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英語雑記帳


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スペリング



スペリング(綴り)は漢字と同じで、意識的に何度も練習しないと身につきません。「眺めてりゃ、そのうち自然と覚えるだろ」とナメてかかっている人が時々いますが(田村のこと)、それじゃいつまで経っても正確に単語を綴れるようになりません。意外とあなどれないのです。

なぜ、あなどれないか?というと、原因は英語の起源にまで溯るのではないかと思われます。イギリスは外国人からの侵略を受けちゃ融合し・・という歴史を繰り返していますから、英語っていろんな言葉のゴッタ煮状態なのですね。もう、外来語のオンパレード。詳しいことは知らないけど、ちょっと辞書を眺めただけでも、ラテン語起源のもの、フランス語起源のもの、ギリシア神話やらローマ神話から来ているもの等々。で、面白いことに、そういう外来語はスペルはそのままにしてあるくせに、読み方だけは英語読みに変えちゃうんですよ。だから発音とスペルが一致していない単語がゴロゴロある。

実際、英語ネイティブでも「ワタシ、スペリングは苦手ね」という人は沢山います。というか、ほとんどの人がそう言うんじゃなかろーか。シドニー大の英語の先生も、私があたった先生は皆そう言ってました。ちょっと難しい単語が出てくると、黒板の前で立ち往生して辞書引き出したりして。書いてみた時点で「なんとなく違う」のは分かるんだけど、どこがどう違うのかが分からないようでした。ネイティブもスペリングをおろそかにする傾向があるのでしょう。子供の頃から意識して練習してないから、ちゃんと綴れないんだろうな。

一般的な傾向としては、日本人はスペリング得意なのかもしれませんね。なんたって、小学校時代から漢字練習帳にお世話になってきてますから。意味なく何度も繰り返し書くという、超退屈な時間のかかる作業を、漢字習得の間にやってきてますから、「そうやって覚えるもの」というのが理屈抜きで身についているというか。あとは受験英語の恩恵もあるでしょう。

ということは、スペリングこそ、私たちが英語ネイティブと勝負に出て勝てる可能性が一番高い分野ではないか! 発音や日常会話や機微に富んだ表現は出来なくても、スペリングなら自信が持てるレベルに、比較的簡単にたどり着けるわけです。




まあ、日常生活においてはスペリングなんてほとんど必要ないんで、頑張ろうって気にもならないわけですけど。面倒臭いだけではなく、制覇しようというモチベーションがないから、なんとなく後回しにしてしまうんですよね。

じゃあ、スペリングを頑張るとどういうご褒美があるか? なんですが、うーん、あるんだろうか??

スペリングが出来ると、ネイティブから見てもちょっと知的に見えるようで、ハッタリが効くという利点はあるような気がします。少なくとも仕事探しやビジネスレターにおいては、スペルミス(英語では spelling error)がなければないほど、チャンスは広がるという傾向はあろうかと思います。

「変しい変しい○○子様、あなたはわたしの大陽です」というギャグがありましたが、確かにあんなラブレター貰ってもちょっと本気になれないかもしれない。それと同じことで、間違いだらけの漢字が並ぶ履歴書やビジネスレターを読んでも、本気で取り合おうという気にはなれなくても不思議はないぞってことでしょう。




では、スペリングの制覇術に入ります。

先にも述べましたように、ひたすら練習すること、に尽きます。新しい単語だったら絶対一度は自分の手で書いてみること。漢字を覚えた時のように、手がスラスラと自然に動くようになるまで10回くらいは練習します。ちなみに、知ってると思ってた単語も、いざ書こうとすると自信がなかったりするものなので、折にふれ手書きの英作文をしてみるのはいいことです。日記でも雑記でもなんでもいいから。

最近は学校でも職場でもコンピューターを使うようになりましたので、手書きで英文書く機会よりも、タイプする機会の方が多いと思うのですが、この英文タイプも手書き練習とは別に、タイプ練習が必要です。どんなに和文タイプが得意でも、ブラインドタッチが出来ても、スペル知らないと英文打てませんし、原稿見ながら打つにしてもタイプ慣れしている単語と初めて打つ単語では、タイプ速度が違います。手書きだとスラスラ書けるのに、タイプしようとすると「えーっと、何だったけな」と躓くのは日本語タイプと同じこと。英文タイプもとにかく練習あるのみ、です。

ところで、最近のアプリケーションは「スペルチェック機能」が付いていたりして重宝です。が、ありがちなスペルミスを自動修正してくれる機能を使ってると、自分が間違いやすいところに気付かないので、よろしくないのではないかと思います。スペルミス部分を赤線表示してくれたりする機能だと、「えっと、どこが違うのかな」と考える、あるいは調べるので、勉強になりますが。




さて、ひたすら練習していると、スペルにもいくつかの法則性があることに気付いてきます。「psych」ではじまるラテン語起源のもの、発音しない「gh」等は特徴的ですよね。また、英語には基本的に「K」ではじまる文字はないので、「knight」「knife」などはいずれも「K」音を発音しない、なんてのも学校で習ったと思います。

「ie」が続く「イー」という音は、iが先だったか、eが先だったか悩むところですが、原則的には「ie」の順。「piece」「siege」など。でも、例外もあります。いつも悩むのは領収書のレシートですが、「receipt」が正解。これはeが先に来る。なんでか?というと、類語の「reception」から来てるから、と覚えておくと楽です。「rece」までが同じで、あとは「receipt(名詞)」あるいは「receive(動詞)」という具合につながるという。
こんなふうに類語の形と関連づけて覚えると楽になることもあります。まあ、ここらへんは高校英語あたりで勉強している人も多いと思いますが。

私が発見した法則がひとつあるので自慢したいのですが(^^;)、「BとPの前のン音はNではなく必ずM」なんです。「camp」「bump」「temporarily」「consumption」「combination」「dumb」に出てくる「ン」音は、「N」か「M」かで迷うところですが、ン音の直後に「B」か「P」があったら絶対に「M」なのです。

なぜかというと、「B」「P」音は必ず唇を閉じないと発音できないんですね。この直前を「N」にしてしまうと、鼻から抜ける「ンヌ」の音を出してから、すぐに唇を閉じるという忙しい動きをしなければならず、発音しにくいのです。ところが、「M」音だと「ンム」という具合にすでに唇を閉じてあるので、楽に「P」「B」音に移行できるというわけです。
例外は外来語か地名くらいでしょう。オーストラリアの首都、キャンベラ(Canberra)はこの例外のひとつですね。

という具合に、皆さんなりの法則を見つけながらスペリングをマスターしていくのも楽しいと思います。すごい法則を発見したら、教えてくださいね!


初出99年07月26日:福島


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