実践&食材調達編(2)
ソーセージ
これぞ本当のオーストラリア名物というくらい、どこに行っても必ず売っているのがソーセージです。BBQの友。スラングではBangerという。とりあえず腹が減ったらコレ、肉が食いたかったらこれ食っておけというくらい肉好きの男の子にはマストアイテムでしょう。
安くてボリュームたっぷり
種類も豊富にあるが、とりあえずコールズやウールワース等で売っている一番安いもので十分美味しい。
店によって微妙にパックの量や値段が異なるのだが、例えば、各商品のスーパーでの過去半年の値動き相場を知らせる「Best Price Directory - Supermarket Comparison」という便利なサイトがあり、これによると、典型的なソーセージである
Coles Sausages Country Style 560g(
別窓)は過去半年最安値が2ドル50セント、最高値が3ドル37セントだから平均3ドル弱です。これで8本入り560グラムだからキロ換算すれば約5ドルちょい、100グラムあたり40円ちょいです。
2本も焼いて、生野菜といっしょにパンに挟んで食べれば十分満足感あふれる晩ご飯になります。なんせ一本が結構デカい。一本を一枚のパンに折り畳んではさむのが不可能なくらい大きい。タテに裂いてようやく入り、ソーセージ一本でパン2枚は楽勝にいける。2本でパン4枚はいける。2本で肉140グラムに相当します。グラムでいってもピンと来ないと思うけど、日本のステーキ肉って一枚120グラム程度なのですよ。特別に分厚いステーキハウスもあるけど、普通はそんなもん。だから140グラムといえども、結構「食った〜」という気分になります。これで約60円。しかもまだ全体の4分の1しか使っておらず、あと3回(6本)出来る。つまりあとパン12枚はいける。これで3ドル。お値打ちっしょ。
オーストラリアのソーセージについての諸注意
ただし、日本ではあまり見かけない本物の生ソーセージ(燻製してない)なので若干の注意点があります。
@生肉なのでしっかり焼くこと
調理そのものはフライパンで焼けばいいだけだけど、時間をかけること。日本で売られているソーセージ(ウィンナー)の殆どは一回燻製にしてあり、火が通っている。調理済なのでそのままでも食べられるし、また焼くにしても軽く炒めればそれで良い。しかしこちらは生ソーセージが多いので(燻製モノも売っているが=見れば分るはず)、日本の感覚であっさり焼いただけでは、全然火が通らず、中はナマのままなので注意。肉に火を通すには思ったよりも時間がかかります。5分以上中火〜弱火で炒める。強火でやると外側ばかり焦げるので、じっくり中まで火を通す。これが重要!わからなかったら適当に切ってみて切断図を見てください。「ここまで火が通ってま〜す」というのが一目瞭然。何度かやるとカンドコロを覚えます。
料理のダンドリとしては、まずソーセージを焼きはじめ、チンタラ時間をかけて火を通している間に、生野菜を切ったり、パンを焼いたり(時々様子を見てソーセージをひっくり返したりしつつ)、飲み物を用意したりするといい。
A油はちょっと引けば良い
焼いているうちにソーセージの中の油が出てきます。油を入れすぎるとドロドロになる。オージー御用達のBBQではグリル状の部分もあり、そこで余分な油を落としたりするのだが、フライパンではそれが出来ない。油が少なすぎて焦げそうになったり、フライパンをいためたりしそうなときは、適宜油を追加すればよいが、最初からドバドバ入れすぎると収拾が付かなくなる。
BBBQソースをかける
そのまま食べると、あまりにも肉肉してて日本人にはツライ部分もある。そこでこれまたオーストラリア名物のBBQソースを使うべし。お好み焼きソースのように、こってり甘味があって良く合う。種類も豊富だが、とりあえずはスタンダードのクラシックタイプを試すとよい。これで十分だと思うけど。
C野菜はふんだんに食べる
ソースを付けても、それでも尚も肉の味が強い。パンに挟んで食べるにしても、レタスなど生野菜を多めに盛って、あんぐと大口開けて食べると良い。肉には野菜が本当によく合う。消化を助けるという意味もあるのだろうか、こちらに来て肉をふんだんに食べるようになると、同時に野菜も猛烈に食べたくなる。身体が求めるのかもしれない。
野菜をほどよく入れたら、実際にはソーセージ一本でパン4枚くらいいけたりする。ますますヘルシー&エコノミー。
D生肉なので賞味期限が短い
「開封後○日」なんて賞味期限ではなく、作ってから○日の生鮮食料品です。パックに賞味期限が書いてあるので、買うときはできるだけ先の日付のものを選ぼう。なんせ食べ応えがあるので、一回では食べきれないし、それだけにタイムリミットは重要です。大体5〜一週間先くらいの日付になってる。3日先くらいの日付だったら既に古い。
焼く以外の調理法
食べ切れそうもなく使い残しそうだったら、スープにしてしまうといいです。お湯にソーセージとストック、それに野菜を適当に入れて煮込めばそれで十分なスープになります。野菜はわざわざ買わなくても、これも使い残したものをテキトーに入れるだけで良い。「冷蔵庫の残務整理」としてオススメの一品。なおスープには安いカスクワイン(白)をドバドバ入れると美味。適当に煮込んだら、シェル系のパスタを入れてミネストローネ風にすると、穀物分も取れるのでパン不要になる。同じように乾燥豆・穀物(grain)=ライスコーナーのあたりによくミックスしたのを売ってる=を入れても良い。
ソーセージスープをもう少し趣味的に、ハイレベルに作りたかったら、他の高めのソーセージも試すといいです。実にいろいろな種類があります。肉がオーガニックだったり、混ぜてあるハーブの種類が違ったり。肉屋(小売店)には、またそれぞれオリジナルな物が沢山売っていて面白いです。スペイン名物のピリ辛のチョリゾなんてのも良く見かけます。
入れる野菜は何でもいいのだが、こちらの(巨大)セロリが安いし、よく合います。どっちかというと葉っぱ部分よりも茎や根っこの白い部分が美味しい。特にセロリは大きいだけに使い残す。外側から使っていって、だんだん内側になると、古くなるわ、黄色がかって見栄えがしなくなるわで捨てちゃったりするのだけど、そういうときこそスープ系です。
個人的には
フェンネルがオススメ。あまり日本で見かねない西洋野菜で、変な形をしているけど、アロマでも使われたりするように、独特の香りが高く、香草(ハーブ)として世界中で重宝されています。また薬草として健胃作用もあり、実際、太田胃散や仁丹にも含まれている。ウイキュウ(茴香)のことです。香草薬草はもっぱら若葉や種子だが、野菜としても白菜のような根っこから売られています。ソーセージの肉っぽさをうまく中和してくれて美味しい。一個2ドル弱程度で売られており、値段もお手頃。えらい固いけど、煮込めばすぐに柔らかくなります。
一本単位で丸々ごろんと煮込んでも豪快でいいけど、ある程度煮上がって固くなったら、引き揚げて(火傷しない程度に冷ましてから)、トントンと輪切りにして再び煮込むと食べやすくなります。この煮込み(焼いてもいい)+トントン輪切り技は、ソーセージを普通の料理に転用するときにも使えます。例えばパスタのトマトソースに入れたり、ヤキソバやチャーハンに入れたり。
ソーセージあれこれ
ソーセージはオーストラリア人の愛好品です。それはもうベジマイトに並ぶくらい、日本人にとっての梅干くらい、実はオーストラリアのアイコン的一品だと思います。とにかく何かといってはBBQをやり(週末のホームセンターの店先でもやって、客に売ってるくらい)、BBQとなるとソーセージは定番です。
定番アイテムだからスラングも多く、Bangerといってみたり、Snagといってみたり。そして、梅干の定番料理がおにぎりであるように、ソーセージの(BBQ以外の)定番料理としては、
ソーセージロールと"
Bangers and Mash"があります。
ソーセージロールは、ソーセージの周囲をパイ生地に包んだものです。これは本当に何処に行っても売ってます。カフェスタンドとかよく見ると、肉まんを入れるようなガラスの保温器があって、そこには大抵ミートパイに並んでソーセージロールがあります。
Bangers and Mashは、マッシュポテトの上に焼いたソーセージをゴロンとのせ、グレイビーソースをかけただけのシンプルなものです。シンプルなんだけど、美味しい。特にマッシュポテトは、さすがジャガイモ料理させたら西洋人は巧く、きめ細かくておいしいです。伝統的な一品だけに何処でも出しているようだけど、意外となかったりします。もっぱら家庭料理なのかな。これは丁度日本人にとっての「おじや」みたいなもので、誰でも知ってるのだけど、料理店で食べようとすると意外と無いような感じかしら。
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