気のない層も多いことです。もう友達作りのためだけに学校に行くという割り切った人も多いし、最初はやる気だったけど英語の厳しさに挫折して「ちょっとやそっとやったくらいでは無理無理!」ってさっさと諦めている人もいます。そういう人も多い。半年通ってまだレベル1とか。

 そうなると「朱に交わる」というリスク値が高まる。一概には言えないけど、値段の安いワーホリ御用達のような学校だとその傾向が強いようで、実際に「クラスに行っても皆サボってて出席率がとても低い」という悩み相談を受けたこともあります。ひどいケースだと真面目に勉強してるとおちょくられたり、人間的に波長が合わなかったり。サボってる人ってあまり学校に出てこないから、学校見学をしても居ないのでよく分からないのですね。見分け方のコツとしては、簡単に挫折しちゃうというのは最初から甘いことを考えている人が多く、学校選びの時でも、いかにも甘いことを考えている人が選びそうな学校が注意ポイントかも。つまり、安くて、お手軽で、それでいて効果絶大という、「ンなわけないだろ」という。

 それと、自分には直接関係ないのだけど、上級クラスまでしっかり充実している学校が良いと思います。学校全体の雰囲気が引き締まるのですね。皆がみんな白帯ばっかりというよりは、黒帯連中がゴロゴロ歩いている方が適度に緊迫感や向上心を刺激されていいとは思います。

 もう一点。英語初心者で苦労するのは学校よりも、むしろ学校外での実生活です。ステイ先、シェア探し、そこでのトラブル、携帯電話落としたり、財布盗まれたり、職場で不当に扱われたり、、、その他あらゆる局面で苦労が絶えない。だから日本人のカウンセラーの存在が大きいです。英語で相談出来るくらいだったら苦労はしてないわけですから。またカウンセラーの人との相性も大事です。理想的なのは「優しいけど厳しい兄貴・姉貴分」みたいな人でしょう。ときには叱ってくれるくらいの人の方がいい。入学するときだけ愛想のいい”営業マン”ではなく、です。これはもう会ってお話ししてみるしかないです。学校選びも人選びです。実際に相談してお世話になることは少ないかも知れないけど、「いざとなったら○○さんに相談してみよう」と思えるかどうかというのは精神的な保険になります。


 あ、あと、豊富なアクティビティ!も良いのですけど、レベル6やケンブリッジのヨーロピアン達と一緒にツアーやったりしても、楽しいか?って問題はありますよ。自分以外の周囲は皆ドッカンドッカン笑い転げているのだけど、自分だけ何言ってるのか分からないから笑えない、という。


中級編  ジュージュー煮詰る「プラトー」の苦悩


 中級というのも範囲が広いのですが、TOEICでいえば500-800くらい、英語学校のレベルでいえば3 (Lower Intermediate)と 4 (Intermediate) くらいです。"What did you do yesterday?"と聞かれて、"I went to shopping in town with my friends"くらいは遅滞なく答えられるが、情報量が多く表情豊かな英文を喋るところまではいかない。だから受け答えがどうしても一本調子の紋切り型になりがちで、会話が弾まない。

 このレベルが一番人数が多く、また一番難しいです。
 技術の向上カーブは途中でプラトー(高原)という「やってもやっても伸びない時期」がありますが、丁度のその時期にあたります。勉強はマンネリになるわ、でも目に見えて向上しないわで、精神的にシンドイ時期です。ジュージュー煮詰って、カリカリくる時期。

 このレベル期間が長くなる人は、そもそも勉強の仕方や発想に問題があるケースが多いです。上に行きたいという向学心は良いのですが、ペラペラ喋りたい一心でスピーキング偏重になったり、スピーキングでも正確さよりも流暢さに重きを置いたり。それ、違いますよ。上に行きたかったら足下を固めろ、で、この時期こそ基本の徹底習得がカギです。レベル4から5に上がるためにはボキャブラリーで10倍増やせと言われますから、地味に黙々と辞書を引き続けること。また5以上は文法基礎をマスターしている前提で進みますから、ペラペラ喋りたい一心で三単現のSをボコボコ落としているような人は昇級出来ない。いつまで経っても初歩的な失敗をするから、いつまで経っても上にいけない、ということです。

 このように中級が一番勉強方法その他で悩む時期だし、また工夫も必要な時期です。初級者は「楽しい」という要素がメインだし、上級になればほっておいても社会の門が開かれていくので伸びる機会はある。中級は、ストリートで活躍するにはまだ未熟だし、かといって楽しいだけでは続かないという。

 ではどうするか?地味にやるしかないです。話は簡単なんだけど、しかし、地味にやるのが一番難しい。

 したがって学校選びにおいても、地味なことがやりやすい学校、「クソ詰まらないことをやりやすい」学校がいいです。だから学校見学でも、「ふむ、煮詰ってるレベルのわりには明るいな」とか、「真面目にコツコツやってるな」とか、そのあたりがポイントでしょう。まあ、ぱっと見て分かるかどうか微妙ですけど。

 さらに一歩進んで考えてみると、地味にやること自体は難しくないのですね。
 ただ、それを妨害する要素が多いから難しくなるのです。

 妨害要素とは何かといえば、それは「焦り」とか「肩肘張る」ような精神状態です。ついつい何か形にしたくて手っ取り早く資格とかに目が行ったり、「日本人とは絶対喋らん」とかムキになったりしがちですが、それって勉強効率からしたら必ずしも良いわけでもない。このあたりは「英語の学習方法(1) ”量の砂漠”を越える”確信力”」を読んでみてください。結局自分で自分の首を絞めている場合が多いのです。初級が英語の楽しさを知るレベルだとしたら、中級は英語の厳しさを知るレベルです。

 学校においても、そういった精神的阻害要素が少なくなる環境がいいでしょう。等身大の自分がストンと落ち着けるような、「よし、がんばろっ」って自然に思えるような、そういう環境がいいと思います。これも結局"雰囲気”ってことに落ち着くのですけど。


 ちなみに上達度でいえばレベル3,4が客観的には一番伸びているのですよ。もう垂直のハシゴを登ってるくらいに伸びている。ただし主観的には全然そう思えないという。主観と客観のギャップが一番激しい時期です。したがって、このレベルの人の最大の敵は自分自身の主観だと思って下さい。マラソンランナーのように、メンタル管理とペース配分がとても大事な時期です。

 あ、あと、マンネリになりがちな勉強にアクセントをつけるために、ビジネス英語やEAP(アカデミック)などがレベル3,4から入れるような レベルででも設定されていて(通例はレベル5以上)、気分転換的に受講できるというのもポイント高いと思います。


上級編 机上の秀才で終らないために


 学校のレベルで 5 (Upper Intermediate)と 6 (Advanced)、TOEICで800点以上のレベルの人をここでは対象とします。中級の例でいえば、畳みかけるような重文や関係詞を使った複文、例えば"I went to a town close to my house to check the price of some new iPODs, because my sharemate asked me go with her for some advice."程度のことは、スラスラとは言えないまでもそこそこ言えるようになり始めるレベル、です。これだけの情報量を答えておくと、「なんという町?」「iPodかあ、どの機種?」「シェアメイトってどんな人」「アドバイスを求められるくらいなんだから詳しいんだね」とか、相手に無限のツッコミポイントを与えますから、自然と会話はボンボン弾みます。他の箇所でも書いてますが、日本人のワーホリでレベル5までいけるのは100人に数人くらいと言われてます。学校によって、あるいは同じ学校でも時期によってもレベル設定がマチマチなので一概には言えないのですが。

 このくらいのレベルになってきたら、ちょっと厳しめの環境のほうが良いです。それほど生活で四苦八苦することも少ないでしょうし、英語の楽しさと厳しさは十分にわかっているでしょうから、そのあたりの配慮は少なくても良い。また、もともとこのレベルになると、クラスの中の日本人(アジア人)比率はかなり下がりますので日本人比率がどうとかいうよりも、日本人以外の国籍割合も大事でしょう。つまりクラスの中の日本人が自分一人だけだとしても後の連中が全員ドイツ人とか偏ってるよりは、ある程度アジア人が混じってるくらいの方がむしろ良いかもしれません。なぜならこのレベルまで上がってきたアジア人だったら、それなりのものを持ってる筈ですし、勉強法や生活スタイルなどで刺激になることが多いからです。ヨーロピアンは言語体系が似てるから、ちょっとやればすぐにこのレベルにこれるから、勉強方法といっても大して参考にならない。

 上級レベルのクラスが「ある」というだけではなく、「豊富にある」ことも注目点になるでしょう。TOEIC900点というのは、初級者からみたら神様レベルですが、実際のネィティブ現場では全然。現場の社会的能力でいえば、レベル6で小学校6年生程度でしょう。本当にローカルで人並みにやっていこうと思ったら、点数的にありえないけどTOEIC2000点くらいの感じです。自分が上級レベルにいる人だったら、そのあたりは骨身に染みて分かってると思うけど。だから上級といっても、さらにその中で細分化される筈ですし、進学、ケンブリッジ、ビジネスなどコースも豊富に選択できた方がいい。ケンブリッジコースでも1クラスでやってるだけではなく、5クラス以上開催しているくらいの方がライバルが沢山いて良い環境だと言えるでしょう。つまりちょっとやそっとじゃ天狗になれないくらいの環境が望ましいです。

 これは将来設計にも関わります。ここまで登って来れたなら、将来的には海外で仕事を探すとか、永住権を取るとか、こちらで進学するなど卒業後の進路がボンヤリと射程距離に入ってきます。進学などについては、EAPが充実して、各大学などへのエントリー進路が豊富にあるとか、進路相談についてしっかりしたアドバイスが受けられるとか、そのあたりも注意点です。また、日本人カウンセラーについては初級とは違った利用方法があります。彼らは現地で働いている先達ですから、彼らの経験に照らし合わせて、進学後の状況や、ビザ取得の難しさ、日本人が地元で仕事をすることの現状などについて率直なアドバイスを求めたらいいでしょう。また、本当の英語の修行は、語学学校を制覇したあとから始まるので、卒業後の勉強法についても聞くといいでしょう。

 もう一点、このレベルにある人の落とし穴というのは、机上の秀才ではあっても現場では役に立たないことです。勉強一筋はいいのだけど、その分実戦経験があまりにも乏しく、ラウンドで鍛えられてきたレベル3くらいのワーホリさんに現場力では負けてしまうという。そのため学校以外の課外活動を意識的に重視した方がいいです。バイトをするなり、ボランティアや趣味のサークルなど、スラングバリバリのローカルの中に入っていくようにすると。学校においても、そういうアドバイスをしてくれる学校、そして同じ悩みを抱えているライバルが多い方が良いです。初中級の人から神のように崇められているだけでは、この問題は解消しません。

 このように上級者には上級者の悩みがあります。
 英語が出来るようになったけど、結局人生はちっとも変わらないという悲劇に陥らないように。
 ここまで上がってきてあなたは、おそらく「勉強を頑張って解決」という人生開拓法が身に馴染んでいるでしょうから、意識的にそれを叩き壊してください。最終的にモノをいうのは「人間力」ですから。勉強も頑張るんだけど、勉強以外のエリアにも目を向け、勉強とそれ以外の世界との間にどれだけリンクを貼っていけるか?そこがポイントだと思います。この点は大事な点なので、次章以降にまとめて述べます。


 →次(6.上級編・本質編:何のために学校にいくのか?「結果を出す」留学)に行く



 語学学校の選び方INDEX

序章 カタログショッピング的学校選びの危うさ
(1) ロケーション
(1-2) 学校と住居のコンビネーション
(2) 予算、授業料
(3) 学校の個性と居心地(規模、雰囲気)
(4) 目的やコース (IELTS、ケンブリッジ、ビジネスコース)
(5) 英語力別の学校の適性(初級・中級・上級)
(6) 上級編・本質編:何のために学校にいくのか?「結果を出す」留学〜学校の相対的比重を下げよ