8−1.仕事をしよう! 仕事の効用
僕がやっている
一括パックで学校選びとシェア探しまではお助けします。シェアが決まっていよいよ移動というときに、「早くもう一本の柱を作るといいよ」とアドバイスしてます。第一の柱は学校、第二の柱は住まい(シェア、ステイ)です。第一柱の学校は、生活のペースメーカーになり、友達作りや交遊など社交の窓口になりますが、それだけでは足りないことは、これまでにも書きました。足りない理由は、学校という保護された空間では英語学習におけて大事な”実戦訓練”が出来ないこと、クラスメートはほぼ全員オーストラリア外からやってきた「よそ者」であるからオーストラリア人の現地社会に入っていく架け橋になりにくいことです。さらに社会との接点が学校一つしかなかったら、たまたま入ったクラスが気にくわなかったり、ヤな奴がいたりしただけでオーストラリアの全生活が真っ黒になってしまいます。一本脚はすぐコケる。だから、第二の柱として、実戦訓練、現地社会への入り口、さらに社会接点の複数化とリスクヘッジの意味で「良い住まい」は必要だということになります。脚を二本にしておけばまだコケにくい。
その意味でいえば、学校の友達と一緒にシェアするのは、それはそれで楽しいのですが、チャンネルが一つしかないという欠点を残したままであることに留意しておく必要があります。
第三の柱として仕事があります。別に仕事でなくても、ボランティアでも、ランゲージ・エクスチェンジでも、習い事でも、趣味でも何でも良いです。チャンネルが増えれば増えるほど、あなたの生活や精神状態は安定するでしょう。ここで一番最初に仕事を取り上げるのは、仕事には以下の効用があるからです。
@.「お金を稼いだ」という精神的効用、象徴的意味
現地についてしばらくは、ものすごい勢いでお金が減っていきます。学校の費用がドカンと消え、シェアのボンドや前家賃を払い、新生活に必要なアレコレを買いそろえていくうちに、これらの初期の立ち上げ費用で、せっかく貯めたお金がどんどん減っていきます。一貫して減り続ける預金残高を見続けるのは、精神衛生上良くないです。
単に不安だというだけではなく、次の行動へ向かう気力を萎えさせます。例えばシドニーのいろいろなエリアに行ってみようとか、ちょっと遠出をしようとか、珍しい買い物、食べ歩き、なんせ周囲は知らないことだらけですので何をやっても新鮮で面白いはずです。存分に堪能してください。それをやるためにわざわざオーストラリアくんだりまでやってきたのでしょうから。しかし、先立つものが心細かったら、行動も萎えがちです。ちょっとした交通費でも勿体なく感じたりするでしょう。出来るだけ節約を心がけ、出費を抑え、、、というのは良い心がけではあるのですが、何もしなかったら来た意味がないでしょう。来て早々いきなり守りに入ってどうするんだ、という。
仕事をするとお金が稼げます。当たり前ですけど、これが大きいのですよ。例え、安い給料であったとしても、週一日だけのバイトで額は大したことなかったとしても、「お金を稼いだ」という経験は大きな意味を持ちます。軍資金の減少傾向に歯止めがかかったということであり、曲がりなりにも”増えた”わけです。ホッとしますよ。だから例え1ドルでもいいから稼ぐといいです。1ドルと2ドルの差は1ドルだけだけど、ゼロと1ドルの差は生と死くらい違う。なんせ、”無”と”有”なんですから。
一旦それで無から有にパラダイムが切り替わったら、あとはこっちのものです。足りなかったら仕事を増やせばいいのです。それは単に量的な変化に過ぎないからそれほど難しくないです。しかし、無から有に切り替える質的転換がデカいんです。これは「仕事」を「恋人」に置き換えてみたらわかるでしょう。恋人がいる/いないの差(質差)とデートの回数が週1から週3になる差(量差)です。
「稼いだ」という事実が象徴的なターニングポイントになり、守りの姿勢を再び攻めに切り替えてくれるということです。
A.プライド〜厳しさゆえの晴れがましさ
考えてみれば学校選びなんかしょせんは「買物」です。いかに賢い買い物をするかということで腐心はしますが、お金さえ払えば誰でも出来るという意味ではまだイージーです。シェア探しはそれ以上に難易度が高いですが、それとて煎じ詰めれば「買物」であることに変わりありません。お金を払って居住権を買うようなものですからね。
しかし、仕事はこちらが売り手になります。なんせ他人様からお金を取るわけですから、今までとは質が違います。相手さんには断る権利がありますし、大多数の場合が断られるでしょう。それだけに、「お客さん」扱いをされる学校、同居人として対等に扱ってくれるシェアとは違い、頭ごなしに怒鳴られたり、怒られたり、最悪クビになる場合もあるでしょう。キビシーです。でも、金稼いでるんだから多少のしんどさは織り込み済みでしょ。日本で一人前に働いてきたあなたにとっては、よーく考えてみたら大した労働ではないはずですよ。こと仕事に関していえば、日本でやっていけたら世界のどこいってもやっていけるはずです。
また厳しいからこそやる意味があり、収穫もあります。甘くてラクがしたかったら、オーストラリアなんか来ないで自宅のコタツで丸くなってればいいんですよ。海にやってきた以上は泳げばいい。波打ち際でビビってたら、これまでの苦労が水の泡です。でもこの苦労が、現地に根を下ろして「生きている」「生活している」という実感を与えてくれるでしょう。仕事の終わった後、多少は晴れがましい気持ちで周囲のオージーと肩を並べて電車やバスに乗ってください。仕事の後の一杯は格別ですよ。
この「ささやかな晴れがましさ=達成感」が、結構大事なのだと思います。全部自分の手でつかみとったプライドです。鼻を高くしてください。誰も認めてくれないかもしれないけど、自分は認めてやってください。僕も認めてあげます。そして、「いや〜、ジャパレスっていっても、結構大変なんですよ」とシミジミ言ったりして、浸ってください。あなたにはそれをする権利があります。You earn it, You deserve it.
B.新たな人間関係と現地生活のアップグレード
職場に行けば、人間関係が出来ます。ボスや同僚、お客さんなど、会話もすれば知り合いにもなります。もちろん良い思いだけするわけではなく、イヤな思いをすることもあるでしょうけど、人の輪は広がります。あとで書きますが、ワーホリさんが最初にやる仕事はカジュアルなジョブであり、人の回転がメチャクチャ速い。最初は新米でオドオドしていたあなたも、ちょっとたったら古株になって、新米に仕事を教えてたりするわけです。どんな職場でも、休み時間には無駄口の一つも叩くでしょうし、ボスの悪口をいいながら盛り上がってください。一過性のつきあいであったとしても、それでも自分の顔と名前を覚えてくれている人がいるというのは、海外ひとりぼっちのアナタにとっては一つの救いになります。気晴らしにもなります。この気晴らしとか気分転換が、まさに第三の柱として求められる効用です。
さらに仕事にはお金以上に得られるものが山ほどあります。仮にジャパレスであったとしても、じゃあ全面的にマネージしてみろって言われたら出来ないでしょ?店舗契約から内装、仕入れ、雇用、納税、、、気が遠くなるほどの仕事があり、スキルが必要です。あなたのボスはそれをやり遂げ、日々やる続けているわけです。ボスの機嫌のいいときに聞いておくといいです。永住ビザや子供の教育なんかも。そして、「海外で日本人が生きていくこと」という実地ケースを学習してください。目の前に実例が転がっているんですよ。必ずや何かを学べる筈です。賢い人は何からでも学びます。
ローカルの仕事の場合、日本人とは違った仕事のやり方をよーく見ておくといいです。びっくりするようなカルチャーギャップがあったりします。いくら客が待とうとも、休憩時間は一分も削らないとか、またそれで客も文句を言わないとか。奥に入れば入るほど、海外生活の醍醐味が分かります。本やネットに書いていない本物が転がってます。それを見てください、学んでください。マネはしなくていいけど、オーストラリア人や西欧人の仕事観ややり方というのは、これも後々必ずや役に立つでしょう。海外駐在になった日本のサラリーマン諸氏はこのギャップに打ち砕かれ、人によってはノイローゼにもなるわけで、その現状を知ること、慣れること、それこそがスキルなのですから。
職場で良い人間関係に恵まれたら、存分に楽しんでください。ここが「未来への門」になります。ボスや同僚達と飲み会やったり、誕生パーティーやったりするだけでも楽しいですし、それをキッカケに新たな出会いもあるでしょう。また、将来への鍵を見付けることもあるでしょう(へー、そんな仕事あるんだと発見したり)。ローカルの場合は、オーストラリア人や他の国の同僚と一緒に飲みに行ったり、休日に遠出をしたり、パーティやったり、他の仕事やシェア先を紹介して貰ったり、要するにシドニーで学校に通いながら、同時並行的にラウンドをやってるようなものです。ものすごく濃い時間が過ごせるでしょう。
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