海外保険ですが、これは、人によって本当にケースバイケースという感じです。目一杯かけてくる人もいれば、クレジットカードに自動的にくっついてくるもので十分って人もいますし。かなり、「好み」の問題だという気もします。「絶対入った方がいいか?」と聞かれたら、これも個々人の意見によって違うでしょう。
僕が聞かれたら、「うーん、そんな”絶対”ってことはないんじゃないの?」と答えます。中東とか行くならともかく、カントリーリスクの低いオーストラリアですからね。しかも、重要な商談で高価な商品を持っていくとか、とんでもない貴重品を授受するわけでもなく、1日数百円で暮らすワーホリとか学生ビザでしょう?なにが要るの?という気もします。
ただ、こんな趣味的な答えではなく、もう少し真面目に検討してみましょう。
海外保険と一口にいっても、補償範囲は多岐にわたります。おおむね以下のジャンルに分かれると思います。
@傷害(怪我)
事故等で身体を負傷した場合、病院での治療費など。
A疾病(病気)
病気にかかった際の、病院での治療費など
B手荷物/携行品
スーツケースやパソコン、デジカメなど携行品が破損したり盗難にあってしまった場合の修理費あるいは損失したものの時価等の補償
C損害賠償責任
他人にケガをさせてしまった場合。特に交通事故で誰かを死傷させたりして、賠償責任を負ってしまったときの損害賠償金
D救援者費用
事故によるケガ・病気などで死亡したり、入院したりしたときに、日本から家族が現地に行くための渡航費用などが支払われる。
E旅行短縮・取消費用
親族の死亡や入院、家の火事などで、旅行をキャンセルしなければならなくなったとき、また旅行の途中で取りやめて帰国しなければならなくなったときに、そのためにかかった費用が支払われる。
F死亡・負傷の場合の一般的損害
慰謝料、葬儀費、死亡により逸失利益あるいは後遺症等級による逸失利益
順次考えてみましょう。
保険とはなにか?
総論として知っておくべきは、「保険ってなんだ?」ということです。意外と認識されてないキライがあるのですが、あれは確率論であり、別の言葉でいえば「ギャンブル」です。以下、一般常識として保険とは何か?を書きます。一応そういうことも勉強として知っておきたいという人はお読みください。「そんなこたあ、どうでもいい」という人は、この項目をスキップしてください。
→「保険の本質」についてもう少し読んでみる(クリックすると表示されます)
どれだけの人がどれだけの損害を被るかは、予め統計をびしっとインプットしてやればかなりの確率で予測できます。例えば10人に一人1000円の損をすることがほぼ確実に予想される場合、10人の参加者から一人100円づつ徴収して1000円集め、10分の1の確率で不幸にも1000円損した人に保険金1000円がおりるのでしたら、話はとってもわかりやすいです。
しかし、実際にはそんな具合になりません。1000円集めて1000円支払ってたら、保険会社は成り立っていきませんもんね。あのピカピカに巨大な自社ビルを建てて、何千人といる社員の給料を払って、箱根あたりに社員保養所を作って、会長の送り迎えの運転手つきの車を購入して、、、なんて費用は出ません。だから保険会社がまず儲けないと話にならないので、1000円集めるところを2000円集めて、1000円支払って差額は「儲け」になるようにしたりします。僕なんかが思うのは、もうこの時点で絶対損じゃんと。そこに保険会社が存続しているということは、必ずや数学的確率よりも割の悪い高い掛け金を支払わされているということで、こんなもん長期的にやってたら「絶対負けるバクチ」じゃないかと思ってしまうのですね。
ただ、2000円集めても、本当に支払いが1000円で済むかどうかは未来予測に関することですので分かりません。特に損害保険は、大地震が起こったり、テロがあったりして、予測していた以上に出費がかさむことはよくあることですし、実際、アメリカのテロでかなり世界の保険会社はダメージを被ったハズです(だから翌年から掛け金が跳ね上がってます)。だから、保険は、保険会社にとっても「バクチ」です。
もちろん、話はこう簡単にいかなくて、保険会社側は、皆から集めたお金を「有利に運用」して利潤を得てやるから、ぼったくってないと言うでしょう。その「有利に運用」というのがクセモノで、これも要するに「機関投資家」として投資するわけで、ありていにいえば株式市場とか不動産相場とかに出資するわけです。これも早い話が「バクチ」でしょ。実際、08年以降のリーマンショックのような事態になれば、世界の金融機関はピンチに陥ったりするわけです。だから「リスクを避けるため」に保険を購入するのだけど、保険会社というのはリスクそのものが商売のネタであるという構造だけはストレートに理解しておくべきでしょう。保険会社自身が倒産するというリスクだってありますから。
だからどこまでいってもギャンブルなんですね。ただし、一概にそれが悪いと言っているのではないですよ。金融や投資、ひいてはビジネスというのは、こういった投機性やリスクがつきまとうし、リスクというのはある意味資本主義の本質とすら言えます。
一方、本当に「有利に運用」なんか出来ているの?という疑問もあるわけです。特に日本の保険会社は、政府の言いなりで、損をすると分かっていても号令にしたがって円を買わされたり、どこが「有利に運用」なんだ?って気もします。タイムリーなところでは、原発問題で四苦八苦する東電に追加融資してたりします(2011年6月18日時点のニュースによると、「第一生命保険や日本生命保険などが東電の大株主で、2010年3月末時点で計3000億円弱を融資している。東電は週明けから、役員がこれらの生保や三井住友銀行などの大手銀行を訪ね、支援を求める。生保各社は計数千億円規模の追加融資に応じる方向だ。」)。企業間のお付き合いも大事だろうけど、ここで東電にお金を貸すのが「有利に運用」なのか?という。かといって日本国内に投資してても、お話にならない低利率で国債買ってたってろくな運用実績もあげられない。じゃあ国際投資をするかといっても、大体日本人バクチが下手ですから、アメリカあたりの世界情勢に精通したバリバリのギャンブラー相手に相場張って勝てるのか?という気もします。
ところでオーストラリアの自動車の保険などは徹底していて、乗り手の年齢、キャリア、事故・違反歴、車種、年式、さらには住んでるエリアまで条件としてインプットして、一人あたりの掛け金を算定してます(だから事故の少ないエリアに引っ越したら掛け金の一部が返還されたりします)。数学的確率論、すなわちバクチという本質に徹底しています。日本で売り出されている保険はそこまで露骨に徹底してませんから、それがある意味では狙い目なのかもしれません。つまり、平均人以上に病気に掛かりやすいとか、物を取られやすい人は、あなた個人の事故確率からして比較的安めに加入でき、頑健で盗難紛失の少ない人は、確率以上に保険料をとられることになるでしょう。
以上の次第で、保険というのは数学的確率論の上に立った代理投資のようなもので、その本質はギャンブルであり、純粋経済的・数学的にいえば必ずしも有利でも安心でもないです。しかし、そういった経済的得失ではなく、「安心を買う」というファジーでメンタルな部分で保険に入る人が多いでしょう。しかし、「ファジーでメンタルの理由」ってのは、要するに「趣味」「好み」ということでしょ?だから、保険に入るかどうかは「趣味」なのだと僕は思うわけです。
ただ、日本の保険会社や保険会社の代理窓口になっている留学会社などでは、消費者にこんなにレーセーに考えられたら困るでしょうから、「保険に入るのは当然!」「そんなもん義務です」という問答無用の感じで言われるところも多いでしょうね。それはそれで一つの価値観ですから異を唱えるつもりはありません。ただし、消費者には常に選択の道が開かれているべきだし、買物をする以上正しく商品を理解すべきだと思うから、ここでくだくだ書いているだけです。
これらの総論をもとに、各論に入ります。掛け金と相談しながら、ワーホリや学生でやってきて、「実際にどんなことがありうるか?」です。細かに検討してみましょう。
@負傷A疾病(怪我と病気)について
オーストラリアに滞在中、あなたが怪我をしたり病気になったりするかどうかは、ケースバイケースとしか言いようがないです。神のみぞ知る、です。ただし、病弱な上に、不摂生な生活をして、クルマに乗ったら無謀運転ばっかりしてるアナタの場合は、それなりの確率で何か起きるでしょう。でも、子供の頃から風邪一つせず、また道路での注意力も十分というアナタだったら、そんなに確率は高くないでしょう。
ところで、こちらの医療費ですが、医療行為なんか数千種類とあるんだから一概に安い高いと言いにくいですが、日本の医療費(健保をはずした本来の全額)に比べて安いってことはそんなに無いと思うのですが、目の玉が飛び出るほど格段に高いということはないと思います(だったらその国の財政が破綻してしまう)。海外勤務健康センター研究情報部というところが出している「海外勤務者のための医療・衛生情報」のなかで、各国の医療費比較について書いてあるページ(http://www.johac.rofuku.go.jp/med-service/charge.html)があったのですが、いつの間か削除されてしまいました(去年に行革で廃止になったようです。HPは残ってるんだからデーターだけでも残しておいてくれればいいのに)。過去に調べたものによれば、オーストラリアは、日本に比べて簡単な内科診療で約3分の1と安く、X線などの検査でオーストラリアの方がちょい高く、盲腸の手術で2倍以上となっていました。「だからなんだ?」といわれると、これだけだったらよく分からないのですが、普通の風邪や体調を崩すくらいだったら、そ〜んなに大きく変わるものではないだろうということです。
ちなみに、オーストラリアの医療報酬はMedicare(国民健康保険)の Schdule fee(診療報酬点数)によって決まり、正確に調べようと思ったらメディケアのページで調べられるようです(
Medecare Benefit Online)。試しに盲腸(虫垂炎切除手術、appendicectomy)で調べると
ココになります。麻酔が$118.80、切除が$492.85などです(もっとも同時にやる場合には1/2減額などがある)。これに入院費も入れれば20万円くらいでしょうかねえ。しかし、オーストラリアの医療はPublicとPrivateがあり、前者は規定通りですが後者は青天井の自由診療だから、どこにかかるかによってかなり違うでしょう。日本の
虫垂炎切除手術の診療報酬点数を調べたら6-9万円でした。自由診療だと高くなるのは日本でも同じですね。
実際のところ、普通の風邪くらいだったら、皆さん面倒がって病院なんかいかないでしょう。英語で予約して、英語で病状説明して、、とか思うと、鬱陶しいから、もう温かくして寝てるという。です。僕も17年住んでるけど、本格的に医者に行ったのは指を切って救急車で連れて行って縫ってもらったときと、インフルエンザにかかって39度台の熱が続いたときの2回だけです。後者の場合、要は抗生物質を処方されただけで「意味なかったな」って感じ。ちなみにこちらの人は抗生物質が大好きですね。
それに、長期入院や手術も必要という事態になれば、言葉の問題や介護の問題もありますから、大体皆さん一度帰国されるんじゃないでしょうか?帰国もできないくらいばったり倒れるというような場合は、盲腸とか、腸捻転とかそのあたりだと思いますが、その確率をどのくらいに見積もりかですよね。
なお、環境が変わることもあり、大体入国してから3ヶ月目や半年くらいで原因不明の奇病になる人も結構います。おそらくは新しい環境で体質が微妙に変化していく過程であったり、それまで緊張していた疲労が一段落してどっと出てきたりしたのでしょう。大体の共通点は医者に行っても原因不明といわれ、数日したらケロリと治ることです。
総じて言えば、日本よりも自然環境に恵まれ、ストレスも少なく、毎日よく運動し(とにかくよく歩くようになる)、パクパク食べて、ぐっすり眠るという健康的な生活をする場合が多いでしょうから、健康状態としては日本にいるときよりも良くなる場合が多いように思われます。それまでの食べ物の「好き嫌い」が直ったという話も沢山聞きます。一般論で言えば健康状態は増進するでしょうと思われます。
が!物事に必ず例外はあり、ぐずぐずと体調を崩す人もいるでしょう。思わぬ事故や怪我もあるでしょう。これはもう人それぞれとしか言えないです。冷静に自分のこれまでの病歴とか、体調とかを考えてみて、片や掛け金との兼ね合いを考えてみることですね。でもって、最終的な判断権者はアナタです。個人的な意見でいえば、事故だけは予期できないので(だからこそ「事故」なのだ)、その点に関するカバーはあっても良いと思います。
なお、海外保険によくついてくる24時間サービスとかもありますが、別にそれに頼らなくても結構なんとかなります。こちらの医療では日本語の通訳サービスもあります。”もちろん”オーストラリアのことですから、常にバッチリ態勢が整ってるということもありませんけど、システムとしては出来ています。あと、24時間サービスとかでも、その対応の悪さに立腹していた人もおられましたから(相談を受けて、僕が本社に出すクレームの文案を起案しました)、絶対安心ってもんでもないだろうなーとは思います。あとよく「日本語OK」と広告に出ていても、日本語OKなのは受付窓口だけで、医者には英語で説明しなきゃいけなかったという場合もあるから注意(予約方々電話で確認するといいです)。
OSHCについて
学生ビザを取得するような場合には、学校に入学する段階で
OSHC(Oversea Student Heath Cover = 留学生用健康保険)というものに加入します。これは健康保険で、日本の健康保険ほどではないにせよ、カバー範囲もそれなりに広いし役に立つと思います。
学生ビザの方だけですが、ここでOSHCについてちょっと説明しておきます。
この保険は、僕が思うに、けっこうスグレモノだと思います。プライベートでもこちらで入れるのですが(海外保険ではなく、ビジター用の健康保険)、この値段でここまでカバー範囲が広い保険商品はそうそうないように思います。地元民のプライベート保険のほうが高いでしょう。なんで学生はこんなに好待遇なのかを推測するに、学生ビザを取得するためには健康診断をパスする必要があるからでしょう。つまり、加入者全員が健康である(リスク値が非常に低い)からなのでしょう。
MediBank PrivateにというOSHCを受け持つ保険会社(のひとつ)のホームページがあり、
ここにカバー範囲が書かれており、読んでみると、はっきりいって僕ら永住権や国民の基本的な健康保険であるメディケアよりもいいです。救急車代金も出るし、プライベート病院でも契約している病院だったら出ますしね。
カバー
範囲外のものが列挙されていますが、そんなに多くないです。
例えば、ダメなのは、
・既往症や妊娠出産関係費用は12ヶ月の待機期間があります。
・試験管ベビーのような人工授精などは出ません。
・美容整形には出ません。
・健康診断などには出ません。
・オーストラリア国内外で別途補償がなされるもの(労災とか)
あとメディケアでカバーされていない範囲につき、
・処方薬は一回50ドルまで、年間トータル300ドルまで。
実践的に大事だと思われるのは(エクストラで追加加入の道もあるが)、
・歯にはでません
・メガネやコンタクトレンズにはでません
というわけで、日本の健康保険と比べた場合、一番大きな差としては「歯」ですね。だから海外に行く前に歯は治しておけといわれるゆえんです。歯は高いですからね。
日本の国民健康保険への事後請求(海外療養費)
こちらにくるにあたって日本の住民票を抜いてくるか(海外転籍届を出すかどうか)という問題があります。出しておくと、日本での住民税や健康保険がかかりません。出しておかないと住民票上はまだ住んでることになって課税されてきます。
日本の健康保険料を払いつづけている場合(加入している場合)、海外で医者にかかって費用を支払ったならば、その証明を出せば、日本の健康保険で払い戻してくれる(それなりの査定はされますし、減額もされると思いますが)という制度があります。
内容について本家の厚生労働省で探したのですが、以前あったページが無くなってしまいました。でも、健康保険の実務は本家ではなく、皆さんがお住まいの地方自治体です。もしあなたが大阪市に住んでおられたら、Googleなどで「海外療養費、大阪市」と入力して検索して、
大阪市役所のHPの該当ページに飛んだ方が話が早いです。
ただし、健康保険料、高いですからね。1ヶ月1万5000円くらいの保険料でも1年間になったら18万円ですもん。それに会社辞めて無収入になったからといって、保険料は直ちには下がってくれません。ですので一旦実家の保険証に被扶養者として戻り、それによる負担増が大したことなかったら一考に価するかもしれません。
結局この問題は「出るときに住民票を抜いてくるか問題」に収斂されると思います。
★住民票は抜いておくべきか?海外転出のメリット・デメリットをご参照ください。
B手荷物/携行品、盗難保険
これは必要なんかな?と、結構僕は疑問だったりします。
この準備編でも繰り返し述べてますように、そもそもそんなに荷物を持ってこなくていいです。というか、「持ってくるな!」とやや強く言いたくなるくらいです。要らないもん。持ってこなくてもいいような余計な物を持ってきて、それにまた保険を掛けるってのは、いかがなものか?と思うわけですね。無駄の上塗りというか。
おそらく盗られて困るような貴重品としては、パソコンとかカメラとかくらいでしょう。実際にはパソコンが一番値が張るでしょう。しかし、これもいずれ別項目で書きたいですが、そもそもパソコンなんか持ってくる必要があるのかどうかは議論のあるところでしょう。また、パソコンとかこのテのものは買った瞬間からどんどん型遅れで陳腐化し、恐ろしく時価が下がります。実際に盗られて保険請求するとき、どれだけの時価算定がされるか心元ないです。
そして、本当に盗られて痛いのは、お金に換算できないもの、つまりは「思い出」です。語学学校のクラスメートとの写真、ラウンドで知り合った世界中の人たちが書いてくれた寄せ書き、住所録などなど。こういったものはお金には替えられない宝物ですが、でも保険算定となったらいったい幾ら出るのか?「使用中ノート一冊」とかそんなんでしょう?数十円?とかそんなのかもしれませんよね。本当に大切なものは保険ではカバーできないです。
なお、こちらは盗難が多いか、犯罪発生率はどうかというと、新聞とか見てると今の日本の方が恐そうな気もしますけどね。まあ、普通に盗難とか起きてますし、盗られたとかいう話は普通に聞きます。ただ、僕個人で言いますと、17年住んでて、なにか盗られたり犯罪にあったりしたことは一度もないです。だからアナタも大丈夫、なんて言うつもりは毛頭ないですけど。
なお、後述しますが、この種の保険は例外(免責)が大きく、単なる紛失や、自宅に置いておいた物が盗まれても保険金が下りないケースが多いです。
C損害賠償責任
これは、クルマにのって他人を轢いてしまった、他人の家の塀を壊したとかいう、「他人に迷惑」系です。
まずクルマ系ですが、こちらの自動車には自賠責保険があり、日本の自賠責と違って対人無制限に出ます。物損は出ませんが、人損はかなりカバーされます。レンタカーの場合、この最初からある自賠責に、さらに借りる時点で上乗せ保険に入れます。だから、クルマに関しては局面ごとに結構対処できるかなという気もします。
その他、賠償責任を背負い込む場合としては、キャンプをしていて火の不始末で山火事を起こしてしまうことなどが考えられますね。これはありがちですし、ヘタすれば近畿地方全焼くらいの大騒ぎに発展する可能性もマジにありますので絶対に気をつけてください。この点は、
「気候/山火事、tatal fire ban」のところで力説しておきました。
あと、旅行いって砂漠で迷子になってヘリコプター救助隊が出動してその費用(これも腰がぬけるほどの賠償額になります、できるだけ気をつけてください)などなどです。これは
D救援者費用に入りますね。ただ、そんなこと滅多にないでしょうけど。
D救援者費用
上記の捜索隊などのほか、日本から家族が現地に行くための渡航費用などですが、かなり冒険的なラウンド旅行を企画してるならともかく、どうしても必要というほどのものでもないように思います。
E旅行短縮・取消費用
親族の死亡や入院、家の火事などで、旅行をキャンセルしなければならなくなったとき、また旅行の途中で取りやめて帰国しなければならなくなったときに、そのためにかかった費用ということですが、「そのためにかかった費用」ってどんなものかというと、まあ帰国のための航空券代やホテル代などでしょう。一番大きな打撃は、既に留学のために前払いしている授業料などが途中でパーになってしまった部分だと思いますが、そういう部分まで補償がきく保険は少ないんじゃないかな。
F死亡・負傷の場合の一般的損害
慰謝料、葬儀費、死亡により逸失利益あるいは後遺症等級による逸失利益などですが、これは上限額以内で規定されているとおりに出るということで、いちいち名目的にこれが幾らという形では出ないです。
さて、以上見てきたように、いろいろなカバーがあるわけですし、「コレはいらない」「コレだけ欲しい」という、いわゆる「バラ取り」ができるかどうかも、保険を選ぶときのコツになるかと思います。
免責約款
ところで、保険を選ぶときに注意すべきは
免責約款(めんせきやっかん)です。これは、保険会社は支払い責任を免れる場合、つまり「こういう場合には保険は出ませんよ」という事例を書いてある部分です。また「免責約款」とは表示されてなくても、「こういう場合に保険が出ますよ」と書いてあるなかに、いろいろな条件が定められており、結局その条件を満たさない場合には保険は出ませんから同じ事です。
実際、ここまであまり読む人はいないでしょう。また保険の紹介をしているところでも、保険が出る範囲については説明してても、「出ない場合」についてはあんまり書いてませんし、隅っこに小さく「詳しくは保険約款をご参照ください」と書いてあるだけで、リンクすら貼ってなかったりします。でも、ほんと、気をつけておかないと場合によっては「保険には入った甲斐がない」ということにもなりかねません。意外とカバーされているようでされてなかったりします。
例えばですね、適当にインターネットで調べてみましたが、例えばJI保険が出している海外留学生用保険や、AIUのワーホリ保険を見てみました。それぞれ、
保険約款のページ(pdfファイル)、あるいは
東京海上日動のワーホリ保険、あるいは
AIUの保険約款集などをご参照ください。
例えば、上記のPDFファイルの注意書きを読んでみましょう。
これによると、自動車事故による損害補填でも、
自分が酒に酔って運転していた場合、一切補償は出ません。当たり前といえば当たり前なのかもしれないけど、事故というのは一杯ひっかけてその帰り道なんて場合が結構ありますし、そうなったら海外保険をいくらかけていても出ません。あるいは、いわゆる
むち打ち症(頚部症候群)で他覚所見のないもの(不定愁訴)は保険が出ません(ココは交通事故訴訟の定番の戦場です)。
喧嘩によって生じた怪我には出ません。戦争のとばっちりで負傷しても出ません。
携行品保険でも、
自分で置き忘れたり、紛失した場合は出ません。同じく携行品保険でも、航空券や乗車券には出ますが、
お金やクレジットカード、定期券、コンタクトレンズには出ません。また「携行」してなければならず、家の中に置いてあったりしたら携行品保険としては出ませんが、「生活用動産、長期契約用」の条項によって出ます。また、盗難には出ますが、
詐欺や横領には出ません。長期留学の場合、
アルバイトをしている最中の賠償責任、例えばデリバリーの運転をしていたときに起こした事故などにより賠償責任については出ないようです。
また、オーストラリア国内のOSHCや日本の海外療養費によってカバーされる範囲については保険が出ない可能性があります。
このあたりは各保険約款によって微妙に違うはずですから、目を皿にしてよく読んでおいてください。さもないと、何かあっても「高いお金を出して入った甲斐がなかった」というトホホな事態になります。
痛恨の事例
2013年2月の頃の話ですが、お世話した方から「免責約款トホホ体験」をお聞かせいただきました。
その方は、住居侵入窃盗にあって、自分と彼女のパソコン各一台、さらにiPodなどのギアを取られたのですが、シェアでもステイでもなく自分達だけで直接不動産屋と賃貸契約を結んでいたのでダメだということです。日本の保険会社に報告の電話をして、事情を説明し始めるやいなや「あ、そういう場合は保険は出ません」と 言われてしまったという。
要するに、その保険約款では、他人の家に間借りの場合の窃盗被害は出るけど、自分の家状態になったら免責になるということです。どこに違いがあるのか、そういう違いをする合理的な理由があるのか僕もよく分かりませんが、ご本人もショックで、「そんなの保険に入る時点で説明はないし、夢にも思いませんでしたよ!」と。この頁も読んでおられて免責約款がいかに恐いかを十分に知っておいてすら、尚ひっかかるのですね。事前に全ての状況を想定してチェックするなんてこと不可能ですもんね。
でもその方がおっしゃってましたが(これもこのHPで注意喚起してますが)、結局一番取られて痛かったのが「思い出=写真」だそうです。機械とかそのあたりの被害は、痛いけどもお金で補填可能です。しかし、過去に撮り貯めた写真などは、バックアップ取ってなかったら、もう絶対に再生出来ません。とくに海外では一期一会ですから、絶対再生不可能ショットばっかりです。保険がどうしたということとは別に、大事な思い出は必ずバックアップ取っておいてください。
今はUSBスティックその他のメディアでそこそこの容量の保存ができますし、保存したメディアを無くさないように、ある程度の段階で日本に送ってしまうという方法もあります。また、デジカメ画像とか無駄に容量がデカい(一枚4MBとか)ので、オートで画像縮小するフリーソフトなんかもあります。ネットで調べると沢山あります。あと、ソフトにより(設定により)Exif(写真情報)を維持したり消したりしますので、そのあたりも気をつけて。容量デカすぎるとクラウド使うにも不便だし。
ということで、よーく「研究」して、いろいろ調べてみることをお勧めします。また、保険会社によっては、かなり内容が違います。3ヶ月以上の海外保険はないという会社もあります。かなり会社によってバラつきがあります。
また、意外と加入しているクレジットカードに海外保険がオマケでついてたりもします。一度きちんと調べておくと、後日にまた役に立つと思いますよ。
ユニケアとOVHC(エデュカバーから改称)について
日本での保険会社は、いろいろとネットで調べられると思いますが、全部英語の保険はあまり知られていないし、取っつきにくいと思います。でも、現地のワーホリ/留学生さん達がよく言うのが、ユニケア(NZの会社)とアリアンツという会社が出しているOVHC(Oversea Visitors Health Cover)です。
つい先日まで「エデュケア」という名称だった保険が、今は「OVHC」になっています。
以前のURLアドレスにアクセスすると自動的にアリアンツのOVHCのページに行ってしまいます。おそらくはAlliantz Gloval Assistanceという会社が買収かなんかしたのでしょう。このアリアンツという会社は、オーストラリアでは車の保険などで有名です。
というか、このOVHC、学生ビザの必須条件であるOSHC(↑上記参照)に酷似してます。なんでこんなに紛らわしいんだ?というと、これってもともとはオーストラリア政府・移民局の規定によります。学生ビザの場合はOSHCですが、学生ビザ以外のビザのうち、一定の範囲にはOSHC類似の保険に入らせよう(オーストラリアの財政を守ろう)って趣旨で、特に労働ビザ(457の労働(ビジネス)ビザ、485の新卒者ビザなど)については、適切な保険に入ることがビザ発給の条件になっていたりします。「condition 8501」というビザ発給条件です。それがOVHC。だからこれは個々の会社の商品名ではなく、日本の車の「自賠責」みたいな概念だと思ったらいいでしょう。
それに対応して保険会社各社が保険商品を出しているわけですが(
457保険比較サイトなんてのもある)、アリアンツというグローバル保険会社がビジネスビザだけではなく、昨今急増しているワーホリさん達にも売ればいいじゃんってことでやってるのだと思われます。その過程で、これまでの先行者であるエデュカバーを買収したかしたのでしょう。
ま、その辺の政治経済の背景事情はさておき、僕らからしたら「安いの?」「意味あんの?」という実践的な部分こそが知りたいわけで、以下、その点について見ていきます。また、ここでの「OVHC」はビジネスビザ系のOVHCではなく、特にアリアンツ社が出しているワーホリ、観光ビザ系の人への保険として論じます。
→以下長くなったのでタックしておきます。興味ある人はクリック。
ユニケアのサイト
アリアンツのOVHCのサイト
どちらも、オーストラリアに来てからでも入れます。以前のエデュカバー時代はオーストラリアに入ってから14日以内という制限がありましたが、OVHCになってからそんな制限はないようです。
気になるお値段ですが、適当に見積もりをとりました。2014年の06月27日から365日ということで、ユニケアは932ドル。OVHCは929ドルで、Visitors Plusという対象範囲が広いものだと1499ドルです。ユニケアは半年前の見積もりから15ドルくらいしか上がってないですけど、OVHCの方はエデュカバー時代に比べると2倍くらい値段が上がってます。
あと、YHA(ユースホステル)が提携しているQBEという保険会社の、非居住用の
Inbound Travel Insuranceという保険もあります。やってみたら結構高いです。1年で1489ドルとか。
しかし、この両者(ユニとOVHC)はなんでこんなに安いのか?
まず第一に、日本の保険が高いのは生命保険になってるからで、死亡補償もしている。だから保険金が巨額になり、掛け金も高い。ユニケアもOVHCも生命保険ではない、だから安い。
次に、ユニケアとOVHCの比較ですが、OVHCは医療保険だけです。つまり健康保険でしかなく、携行品保険など盗難その他の場合については出ません。当然生命保険でもない(これはユニケアも同じ)。だからエデユの頃は500ドル以下でユニケアの半額で安かったんですけど、OVHCになってからはユニケアと変わらないようになってしまって、コスパ悪くなってるような気がします。
OVHCとユニケアの医療対象範囲の比較ですが、これが一筋縄ではいきません。決め方が全然違うからです。OVHCはオーストラリア政府によって「メディケア(オーストラリアの国民健康保険)に準ずるもの」となっているので、範囲はメディケア任せです。それにプラスして多少広げたのが「プラス」という商品ですが、これが1.5倍くらい高い。そして、オーストラリアのメディケアの範囲ですが、日本の健保よりは狭いです。だからオーストラリア人でもプライベート保険を併用して入る人も多い(税金で払い戻しもある)。まあ、ひと通りのものは出ますが、特殊なものは出ない。
一方ユニケアは、本来の海外保険ですから、「海外において不測の損害が生じた場合全て」という大きな投網をかけて、そのあとで「これは例外ね」と列挙するという、普通の保険の体裁を取っており、個々の疾患の何がどうっていう比較はしにくいです。
以前のエデュカバーの場合、必ず学校に行かねばならず、また学校通学期間しかダメなのかって疑問もあったんですけど、OVHCになってからはそんな制限はないです。そのへんはいいんですけど、でも盗難保険とか賠償保険がなく、純然たる医療保険であるなら高いんじゃない?って気がしますね。
あ、学生ビザを取るつもりの方はOSHCに強制加入させられますから(でないとビザが取れない)、対象内容がほとんどかぶるであろうOVHCを買うメリットは少ないでしょう。学生ビザの方の場合、本当なら、一般の海外保険−OSHCの残部だけ(=盗難損害等だけ)を補償する商品があってくれたらベストなんですけど、なかなか見当たらないです。バラ取りを組み合わせるくらいかなあ。ニッチで売れると思うんだけどなあ。「ここにあるぞ」というのをご存知の方は教えて下さい。皆で知識をシェアしましょう。
あと、OVHCはキャッシュレスがききます。
ここで病院が検索できるのでやってみたのですが、確かに大都市近郊ならよくあるけど、一番モノゴトが起きやすいラウンドや旅先、よく皆がファーム仕事をしているSA州のRenmarkで調べたら半径20キロではゼロ、WAのcarnarvonでもダメ。要するに都会だけってことかなって思います。あと、こっちのカウンター経験がある人ならお分かりでしょうが、事務ダメダメなので、いくら規定でそうなっていても現場で知らないって話もないわけではない。そうなると机叩いて交渉、と。僕も先週、事案は違うのですが陸運局でETCをめぐって「そんな筈はない」と机叩いてきました。ま、ありふれた日常ですね。「いい加減な」と思われるでしょうが、でも、この
アリアンツのサイトですら、”Who is eligible for OVHC?”に対して”401, 402, 403, 416, 420, 457 and 485"visaとなっていて、おいおい肝心の"417(ワーホリビザ)" が抜けてんじゃんって。ま、そんなもんスよ。
数ある保険会社の一つアリアンツが出来るなら他の会社も出来ないはずはない、ってことで、他も調べてみたらやっぱりあります。例えば、Bupaという保険会社ではもっときめ細かい商品づくりになってたりしました。この中の
Short Stay Visitors Coverというがワーホリさん他用で、457ビザ用には設計されてないのですが、その分安めです。
ココにワーホリ用の詳細がありますが、週9ドルから週72ドルまで、えーと20種類くらい出してますね〜。ただし、いずれも健康保険だけで、盗難保険とか賠償保険は入ってないようですね。他にも探せばいろいろあるかもしれません。
ということで、お値段重視で、生命保険はオミットし、だけど健康保険以外の(携行品)なども含めて対象にしたいのであれば、ユニケアがいいのかなとは思います。健康保険だけだったらOVHCでも可です。めちゃきめ細かく決めたいならBupaなど他の保険会社を探してみるのも手です。
あと、デメリットとしては全部英語なので、いざ申請ときにビビるということくらいでしょう(
ユニケアなどには日本語を含めた各国言語の申請書もあるけど)。しかしですね〜、英語圏の国に観光ではなく、留学やワーホリでやってきて&現地で生活してて、この程度の初歩的な日常雑務すらこなせないってことは無いんじゃないですかね?その頃には周囲に幾らだってヘルプしてくれる人だっているでしょうし。つまりオーストラリアにいったけど、実用的なレベルまで全く英語が上達せず、且つ助けてくれる地元のオージーを一人も見つけることが出来なかった、、という、かなりトホホな事態を前提にして物を考えるのもいかがなものか?と。
以前お世話した方からユニケアに関して貴重なフィードバックをいただきました。現地の大学病院で検査や治療を受けた後、会計をしようとしたら、「会計がかなり怖かったのですが、会計のオバちゃんに保険証を見せたら、『オーストラリアにオフィスがあるからここに直接請求するわ』といわれ、治療費をその場で払わずに済みました。後日、ユニケアよりそのときの支払いは終わりましたというレターを受け取りました」ということでした。
この一例を過度に一般化するのは危険なのですが、確かにユニケアはNZ+AUSに特化した保険ですので、オーストラリアの医療機関からすれば「お馴染みさん」である確率は高い。付き合い慣れているから事務が簡易化する場合もありうる。一方、日本の保険は、現地にある「日本語でどうぞ」系の日本人観光客を対象にした医療機関にとってはお馴染みでしょうから、これも会計事務が早いのではないか(同じように直接請求するからと言われた実例あり)。さて、問題は、あなたがオーストラリアにやってきて「日本語OK」の医療機関に行くか、それともローカルに行くかでしょう。日本語系医療機関はその需要の絶対数と偏りから、日本人観光客が良く行くようなところにはあるでしょうが、日本人のあまり居ないところ(面積的にはオーストラリアの99%)にはまず無いです。単純な絶対数でいえば比較になりません。それはもう日本において「中国語OK」「タイの海外保険と顔なじみ」という医療機関がどれだけあるか?というのと同じ話です。比較的日本人の多いエリアに一カ所定住型で暮すのか、それとも広くオーストラリア社会を遊泳するのか、そのあたりも選択の一資料になるかもしれません。
ユニケアもOVHC、どちらもネットでダイレクトで申し込めます。
見たところ、かなりシンプルだし、そんな複雑な英文でもないです。オンラインでビザ(学生・ワーホリ)を取る難易度の5分の1くらいでしょ。5〜10分で出来る。
間に販売代理店を入れるかどうかは貴方の自由判断。間に誰か入ってくれた方が安心だと思えばそうすればいいし、むしろその方がリスキーと思う人はダイレクトにやればいい。関係者が増えた方が安心 or 不安?どちらも理はありますよね。間に入る人が良い人だったら力強いヘルプを得られるだろうけど、その人が悪かったり無能だったら、かえってトラブルのもとになるし、そこはあなたの世界観でしょう。
2013年以降もオーストラリア現地でユニケアに加入できるのか問題
→ これも関係ない人もいるでしょうから、タックしておきます。興味のある人はここをクリックして開いてください。
「出来くなった」という見解をネットで見つけた方から問い合わせのメールを頂きました。「え、うそ?」と思って、これを機会に僕も調べてみました。
結論的には今でも加入「できます」。ただし、オーストラリア国内の保険販売代理店に制約がかかったようです。したがって、個々人がネット/オンラインで加入する分には、これまでどおりOKです。
結論に至った理由その1。
直接ユニケアにメールして聞きました。あれこれ紆余曲折ありつつ、最終的にマネージャーから回答があり、代理店に告知したメールのコピーを貰いました。そこにはオーストラリアのAustralian FSRA(証券・投資) legislationによって、保険の国内販売に制約がかかった経過の説明とともに、個人客は従前どおり関係ないよ("The above does not impact our ability to sell direct to an individual over the internet, providing the individual is not an agent.”と明確に書かれていました。
結論に至った理由その2
2013年にも実際にこっちに来て加入したという実例がいくつもあります。ラウンド先で9月、11月にそれぞれダイレクトに、またNZの代理店にオンラインでやってもらったケースなどがあります。実際に、僕も試しに申し込んでみたら何の問題もなく出来ちゃいました(最後の支払いのところでキャンセルすればいいやと思ってたら、支払いページに行かずに「後からメールを送る」と表示が出て、翌日本当に送ってきて、「すいません間違いです」と謝った)。
ただし、現地加入には制限があります。
1. Each and every claim will be subject to an excess of $200.00.(賠償額が200ドル以下だったらダメ)
2. The policy must be taken for a minimum period of 3 months.(最低3ヶ月加入しないとダメ)
3. There is nil refund available upon cancellation of this policy.(キャンセルしてもお金は戻ってこない)
4. The policy must start immediately(即有効にするしか選択肢がない〜将来の日を基準にできない)
5. Section 2: (Luggage, Personal Effects, Travel Documents, Money and Credit Cards) is excluded from the policy.(手荷物携行保険はつかなくなる)。
The above conditions would apply to the first 3 months of the policy(ただしこの制限は最初の3ヶ月だけだよ)
これ、結構制限ありそうですが、よく見ると、既にこっちに来ていたら実際問題になるのは5の携行品除外くらいでしょう。2の最低期間は、もともとチビチビ入ると損だからそのくらい入るでしょうし(最初の一ヶ月が高い)、3キャンセルは、もともと加入日から開始日まで期間が開いているときだから事実上なくなるは当たり前だし、4即加入は、即入りたいから加入するんだし、関係ないでしょ。1の200ドルハードルはちょい痛いけど、これをクリアしようと思ったらもっと高い保険料になったりして、そこは考えどころ。結局一番痛いのは5携行品保険がつかないことです。しかし、他の条項を読むと、フルに加入してても「携行(accompanied)」してなきゃ賠償されないし、お金関係は最大で10万円までとされている。それに途中で入る人は、現地に大分慣れているし、ラウンド直前・途中の人が多いだろうから、最初から「金目のもの」なんかどれだけ持っているか?という。それに最初の3ヶ月だけですからね。
まあ、そこは個々人の考え方です。
これをより実戦的に言えば、最初の3ヶ月をクレジットのオマケの海外保険で済ませて、それが終わったらユニケアに入ろうという場合があります。
この場合、申込日と開始日は別に一致する必要はないんだから、日本にいる段階で"先日付(さきひづけ)"で入ってしまうという方法があります。つまり入国予定日の3ヶ月後(クレジット保険が切れる頃など任意の未来の日付)を開始時期にして入ってしまえば良いと。
ま、でも、実際に保険がどれだけ必要かは、現地に入ってから実体験をもとに慎重に考えたいって人もいるだろうし、ラウンドなど冒険的なことをするのも生活してから考えるという人もいるでしょう。あんまり最初から決めすぎて、途中で予定変更になったらどうするの?という問題もあります(何日以内だったらキャンセルしてどれだけ返ってくるか、しっかり条項を読み込むこと)。そこは 言うまでもなく"Up to you" です。そして入るのが確実だったら、先にやっておけば良いんじゃないの、予算が許すならってことでしょう。
補足
ユニケアの場合は、
Australasian Planですが、現地で入る場合、
FAQで”I am already in NZ; can I apply for cover now?”という問いに対して、"Yes you can apply for cover but we may need some additional information from you. Also, travellers who have already commenced their trip and are currently uninsured pose an increased risk for insurers. For this reason if we are able to provide cover your policy would be subject to special terms and conditions for the first 3 months of cover.This also applies to people who have been covered by credit card insurance for the start of their journey but then need to purchase additional cover as their credit card insurance has expired."(既に旅を始めている場合には、付加的に質問がなされたり、また現在他に何の保険にも入っていない場合には、最初の3ヶ月に特別条件が付される)としています。
あ、ここで、”I am already in NZ"といって、NZの事例しか書かれていないけど、オーストラリアの場合はどうなの?と、これもメールで聞きました。オーストラリアでもNZと同じくOKです(ただし上記のようにオーストラリア国内の販売代理店は販売できない)。
現地で加入する場合、必要事項を記入してクリックしたら、一両日中にメールを送りますって表示になる場合が多いと思われます。一応審査をし、それでほとんどがOKで「Please go ahead and click on the link below to make payment
https://www.uni-care.org/home/********.aspx」ってメールがくるでしょう。このページにいって支払いを済ませろと。
なお、メールでは”An Individual who has already commenced their travel, or is already in Australia can apply for cover, providing the policy period is greater than the time uninsured(無保険期間よりも保険期間の方が長いこと), but it would be subject to the below conditions:”となっており、上のFAQでは「現在無保険の人」と微妙な食い違いがあるのだけど、まあ、そのくらいのいい加減さは許してあげようか。そんなにビシバシ真剣にやってるわけでもなかろうと。
あ、それよりも「現在オーストラリアにいる」と並んで「既に旅を始めている(母国から離れている)」場合も同列に扱っているのに注意です。日本を離れ、オーストラリアに来る前に、フィリピンで語学留学しましょうとか、バンコクでちょっと遊んできましょうとかいう人、オーストラリアに来る前に入ればいいやと思いがちだけど、これも「既に旅を始めている」に該当すると思いますので、上記要件にひっかかるんじゃないかな。
そもそも、なんで旅の途中者、既にオーストラリアにいる人、しかも現在無保険の人の場合を特別扱いするのか?その趣旨として「保険金の支払いが増えるリスクがあるので」と書かれてます。
これについてふと考えて見ましたが、多分こういうことでしょう。
そういうタイプの人ほど無鉄砲な冒険をやって保険金の請求をしがちだからではないか?
あるいは予算がタイトだから、ギリギリまで頑張って、いよいよもうダメというときに加入するから保険会社としても損だという。
さらに具体的に想像するに、例えば歯痛とかじゃないかな?歯痛というのは前駆症状が半年くらい断続的に続いて、そこで直せばいいものを我慢してやり過ごして、いよいよどうにもならなくなってから歯医者に行くわけですが、その直前に保険に入ろうという虫のいい考えですね。これって"pre-exisiting medical condition"条項かなんかにひっかかって保険対象外になるはずです。しかし、それって、いつから痛くなったのか?本人は知っていたのか?という曖昧な話になったりして、そこで本人が強硬に「俺は知らなかった」「突如としてなったんだ」と強力に頑張ったりして、よくトラブルになるんじゃなかろか?だから保険会社もウンザリして、「要注ケース」として、あれこれ条件を課するのではないかという気がします。ま、これは単なる推測ですけど、多分そうじゃないかなあ。
冒頭に戻って、もともとが保険というのは博打であり、確率論をもとに保険会社と消費者がシノギを削るもので、消費者がより賢くなって、本当に必要そうなときだけピンポイントで加入するということをやられると、保険会社の儲け分が減るので、バランスをとるためにあれこれオモリをつけているんじゃないかと思われます。
以上、海外保険についていろいろ考えてみましたが、気になる保険料ですが、やっぱり高いですよね。生命保険標準装備の日本の保険だと、1年で10万から20万くらいしますね。ちょっと考えてしまう値段ですよね。うーむ、さすが保険会社、胴元だけあって、負けないバクチを打つよなーと思いますね。東電に融資するくらいなら掛け金安くしてくれよって気もしますが(^_^)。
僕個人としては、多くの補償内容はバサバサ切っていけると思うのですが、「不慮の事故」だけは考えてしまいますね。それも結果が重大な場合です。損害額合計が50万とか100万とかそのくらいのものであれば、確率からいっても、また負けても知れてるっちゃ知れてますから、どうでもいいんですけど、ただ、重大な後遺症が残るとか、とんでもない賠償責任を負うとかそういう事態になったら大変かなという気もします。保険に入るというのは、ただもうこの一点に集約されるのではないと思います。
保険は入りたいけど財政状態がとってもシビア!という人は、最初の3か月はクレジットのオマケ保険を活用し、それが切れる頃にユニケアに入るという方法もあります。ユニケア9か月だったら768ドルです。さらにユニケアは日割りで掛け金がデジタルに増減するようなので、必要なときだけ(ラウンドや旅行時など)に細切れに入るという方法もないわけではない(不利な条項がつくけど)。お金がある分だけの期間入って、それが切れるまでに稼ぐ!という自転車操業的なやり方もまあ、出来ないわけではないです。少なくとも出国前に全て決めろ!ってものではない点、融通はききます。
ただ、いずれにせよ、これだけはいえます。
「保険入ってるから大丈夫」とは絶対思うな!ということです。
前述のように、何か起こっても保険金が出ないというケースは予想以上に多いです。また、
リスク管理の章でも書きましたが、現地であなたが犯罪行為によって生命・身体・財産に被害を受ける何十倍もの確率で、自分自身のミスで被害を受けます。泥棒に盗まれる確率よりも、自分でバスや電車に財布を置き忘れたり、紛失したりする可能性の方が遥かに高いです。そして、上で見てきたように紛失などには保険はおりません。また、犯罪の被害によって怪我する確率よりも、自分で階段からコケたりする可能性の方が遙かに高いです。また、事故を起こしても、自分が酔ってたりしたら保険はおりません。そして、死亡はもとより、重大な後遺症などでは幾ら保険金が出ても、本質的な被害回復なんか出来ません。1億円貰えるなら両目失明してもいいや、とは思わないでしょう?
保険は「安心」を買うようなものですが、上に述べたように免責条項がやたら広いので、安心といっても虫食いだらけの安心であることを忘れずに。そして、何よりも「安心」→「油断」につながるんだったらむしろマイナスです。「お金で安心を買う」とかいうけど、
安心なんか買えるわけないだろ!ってことです。当たり前のことなんだけど、これが当たり前に思えなくなっている時点で既に危ない。心が緩んで「油断」が生じている。
留学やワーホリを一つのプロジェクトとして見れば、その最終目的は「豊かな実りのある海外体験」でしょう。そしてその目的を達成するために、様々な下位部門があります。学習、交遊、財務などなど。その中の一つに「リスク管理部」があり、そのまた下に「事後処理係」があり、保険というのは係の中のさらに一部に過ぎません。
リスク管理部で第一に求められるのは「適切なリスクの管理」であり、単にビビってるだけ、あるいは保険によって安心しているだけでは、「適切」でもないし、「管理」の名にも価しないです。リスクの実態、構造、パターンを知悉し、確率論的に常に起こりうることを念頭に置き、不幸にしてコトが起きたときは冷静沈着に対処し、事後処理のための事務を遂行する。例えば、total fire banなどのオーストラリアの制度を理解し、ガイドさんなどの注意をちゃんと聞き、天気予報も理解し、
「000(トリプル・ゼロ)」の緊急コールを即行い(”911”はアメリカ)、医療機関や警察に的確に英語で状況を説明して指示に従い、カードや携帯紛失に気づいたときは間髪入れずに関係機関に連絡して事故を報せ(そのためのパニックノートの作成)、そして後日の保険請求のための被害リストの作成やポリスレポートの取得、、という形になると思います。やるべきことは山ほどあり、保険などリスク管理の中のほんの一部に過ぎません。したがって保険に入ったからって全然安心ではないし、安心しちゃダメだと思います。
最後に、保険に関する最高・理想の状態というのは、「入ってて良かった」ではなく、元気に帰国し「なあんだ、入って損した」という状況だと思います。元気に損してください。Godspeed!