偉大なる「こじつけ」パワー 連想の活用
ある記憶に連想というデーターリンクを構築することが記憶増強のキモである、という話でした。
そのためには「現場の使用実例と実体験」という情況こそが王道なのですが、そうそう実体験の現場に出会えるわけではありませんし、いちいち情況を脳内スクリーンにクリエイトするのも大変です。もっとお手軽な方法は無いか?ということですが、あります!
無理矢理にでもこじつける、という方法です。
ノーマルなリンクが張れないときは、アブノーマルでもなんでもいいから、とにかくくっつける。
ある単語を、荒唐無稽なイメージに強引に結びつけるとか、親父ギャグレベルのダジャレにしてしまうとか、何か心に強烈な印象をもたらすものとジョイントさせることです。これは奇っ怪で、ヘンテコで、くだらない方がよく覚えます。印象が鮮烈だからです。ギャグなどは、しょーもない方がいいです。全身が脱力してクラゲになるくらいのしょーもないやつ。あまりにもしょーもないので、それが逆に鮮烈な印象になって記憶に焼き付きやすいからです。
ここまで書いて思いだしたのですが、前章で紹介した「ホイホイ勉強術」の他にも、その名も
英単語連想記憶術〈第1集〉、
英単語連想記憶術〈第2集〉というのを使ってました。今調べたら、しっかり売ってました。しかも僕が読んでた30年以上前のデザインのまんまじゃないか。これって凄いのかも。
この本は要するにダジャレです。これでもか!と親父ギャグの脱力ダジャレの連発です。イラストも中々味があります。あまりの下らなさに本を投げ出したくなるくらいです。でもね、30年以上たった今でも覚えているのですよ。イラストまで再現できるという。lamentable(ラメンタブル)=「悲しい、嘆かわしい」という単語がありますが、「ラーメン食べる悲しい受験生」というのを覚えてます。algebra(アルジブラ、代数)は、「主(あるじ)ブラブラ代数を解く」。もう全編こればっか。ここまで徹底されると爽快なくらいです。30年経ってもありありと覚えているのであれば、それは所期の目的を十分に達しているということです。
といっても、この本を速攻で買ってバリバリ読まなくてもいいです。いや、読んだら読んだで役に立ちますけど、大事なのは発想=こじつけるということです。そして、こじつけというのは他人にやってもらわなくても自分でも出来ます。また、完璧(?)でなくても構いません。つまりダジャレにするにしても一字一句全て当てはまらなくても良いということです。キレイに語呂合わせが出来たとしても、インパクトが弱くて記憶に残らないよりも、半分しか語呂合わせが出来てないけど強烈なインパクトがある方が記憶に残って、結局は役に立つということです。また、なにも駄洒落である必要もありません。ケッタイなものである必要もない。要は、記憶に残りやすいかどうかです。
部分的でもよいこと まず定着させ→あとで修正
例えば、一括パックで来る人に常に最初に言うのですが、APLaCの最寄り駅のアーターモンという駅の覚え方です。駅前に「あーたー門」という「門」があると思え!と。もうどんな門のイメージでもいい、浅草の雷門でもパリの凱旋門でも、「蛤御門の変」でもいい、なんでもいいです。そーゆー門があるのだと、強引に脳内画像を作れと。このしょーもない作業で、とにかく「門」のイメージを定着させたら、あとは楽です。「あーたーもん」と全部覚えていなくても、「そういえば何たら門とか言ってたな」というのは思い出せる筈で、「門」まで思い出したら、あとは電車の路線図で最後が「モン」で終る駅を探せば良く、そんなの駅名"Artarmon"しかないから、正解に辿り着くということです。
シドニーの西北部にDrummoyneというサバーブがあります。読み方が難しく「ドラモイン」というのですが、これ、そのままの形では中々覚えられないです。だから、初めての人には「ドラえもん」と覚えろと言ってます。地図を広げて「このへんにドラえもんがいる」と。これは強烈な印象があるのか、クスクス笑いながら誰でも一発で覚えます。
しかし、ドラモインとドラエモンでは読みが違います。いいのか、そんなんで、間違って覚えるじゃないかって思われるでしょうか、いーんです。構わん。「本当は違うんだけど」という情報とセットにして覚えておけばいい。これ、けっこう簡単に出来ます。「本当はそうじゃないんだけど、ドラえもん」「あまりにも話が出来すぎているのでやっぱり嘘だったドラえもん」と。そうなると、「ドラえもんによく似た、ドラえもんそのものではない何か」という覚え方になります。いずれにせよ中途半端なんだけど、いーんですよ、中途半端で。だってゼロよりは遙かにマシでしょ?完璧に覚えようとして、結局毒にも薬にもならないイメージしか思いつかず、それで忘れてしまうくらいだったら、中途半端でもひっかかりがあった方がずっとマシです。
記憶というのは
「記憶すること」のが大事なのではなく、「あとで思い出すこと」が大事なのです。いかに蘇生・再現させるか。
思い出せない記憶は記憶じゃないです。思い出すための手がかかり=付箋のようなインデックス=があるか/ないかであり、いかに粘着力が強いか/弱いかです。美しい付箋を貼っても粘着力が弱くてすぐにポロリと取れてしまったら意味がないです。
実際、地図を見て「ドラえもんらしきもの」を探していけば「あ、これだこれだ」と見つけられるんだから、現場ではそれで必要十分だったりするのです。次項以降で述べますが、テスト用に覚えるのと実生活用に覚える場合とは違います。実生活においては教科書も参考書も見ていい。ただ教科書のどこを読めばいいのか分からない、読んでも分からないから困るって場合が多く、ヒント一発あればそれでOKってケースも多いのです。地名の記憶が問題になるような場合というのは、あとで地図で見て分かればそれで良かったりします。「確かDで始まったような気がする、、」くらいの記憶だったら、シドニーでDで始まるサバーブは、Dulwich Hillにせよ、Darlinghurst, Darling Harbour, Darlington, Denistone, Double Bay、、やたら多いから決め手に欠ける。「ドラえもんに似ている」というヒントがあったら、簡単に絞り込めます。
無から有を生じさせるのが大変なのです。ゼロだったものに何かとっかかりを作る作業が難しい。一回、それで基盤を作ってしまえば、そこをベースに修正していくのは、それほど難しくありません。
@まず定着させる→A研磨修正するという二段構えでいけばいいです。むろん、一発で完璧に覚えられたら言うこと無いですよ。でも、それが難しいなら「分割払い」です。
記憶の目的によって覚え方を変える
意外と語られていないのですが、「何のために覚えるか?」という記憶の「用途」に意識的になることです。
「発音用」「スペル用」「受験用」「実生活用」と、局面に応じて記憶術も変える。これはもうバキバキに合目的的に割り切った方がいいです。
なぜかというと、意味も、活用法も、発音も、スペルも全て一発で完璧に覚えられるケースは少ないからです。意味も知ってる、使い方も、発音もOK、だけどスペルをいつも間違えるという場合もあるかと思えば、スペルや発音は問題がないのだけど意味が中々覚えられない場合もあります。また、覚える目的が大学入試やTOEICなどの英語試験のためなのか、それとも実生活で必要だから覚えるのかという点も違ってきます。
記憶というのは覚える対象が明確でクッキリしていればしているほど定着しやすいです。曖昧でボヤヤンとしたものは覚えにくい。八方美人的に全てを要求を満たそうとすると、どうしても曖昧になってきて、結局二兎を追う者は一兎をも得ず状態になりがちです。
以下、それらの点を敷衍して書きます。
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