4.予算についてちょっとしたコツ
値段だけで学校選びをしない方がいい〜意外と乏しい節約効果
上記の試算をみて気づくことは、学校の授業料の差というのは、実は全体からみたら意外とそれほど大きくないということです。
たとえば、さきほどの
2.滞在費予算のシュミレーションを前提に検証してみましょう。週330ドルと350ドルの学校があった場合、その差は週20ドル、×17週で340ドルの差になります。それだけ見てると大きそうですが、通学期間の総学資5980ドル中の340ドルでしかない。日本円でいえば、50万8300円中の2万8900円(85円レートで計算)の差。比率にして6%弱であり日本の消費税ほどの差もない。この程度の差は、格安航空券の取り方一つ、為替レートが数円違っただけで消滅してしまう程のものです(80円レートが85円になっただけで6.25%の差)。
これは英語を学ぶというのが最大の目的である語学留学の方により強く言えると思うのですが、
為替や航空券の取り方一つで変わってしまう程度のお金を節約するために、イヤな学校に10週も20週も毎日通い続けるのが果たして合理的なのか? しっくりこなくて学習効率が落ちるくらいだったら、本末転倒でしょう。
また学校の費用というのはやたら目立ちますけど、全体予算からすれば、そーんなに決定的でなかったりします。シュミレーションで判明したように学校と生活費がほぼ同額です。ということは、学校をケチって授業料が2割安い学校(週350ドル→週280ドル)にしたところで、トータル予算に対する経費節減率はその半分の1割でしかない。ワーホリさんの場合、通学期間の上限4か月ですから、1年滞在する総予算に占める学費の割合は4分の1(学費4か月分/生活費12か月分+学費4か月分)。だから
学費を2割削っても、全体からしたら5%=消費税分くらいの節減効果しかないのです。
ということで値段だけで学校を決めるのは、経済的に考えても、あんまりカシコイとは思えないです。3で述べたように生活の組み立てを変えていった方が遙かに効果的&フレキシブルに対応できるでしょう。
というよりも、生活の組立てというグランドデザインをやりもしないで、目先の損得にこだわってたって意味ないどころか、典型的な「ジリ貧街道」です。なぜなら滞在の基本命題が「いかに支出を減らすか」になってしまうからです。違うでしょう!「いかに得るか」でしょう?いかに学ぶか、いかに喋れるようになるか、どれだけ沢山の体験を積んで人間的に成長するかではなかったのか。
これは支出を「減らす」ゲームではなく、学ぶものを「増やす」ゲームです。そして本当に考えなくてはならないのは、制限時間です。無限に滞在できるわけではないので、限られた時間無いにどれだけ成長できるかです。本当の意味で「限られている」のはお金ではなく、時間だと思います。
コストパフォーマンス
要は、費用対効果率、コストパフォーマンスでしょう?
一回100円払って100ポイントの効果を得られるのに、一回70円にケチって50ポイントの効果しか得られなかったら結局その方が損です。英語の上達なんか数値化できないけど、仮に1000ポイント貯まったらゴールとすれば、100円ベースだったら10回1000円で目標達成です。でも70円の場合は、1000に達するまで20回必要になるから、結局1400円かかるし、時間も2倍かかって大損だということです。もっとも70円で120ポイントという美味しい場合もあるでしょうから高ければ良いというものではないです。要は「効果」が幾らかです。そしてそれが見えない or 考えようとしないのだったら価格だけいくら考えても無意味です。それは価格だけでパソコンやスマホを選ぶ場合に置き換えれば分かるでしょう。
そしてこれは机上の空論ではなく、
学校に申し込みながら途中から登校しなくなる留学生って意外と多いと言います。また、半年以上通っていながら未だに初級クラスという日本人も結構ききます。また、これは学校に限らず全てのこと(シェアとかアクティビティとか)に関わります。シェア代10ドルケチって不愉快な住まいで鬱になるのと、10ドル余計に出して愉快な環境で一生の友達が出来るのとどっちがいいか?です。週10ドルって800円ですよ。1日110円。缶コーヒー一本もない。
選ぶときのコツは、
まず最初に、全部同じ値段(or全部無料)だったらどこが良いかを考えることです。価格をとっぱずしてしまえば、真剣に質だけ考えるようになります。それで順位をつける。その上で、第一志望のAが100円で、第二志望Bが93円だったら、「AとBの差を自分で値付けしたら7円以上か?以下か?」を考えるといいです。7円余計に払ってもそれ以上のものが得られると思えばAにすればよく、それほどの価値がないと思えば安い方でいい。
「消費」ではなく、「投資」であること
さらに本質的なことを書きます。
あなたは「何のために」、オーストラリアくんだりまでやってきたのか?です。
つまり、あなたの渡豪の本質は
「消費」なのか
「投資」なのか。
これが海外旅行やリゾートでのんびり、、というなら「消費」でしょう。
しかし、多くの留学やワーホリは、「なにか」を得るために来ている人が多いと思います。その「なにか」は人それぞれでしょうが、英語力を向上させて or 海外体験を積んで、それでどういうイイコトがあるの?といえば、例えば就職可能性を広げるとか、より高い給与を得るチャンスを広げるとかでしょう。お金に関してのみ言えば、渡豪・学費・生活費(投資)→英語・体験・人間力増強(第一リターン)→より高給での就職(第二リターン)という関係に立つと思います。
だとしたら計画時、あるいは渡豪中の日々の生活においては、
「いかに多くのリターンを得るか」こそがテーマであり、「いかに安く済ませるか」ではない筈です。英語力などの第一リターンは、抽象的な能力であり直ちに換金性をもたないので、分かりにくいかもしれませんが、でも原理としてはそうでしょう。日々の暮らしで財布や貯金残高を気にするのも大事なことですが、同時に「何を得ているのか」についてはそれ以上の配慮を払うべきでしょう。だって「稼ぎ」に来ているのですからね。昨日よりも今日、今日よりも明日、どれだけ自分の英語が上手くなったか、どれだけ知識が増えたか、どれだけ経験を積んだか、どれだけ強くなったか、どれだけ楽しいことを知ったか、どれだけ人間としてより良くなったか?でしょう。
コストパフォーマンスというのは正しいんだけど、それでもまだ「消費」に関する概念であり、本当は「投資」という点を深く理解すべきだと思います。道は長く、ボヤヤンとしててすごい分かりにくいのだけど、あらゆる意味で「より良い自分」になれるのかどうか。そのために必要な投資は惜しむべきではないし、なんのリターンもありそうもないようなことであれば、そんな支出はそもそも不要ってことになるでしょう。
視点を一気にパンして、あなたの「一生」というロングレンジで考えれば、50万とか100万とかいう額は実はそれほど大した額ではない筈です。結婚費用とか、新居の礼金敷金、新車購入、出産、子育て、さらにはマイホーム購入、老後資金などの数百〜数千万円単位のイベントに比べれば、留学費用そのものがこれらの消費税や収入印紙代くらいでしかない。
しかし、海外で長期間過ごすチャンスは一生の間にそう滅多にあるものではないです。そこでわずか数万を節約する意味がどれほどのものなのか、これは真剣に考えてみる必要はあると思います。「時は金なり」といいますが嘘です。時(チャンス)は金なんかよりももっと貴重です。本当の「投資効果=パフォーマンス=リターン」というのは、このくらいのスパンで考えるべきだと思います。
しかし、まあ、お金の問題って突き詰めて考えていけばいくほど「ゼニカネの問題じゃないな」って結論になるんですよね。これは投資でなく、消費であってさえそうです。
なぜならば、お金というのは常に「何か」を得るために払うんですから。
したがって、究極テーマは常に一つ、
「その"なにか"は得られたのか?」になります。
会社休んで、高い新幹線代払って、高い入場料払ってディズニーランドに入りました。そこまで行きながら、個々の乗り物や場内の食べ物の値段の高さにビビって、飲まず食わず何もせずで、じっと入場門のところでしゃがみこんでいたらトータルで大損でしょう?
じゃあ何をすべきかといえば、いかに「楽しい思い」をするかであり、それが支出に見合った「なにか」でしょう。「なにか」は常に"非"金なんだから、だから「ゼニカネの問題」ではなく「"なにか"とは何か?」の問題になります。
これを留学・ワーホリに置き換えれば、こちらに来たらいかにチャレンジするか、いかにサムシングを「得るか」だと思います。そしてその得られたものに比して、幾ら経費がかかり、そこで初めて費用対効果のコスパが弾き出されるのでしょう。
か〜なりくどく、しつこく、書いてますけど、でもくどく書くべきだと思ってます。
なぜなら、こっちに来ると多くの人が、「いかに生活を成り立たせるか」「いかにケチるか」に頭が行ってしまい、原点である「なにか」をスッポリ忘れるからです。英語で"make ends meet"(帳尻を合わせる、カツカツ生活する)と言いますが、これはこれでスリリングで面白いんですよね。充実感もある。しかし、手段の目的化というか、妙に面白いだけに、より本質的な「何しに来たの?」というのが見えなくなる。結果的に
ディズニーランド入場門事件が発生してしまうという。それが恐いし、それが勿体ないのです。ま、余計なお世話なんですけど。
長期の場合は授業料よりもいかにブレイクを入れられるかがポイント
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これは高等テクニックなので、口で説明しにくいのですが。
長期的に留学される場合、通学も大事だけど、学校外での生活体験や仕事体験も同じくらいの比重で大事だと考えている方、あるいは将来の就労ビザや永住権まで射程においている人は、「より長期間のビザをとる」というのが第一命題になります。
ブレイク/ホリデーというのは、語学学校において行われている慣行で、学校によってマチマチです。例えば、12通学すると最大3週ブレイクが取れるのならば、48週通えば12週ブレイクがとれます。この時点で48週分の学費で60週滞在できることになります。さらに学生ビザの規定では学校終了後にボーナスとして4週間滞在させてくれます。通学期間が40週を超えると8週くれる場合もありますし、終了時が11〜12月のときは来年3月までくれたりもします。学校のブレイクと最後のボーナスがかぶったりもしますが、実際には48週(11ヶ月)申し込んで、1年数ヶ月滞在できるという実例もあります。
授業料だけを考えるのは片手落ちであり、いかにブレイクを入れて最適化するか、そこまで考えたほうが遥かにお金の節約になります。ブレイクを12週も入れられたら、週330ドルだとしたら3960ドルも節約効果があるということですから、かなり巨大な差になります。
エージェントさんによってはここまで詳しくないところもありますので(裏技的な方法なので知らなくても無理ないです)、そこはご相談になってみたらいいと思います。
なぜ学校間でこんなに値段の差があるのか?
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それなりに理由があります。正統的な経費構造計算は
語学学校の選び方Part2 予算と授業料をご参照いただくとして、ここではもっと砕けた業界裏話みたいな雑談をします。
ちょっと経営的な話になりますが、語学学校の経費というのは、場所代+人件費(教師、事務員への給料)+広告等営業費になるでしょう。コストカッティングをして激安競争をやるとしたら、あなただったらどうしますか?一つは教師の人件費を落とし、且つクラス数を減らすことです。クラスを減らせば教師1人分の経費は浮きます(その緩衝帯として非常勤教師がいます)。教師の質が下がり、適正なレベルに基づくクラス編成が難しくなります。同じクラスの生徒間レベル差が激しいと、出来る人だけがガンガン発言して、出来ない人はついてこれないという話になるでしょう。
しかし、こんな乱暴な経費削減をしてたら品質競争で負けます。そこで経営戦略はもっと高度になります。例えば、最初から同じようなレベルで同じような指向をもった学生を集めればいいのです。「質よりも値段の安いことにプライオリティを置き」「英語レベルは初中級で会話中心を望む人」というターゲットを絞っていくとします。ゼネラルないし会話系中心、パートタイムコースや一見就職に役立ちそうなプラスアルファコースも設置、、という感じですね。こうすればコストは削減できますし、授業料も抑えられます。僕はこれはこれで、クレバーなマーケティングだと思います。
ただし、こういう学校ではやはり類は友を呼びます。最初からターゲットを絞り込んでいるのだから当然です。で、どうなるかというと、入ってみたらワーホリばっかり、そしてオーストラリアに来るワーホリで英語が特に出来ないというのは要するに日本人と韓国人ですから、学校の中が日韓ワーホリばかりになりがちです。
一方ヨーロピアンを多く集めようとすれば、彼らのニーズは日韓ワーホリとは全く異なりますから、ケンブリッジや上級コースの充実、会話系は無視、ワイルドなアクティビティ企画が必要になります。ケンブリッジやIELTSは試験結果というものが明確に出て、それがまた営業に影響しますから、授業の質を落とすわけにはいきません。一般的に言って日韓をはじめとするアジア系学生の好む学校は安めの学校もあるのですが、ヨーロピアン系の学校はおしなべて高いです。
こういった偏りを避けて、満遍なくバランスを取り、全方位対応の品揃えにするとなれば、どうしてもコストがかかります。また、世界各地に営業展開する経費もかかります。営業部長は営業のために世界行脚をし、フランスに行けばフランス語のパンフを置き、チェコに行けばチェコ語、ベトナム語、タイ語、日本語、、、と印刷経費だけでもバカになりません。そのコストは授業料に跳ね返ってきます。
さて、ここで別に日本人ばっかりでもいいという人もおられるでしょうし、それじゃ物足りないという方もいるでしょう。求めるものが多くなれば、それなりにコストがかかることになります。低廉な週200ドル代の学校と、350ドル以上の大手学校との差はそこにあります。別に高い所がボロ儲けしてるわけでもないし、安い所が粗製濫造してるわけでもなく、それなりのマーケティングと経済的合理性があるということです。全く質が同じだけど料金が安いということは、どっかの篤志家が私財を投げ打ってボランティアで学校をやってるとかいう特殊事情でもない限り、原則としてありえません。
安物買いの銭失いパターン/4週間だけ通学してモノになるのか?
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例えば、それほど英語が出来ないのに、ワーホリで来て予算の関係で一ヶ月だけ学校に行くようなパターン。このパターンは本当に多いですし、日本に居る頃は「一ヶ月も現地でやってれば相当出来るようになる筈」という幻想を抱くのも分かります。僕も昔はそんな甘いこと考えてました。しかし、多くの場合、4週間という時間は、生活的には「一応現地に慣れる」ことに費やされ、英語的には「いかに英語をナメていたか思い知らされる」期間だったりします。4週間かそこらで英語が出来るようになるんだったら誰も苦労してません。12週間でさえ、「一応勉強の軌道に乗る」くらいだと思います。
これは言うべきことが多いので別にページを起こしました。
→通学期間についてを参照。
ここで言っておきたいのは、
学校で6年も英語やってきてダメだったのが、わずか4週間で何とかなるわきゃないでしょう?ということです。しかし、悲しいかな、多くの場合、そのあまりにも当たり前の冷たい現実に気づくのは、現地に着いてからだったりするわけです。これからオーストラリアに旅発たれる方、悪いことは言いませんから今のうちに少しでも英語を勉強しておかれるといいです。どんな些細なことでも後できっと役に立ちますから。渡豪までの英語の勉強の詳細については、
「渡豪のための英語の準備と勉強方法」をご覧ください。
いわゆるプロモーション(割引)について
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どこの学校も多かれ少なかれ何らかのプロモーション/割引をやっていたりします。大学系とかはタカビーだからやらないけど(ブランドに惹き付けられる消費者が常に居るからでしょう)、競争激しい民間学校では、時期によってあれこれやってます。
なかには年がら年中激安キャンペーンをやっていて、「定価で入ってくる人なんかいるの?」という学校もあります。あと、国籍によっても違いますし、そもそも国籍によって料金が違うということも普通にあります。ズルイようで実質的公平を計っているわけですし、一律でやってしまうとどうしても金持ち国ばっかになるという弊害もあります。というか、今は日本人が少ないので、日本人だと逆に安くなるというパターンすらあります。
但し、あまり過剰に意識しない方がいいです。
学校の選び方というのは、まずお金の面を無視して、自分の好きな学校を決めるのがコツです。第一志望、第二志望とわけ、さて第一志望が380ドルで第二志望が350ドルだったら、第一と第二の品質の差は30ドル払っても得るべき価値があるか?という問題の立て方をすると分かりやすいですし、決めやすいです。
もともと意中の学校がたまたまキャンペーンやってたらラッキーですが、そうでないから志望を変えるかどうかは、これと同じく「差額○○円払ってでも得るべきものか」という発想でいくと決めやすいと思います。