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間違いだらけの留学&ワーホリ生活

  〜チマタでよく聞く「都市伝説」を検証する〜





 このコンテンツはコラムです。
 皆さんの留学&ワーホリ生活をヘルプしている間に頭にぽっかり浮かんだこと、妙にチマタに蔓延している都市伝説まがいの誤解など、メモ書きあるいはエッセイ風味で軽く書いたものです。



7.ジャパレスで働いても英語の勉強にならない?

ローカルとジャパレス

 日本料理店=ジャパニーズ・レストラン=通称ジャパレスですが、日本人経営&スタッフも日本人という場合が多く、英語が苦手な人でも取りあえず仕事をゲットできるオアシスのようなところです。これに対して、日本語なんか全然通じない環境=いわゆる普通のオーストラリア人の職場を「ローカル」と言ったりします。一般的な通念では、ジャパレスで働いているよりもローカルで働いている方がエライかのごとくイメージがありますが、本当のところはどうなのでしょう?

 ジャパレスよりもローカルが優れているとされるのは概ね次の2点にあります。

@給料が良い

労働者の権利意識の高いオーストラリアの場合、最低賃金その他労働者の権利がキチンと守られている場合が多く(そうでないと訴えられるし)、またバブル景気に湧くオーストラリアの場合、実際の賃金も高いです。NSW州の最低賃金基準は、例えばカフェやレストランでウェイターなどをカジュアルで働いた場合22ドル前後は出ます。

 Fairworkという公的機関で最低時給などが(かなり詳しく)定められているのですが、その詳細は、「オーストラリア留学・ワーホリ予算・費用について(3)ハイパー実戦講座〜より安く、より実り豊かにあげるために」の「日本よりもずっと良い労働環境と賃金」という箇所をご覧ください。

 これに対してジャパレスの場合、平均賃金という公式な統計があるわけではないですが、ワーホリや留学生さんのリアルタイムに聞いている話では、2018年現在で大体時給15-17ドル前後まで上がってきています。ただ、スーパー(厚生年金=全部雇用主が払う)とか、労働環境(ゆるめ)とか、先々の展望などではローカルの方がまだ一日の長はあります。

Aローカルのオージー社会の中に入っていける。

 なんせ職場のスタッフやお客さんのほぼ全員が非日本人というか、現地の人です。海外にやってきて一番苦労するのがいかにして現地社会に溶け込むか?ですが、そういう意味ではローカルの職場は良い突破口になりえます。地元オージーの中で揉まれるわけですからね。実際に、職場での人間関係を起点にして、友達が芋づる式に増えていき、また割の良い仕事をゲットしたりシェア先を紹介して貰ったりということで波に乗っていった人も沢山います。この点、ジャパレスの場合、同僚が自分と同じ日本人ワーホリ&留学生なので地元との接点に欠ける恨みもあります。

 以上の二点で、一般的にいえばローカルの仕事の方が効率が良く、相対的にジャパレスは劣後するという見方がされます。それは、この二点に限ってみればそのとおりでしょう。僕も皆さんには頑張ってローカルにチャレンジしろとは言います。

ジャパレス格下論の嘘

 しかし、それ以上に、ジャパレスなんか全然ダメだとは思いません。「あ、ジャパレスね、ふふん」と実際以上にジャパレスを低く見る人もいますが、それは以下の諸点で間違っていると思います。

(1)お客さんは同じオージー

 ここは意外と誤解されているところです。シドニーにジャパレスは数百軒というオーダーであります。ワーホリ講座仕事編でも言及しましたが、シドニーにジャパレスがどれだけあるか、Google地図検索で"Japanese Restaurant"と入れて表示されせてもいいし、オーソドックスにイエローページでもいいし、eatabilityのJapaneseのカテゴリはサイトそのものが無くなっちゃったから、Urban Spoon→ZOMATOに改称を見たらいいです。

 ↓試しに今(18年03月)にやってみたら、ZOMATOのJapanese Restaurant Diningで865軒ありました。15年段階では649軒(Eatablitity)、698軒(Urban Spoon)で、毎回更新ごとに増えていくのですが、さらに遡ると、254→323→554→649→886(17年10月)→865(18年03月)ですから、シドニーにおけるジャパレスというのはどーんと爆発的増加して、ようやく飽和・調整局面に入ってきた感があります。200民族集まるシドニーは恰好な世界テストマーケとも言え、ここでこれだけ受けるなら全世界的に受ける可能性はあるし、現に受けつつある。掛け声倒れになりつつある「クールジャパン」よりも現実に伸びている日本人に有利なグローバル産業分野だと思います。


★表示させない〜ここはWHフォルダーの画像に統一する WH08-2 相対リンクで


→参考/過去の検索画面



 そのうちお客さんが全員日本人であるジャパレスなど、僕が知る限り一つもないように思います(ありますかね?)。日本人に人気のあるジャパレスだって、精々お客の半数が日本人だったら多い方でしょう。実際には、日本人の客が殆ど来ないというジャパレスが大多数を占めるでしょう。それは日本で「イタリア人が食べにくるイタリア料理屋がどれだけあるか?」と考えてみればいいです。

 ということは、ジャパレスだとしても、ホールでオーダーを取ったり、お客さんの質問に答えたり、精算したり、予約を取ったりというのは全部英語です。それなりに英語が出来ないと勤まらない職であり、またその気になれば英語を磨く機会は幾らでもあります。メニューの説明や、オススメの一品、あるいは単なる雑談。特にオージーは話好きですから、水を向ければ「今日は娘の誕生日なんだよ」なんて嬉しそうに喋ります。故に、ジャパレス=英語不要という認識は間違ってます(キッチンハンドなど裏方さんはまた別でしょうけど)。少なくとも電話で予約を受けられるのはかなりの英語レベルが必要です(非英語圏の人の名前=ユーゴスラビア系とか中東系の名前を聞き取るのは大変ですよ)。

税引き後の手取り額

 時給の計算ですが、確かに時給15-17ドルは相対的に安く感じると思いますが、気をつけるべきは税引き後の手取り額かどうかという点です。多くのジャパレスの場合、ワーホリさんなどが入れ替わり立ち替わり入りますので、いちいち従業員名簿を作って源泉徴収をして、、、という煩瑣な手間を省略し、源泉徴収など税金抜きにして手取りで15ドルって感じになっていたりするケースが多いと思われます。

 また、仮にちゃんと源泉徴収をしているとしても、タックスリターン(確定申告)などの不慣れなワーホリさんに税引き前の金額を提示してどうのという面倒な説明もしてるヒマないでしょうから(地元民だったら常識で知ってるけど)、告げられる時給は手取額が多いとは思うけど、そのあたりの確認は必要です。

 一方、最低賃金やローカルの職場の時給は税引き前です。そして、留学生の場合、オーストラリアの税法による「居住者」要件に欠ける場合は税率は32.5%になります。約3割です(ワーホリの場合は15%になった)。だとしたら、時給23ドルだとしても実際の手取りは32.5%引の15.640ドルということになります。15ドル対22ドルだとかなり差があるように感じますが、結局は似たようなもんだと。

 もっとも!ジャパレスの時給がここ数年急上昇したのも、税務署や世間の目が厳しくなったのでコンプライアンスを徹底したという点もあり、今となってはキャッシュで内々にってやっていないところも増えてきていると思います。また「最低時給」といっても、数多くの前提条件があってのことで、年齢とか試用期間とか訓練期間によって安くなる場合もあります。

 税金が絡むとややこしくなるのですが、このあたり結構差が出てきますので、頑張って確認されると良いと思いますよ。

日本人からでも学べる

 確かにジャパレスにはスタッフに日本人が多いですが、だからといって全く無意味と言うことはないです。日本人からでも沢山学べます。特に、経営者やマネージャー、板前さんなどは永住権ないしは労働ビザで働いているケースが多いでしょうから、海外で自分のお店をもつことの苦労や、生活環境など貴重な経験談が聞けたりすることもあるでしょう。また、当然のことながらジャパレスにも英語がかなり堪能な人は幾らでもいます(そうでないと経営なんか出来ない)。日本人がオーストラリアで暮らすことの意味や英語の上達方法など、この種の話は、同じ日本人から聞いた方が身に染みてよく分かるってこともあります。日本人だからダメってものではないです。賢い人はどんなことからでも学びます。

いいステップになる

 いきなりローカルといっても尻込みしたりするケースが多いでしょうが、働くことの大変さは何も英語という言語面に限ったことではないです。例えば、飲食店勤務経験ゼロだったら、どういう感じでお店が廻って、どういう感じで立ち働けばいいのかよく分からなかったりするでしょう。ジャパレスにおける勤務経験は一つのキャリアになりますし、実際にその業界に慣れるわけですから、履歴書に堂々と書いてローカルに売り込めばいいです。また、最初はBYOなどオーストラリア独特の飲食店慣行も分からないでしょう。地元のビールの銘柄だって知らないし、LLBってなんじゃ?って感じだと思います(Lemon Lime and Bitter という清涼飲料水の名称)。その意味でジャパレスで修行してからローカルに行くというのは一つの有益なルートだと思います。


 以上の諸点を考えれば、ジャパレスだからダメと切って捨てたりすることが正しいとは思えないし、それどころか有意義なチャンスにすることは十分に可能です。少なくとも、何にもせずにただジャパレスで働いている人を馬鹿にしているよりはずっとマシです。どんな仕事であれ、働くことはそれなりに達成感やリズム感を生活にもたらします。時給15ドルが安いとはいえ、ディナータイム5時間だけでも働けば75ドルになります。週3日で225ドル、5日で375ドルで、まあこれだけで食うだけだったら生活出来ちゃったりするわけです。しかも、賄いもついてきます。自腹を切って食べにいったら高い日本食で栄養補給も出来ます。




 もっとも、こう書くとジャパレス万々歳のようですが、だからといって100点満点ではないです。経営されている方には、諸般の事情で難しいのかもしれないけど、やっぱり最低時給分くらいは出してもらえるとありがたいなと思います。また、ジャパレスの中にはワーホリさんなど弱い立場に付け込んで不公正な労働慣行を押しつけるところもあるやに聞きます(アルバイト先との給与支払トラブルを労働委員会を通じて解決した事例を参照)。もちろんしっかりした経営をされているところも沢山あります。何事もそうですが玉石混淆です。

 また、一見ローカルに見えても、実はヒドイ職場はあります。
 保守本流のオーストラリア生まれのオーストラリア人は遵法意識が高いから真面目にやってますが、見た目が白人(非日本人、非アジア人)であっても、保守本流(遵法意識的に)ではないパターンは山ほどあります。だから、外人だったらOKで、日本人だったらダメとか、大雑把な考えでいたら、それこそダメです。実質です。


 本当はですね、理想を言えば、英語もペラペラ、日本文化とオーストラリア文化両方に精通している人こそジャパレスで働いて欲しいです。その気になれば幾らでもローカルで働けるし、実際に働いたこともあるけど、敢えてジャパレスを選ぶという。なぜなら、ジャパレスというのはオージーや世界の人達が最も日常的に日本文化に触れる場所だからです。日本文化を正しく世界の人に理解して貰う最前線でもあるわけで、だからこそ日本のことを正確にオージーに説明してあげてください。


 ※ちなみに、経営者もスタッフも一人残らず全員日本人ではないというジャパレスもあります。それも結構な数あります。一見奇異な感じがしますが、でも、日本にだってイタリア人がやっていないイタリア料理屋、中国人がやってない中華料理屋は山ほどあるでしょう。というかそっちの方が遙かに多い。日本人がやってないジャパレスが増えるのは、それだけ日本食が現地に浸透していることを示しているわけで、実は喜ばしいことでもあります。




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