今回は、思い切り下品な話題です。
英語圏に住んでりゃ放っておいても覚えてしまう罵倒&卑猥言葉シリーズ。皆さんご存知の「Fuck!」「Shit!」など、本当に現場ではよく出没します。でもって、不思議なもんで、人間こういう種類の言葉の習得には苦労しませんねえ。一度聞いたら忘れないというか。
だもんで、あんまりホームページで嬉しそうに紹介する意味はないのですが、面白いから集めてみました。ただ、「どの程度のキツさなのか」というニュアンスは知っておいた方がいいでしょう。「こんなん普段から誰でも使うわ」という軽いものから、「これ言われたら、絶縁だね」「これ言っちゃったら殺されるかも」というリスキーな言葉もありますので。
その前にちょっと余談。こういった下品な言葉を総称して
swear words(スウェア・ワード)と呼びます。が、この swear という単語はもともと「誓う」という意味なんですね。ののしり言葉が「誓いのことば」と同じだなんて、なんのこっちゃと混乱しますよね。
ところが、英語では(というか西洋文化圏に共通するのかもしれませんが)よくあるんです。悲惨な状況を指して「Good!」と言って笑っていたりするという、わけ分からんセンス。いい意味の言葉を悪い意味に逆転して使うというセンスが、いわゆる「ブラックジョーク」の根底に共通して流れているようで、ここらへんが我々日本人が英語のジョークやコメディを見ても笑えない原因でもあるようです。
まあ、ブラックジョークのセンスは理解できずとも、本来の意味と逆の意味で使われる用例は沢山あるということは覚えておいたらいいと思います。
なお、こういった下世話な言葉は地域や人、状況によっても使われ方・意味に差があるものです。よく言われるようにアメリカ英語、イギリス英語、オーストラリア英語は微妙に違うものですが、厳密にいえばアメリカでもイギリスの影響を強く受けている東海岸ボストン付近、フランスの影響を受けたルイジアナ、北欧移民の影響がある北内陸部など、それぞれ地域によって頻出する言葉や発音は異なります。日本だって100キロ離れたら使う言葉が違ったりするわけですから、英語だって同じこと。
また、こういう言葉は使われる状況や、人(悪ガキなのか、オバサンなのか、レディーなのか)によっても、意味が相当変わってきます。同じ言葉でも、使う人や場面によって、ユーモアたっぷりに響いたり、とても下品に響いたりするものですよね。だから、一概に「こう言われたら軽蔑されてる」「この言葉ならいくら使っても大丈夫」とか定義付けるには限界があるということも、付言しておきます。
同時にまったく逆のこと言いますけど、もう世界じゅうどこで使ってる英語も同じようなもんとも言えます。細かく見れば違うけど、大雑把なところではかなり統合されているのではないかな。少なくとも情報も人も物も行き交わなかった1世紀前に比べれば、現在使われている英語は世界規格に限りなく近づいているのではないかと思います。
なんたって世界の若者はどこへいってもマクドナルド食いながらシンプソンズ見てるわけですからね。オーストラリアでも、テレビ番組のほとんどがアメリカ産ですから、特に若者言葉、swear wordsに関しては、もうアメリカ弁とそうそう変わらないでしょう。
ここで紹介するのは、今、シドニーに住みながら、アメリカやイギリスのテレビ番組や映画を見たり、アメリカにも住んでいたデンマーク人と暮らしていたりする、そういう状況で頻出するものに過ぎないわけです。そんでもまあ、世界平均とそうそう変わらないように思いますが。
Shit
まずは、皆さんお馴染みの「Shit!」から。文字どおり「クソ(糞)!」ですね。もう老若男女、日常生活に頻発します。「あー!」「もう!」とかそんな他愛のない苛立ちの表現として捉えておいたらいいでしょう。そもそも swear words とも認識されていないのではないかな。
ただ、発音には注意しましょうね。日本人の場合、sit(座る−スィット)の意味で「シット」と発音してしまう人が時々いますが、「Sit here」と言ったら「ここにウンコしてね」という意味になっちゃいますから。もっともふつう文脈で分かるだろうけど。
Fuck
これもお馴染み、「Shit!」と並んでよく使われます。直訳は「セックスする」ですが、頻度的には本来の意味で使われることの方が少ないくらいでしょう。「Shit!」よりはやや強くてやや下品な感じはしますが、なんかもう日常的に使ってるんじゃないかな。
イギリス映画「Four weddings and a funeral」でも、結婚式の朝に寝坊したヒュー・グラントが寝床で時計をひっつかむなり「Fuck!」と言ってるし。「げっ!」「しまった!」「ちくしょう!」くらいの感じちゃいますか? もちろん、フォーマルな場では避けるべきでしょうけど。
「Fuck」 にはいろんなバリエーションがあって、「Oh, Fuck man!」なんてのもあります。これは「Oh, My God!」と似たようなニュアンスなんで、くだけた表現ではあるけど、別に失礼にはあたらないでしょう(でも粗野な言葉遣いであることに変わりはないが)。
でも、これが「Fuck you!(ファッキューと聞える)」となってくると、俄然事態は緊張してきます。you がついたら、明らかに罵倒用語です。直訳したら「おまえを犯してやる」ってことになりますが、別に相手は女性じゃなくてもいいし、女性も使うし、要するに腹立った時に「なんだ、てめー」くらいの勢いで出てきます。
まあ、「Fuck you!」の場合は、明らかに罵倒する対象となる相手に向かって投げかけられる言葉なので、その場の雰囲気で分かると思いますけど。
あと、「fuck」のバリエーションとして、ing がついた形容的表現が頻発します。たとえば「You are fucking beautiful.」みたいな表現で、なに、別に他意はありません。「すっげー」とか「超」とか、そんな感じ。「veryの二乗」くらいに思ってたらいいです。「超すげー」が「Fucking great」くらいの感じじゃないかな。
特に、アメリカ映画の刑事・犯罪もの(エディー・マーフィーが出てくるようなヤツとか)には、「Get fucking out of here!」みたいに、もう文章のそこここであたり構わず fucking が挿入されます。「I hate this fucking PC.」みたいに、名詞の前にもイチイチ fucking がつくのですが、ここまで連発されると、イチイチ「あ、swear word だ」とも思わなくなりますね。
ただ、クリスチャン系の私立校など、躾に厳しい学校では、教室で swear words を使っただけで停学になったりするんで、TPOをわきまえた上でご使用ください。
なお、「mother fucker」という表現も時に聞きますが、これは非常に強い軽蔑の意味があるので要注意。特に黒人に向かって言ったら殺されても仕方ない、というほどキツイらしいです。
起源は黒人奴隷社会まで溯るそうです。当時の黒人女性は皆農園主に手を付けられており、黒人男性にとってセックス対象となる女性は母親しか残されていなかったために、近親相姦が横行したことがあって、それを軽蔑して「mother fucker」という言葉が生まれたそうです。「そうせざるをえない環境を作っておいて、そういう言い方はないだろう」というわけで、怒るのも無理はないでしょう。
(田村補注)
バッパーやシェアでヨーロピアンの連中と仲良くなってると、もう「感染ってしまう」ってくらい彼らはよく使います。数秒に一回くらいの人もいる。ここまでくると意味はあまりなくなり、単に語調を整えるとか、それを発声するとはずみがついて喋りやすいとか(日本の方言の「〜だべ」みたいな)そのくらい感じなのでしょう。
日本語で一番近いことばは「超〜」だと思います。「超いいよね」っていうところで"fucking great!"という。「超大きい」”fucking big"とか、そんな感じ。大阪弁だったら「めっちゃ」かな。
多分、発声していて気持ちいいのだと思います。「ふぁっ!」で一旦切れるのですが、発声上、うっと力を込める感じになってその力んだ感じが、なにかを強調したい心情にフィットするのと、あとそこで一回力を貯めるから、そのあとの発声がしやすくなる、リズム感が出てくるなどの利点があるのでしょう。
実際、うつるんですよ、これ。言い易いから。特に本来の罵り言葉の場合、トンカチで間違って指を叩いてしまったような場合、日本語で「あ〜、畜生!」「くそっ」とかいうけど、チクショーよりも、「ふぁ!」の方が発音しやすい。また、その前にイントロみたいに”Oh!”を入れると尚更言いやすい。「おぉ!ふぁっ!」ってね。咄嗟の怒り感情を放出するには、なかなか使いやすい。
だから困るんですよね。一旦うつったら、なかなか抜けませんから。出来ればうつらないほうがいいです。
Screw
庶民に長いこと愛されている swear words「fuck」ですが、最近これに代って流行している言葉が「screw(スクリュー)」。まあ、50年代末が舞台になってる「Stand by me」にも出てきますから、特に「最近」ってことはないんでしょうが、たぶんアメリカあたりではちょっとした流行なのでは?という気がします。
本来は「ねじ込む」という意味で、要するに fuck 同様セックスを意味するわけですが、どうも最近の若者は screwの方を好んで使っているような気がします。ただ、screwの場合は、「すっげー」の形容詞的用法や、ちょっとした苛立ちの感情表現にまでは、発達していません。腹たった時の「Fuck you!」の代わりに「Screw you!」と言ったり、「セックスする(動詞)」の卑猥表現として使われるようです。
「screw」の応用表現として、よく出てくるのが「screw up」「screw around」。この二つは別に卑猥用語でもなんでもなく、本当によく頻出するんで、覚えておいて損はないです。「screw up」はドジ・ヘマをすること、「screw around」はドジ・ヘマによって無駄に時間を使ってしまうことを意味します。あ、でも「screw around」にはアブナイ意味もあるか。「あっちこっちでやりまくる」意味にもなるんで、ご注意を。
Damn / Bloody
これらも fuck の類語と言えましょう。どちらも形容詞で、名詞の前に付いて「すっげー」(強調)になります。
たとえば、「This is **** nice piano」の ****部分には、damn でも bloody でも fucking でもお好みのものを選択して挿入することができます。こんな感じで、どこにでも平気で damn や bloody が付いてきます。
「damn」 は「ののしり」を意味する言葉で、形容動詞にも名詞にもなりえます。ちなみに、バカ(おつむの足りないヤツ)を意味するダムは「dum」、おし(口の不自由な人)は「dumb」ですんで、スペルをごちゃ混ぜにしないよーに。
ちょっと昔の話ですが、「ツインピークス」のクーパー捜査官がよく「Damn fine cafe!」と、コーヒーを賞賛していましたね。あれはfine を形容する形容動詞として使われているわけです(って文法解説する意味あんのかな?)
単に「Damn!」と言うこともあって、「ちくしょう!」くらいのニュアンスでしょうか。
もうひとつ、名詞としての用法では、「I don't give a damn!」といった決まり文句があって、これはよく登場しますね(damnの代わりにshitが入ることも)。直訳すれば「ののしったりしないよ」という意味で、「ふん、ヘとも思わないぜ」みたいなニュアンスかな。でも、実際はヘとも思ってるような時に、負け惜しみ的、あるいは相手への軽蔑を込めて使ってるみたいです。ホントは「I give a damn」と言うべきところを、否定形にすることによって、ひとひねり入れてシャクな気分を照れ隠ししているかのように感じられます。
似たようなコトバで、"goddam(n)"(ガッデム)があります。映画などでよく聞くと思いますが。damに神様(god)をつけて強調の強調ですが、意味の強弱というよりは本人の口癖レベルって気もします。"Dam(n) it!"という動詞として使う言い方もあり、これも「ちくしょう!」くらいの感じ。
これに対して、「bloody」は形容詞や名詞を修飾する用法でしか使われないです。まあ、Bloodyの名詞形は Blood(血)になっちゃうわけですから、名詞として使われないのも当然ですが。
オーストラリアでは伝統的にBloodyが好きで、Damn系はアメリカ系という気がします。ハリウッドの映画を見てて出てくるほどには、オーストラリア社会では"damn"を使わないように思います。個人的にはあんまり聞いたことないです。まあ、アメリカメディアの浸透で、若い人ほどそういった差異は少ないでしょう。
Stupid / Idiot
これも皆さん御存知でしょうが、「バカ」「アホ」のことで、別に swear words というほどのもんでもなく、日常的に使います。友達に「You are stupid!」と言ったくらいで、ケンカにはならないでしょう(状況にもよるけど)。「あんた、アホちゃう?」くらいのニュアンスかな。なお、「Stupid」は形容詞で、「idiot」は名詞。
似たような表現で「nut」というのがありますが、名詞として「キチガイ」という意味もあるし、「It drives me nut.」のように「気がおかしくなりそうよ」てな具合にも使われます。「crazy」と同じようなもんですね。この場合は状況をあらわしているわけで、バカやキチガイじゃなくても nut にはなりうるので、特に失礼ではありません。
ところが、これが「maniac」になってくると「おかしい」以上に「気が狂ってる」という批難、軽蔑的な意味あいが入ってくるので、キツイです。「He is nut.」だったら冗談交じりにチャカしている程度ですが、「He is maniac.」と言う時には、悪意・敵意が混じっているようです(もちろん、状況によるけど)。
Bugger
発音、意味ともに日本語の「バカ」に似ているので、覚えやすいですね。「メチャクチャにすること」という意味から派生しているようで、「バカ野郎」「ドジ」といったところでしょう。自分自身をののしる時にも使うみたいで、「bugger me dead!」なんて表現もあります(「バカみて〜」と覚えるといいっす)。
Bastard
本来は 「pedigree」の反対語で、血統がハッキリしていない私生児を軽蔑する言葉でしたが、今やただの「野郎」くらいの意味で定着しているみたいです。シングルマザーも独立して立派に生きている社会ですから(ある統計によるとオーストラリア家庭の3分の1がシングルマザーだとか)、私生児だということくらいで軽蔑されたりイジメられたりしないでしょうし。
「You (are a) lucky bastard!」という決まり文句をよく聞きますが、ここには罵倒というより、賞賛と尊敬の念さえ含まれているような気がします。「(私生児という)不運な境遇にもめげず、よく頑張ったね」といった感じで、「Well done!」をちょっとひねってブラックジョークとダブらせたような。大抵これ言う人の目は微笑んでいますね。
最近オーストラリアのテレビCFでも、銀行だったかな、堅いイメージの企業が「You are a lucky bastard!」というキャッチコピーを使って宣伝していたりします。「この言葉によって不快になる方もおられるでしょうが、それでも我々は謝罪いたしません。皆様への親愛の情をこめて、あえて申し上げます。You are a lucky bastard!」みたいな。
ちなみに「lucky bastard」の代わりに「lucky devil」と言うこともあります。
Bitch
これもお馴染みでしょう。「bitch」とは血統不明なノラのメス犬のことで、転じて娼婦、淫乱、あばずれ、ふしだらな女、さらに転じて、意地悪で傲慢でイヤミな女、失礼な女のことまで意味するようになりました。要するに「ヤな女」はみんなビッチです。
男性向けに「son of bitch」という罵倒表現がありますが、直訳すれば「淫売のせがれ」。女はビッチで、男はサノブビッチになるというわけです。なにも母親まで持ち出さんでもいいだろうが・・と思うのですが、そういや日本にも「おまえのかあさん、デベソ」というのがありましたねえ。デベソの何がイケナイのかよく分かりませんが。
なお、この2つの表現はメント向かって言ったらそりゃ相当失礼ですが(まずケンカになるでしょう)、世間一般では陰口の中によく出てきます。ラースも永住権の再申請する時、移民局のカウンターにいたスタッフに「偽装結婚じゃないの?」とか失礼なことをいろいろ言われたもんで、「あいつはビッチだ!」と怒ってました。
なお、「bitch」と似たような言葉に「slut」とか「cunt」といったものがありますが、これらはビッチにも増して更に失礼なので、気をつけましょう。ただの「ヤな女」以上に、「いつも両足おっぴろげて男に媚び売ってる淫売」的イメージが強いです。陰口で言うにしてもかなり下品なので、場合によっては言ったあなたの株が下がるかもしれません。
「slut」は聖書に出てくる罪のひとつ「自堕落」から派生した言葉ですが、「cunt」に至っては「女性性器」ですからね、「やりまん(←死語か?)」ってなところでしょうか。
ちなみに、女性を引っかけてはやりまくっている男のことを「cunt splitter」と言うそうです。えげつない表現ですねえ。が、実際のところ、軽蔑的に使われてはいても、言われてる本人は結構 proud だったりするんじゃないかな。
もうひとつ、女性に対する陰口として「bimbo」というのがあります。ビンボーと覚えやすいのですが、「貧乏」な女なのではなくて、チャラチャラと男に媚び媚びしている女のことです。これも本人にメント向かって言ったら怒るでしょうが、結構本人も自覚していたりしてね。
Asshole
これもお馴染みの swear word。アメリカ映画なんかではよく登場しますけど、相当失礼ですから、言うならケンカ覚悟してから言ってくださいね。
あと、ゲイの人に向かって言わない方がいいという説もあります。露骨すぎるんでしょうかね。
しかし、すごいですよね、「肛門」「ケツの穴」ですもんね、日本語では一体何にあたるのだろう? 「くそったれ」よりはずっとキツそうだけど。ちなみに、日本語には「ケツの穴小さいヤツ」という言葉がありますが、「small asshole」という英語は聞いたことないです。
なお、故天皇陛下がよく使われた「あ、そう」ですが、これ、英語圏の人には「asshole」に聞こえちゃうそうです。まあ、語調や状況で罵っているわけではないことは分かるでしょうが、なにか話すたびに「ケツの穴」を連発されたら、相手も面食らうでしょうね。
応用編として、「ass kisser」「Kiss my ass」という表現もあります。ケツにキスするってことで、「ゴマすり」「媚びる」という意味です。他にも似たようなものに、「brown nose(お尻に鼻をつけて、ウンコで鼻が茶色くなっている人)」「ass sucker」「cock sucker」といった、とっても下品な表現があります。suckerについては、次の項で説明します。
Suck
本来の意味は「吸う」ということで、全然卑猥でも失礼でもありません。ところが、「吸う」という動詞からイメージされる卑猥なシーンが、様々な naughty words を生み出しています。
「suck my bone」といえば、クリントンさんの好きな「blow job」のことです(各自辞書引いてね)。suck応用編として「cock sucker」「ass sucker」という表現があり、いずれも「ゴマすり」という意になります(詳しく説明しなくても分かりますよね?)。 すっごい強烈な言葉なんで、「ass kisser」くらいまでにとどめておいた方が無難でしょう。
ちなみに、男性性器を示す隠語は死ぬほど沢山あるようで、とてもフォローしきれません(よく聞くのは、bone, dig, cock, hoe など)。これらの順列組み合わせでいくらでも卑猥用語、罵倒用語が出来上がります。
「dighead」というのも男性に対する罵倒用語のひとつ。無理矢理直訳するなら「ちんちんあたま」。笑わせてくれますね。
なお、何かがうまくいかなくて苛立った時に、「It sucks.」と吐き捨てるように罵倒します。コンピューターがフリーズして動かなくなったら、コンピューターに向かって罵倒する。「こいつ、ナメてるぜ」みたいなもんかな。本来、下品で猥褻な表現の筈なのですが、今や小さな女の子まで使ってるんで、まあ「Fuck!」並みなんじゃないかと思います。たくさん使われるほど、罵倒度・失礼度のパワーは減退するものなんでしょうね。
「It sucks!」と同様に頻出するのが、「It's a crap.」。「crap」はガラクタの意味で、使い物にならないモノをののしる時に使います。また、「My mother said lots of craps, but I didn't hear.」なんて具合に、余計なお節介やお説教に対して、批判的に「たわごと」の意味としても使われます。
in the hell
「hell」は地獄ですけど、この一節を文章中に挿入することによって、下品で失礼なニュアンスとともに、怒りや苛立ちなどの強い心理表現ができます。
「How in the hell can it be true?」「Why in the hell did you do that stupid thing?」という具合に、疑問詞のあとに挿入するだけ。「なんでまた、そんなバカなことしたのよ?!」てなニュアンス。
下品な表現を避けたければ、「in the hell」の代わりに「on the earth」を挿入すればOK。でも、「How on the earth」なんて現場ではあんまり聞きませんけどね。人間、腹たってる時は出来るだけキツイ表現をしたいものなんでしょう。
bump / dig
「セックス」の隠語もこれまた沢山あります。前にも登場した、fuck, screw に加えて、bump(ゴンゴンぶつける意)、dig(掘る)、give a bone(骨=ペニス)などなど、いっぱいありすぎてとても制覇しきれません。まあ、知らなくても日常生活困らないし、その場の雰囲気でなんとなく分かるでしょうけど。英語が分からなくてもセックスは出来るしねえ。
最後に、英語が分からなくて恥かいた一例を披露しちゃいましょう。
オージー男性と make love しはじめた時(いわゆるforeplay=前戯)、相手が何か言った。
「ぢゅうぉんみ りっきゅう」と言った(ように聞えた)。
「え? りきゅう??」
・・・ここで思わず「利休」という漢字とともに、茶の湯のシーンが頭をよぎる。お茶とセックスと何の関係があるのだろう?
「What do you mean, 利休?」
とぼけた返答にたじろぐ相手。
「Well, you know, りきゅう is, あー・・・」
しばしの沈黙・・・・・・
あ!! わかった!
「Do you want me to lick you?」って言ったのね。
あー、今、思い出しても赤面の一瞬でありました。ちゃんちゃん。
その他、いくつか補完的に
disgusting (ディスガスティング)
感情的な罵倒というよりは、もっと冷静でシリアスな論評で、それが故に殺傷力はもっとキツい。「ヘドがでるほどイヤな」という意味ですが、日本語に意訳すると、「最低!」「サイテー」でしょう。どちらかといえば女性がよく使うという意味でも似てる。「あんたってサイテー!」 You are digusting!!なんて、思いっきりイヤそうに顔を歪めて、吐き捨てるように言われたら、かなり厳しい状況です。
weird (ウィアード)
スペルも発音もとっつきにくい単語ですが、こう覚えるといいです。"we" + "ird"で、後の”ird”は サード(third)のirdです。ウィ+アード。
「不思議な」「この世のモノとも思われない」という意味で、日本語訳だけ見てると"wonder"に似てるのだけど、wonderと違って、もともとあまり良い意味には使われない。得体の知れない気持ち悪さ。
日本語口語のニュアンスでいえば、「ヘン!」「気持ち悪い(キモ)」とか「気色悪い(キショい)」、さらには「変態!」くらいの感じ。かなりキツいです。人に対してだけではなく(彼ってちょっとキモいんだよね、He is kind of weird)、物事一般ついても言われ、「あそこって何か気色悪くない?That place is weird"」。ホラー映画なんかでどっかの(呪われた)建物に入ったときに、「なんか変だぞ、ここ」「薄気味悪いな」ってときに、weirdって言います。
生理的気色悪さだけではなく、単純に「変」「おかしい」という strange くらいの意味で使われることもあります。"Oh, that's weird(あれ?妙だな?)".
これも映画で言えば、名探偵などが犯人の言葉の矛盾をつくようなときに、「あれ?おかしいですね?」っていう場合、weirdを使ったりもします。
形容詞の後に"o"をくっつけて、「〜な人」という言い方は最近よくあります。"weirdo" で変な奴、アブナイ奴くらいの意味。
ただし、逆手にとって「どうだ?変だろ?すげえだろ」という場合もあります。ロックコンサートなんかもともと「ヘン」ですからね。メイクしたり、変な髪型したり、火を吹いたり、空飛んだり、さらには動物の生き血を啜ったり、客席に臓物を投げつけたり、非常にウィアードなわけで、それがイイわけです。その種のノリで、クールという意味を込め、誇らしげにウィアードという場合もある、と。まあ、でも雰囲気で分かると思います。
perv(パーブ)、geek(ギーク)、nerd(ナード)
このあたりも若い人の会話に良く出てくるので、覚えておくといいかも。
pervは、pervert(パーバート)=変質者、倒錯者の略で、端的に「ヘンタイ」。ほぼ悪い意味でしか使われない。類語に"kinky"があり、これも性的に倒錯していること。
geekは、意訳すれば「オタク」。変人とかサーカス見世物師という語義や語源が辞書にあるけど、実際にはコンピューター関係のオタクを意味する場合が多いようです。日本語の「オタク」は、初期のコミックやビデオだけに留まらず、「マニア」くらいの意味で幅広く使われているが(○○オタク)、英語の場合はそこまでの広がりはなく、PC系のハッカーとかそのあたりの示すようです。ただし、日本語の「オタク」が段々悪い意味が薄れてきたように、英語のギークも悪い意味が薄れてきて、誇らしげに言ったりする。Die Hard 4.0に出てくるWarlockのように。ギーク・シックというファッションもあるそうです。
nerdは、これもgeekと同じようにオタクという意味で用いられたりするけど、もともとはガリ勉ばっかりやっててダサい奴という意味。geekがマニアックの進度の深さ、イっちゃってる度の高さで語られるなら、ナードは見た目のダサさ、非モテ的な外観や佇まいを言う、、、のだろうけど、現在は使い方もゴチャゴチャになってきているし、誇らしげに computer nerd を名乗ったりもします。価値観なんか世界が変われば容易に180度反転する良い例。その世界でギークやナードというのはむしろ尊称で、名人、達人、巨匠、帝王くらいのニュアンスがあったりする。深いわ。
99年07月31日:福島
2010年03月:田村(青字部分補注) 2017年08月再チェック
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