仕事の探し方 〜日系職〜その他編
ジャパレス以外の日系の仕事は、手に職系だったら美容師さんとか、マッサージ、エステで働いていた人もいましたね。IT関係の仕事をしていた人もいます。あと、旅行関係ではJTBなど代理店、ガイドさん、お土産物屋もあります。オパールなど宝石関係の販売というのもあります。飲食関係ではレストランではないけど、生鮮や日本輸入食材の卸しの仕事。日豪プレスなど現地日系コミュニティ誌に編集や営業もあります。シドニーに支店を構えている日系企業内のオフィスワークというのもありますし、アメックスのコールセンターなんかよくあります。
仕事なんか数え上げていけば無数にあるのであり、別にジャパレスが全てではありません。が、ジャパレスほど回転が速く、大量就・離職しているわけではないので、数撃ちゃ方式ではなく、きちんと求人を見た方がいいかもしれません。ただし、これまでのスキルとキャリアがあるなら、自分から行って良いでしょう。また、しっかりフルタイムで働いて貰いたい職種もあるでしょうから、学校と平行してやるのは難しいケースもあり、そのあたりはしっかり聞いてください。
色々な業態があるので、一括りにアドバイスはしにくいですが、あんまり職種や業種にこだわらない方がいいと思いますね。「オーストラリアで○○するのが夢」という夢は大切になさったらいいと思いますが、初期においては働くことに慣れる、とりあえず1ドルでも稼ぐという部分に力点があります。一人で2つも3つも掛け持ちして働いている人だっていますし、あまりにも対象を絞りすぎると運悪く見つからなかったときに目の前真っ暗になりますから、広く広くアプローチして、自分の幅を広げるような気持ちでやるといいと思います。
ある程度継続的な日系の仕事は、それなりに充実感もありますし、将来的に労働ビザや永住権につながる可能性もあります。面白いんだけど、ちょっと冷静に、引いて考える必要もあります。体験談などを読むと(僕はダイレクトに聞いているけど)、やっぱりラウンドでの経験というのが圧倒的なんですよね。シドニーでの経験なんか3行で済ませている人だっている。これらある程度持続的な日系の仕事というのは、一旦就職したら中々辞めてラウンドに出る機会がなくなってしまうというデメリットもあります。人それぞれだとは思いますが、基本的なプライオリティが「日本で出来ない体験をすること」だった場合、本末転倒になりかねない。そして、日系の仕事=スタッフもお客さんも取引先も日本人だったりした場合、「新しい経験」「スキルの上昇、キャリアの獲得」という意味では、意外と獲得ポイントは低かったりするのですよ。オーストラリアの日系社会内部での職歴が、日本に帰ったときにキャリアとしてカウントされるか?というと、微妙でしょ?(まあ、ケースバイケースだけど)
一概には言えないのだけど、最初の数ヶ月の学校通学期間は、文字通りカジュアルジョブで過ごしつつ、終わったら速攻でラウンドに出て、戻ってから中長期的展望をもとにこれらの仕事に挑戦するか、あるいは同じやるにしてもシドニーではなくメルボルンでやるなど、都市を変えてみるのも一興だと思います。
プチ起業する
雇われずに自分でやっちゃえというパターンもアリです。まあ、「起業」というほど大仰なものではないですが、フリーランスのデザイナーやカメラマンなど、雇用契約というよりは請負契約に近い形態だってあるでしょう。
美容師やマッサージなどダイレクトにお客さんと接する人は、自分でどんどん広告を出してダイレクトにお客を取る方法もあります。英語が堪能だったら、通訳翻訳などの仕事もあります。自分の通ってる学校の掲示板に広告を貼らせて稼ぐする人もいます。出張する人もいます。この種の「訪問サービス」形態というのは、オーストラリアでは結構普通だったりします。例えば自動車免許を取るための教習も、インストラクターが車に乗って家まで来てくれます(逆に、”教習所”という施設はない)。ピアノのレッスンも、先生の家にいくか、あるいは来て貰うかです。ですので、「そんなこと、、、」と尻込みしないでいいですよ。そして、これは次項で述べるローカル市場に通じていきます。そうです、散髪やマッサージなど別に客が日本人でなくなって良いんですよね。電話もらって住所聞いて、トコトコ出かけていけばいいんです。さて、ここでシェア探しでの苦労した経験が生きてきます。英語の電話で住所を聞き取り+一人でそこまで辿り着くといスキルです。もうそのくらい楽勝でしょ?
仕事の探し方 〜ローカル編
「ローカル」というのも変な言い方ではあるのですが(現地の仕事だったら全部”ローカル”なんだから)、ここでは「日本語、日本人、日系コミュニティ以外のモノゴト全般」程度の意味です。仕事でいえば、ボスやスタッフ、顧客の全てが日本人以外であり、日本語が一切通用しない仕事です。まあ、現地人的にいえば、オーストラリアの99.7%はローカルであり、いわばこっちが本来の姿です。しかし、多くの人は英語の壁に激突しますので、ついつい日本語で求職活動や仕事ができる日系仕事に行きがちであり、100%英語(or非日本語)環境のローカルジョブはどうしても高嶺の花的な意味合いも持ちます。
しかし、せっかく外国に来たんだから出来るものなら挑戦したいですよね。でも、どんなに英語が出来ない人でも(ABCすらマトモにかけないレベルであっても)、語学学校で4か月ミッチリ勉強すれば必ずしも夢ではないです。というか、なまじ適当に日系コミュニティがあったりするから、そっちに目がいくだけの話で、日本人が全然いなかったら否応なくローカルジョブにならざるをえません。草創期のワーホリ先輩達がそうであり、また現在でもラウンドして各地で仕事を探す場合、ローカル仕事以外殆どありえないでしょう。
ところで、オーストラリアの中で日本人が最も多いシドニーですら、日本人の相対比率はメチャクチャ少ないです。以前、
今週のエッセイ305「永住権の近況」(
別窓)でもちょっと紹介しましたが、オーストラリアのセンサス統計によると、2006年における自宅での使用言語(その人にとっての第一言語)ランキングのうち、日本語は27位です。サモア語やポルトガル語に負けてマルタ語に勝ってる程度。このセンサスデーターは回収総数364万件で、シドニー人口420万よりも少なく、多少実数とズレます。また日本人でも家で日本語を喋ってない人、日本人以外でも日本語を喋ってる人もいるでしょうが、ま、でも大体のことは分かるでしょう。総数364万件中、日本語は10958件。比率にしたら0.3%です。ちなみにシドニーで喋られている言語総数はなんと280言語以上もあります。もの凄いマルチカルチャルな都市だというのがお分かりでしょう。
ぶっちゃけた話、このわずか0.3%というのが現地における日本人の存在感であり、日系市場の規模です。日本人は、シティにはやたらいるけど(観光客が多いし)、シティからほんの1−2キロ離れただけで、もう探す気にもなれないくらい居ません。こんな極小市場で仕事を探しているよりは、残りの99%以上のローカルという大海原の方が選択肢が豊富なのは理の当然であり、比較するのも愚かなくらいです。しがたって、「ローカルジョブはこう〜」という一般論は無いです。あまりにも範囲が広大すぎて共通の法則性なんか殆ど見出せないです。
。。。。と言いつつも、幾つかのTIPSを。
飛び込み営業方式はローカルこそ本場
求人広告を待たずに、自分から「仕事ないですか?」と飛び込んでいくやり方ですが、これはもともと僕がオーストラリア人の友達に教えて貰ったことです。カジュアルジョブ程度だったら、「チマチマ求人なんか探してないで、いきなり行けばいいじゃん?」と。考えてみれば赤の他人に話しかけることについて、今の日本人とは比較にならないほどバリアの低いオーストラリア社会の場合、むしろその方が自然なんですよね。皆もやってるし、店も慣れている。だから面倒臭い求人広告なんか出さないで済ませているし、それで廻っています。たまに店先に求人の貼り紙があるところもありますが、そうでないところの方がずっと多い。また、
SEEKなどの地元の求人サイトを見ても、パーマネントジョブである正社員系が多い。レストラン業で探しても、マネージャーとかシェフクラスの求人で、個別のウェイターレベルの求人は殆ど見あたりません。
このような社会においては、「数撃ちゃ」方式は日系市場以上に強力に健在で、そのオーストラリア人の友達も、「まあ、100件くらい廻れば一件くらいひっかかるんじゃない?It's easy!」と言ってました。というわけで、ペラ一に印刷した履歴書を山ほどコピーして新聞配達のように廻ってくればいいです。"Hello! How are you? Can I talk to your manager please?"と陽気に乗り込んでいって、履歴書を置いてきたらいいです。
このやり方は、ボランティア捜しや売り込み、ラウンド中での仕事探しなど あらゆる局面で有効ですから、一度慣れておくと後々強力な武器になりますよ。
ヨーロピアン・ワーホリ&バックパッカー向けの情報センター、情報誌の活用
情報センターというと日系のものを思い浮かべますが、このシリーズの冒頭にも書いたように全ワーホリ、全バックパッカーの中で日本人の占める割合は小さいです。何倍もの数の、イギリスやアイルランドなどヨーロピアンのワーホリが来ており、数の多さからいって彼らに対するビジネスは一分野をなしています。
TNTや
WORDという、オーストラリアのバックパッカー向けのフリー雑誌(WEB)があります。
これらのフリー雑誌を見ると、彼らヨーロピアンワーホリ向けの色々な仕事探しのための情報が載っており、また情報センターの所在や、仕事の斡旋をするジョブエージェントの広告が載ってます。特にイギリス人などの英語圏ワーホリは言語バリアがゼロだし、国のシステムが似てるので資格の横滑りが出来る余地も広く、ワーホリといいながらも看護婦系の仕事が充実しています。他にも会計士、弁護士などの仕事もあり、時給数十ドル単位で稼いでます。しかし、そんな高級職でなくても、参考になる部分はあります。
仕事関係の掲示板で一番お手軽なのは、シェア探しでも活用する
Gum Treeという無料掲示板のジョブコーナーでしょうか。ただしこの掲示板の通弊で玉石混淆なんですよね。「仕事求む!」系の個人広告や、ジョブトレーニングの広告なんかもかなり混じってたりします。
起業系、フリー系
”起業”系はローカルでも有効で、美容師さんとかマッサージだったらトライしてみる価値はあるでしょう。ただ、業界によっては資格とか保険の関係もあるでしょうから、同業の先達にレクチャーを受けるといいかも。また、美容師さんのミラー貸し、マッサージのベッド貸しという営業形態があります。これは、美容室の椅子一つ分、マッサージ屋さんのベッド一つだけ借りて個人営業するものです。そこでの取り決めは様々で、固定で賃料を払う場合もあれば、出来高払い(50%を払う)なんてケースもあります。十分に顧客が着いたら、独立して電話一本での出張サービスをすると。
ピアノその他のレッスン系もよくありますね。犬の散歩(Dog Walking)やっていた人もいます。この種のヒントは、自分の住んでるサバーブのコミュニティセンターや駅前などの掲示板を見るといいですよ。オージー同士の「売ります」「イベント告知」「シェア募集」などの広告に混じって、「教えます」「芝刈りやります」系の広告があります。
実例
僕がこれまでお世話した人の中でも、ローカルジョブをやってた人は数え切れないくらいいます。カフェ、レストランは普通にいますし、犬の散歩やケアをやってた人もいます。また、韓国系に多いのですけど、清掃系の仕事(映画館やオフィス、家のクリーニング)を、学校で知り合った韓国人の友人に紹介して貰ったケースもありました。手に職系は、バリバリのメカニックとして自動車整備工場で働いていたり、あるいは特殊な技術を要する鉄鋼ワイヤー工場で働いている人もいました。出張系の美容師、マッサージもあります。ジョギング方々、ポスティング(郵便受けにチラシを入れていく)なんかもありますね。土産物屋、ホテル、イスラエル人のやってるコンビのレジ打ちなんて人もいました。前にも書いたと思いますが、厩舎で馬の世話をやってた実例もあります。
ラウンドのことはラウンド編で書きますが、ラウンド中にファームジョブ以外の仕事をする人も結構多いですよ。それこそマクドナルドやら、IGA(スパー)でのレジ打ち、バーでのグラス磨き、食肉加工工場、そういえばウールワースのトロリー(ショッピングカート)集めのバイトをしている人もいました。でも、よく考えてみると、これらの仕事って、別にラウンドしなくたってシドニーでもゲットできるんですよね。ラウンドしているという気分の高揚と、これまで一人で旅してきたという自信があるから、ガンガン挑戦できるわけで、要は気の持ちよう一つだということです。
ちなみにちょっと先走りますが、
次章(9-1:ラウンド)において、都市部での仕事探しの実例を
皆さんの直筆体験談から抜粋していますので、興味のある人はごらんになって下さい。いちいちリンクで飛ぶのが面倒かもしれないので、重複を恐れずココにも掲示しておきます。
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