1-1 概況 オーストラリアの犯罪状況
まず大原則としては、「オーストラリア(海外)だからといって、特に必要以上に神経質になる必要はない」ということだと思います。日本にいたって治安が万全ということはありえませんし、特に昨今は安心しにくくなってるようです。その日本に比べて、オーストラリアが格別治安が悪いということはないと思います。18年生活してきた感覚でいえば、むしろ日本よりは良いんじゃないか?とすら思えますし、実際今では日本に帰るときのほうが緊張します。いや、マジに。
ただ、こんなのは僕の感覚ですので、できるだけ客観的に考えてみたいと思います。なお客観的といっても、単純な犯罪統計だけで見ても生活実感とはまた違います。とりあえずお上の言うことを聞いてみましょう。外務省が出している
海外安全ホームページのオーストラリア版です。ただ、いつも外務省のコレを見てると「こんな恐いトコに俺は住んでるのか?」と気が滅入ってきて、生活実感とは大分違うのですが。まあ、国民への注意喚起がメイン目的ですし、それが彼らのお仕事なんだから職務を忠実に果たしておられるのでしょう。それに、「オーストラリアに居る日本人」というのは圧倒的大多数が観光客であり、観光客というのはどこの国でもカモネギですので、気を引き締めるのは良いことです。
ちなみに2011年6月付で
「ニセの査証(ビザ)取得情報に関する注意喚起」(東日本大震災での被災を理由に、日本人は永住又は長期滞在のための査証(ビザ)が取得できるとする広告が日系コミュニティー紙等に掲載されていることが最近判明しました。しかし、これらの広告は、以下に記すとおり、ニセの情報であると考えられ、詐欺の可能性もありますのでくれぐれも注意願います。」旨の注意がありました。色々な事を考える人もいるものですな。しかし、これ、「現地」ではなく、日本に居ながらにしても被害に遭いそうで、「こういうパターンもあるのか」ということですね。勉強になります。
統計について注意すべきこと
日豪や世界の犯罪統計を比較して論ずるケースが多いのですが、統計というものは気をつけて読まないと外します。
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まず犯罪統計というのは、国や法律によって犯罪の種類や定義が違います。例えばオーストラリアで「強盗」と訳されている犯罪行為の全てが日本刑法における強盗になるわけでもなく、日本だったら「恐喝」レベルのものまでこちらでは「強盗」として統計処理されている。また
暗数(被害者が泣き寝入りして統計にあがってこない数値)という問題があります。例えば、レイプなどでも、こちらはメインにはいわゆるデート・レイプがメインで、要するにナンパして、その勢いで「いいじゃないか」で無理やりセックスしてしまうような場合ですが、ここで被害者が「まあ、しょうがないか」とか泣き寝入りするか、断固糾弾する!と警察に駆け込むか、これはその社会の文化の違いでしょう。ドメスティックバイオレンスについても同様です。そしてその違いが統計結果になって現われたりしますので、単純に数字だけ比較しててもそれほど絶対的なことではないです。ちなみにデートレイプに関しては、NSW州のHPで独立に
About Date Rape(
別窓)というページがありますので、ご興味のある人は参照してください。
なお、世界各国の犯罪率の統計は、たとえばICPO(国際刑事警察機構)の犯罪率統計などが網羅的だったのですが、いつの間にかリンクが切れてしまいました。仕方ないので
キャッシュに保存しておいたデーターを上げておきます(
別窓)。これをみるとオーストラリアは日本に比べると危なそうに思えます。しかし、別の見方をすると、アジア諸国で犯罪率を比較すると、もう日本が突出して治安が悪い(良いのではない)のですね。日本よりも治安が悪いのはモルジブと台湾だけで、あとは全部日本よりも犯罪率が低い。日本の犯罪率は2.24%となってますが、殆ど軒並み1%以下であり、ベトナム0.08%、バングラディッシュ0.09%、ネパールにいたっては0.01%で日本の224倍安全だということになってます。でもネパールをよくみると、最も多い犯罪が窃盗ではなく殺人というスゴイことになってます。一方、かなり危ないといわれている南米でも、例えばコロンビアで0.41%になってます。ちなみにアメリカは4.16%、オーストラリアは7.48%になっていて、するとオーストラリアはアメリカの倍近く危険だということになりますが、これは実際に住んでる感覚からはかなり乖離しています。要するに統計の取り方一つって気もしますし、「こんな統計比較、意味あんのか?」というくらいバラバラなのですね。
もう一つ興味深い統計があります。警視庁のホームページには
東京都の犯罪情報マップ(
別窓)です。これを使って新宿の各地域の全刑法犯の発生率をみると、2006年4月末時点の統計で、歌舞伎町1丁目は犯罪発生率173以上の最高率なのに、歌舞伎町二丁目になると91-172に減少します。また花園神社から東の新宿5丁目は25-48になります。また、新宿3丁目は173以上の最高率なのに対し、新宿四丁目の交差点の南側のエリアはいきなり11-24の安全地帯になり、その東隣の新宿御苑になると1-10の最安全エリアになります。新宿を日常的に行かれている方は、「統計上、犯罪発生率が100倍違うという現実」を実際に歩いて体感してください。犯罪率100倍ってそんなもんです。
統計は大事なことですし、決して軽視して良いとは思いませんが、統計数値と現実的感覚との間にズレがあることもまた事実だと思います。統計だけで全てを語ったり、統計数値のみを根拠にリスク対策を考えるのは、ある意味危険ですらあります。もっと突っ込んで考えてみる必要があるでしょう。
さて、オーストラリアの犯罪状況ですが、(常習的、職業的)犯罪者・悪い人はどういう人達かというと、ドラッグのお金欲しさに小遣い稼ぎをするようなケースが多いと思います。すなわち粗暴犯というよりも「盗犯」が主体でしょう。すなわち、空き巣、置き引き、スリ、車泥棒&車上狙い、恐喝&強盗で、「お金が欲しいから」という実質的理由があってのことのようです。ここ十年ほどの日本でよく見られるような、「人を殺してみたかった」「イジメるのが好き」という精神的に病んでいるものよりも、もっと「わかりやすい」伝統的なドロボウ系が多いように思います。
オーストラリアの犯罪状況に関する考察
日本全国津々浦々まで存在している組織暴力(暴力団)、少年非行の暴走族のようなグループですが、日本ほど居ません。というか、「居ないこともない」って程度でしょう。それは、エスニック・マフィアみたいな存在は時々聞きますし、問題にもなってますが、普通に生活してたらそんなに出くわすこともないです。暴走族もいるそうですが、やってるのは「バイキー」と呼ばれるマッド・マックスみたいなオッサン系で、大体こちらでは親は子供にバイクなんか買えるほどのお金を与えないでしょうし、バイクは高いし、バイク免許はクルマよりも取るのが難しいです。そもそも「ガラの悪い人達」がタムロしそうな、「夜の繁華街」の絶対数が少なく、日本的な意味でいえばキングス・クロスやシティくらいしかないかもしれない。ただ、クルマをシャコタン等いわゆる「ゾク車」風にして(タケヤリ、デッパは日本の伝統芸だから無い)、駅前やビーチあたりで、カーステレオのヒップホップを大きな音で鳴らして流してる連中はいます。まあ、それも、「ふーん、こっちにもそういう奴もいるんだ」という程度で、それほど社会の脅威になっているというほどのこともないです。
組織暴力団が少ないのは、簡単に言えば経済的に成り立たないからです。専門用語で言うと「シノギ」が少ない。日本の暴力団がなんで成り立っているのかというと、単にドンパチ喧嘩してるだけだったら一銭にもなりませんから、当然収入源があるからです。その収入減は、覚醒剤などの麻薬取引や違法な風俗営業というイリーガル系と、民事暴力系に分かれますが、巨額の収入を得るのは民事暴力系です。つまり、企業に食い込んで総会屋をやるとか、インサイダー情報を引き出すとか、その昔は地上げ屋とか、倒産処理とか、マチ金など違法高金利を取るとか、借金の取り立て(キリトリ)とか、、、その種の稼業の方がはるかに儲かる。億単位で稼ぎ出せます。ところが、オーストラリアの場合、市民の権利意識が高いこともあり、あんまり民事暴力の付け込む隙が乏しいように思います。総会屋が成り立つのも、企業の経営陣が出来るだけ穏便に総会を済ませたいというニーズがあるからですが、こちらではインベスター(投資家/株主)こそが主役ですし、社長の首なんか半年でボンと飛ばされたりします。シャンシャン総会など望むべくもない。だから総会屋も成り立たない。サラ金や高利貸しは、こちらでもローンシャーク(借金鮫)という英語の名前があるくらいですから居ますけど、日本みたいに街中にサラ金の看板があるということはないです。それにサラ金で借りて破滅的な自転車操業をするのは、異様に外聞を憚る日本人の習性に基づくのであり、こちらは金が廻らなくなったら別に破産すればいいだけってカラリとした部分もあります。社会保障も手厚いし。
そうなってくると、結局イリーガル系で儲けるしかないです。麻薬と売春です。でも売春はこちらではリーガルですし、売春宿が株式上場するとかいう土地柄ですから、もっと普通のビジネスになってしまっている。あるとすれば、「永住権を取らせてやる」ともちかけて、東南アジアの女性たちを騙してつれてきて働かせているようなケースでしょう。これはちょこちょこ新聞に出てます。あとは麻薬系。しかし、いずれにしても海外の犯罪組織がこちらに乗り込んできている部分も多く、「地場産業」としてのオーストラリアの生粋の暴力団は少ないように思われます。
結局のところ、よく聞くのが麻薬代の欲しいジャンキーが置き引きやかっぱらいをやるようなケース、あるいはプロの窃盗団が引越しを装って家財道具丸々持っていってしまうような場合でしょう。いずれにせよ盗犯系が多いです。
最近の傾向では、アルコール関係の犯罪の増加です。酒に酔って喧嘩したりという、日本の盛り場で「表に出ろ!」とかやってるやつですね。こちらは酒のマナーは異様に厳しく、泥酔=犯罪者扱いですから、ましてやらそれで暴力沙汰を起こそうものなら結構シビアなことになります。そして、後でも述べますがシティ(特にタウンホール以南)に増えてきたアジア系若者(日韓ワーホリやチャイニーズなど)が、酔っぱらって喧嘩してという渋谷のセンター街みたいな状況が増えてきたこと、さらにオーストラリア人もストレスが溜まってきたのでしょうか、同じように会社帰りに酔っぱらって、、という。いずれも日本ではよくある風景なのですけど、オーストラリア人にとってはかなりショックなことらしく、「そこまでせんでも」と鼻白むくらいの対策をベタベタ貼ってます。例えば、酒場(レストランも含む)は泥酔客が酒を注文しても出してはならないことが法定され、それが回りまわって、皆さんが働くときに
RSA資格を取らねばならないことにつながっていきます。これはお酒を出す店で接客する場合、どういう客にお酒を出しても良いかどうか講習を受けるということですね。その他、暴力沙汰でガラスが割れると危険だから、深夜を過ぎるとグラスのジョッキはダメで全部プラスチック製のコップにしろとか、1時間に休憩タイムを設けろとか、修学旅行みたいに規則づくめになってます。
一般に「酒の席での過ち」に寛容な日本人にとっては、治安と言っても、アルコール絡みの犯罪の被害者になることよりも、自分がハメを外して加害者として厳罰(かなりキツイ)に処せられることに注意したほうが良いくらいだと思います。腕に覚えがあっても喧嘩しちゃダメですよ、雰囲気が険悪になったらとっとと逃げなはれ。
1-2 最初は活動重視、徐々に引き締めること
さて、こういった概況は背景構造として頭に入れておくにとどめ、より実践的な話をします。
まず、こちらに着いてから1ヶ月くらいは、「そんなに心配しなくてもいいよ」と申し上げておきます。なぜかというと、日本人というのは世界一の引っ込み思案民族で、ネガティブな話が大好きで、平和慣れしてるから(そんなに安全な国だとは思わないけど)やたら「安心」「安全」と唱えたりしがち。そういった人にあれこれ言っても、余計にビビって何もしなくなってしまう恐れがあるからです。実際、ビビッて何もしてない人も多いだろうし、何もしてない自分を正当化するために治安を持ってくる人もいるでしょう。だから、大原則としては、別にそんなに危ない国ではないってことを言っておきます。事実、カントリーリスクで言えばそれほど高い国ではない、というかこんなに低い国は珍しい方だと思います。
もちろん、単に「安心しろ」と大雑把なことを言うつもりはありません。これから、より徹底的&具体的にリスク管理の方法を申し上げます。ただ、留学生やワーホリさんの活動姿勢としては、「動き回ってなんぼ」なんですから、単純に恐がってばっかりだったら何も出来なくなっちゃうよ、だからもっと緻密に考えようよってことを言っておきます。
かくいう僕自身、最初に入った(借りた)フラットのドアに鍵が三つもついてたもんだから、「これはヤバイ」とビビッて、しばらく暗くなってからは出歩かないように大人しくしてました。ある日、オーストラリア人の友人と晩に出かけることになり、帰宅が夜の11時を廻りました。結構ビビって夜の町を歩いてたのですが、なんのことはない、レストラン帰りの家族連れが笑いさんざめいてたり、女性が一人でジョギングしてたり、犬の散歩してたり全然平和で、「なんだ、ビビって損した」って思った記憶があります。
本当に気をつけるべきは「慣れてから」です。
数ヶ月くらい経過して、学校で知り合った友達と夜な夜なパブやクラブに踊りに行ったり、夜中の2時、3時に女性一人でナイトライド(終電後に出る各駅ごとに止まって行く代行バス)に乗って帰ったりするようになってからです。これってそんなに珍しい話ではない。で、「オーストラリアって、ぜーんぜん恐くないですよねっ!」とか言ったりするわけですけど、そんなことを口走りだしたら要注意!です。トラブルは気が緩んだときに起きます。交通事故も免許取立てよりも、しばらくして慣れてから起こすでしょ。「なんだ、全然大丈夫じゃないか」と思ってるアナタには、「や、でも、気をつけなあかんよ」と申し上げます。
1-3 周囲のオージーがあなたの警備隊
オーストラリア人は、日本人からすると概してレイジーとかいい加減とか批判されたりしますが、逆にいい面もあります。人懐こくて優しいこと、特に弱い人に優しいこと、見てみぬふりをしないこと、イイコトをするのに躊躇わないこと、です。これはこちらに現地の人々に混じってしばらく暮らしてたらすぐに分かると思います。車椅子や乳母車を押している人が階段にさしかかると、周囲の誰かが必ずといってもいいくらい助けます。そしてそういうイイコトすることに、日本人みたいな自意識過剰な衒い(てらい)がないです。「やった方がいい」と思ったら人目を気にせずどんどんやります。だからこそ、5人に一人はボランティアをしてるとか言われる状況になっているのでしょう。
これをこと治安面に応用しますと、周囲にオージーがいるような場面では、犯罪者に絡まれたり脅されたりする可能性は非常に低いということです。殆どの場合、周りの人が助けに入ってくれるでしょう。この点、日本の車内暴力でも、誰も立ち上がらず、見てみぬふりをして、見殺しにされるのと極端に対照的だと思います。だから、僕も日本に帰るときに恐いんですよ。誰も助けてくれなさそうだし。
周囲に人がいるような環境では、スリとか置き引きなど「こっそり系」の犯罪に注意しておけば良いということになります。
また、深夜に帰る場合、バスと電車だったらバスにしなさいとオージーに言われたりしますが、バスというのは最低もう一人の他人がいるからです。つまり運転手。"help me!"と運転手に聞こえるように大声だせば、大抵はなんとかしてくれるでしょうし、だから逆にバスの中ではそんなに強迫的な犯罪が少ない。一方電車の場合は、客車によっては自分の他に誰も乗ってないというケースもありえます。また、こちらの電車は二階建てですから見通しが悪く、恐喝されたりしても誰にも見えないというリスクがあります。故に、電車の場合、ブルーライト(電車の横についている青い灯)のある客車に乗れとか、ホームに NIGHT ZONEと書かれている所から乗れということが言われたりします。その客車には車掌が乗ってるということもありますが、人々を集めておけば犯罪はおきにくいということからも頷けます。
じゃあ、周囲に人がいない場合はどうするか、特に住宅エリアは昼間でも閑散としていますが、そういうところはどうするのだ?という点が疑問になるでしょう。例えば、僕の家から近くの商店街まで歩いて10分ほどですが、10分歩く間におそらく3人の人にすれ違えば多いくらいでしょう。そんなところを夜に歩くのは自殺行為のように感じられるかもしれません。でも、大丈夫です。なぜか?それは、そんな誰も歩いて無いようなところでカモを待ち伏せしてても意味ないから犯罪そのものが起きにくいということが第一。第二に、通りを歩いていないかもしれないけど、人それ自体はたくさん居るからです。家の中に、です。もし、あなたがこういう住宅街を夜歩いていて、後ろからあとをつけられているとか、前で待ち伏せされているなど危険を感じたら、ためらうことなく、近くの家に入って下さい。玄関をノックして、"Excuse me! Soryy, but I think somebody's following me, just overther, could you please call the police?"と言えば、「おお、それはエライこっちゃ」と対応してくれるでしょう。他人の敷地に入ったらいきなり銃でズドンなんてことは、オーストラリアの場合にはないです。
ちなみに、オーストラリアはアメリカと違って銃砲に対する忌避感が強いです。その意味ではアメリカ的というよりは日本的です。かなり前にタスマニアのポートアーサーでオートライフルなどを持ったイカれた人間が、観光客30数名を射殺して大事件になりましたが、その後数ヶ月で強力な銃規制法案が採択され、指定されている範囲の銃を税金で買い取りました。反対する人も多少はいましたが、圧倒的大多数は銃規制賛成でした。なお、銃器は都市周辺よりもむしろ農村地帯で多く用いられています。これは害獣駆逐など生活の必要のためです。あと、ラウンドなどするときに、夜中にうかつに農家の敷地に入り込んだりしない方がいいです。こっちの場合の方がぶっ放されてもしょうがないです。以前、どっかの農場の敷地内で勝手に野宿してたら、銃を突きつけられて、立ち退きを迫られた人もいますから。
「いい人」の方がフィジカルに強いオーストラリア
ところで、どうしてオーストラリアでは見てみぬふりをしないのでしょうか?
健全素朴な正義感をより多く持っているからとか、コミュニティ意識が強いからとか色んな理由があると思いますが、その一つの理由としては、オーストラリアでは「悪い人」よりも「いい人」の方がナチュラルに強いからではないかなと思います。日本では、「いい人」よりも「悪い人」の方がナチュラルに強いです。暴力団員Aと銀行員Bとで喧嘩をしたら、まあ普通は暴力団員の方がフィジカルに強いでしょう。でもオーストラリアは必ずしもそうではない。
というのは、オーストラリアというのはまれに見る健康優良児の国であり、スポーツクレイジーな国だからです。これだけビーチや公園がありながら、どこの町にもフィットネスジムがあるという、「スポーツしてなきゃ死ぬんか、キミらは?」と言いたくなるくらいスポーツが好きです。実際、人口わずか2200万人、日本の6分の1しかいないくせに、オリンピックでメダルを50個前後かっさらっていきます。もしオーストラリア人が日本人くらいいたとしたら、メダル獲得数は単純計算で300個を超えるでしょう。2012年のロンドンオリンピックは低調だったですが(日本の方がメダル数が多いし。日本凄いじゃん!と思った)、それでも人口比を考えれば6倍差。
逆にいえば、オーストラリアではちょっとやそっと強かったり、スポーツができたくらいでは全然プロになれません。層が厚すぎるんですね。国技のようなラグビーのメジャーな選手だったら、身長2メートル近く、体重120キロとかそんな体格でありながら、100メートルを10秒台で走るというバケモノみたいな連中がいます。それにはちょっと劣るけど、それでも準バケモンみたいな連中がアマチュアでガンガンでやってます。そういう人たちって、普通に生計を立ててますから、実は高校で社会を教えてたり、税理士だったり、歯科医だったりします。これがいわゆる「いい人」。で、悪い人は、さっきも書いたように麻薬中毒のジャンキーとかそんなんです。朝からジョギングしてるジャンキーなんか珍しいでしょう。だから、普通の人が、日本ほど悪い人を恐れていないように思います。そのあたりも背景事情の一つなのでしょうね。
長くなったので一旦ここで切ります。
(その2/対策編)へどうぞ。