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語学学校の選び方
 Part 4:コースと目的 IELTSとケンブリッジ





4 : コースと目的


 語学学校のコースには、一般英語コース(ゼネラルイングリッシュ、EGP=English for Academic Purpose)のほかに、進学コース(アカデミックコース、EAPあるいはIELTSコース)、ビジネス英語コース、ケンブリッジ検定試験受験コース、その他の試験コース(TOEICなど)、高校編入準備コースなどがあります。

 もっとも、入学初期においては、95%の人が一般・ゼネラルコースになろうかと思います。
 ゼネラル以外の専門コースに入るためには中上級以上の英語力が必要とされます。入るにあたっては入試もあります。これらのコースは、基礎レベルを修得したことを前提にしますので、4スキルズに不足の点があったりバランスが悪かったりしたら、まずはそこからやりなさいと言われます。

 そして、最初からそのレベルまで達している人は、日本人の場合、実は非常に少ないです。以前TOIECで860点以上クリアしている方が来られましたが、それでも進学コースに入るのを拒まれたという事例もあります。ある程度知識はあるけど「温まっていない」と。つまり、実戦経験が乏しいので英語を自分の言葉として喋るまでに至ってない。まずはウォーミングアップでゼネラルをやりなさいということですね。逆に現地で数年以上の滞在経験があって、オーラルはそれなりにこなしても、文法などツメが甘い人は、同じく基礎をもうちょっと固めなさいということになります。かくして、多くの場合は最初はゼネラルで地力をつけ、後々意向に応じて進路を変えていくということになります。

 ところで、次章の5.現在の英語力で選ぶに詳しく述べますが、英語の発展段階に応じて学校に求める機能は変化するでしょう。最初の段階では海外生活それ自体に不慣れですから、まずは日常生活や精神の安定が大事です。また英語スキルという点でも、中高生時代に覚えてきた知識を実際に使って身体に馴染ませていくプロセスが不可欠です。「知ってるけど使えない」という段階を克服することです。この場合は、学校の居心地=いかにのびのびと自分を育てるか、という幼年期教育のような環境こそが大事であり、前章の3.学校の雰囲気につながります。相互に密接に関連しているわけです。

 さて、幼年期を脱し、少年期になると、今度は逆に「中だるみ」の危機が訪れます。レベル4からレベル5に中々上がれない症候群です。これをいかに克服するかがポイントになり、一転してやや厳しめの環境、初心を思い出させてくれる環境が好ましいです。これが学校選びにも反映します。

 以下、各コースの解説をしますが、これらの多くは上級者向けのコースであり、後半戦のプランニングです。


@.進学準備コース(EAP)、IELTSコース


 もっぱらオーストラリア国内の大学、専門学校への進学を目指したコースで、EAPコース、IELTSコースなどと呼ばれます。

 IELTS(”あいえるつ”と読む)というのは、イギリスやオーストラリアで最もポピュラーな英語検定試験であり、大学、専門学校、あるいは永住権の審査などあらゆるところに登場してくる試験です。進学コースというのは、とりもなおさずこのIELTSのための受験勉強コースだったりします。

 IELTSは、いわゆる4スキルズといわれる、Reading, Writing, Listening, Speakingが均等に試されます。その意味で、もっぱらグラマーや、Reading、ListeningがメインのTOEICやTOEFLと違います。こちらの語学学校にはTOEICコースもありますが、下記に述べるように、正規のコースというよりはパートタイムや夜間で、しかも2週間程度だけという場合が多いです。これに対し、IELTSコースは正規のフルタイムコースで最低でも4週間からということで、かなりガッチリやります。IELTS試験で要求されるのは、文系理系それぞれにキチンと通用する論文作成能力であり、いわゆるエッセイライティングです。またリーディングの内容も、ある程度専門的なものが出ますし、数十行にわたる長文を殆ど読み返ししないで一気に理解できるだけの読解力が求められます(読み返してたら時間が無くなる)。

 なお、IELTSには、職業訓練や移住など一般目的のゼネラル・モジュールと、進学を対象したアカデミックモジュールの二種類があります。一般にビザ系はゼネラル、進学系はアカデミックと言われてます。そんなことはいよいよ受講・受験する際にリアルタイムに相応しい方を選べば良く、今のこの時点で考えることはない、というのが僕の意見です。現に僕は永住権目的でしたがアカデミックで受けましたし。その当時はアカデミックの方がむしろハイスコアが出しやすいので有利と言われてましたし、アカデミックの硬いトピックの方が、法律文書を書き慣れている人間としては、むしろ攻略しやすかったからです。だから、いざ受験の際のリアルタイムの傾向や個人の向き不向きで決めれば良く、いずれにせよコースに入れば幾らでもアドバイスが受けられますから、今の時点であれこれ考えることはないと思います。

 英語の総合力を試すには良い試験なのですが、それだけにハードですし、付け焼刃では通用しません。英語に関する基礎的なレベル、つまり文法上で分からないことがあるとか、スピーキングがたどたどしいとか、そういったものは全てゼネラルで習得すべきであり、進学コースは、それら基礎力は十分に習得してきたという前提の上で、IELTSというハードな試験においていかに自分の実力を表現するか?という点に眼目がおかれます。

 そして、そのコースの実質的内容は、もっぱら読み書きがメインになります。特にライティングは、他の3スキル以上に鍛えれば鍛えるほど伸びます。IELTSで求められるライティングは、エッセイライティングという起・結・承・転・結のフォーマットに即し、簡にして要を得た切れ味鋭い論文作成であり、日常生活ではあまり使わない英語表現です。したがって普通に海外に暮しているだけでは伸びず、特別に練習しないと伸びませんし、やればやっただけの効果があります。

 例えば、リーディングとライティングは、IELTS本家のページのサンプル問題のページにありますが、かなり歯ごたえがあることが分かるでしょう。ゼネラル問題ですら全然楽ではないです。リーディングの長〜い問題が書いてますが、よく読んでみたら、これ全部を20分でやらねばならないのですから(60分3セクションのうちの1セクションだけのサンプル)。

 ライティングにいたっては、

『新しい技術の勃興によって伝統文化が衰退するのは避けがたく、どちらも維持しようというのは不可能だ』---という主張について、あなたはどの程度賛同するか。そしてその理由について自分自身の経験や知識を用いて論ぜよ(40分)

 というのはハードですよ。日本語で書けと言われても攻めあぐむと思います。

 これがゼネラルモジュールになったところで、

 「法律によって公共場所で喫煙を禁止することは良い考えではあるのだけど、一方では我々の自由に対する制限にもなる--という主張について(以下同じ)」

 という設問に変わる=トピックが多少雑談めいたものになるだけで、特に簡単になった感じもしない。英語以前に論理的な読解力や、論旨展開、組み立て能力が必要とされます。だから、「普通になんとなく暮してても伸びない」というのはそういうことです。

 一方相対的に楽なはずのリスニング試験やスピーキング試験も舐められません。かなりのボリュームをやらされますので、誤魔化しもきかず、きっちり実力が出ます。感じの出てるサンプルがYouTubeにありましたので紹介しておきます。


 ↑左側がリスニング試験。電車の中でカバンを盗まれた女性が、遺失物案内所に電話して届け出ている電話会話です。内容そのものは聞き取りやすいのですが。聞いたそばからメモしていってあとで設問に答えねばなりません。正確に、そして確実にフォローする必要があります。僕が昔受験したときは、レンタカーのカウンターでの会話でしたね。住所のスペルやパスポートナンバーとか必死に書き取ったのを覚えてます。

 右側に埋め込んでいたスピーキング試験の動画がいつの間にか削除されていたので、別のものを上げておきます。
 わりと基本的な感じで進んでいます。You-Tubeに行くとキャプションの選択が出来、字幕を出すことも出来ます。

 スピーキングは大体こんな感じになごやかに進みます。ここにあげたのは出だしの部分で、まずはウォーミングアップです。そして「課題をあげるから1分間だけ考えてください」ということで本題に入っていきます。結構流暢に喋れているじゃないかと思うかもしれませんが、受け答えが出来ればいいというものではなく、質問に対してより深く、ビビットに答えられるかどうかも見られています。ここでも論旨を明快にして自分を表現するという、英語以前のコミュニケーションスキルが求められます。

 ただ、リスニングにせよスピーキングにせよ、これはライティング等とは真逆に、「こちらに暮してないと伸びない」分野です。リスニングなど典型的で、僕が一括パックでやってるシェア探しそのものです。電話で住所その他の重要な情報を的確に聞き取るというのは、日常的にやってないと慣れないです。また、スピーキングも、日頃から英語で色々なことを喋ってないと難しいでしょう。逆に言えば、スピーキング等は学校よりも日常が決め手であり、学校ではその地力をいかに試験用に整えていくかという調整でしょう。したがって、コース内容としては、どうしても読み書き系がメインになるし、またメインになるべきでもあります。

 以上、IELTSコースをぶっちゃけて言えば、ハードであり、濃くもあるのだが、もっぱら読み書き中心であり、ややもすれば退屈なコース、ということになるでしょう。退屈かどうかの感じ方は人それぞれでしょうが、ゼネラルコースのように授業中にゲームをやったり、楽しいやりとりがあってどっと湧く、、という感じではないです。日常会話で即戦力になるかというと、言い回しが堅苦しいのでその種の即戦性もないです。

 ただし、このIELTSこそが「英語を勉強して未来を開く」という意味では最もダイレクトに影響します
 第一に、語学学校卒業後、オーストラリアでの進学や永住権などの進路において必ずといっていいくらいに要求されるのがこのIELTS試験のスコアです。2012年現在の永住権は一般にIELTS6点取らないと申請することすらできません。要求スコアが取れるために1〜2年以上延々と語学学校に通い続ける人もいますし、ついに規定点に達せずに涙を飲んで帰国する人も多いです。言うならば天国と地獄の別れ道になる運命の門がこのIELTSです。

 第二に、IELTSで勉強する「堅苦しい文章」というのは、海外生活が深化するほどに必要になってきます。「ビシッとしたスキのない文章が書ける」というのは就職においては必須スキルですし、また日常生活でも権利関係にまつわる事柄はビシッと文書にしなければなりません。勉強や遊びだけだったら必要はないのですが、一歩先に進めばいきなり必要になってくるということです。

 多くの日本人の場合、いきなりこのコースに入るのは難しいでしょう。学校によって、IELTSコースのレベル設定もマチマチですし、また最終目標が専門学校(IELTS5点程度)なのか、大学なのか(6.5点−7点、かなり高度な言語能力を求められる法学部などのコースの場合は7.5点)によっても違います。IELTSコースが充実している学校の場合、IELTSだけで2レベルも3レベルも分かれています。一般にIELTSで1点あげようと思ったら語学学校1年通学が相場と言われてますから、IELTS5を目指すクラスと、IELTS7を目指すクラスとでは、レベルが全然違います。

ダイレクトエントリー

 なお、語学学校によっては特定の大学や専門学校と提携していて、当該英語学校の特定のコースを修了すれば無条件にその大学に進学できるという、いわゆるダイレクトエントリーをやってる場合も多いです。これは徐々に流行してきて、いまではデフォルトスタンダードのようになりつつあります。

 もっとも、ダイレクトエントリーだからといって特別に易しく入学できるというわけではなく、英語学校も提携先の大学に責任がありますから、出来ない生徒にお墨付きはあげないでしょう。出来の悪い生徒を送り込んだら提携先から「もうちょっと鍛えてから送ってくれ」と文句を言われるでしょうしね。ですので、ダイレクトエントリーを「楽チンな近道」と過大に期待しない方がいいです。それに入学基準のIELTSのレベルなど、実際に進学したら本当に最低限であり、多少余裕で入学するくらいでないと後で泣きをみます。

 なお、ダイレクトエントリーによらず普通にIELTS試験を受験して入学するパターンも十分あり、シドニーでしたら、IELTS試験は毎月最低1−2回はやってます。詳しくは、IELTSの本家のページから、オーストラリア、シドニーのロケーションで調べていくと、試験会場や日程が分かります。シドニーの場合は、NSW大学、シドニー大学などが試験会場として認定されています。コマメに受験してるうちに、ダイレクトエントリーはまだ認められないのに、規定点が取れちゃったという逆現象もありえます。

 また、大学の学部によっては、入学基準を単に日本の高校卒業資格だけでは足りないとして、その分補充的にファウンデーションコースに通学することを求めているところもあり、そこは大学によって違います。また、英語学校の進学コースの中でも、単にIELTS受験準備だけではなく、ノートティキング、リサーチ、プレゼンテーションなど、ファウンデーションコースのように大学に入ったあとに必要となる基礎スキルをやっているものもあります。

 ところで、大学に進学しようという人の場合、特に日本でも大学や短大を卒業して、新たにこちらでまた大学にいくような場合、どの大学のどの学部がいいか、手続はどうするか、また日本で修了した単位を認めてもらい修学年限を短縮してもらう交渉事など(担当教授や主任係官にアポとって直接面談するとか)など、全部自分ひとりの力で調べて、出来るくらいになっておいてください。こちらの大学はかなりハードです。その程度のタスクすらこなせないようでは、入ったとしてもついていけないでしょう。

 それと、脅かしてばかりいるようですが、こちらの大学の事務はかなり劣等です。もうハッキリ言い切っちゃいますが、基本的な事務処理能力が欠落してるんじゃないかと思われるくらい、いい加減だったり、嘘を教えられたり、書類を紛失されたりします。ですので、トリッキーな対応に振り回されず、多少ダメといわれたくらいではメゲないだけのタフさとしたたかさを鍛えてください。英語力、行動力、タフさの三拍子揃ったら、「行ってよし」です。

 余談になりますが、オーストラリアの大学に入学する人の相当数の割合が、永住権狙いだったりすると思います。新卒者永住ビザというのがあり、またボーナスポイントを稼ぐために、日本人が行くのは、特定の学校の特定のコースだったりします。そのあたりは、留学相談ではなく、ビザ相談から始めて、大きなグランドデザインを作って、「自分のキャリアと年齢からしたらこれらの学校」という感じに逆算していって絞られていくと思いますし、何となく行き当たりばったりでやってたら永住権はおぼつかないでしょう。



A.ケンブリッジ英語検定コース

 ケンブリッジ英語検定試験の要項は、ケンブリッジ大学本家のページに詳しく書かれています。ここからオーストラリアの指定会場や認定学校なども調べられます。

 レベルや種類により、PET(PRELIMINARY ENGLISH TEST)、FCE(FIRST CERTIFICATE IN ENGLISH)、CAE (CERTIFICATE IN ADVANCED ENGLISH)、CPE(CERTIFICATE OF PROFICIENCY)、BEC-V (BUSINESS ENGLISH CERTIFICATE VANTAGE)、BEC-H (BUSINESS ENGLISH CERTIFICATE HIGHER)、ICFE (INTERNATIONAL CERTIFICATE ENGLISH)に分かれますが、最もポピュラーなのが、FCE, CAEでしょう。とりあえずはこの二つだけ覚えておけばいいです。僕はよく「FCEで初段、CAEで二段」と言いますが、語学学校でケンブリッジコースがある場合、まずこの二つになるでしょう。これがないのにCPEだけあるということはまず無いと思います。

 試験科目は、4スキルズに加えて、Use of Englishという文法科目があり合計5科目。各40点満点で合計200点、60%以上とれたら合格で、合格者にはさらに成績別にABC評価が下されます。TOEICのように単に点数が出るのではなく、入試のように合格/不合格という形で結果がでますので、受験する側としてはプレッシャーがかかります。

 受験日はレベルにもよりますが、おおむね開講日は1月、3月、9月が多いです。3月、6月、12月の試験日から逆算して、12週前くらいからケンブリッジ試験準備コースが開講されます。

 ケンブリッジ試験も国際レベルの英検でありIELTSと同種のものですが、そのおもむきはかなり違います。
 語学学校レベルでの違いで大きなものは、国籍です。ケンブリッジはヨーロピアンが好み、このコースを受講するのはヨーロピアンの生徒が殆どです。一方、IELTSはアジア人学生が多いです。なぜかというと、IELTSはもっぱらオーストラリアの大学や専門学校への進学コースであり、オーストラリアで進学を希望するのは、大体においてアジア人だからです。ヨーロピアンの場合、ヨーロッパにもいい大学が山ほどありますから、よほどのことがないとこちらの大学に進学したいとは思わないでしょう。

 ケンブリッジ検定コースがヨーロピアンに人気があるのは、それがヨーロッパにおける英語の実力証明試験として広く認知されているからでしょう。逆に日本の場合は、ケンブリッジ検定コースは(IELTS試験ともども)、ほとんど無名に近く、もっぱらTOEIC試験(プラスTOEFL)でしょう。ちなみにTOEIC試験は世界的には殆ど無名です。

 ともあれ、ケンブリッジ検定試験は、ヨーロピアンとしてはかなり実益のあるコースになります。特に西ヨーロッパの学生の場合、もともと言語体系が英語とかなり近いこともあり、英語による日常的な意思疎通や会話では殆ど困ることがなかったりしますが、よりハイグレードな職を得るためには、なんとなく通じるだけではダメで、「キチンと、格調高く、正確に」出来ないとなりません。その証明としてケンブリッジ試験が広く認知されています。

 ここで疑問になるのは、ヨーロピアンにとっては、英語の本家本元であるイギリスが目と鼻の先にあるのに、何故にわざわざ地球の反対側のオーストラリアくんだりまでやってくるのか?です。推測するに、留学費用がイギリスよりも安いという経済的なことに加えて、第二に「遊べるから」だと思います。基本的に寒冷エリアであるヨーロピアンのトロピカルなものに対する渇望感でしょうね。彼らヨーロピアンの渡豪の感覚は、一方で実益のあるケンブリッジ検定をゲットしつつ、他方でトロピカルな自然をエンジョイしようということであり、丁度、本土の日本人が、自動車免許の合宿に石垣島に行くような感じなのかもしれません。

 それゆえ、北半球が寒くなる年末ころから、特にケンブリッジ検定コースの行われる1月初頭に、彼らが続々とやってきます。また、彼らに「遊び」要素のアクティビティを提供することも学校の営業上大事なサービスになりますから、海辺の学校が頑張ってサーフィン教室などを開いたりするわけですね。そもそも、オーストラリアのケンブリッジ検定コースが、なんで1、3、9月開講が多いのかといえば、6月開講→9月試験というのは、オーストラリアでは真冬にあたるので、お客が少ないからではないか?という気もします。

 ヨーロピアンの事情はさておき、日本人にとってケンブリッジ検定コースの意味は何かというと、日本の就職にそんなに役に立つとは思いにくい以上(日本の企業はそんなに英語に明るくないのでしょうね、明るかったらTOEICなんか基準にするわけないでしょう)、純粋に英語技能の向上であり、もっぱら日本以外での就職です。

 このくらい英語が出来るようになると、ある程度英語も楽に使えるようになっているのですが、まだまだ甘いというか、スキだらけだったりするわけです。「なんとなく喋れるようになってる」程度のレベルでしょう。そして、その脇の甘さをケンブリッジ検定コースではビシバシ指摘し、叩きなおされますから、自分の英語が引き締まっていく、キメ細かく完成されていくのは知的快感が伴いますし、まったりと伸び悩んでる英語学習に喝を入れる効果もあります。またコースは非常にハードですが、ハードな試練を一緒にやっているという連帯感や、皆揃って合格したいこともあり、ヨーロピアンのクラスメートとはとても仲良くなって、それが良かったという人もいます。戦友みたいなもんだと。


 
IELTSとケンブリッジ
 ある程度真剣に英語をモノにしようとお考えの人、そして半年以上の通学期間がある人は、是非とも最後にはIELTSかケンブリッジを受講し、一定の結果(FCE合格か、IELTS6点)を出すことを強くオススメします。それか、ゼネラルだったらレベル5以上にいくこと(学校によってその絶対レベルはマチマチだけど)。もう石にかじりついてもこの上級レベルまでは登ってきてください。ここまで来ると見える風景が変わりますから。将来の展望も、漠然とした夢ではなく、シリアスな計画として見えてきます。人生設計もできるようになってくる。もちろんこの程度では、本物の現場ではまだまだヒヨッコ扱いですが、それでも土俵に上がらせて貰えます。また、ここまで技術を身につけたら、あとは錆び付くことはあっても、それほど落ちません。とりあえず英語を「モノにする」という分水嶺はココにあると思います。

 IELTSがいいかケンブリッジがいいかですが、これは試験の性格と、あなたの将来のプランに関わるでしょう。進学や永住を考えている人は、遠からずIELTSの壁がバーンと立ちはだかるでしょうから、IELTSの方がいいでしょう。しかし、特にそういう予定がなく、英語を磨きたいという人は、ケンブリッジの方がいいと思います。なぜならIELTSは、前述のようにややアカデミックに偏っているので、オールラウンドに伸ばしたかったらケンブリッジの方が向いているからです。



B.ビジネス英語コース


 ビジネスコースも人気のあるコースなのですが、IELTSやケンブリッジのように内容が固まっているわけではない点に注意を要します。これら試験対策コースは、試験というゴール(レベルと内容)が明瞭に見えていますので、どういうことをやるか、どの程度ハードかが分かります。

 しかしビジネスコースと銘打っているコースは、「ビジネスコースには○○と○○をやる」という統一されたインデックスがありません。したがってカリキュラムに何を盛り込むか、どのくらいレベル設定でやるか、どのあたりをゴールにもっていくかは、各学校次第、DOS(Director of Study=教務主任)次第です。ですので、僕としても、「ビジネスコース」一般としての解説も推薦も非常にやりにくいです。ほんとマチマチですから。非常に優秀なコースカリキュラムをやってる場合もあろうし、取って付けたように「やってまーす」みたいなコースもあろうし。

 ところで、僕も海外でビジネスやってますし、英語で意思疎通する機会も多いですが、別にビジネス英語コースを取ってないし、またビジネス学校にも行ったことがないです。シドニーで働いているほかの日本人にしたって、アンケートを取ったわけではありませんが、知ってる範囲で言えばビジネス英語コースなんかやってないんじゃないかなあって思います。だから、英語でビジネスをやるのにビジネス英語コースというのは本当に必須なのだろうか?という、ものすごい根源的なところで「むむむ」と思ってしまうわけです。

 実際こっちでビジネスやる場合に何が必要かというと、あくまでもゼネラルな英語力です。基礎力がしっかりしてたらそれで差し支えないと思いますね。いま日本で働いているあなたは、いったい一日の間にどれだけ「いわゆるビジネス的な言語能力」を使ってますか?会社の同僚、取引先との電話、クールに見ていけば、その殆どが一般会話です。かしこまった言い方なんてのも、要は「正しい敬語の使い方」であって、ビジネス特有のものでもない。いわゆる雑談とか世間話は営業マンにとっては非常に大事です。「いやー、なかなか涼しくなりませんねー」「桜ももうすっかり散っちゃって」「最近ゴルフに凝りはじめましてね」とかそんなこと喋ってるでしょう。

 結局求められるのはキチンとした日本語(敬語、てにをは、要領を得た話し方、そして如才なさ)であって、格別のビジネス的用法などそれほど無いです。「謹啓、薫風の候、貴社益々御清祥のことと御慶び、、」なんてのはパソコンにあらかじめ入ってる手紙定型分を呼び起こして、名前と日付を変えてるだけって気もしませんか?だとしたら、基礎力の精錬しかないじゃないか、IELTSでカッチリしたものを学ぶか、ケンブリッジで鍛えられるかするのと変わりないじゃないかと。実際、現場のビジネス社会に一番近いところ(就職可能性)にいるヨーロピアンがこぞってケンブリッジを受けているわけです。

 それに考えてみたらわかるように、「ビジネス」という名前のビジネスは存在しません。実際には、その業種、職種、細かく言えばその会社会社によって、使用するボキャブラリや言い回しが自ずと決まってくるのであり、ホテル業界も、証券業界も、法曹界も、製造業もひっくるめて統一的な言語体系があるわけではないともいえます。

 それらの最大公約数をやろうと思ったら、いわゆるビジネス的なややかしこまった語法による電話の受け答えであったり、FAXや手紙の書き方だったりという形式的な部分になっていくでしょう。しかし、その程度だったら市販の教材で十分だろうし、あるいはそれすら要らないのかもしれません。実際にあなたがどっかの会社に入って現場に立ったら、もう現場で覚えるという感じになると思います。一般的な商用文例集などは殆ど役に立たず、先輩たちが書いたFAX文などを探してきてそれを盗んだり、自分のパソコンに一定の類型ごとに入れておいたりしてやっているのが実情なのではないでしょうか。僕もこちらに来るにあたり、「ビジネス英文手紙の書き方」などの本を買い漁ってきましたが、およそ役に立った試しはありません。何が役に立ったかというと、実際の取引で相手から送られてくるFAXや、銀行や電話会社から送られてくるお知らせやINVOICEなどでした。「ははあ、この表現はパクれる」と自分でメモしたり して。"disregard"なんて言葉はそこから覚えました。

 こういった「生きた商用文例・教材」は、別に学校にいかなくたって、あるいは留学しなくたって、集めることは十分可能です。英語で記載されているインターネットのサイトを片端から見ていけば、実際のパブリックアドレス用の生きた文例があるわけですし、そこから自分の好きなフレーズや言い回しをパクってくれば良いだけです。また、実際の個別の手紙やメール文は、個々的に各サイトと問い合わせなどのメールのやりとりをすればわかったりもします。個々の業種のボキャブラリは、その業界のサイトにいって見ていれば、自然に覚えるでしょう。

ちなみに、役に立ちそうなサイトをちらっと探してみたら、
http://www.esl-lab.com/index.htm
などではインターネットで様々な局面でのリスニングを無料でトライすることができます。

http://www.oldandsold.com/articles10/voice-27.shtml
は基本的にはアンティークのサイトなのですが、なかなかためになるコツなどが書かれています。

http://www.askoxford.com/betterwriting/letterwriting/usefulphrases/business/?view=uk
なども面白そうです。

 ですので、「将来のキャリアのためにビジネス英語コースを」というのはよくある志望なのですが、そこまで固定的に物事考えなくて良いと思います。学校選びにおいても、「ビジネスコースがある学校」とかいう形で探すべきでもないです。前述のように人数の関係で開講されない可能性もあるし、開講したところでその内容が全く未保証なのであまり多くをアテにすべきでもないです。今現在学校に通っていて、次のタームにビジネスコースを取ろうかどうかとお悩みの人は、前回受講した人や、担当の先生に直接聞くべきです。特に後者。勉強する予定の内容を、教材を見せて貰いつつ説明を受けたらいいです。あとどのくらいの人数で、どのくらいのレベルでやるかも。

   じゃあ、ビジネスコースって何の意味もないのか?というと、別にそんなことはないです。あれはあれで面白いし、実際非常に楽しかったという声も多いです。でも、何が良かったかというと、ゼネラルをある程度やった人が、ある程度目先を変えて新鮮味があって面白かったとか、全体のレベルが高くて引き締まってて良かったとか、あるいはクラスメートが良かったとかいう感じだと思うのですね。ビジネスコースを取る人自体、ある程度英語力があり、且つビジネス経験が豊富な人が多いし、自分自身ビジネス経験が豊富だったりしますから、これまでの仕事経験を生かして突っ込んだ内容で討論ができるなどのメリットがあります。それははっきりとしたメリットだと思います。逆に自分に全然ビジネス経験がない場合、「信用状ってなーに?」と英語以前のレベルでコケる可能性もあります。ただ、だからこそ色々身についてタメになるとも言えるわけで、そこは本人の吸収力の問題でしょう。

 題材は、商用文などのほかに、株式や先物取引の実例やら、人事事務の実際などトピック的なものも多く、なかには「それって本当に自分が将来使うのだろうか?」という実用性に疑問のあったりもするでしょう。でも実用性よりも、題材としての目新しさ、メンツの面白さこそがポイントになるのだと思います。

 総じて言えば、「将来英語を使った仕事をするからビジネス英語は必須だ」とあまり思いつめなくてもいいですし、別に英語圏や外資に就職するつもりはないから無用だというわけでもない、ということです。


C.TOEIC対策コース

 実戦英語力をはかるメソッドとしてTOEIC試験がとしてどれだけ優れているか?というとかなり疑問視する声は多いです。なぜならスピーキングやライティングという最も実戦において意味をもつ部分が試されないからです。実際、TOEICをやってる国は世界でも日本と韓国だけですし(なぜか最近フランスもやり出したらしいが)。

 しかしながら、日本に帰国したときに「TOEIC○○点」というのは、日本における就職その他で絶大な意味をもつのは周知事実です。
まあ、こんな試験に意味をもたせてる時点で、日本の企業がいかに英語というものを知らないかが露呈しちゃってるわけですが(多分社長からして喋れないんでしょう)、それはさておき、帰国の際への「お土産」としてTOEICで高得点を取って帰ろうというのは非常にリーズナブルな選択だと思います。1年こっちにいたら800点かそこらは取れなくては嘘ですから。

 そこでTOEIC対策コースがどこの学校でも開催されています。が、フルタイムでギンギンにやってるところは少ないです。「しょせんTOEICでしょ」みたいな、余芸としての扱われ方で、午後の選択科目に入っていたり、夜間コースに入っていたり、あるいは集中の2週間だけのコースになっていたりします。そのココロは「TOIEC対策なんか2週間あったら十分」ということなのでしょう。実際十分です。

 IELTSとかケンブリッジ試験は、付け焼刃の受験勉強はききません。それなりの対策は必要だとしても、基本的に誤魔化しのきかない英語力をチェックされます。しかし、TOEICは選択肢から選ぶだけの試験方式であることから、バリエーションに乏しく、結局はある程度正確な文法知識を身に付けると同時に、「傾向と対策」を徹底的にやれば、それだけで無条件に100点はあがるといわれています。2週間の対策コースというのは、この傾向と対策をみっちりやるわけで、具体的には過去問や練習問題です。毎日100問、2週間で1000問やってれば、大体のひっかけ問題パターンとかは網羅できますし、よく出る個所もわかります。ですので、それを集中的にやればよい、と。つまりは受験技術であり、受験技術をしっかりやれば点が取れてしまう試験がTOEICだということです。

 もっとも幾ら受験技術を身に付けても、基礎力に乏しかったら話にならないです。しかし、その基礎学力はTOEIC対策コースではなく、ゼネラル英語コースでやるべきであり、TOEICコースでやることといえばやっぱり受験技術になってしまうってことです。

 ですので、語学学校を選ぶときにTOEICコースの有無だけで選ぶのはあまり賢い方法ではないでしょう。TOEICコースだけだったら、どうせ夜間コースなどで他の学校、あるいは学校ですらない情報センターなどでも開催されていますから、正規の学校とのダブルヘッダーで十分可能です。2週間だけですしね。英語力をつけたいのでしたら、ちゃんとゼネラル英語コースを照準に据えて選ぶべきであり、いよいよ帰国間際になって、英語力が最高レベルになった頃にTOEICコースをやってるところを(それは自分の学校かもしれないし、他かもしれない)探せばいいです。

 ちなみにTOEIC試験はオーストラリアでも受けられますが、多くはTOEIC対策コースを持っている学校内で行われます。学校などはTOEICの組織に「TOIEC会場として試験を実施したい」と申請すれば自分のところでTOEIC試験を開催できます。わりと簡単に認められるようで、ですので多くの学校では「うちはTOEIC会場にも指定されてます」と言ってるわけですね。逆に一般のTOEIC試験がどれだけ実施しているのか実は疑問だったりします。
 なお、TOEIC対策コースの受講生は圧倒的に日本人、そして韓国人です。その両国でしか知られてない試験ですので、当たり前ですけど。

 なお、TOEICコースについては、卒業後の+α〜スキルとキャリアと攻略法 にも述べてます。

D.高校準備コース(HSP)

 HSP (High School preparation)コースは、オーストラリアの現地の高校に編入するための英語コースです。これは普通の語学留学とは全然違って、こちらの中学高校への留学の前提として設けられているものです。

 ある程度のところまでは英語の基礎ですが、実際に現地の学校に入ってもやっていけるように、「勉強英語」をやります。つまり、一般の英語コースではあまり出てこない単語、たとえば四則計算や九九を英語でやるとか、「二等辺三角形」とか、理科とか社会とか実際の授業に則して必要な英語をやります。

 これはもう中高生留学論としてやるべきなのですが、中高生留学をする場合の英語力養成は、@留学先の学校が英語補修プログラムをもっていてそこに通えば十分という場合、Aカトリック系スクールの共通のインテンシブスクール、そしてB一般の英語学校の高校準備コース、という選択肢があります。

 中高生留学は、多感なティーンエイジャーがすることから、単に英語を習得すればそれでOKという単純な話ではなく、生活面や精神面でもまだ脆いところがありますから、それについてのサポートがどれだけあるかというのが選ぶにあたって基準になろうかと思います。親御さんの立場でいえば、まずその学校に日本人のカウンセラーが常駐していること、そのカウンセラーがあなたから見て(実際に会ったり、話したりした感じとして)信頼できそうだし、相談しやすい感じであることが大事な点だと思います。そうでないと、現地で精神的にトラブッたりしたとき、学校と親御さんとの通信連絡はすべて英語という話になり、意思疎通面に不安があります。

 あと、こちらの高校の2年生、3年生(Year11、12)は完全な進学コースになります。現地のオーストラリア人は高校一年終了時に卒業することが出来、大学進学を望む生徒だけが11,12年生に進級します。そしてこの2年間は急に難度が上がり、アカデミック重視の予備校並のハードな授業になります。そのため、この2年間だけ独立して学校として成り立たせることも可能であり(もちろん当局の認可を受けて)、語学学校の中には別エリアにこの2年分の学校を設けているところもあります。そういった学校に通えば、高校準備コース→語学学校内高校(11,12年次)というパターンになり、現地の高校には行かないということになります。このルートは、どちらかといえば現地の高校に留学するのが最終目的なのではなく、現地の大学に進学するのが最終目的であり、そのための予備校みたいな感じなのだと思います。

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 語学学校の選び方INDEX

序章 カタログショッピング的学校選びの危うさ
(1) ロケーション
(1-2) 学校と住居のコンビネーション
(2) 予算、授業料
(3) 学校の個性と居心地(規模、雰囲気)
(4) 目的やコース (IELTS、ケンブリッジ、ビジネスコース)
(5) 英語力別の学校の適性(初級・中級・上級)
(6) 上級編・本質編:何のために学校にいくのか?「結果を出す」留学〜学校の相対的比重を下げよ