シドニー雑記帳

下手な英語で仕事するコツ





    シドニーに来てから2つの会社に勤めました。どちらも事務系の仕事なので、下手な英語で電話やファックスでコミュニケートしなければならず、なかなかにスリリングな日々でした。しかも、オーストラリアと日本のビジネス環境・習慣の違いに慣れるまでは、思わぬ落とし穴に片足突っ込んだりしたものです。

    しかし、しばらくやってれば下手は下手なりに、業務をこなしていくコツを覚えるもので、私なりのノウハウは蓄積しました。実際問題、英語の上達速度よりもコツを覚える方が早いし、逆に言えば英語ができてもコツがわからなければうまくいかないでしょう。結構恥ずかしいワザもありますが、日本とは異なる環境下、あやふやな英語力で仕事をしなきゃならない同志の参考になれば、と思い、ここに公開させていただきます。





    <コミュニケーションの基本>

    同じ資本主義社会でビジネスをやるんだから、コミュニケーションは効率よく、正確にできりゃいいわけで、基本的には日本と同じです。中国みたいにコネがないと一歩も進みようがないという社会ではありません。しかし、日本の常識をオーストラリアの常識と信じていると、時に裏切られたかのような思いをすることがあるかもしれません。

    ★担当者・責任者名を明確にすること

    まずは自分がコンタクトすべき相手(部署名だけでなく個人名も)を特定しましょう。って当たり前のようだけど、これが本当に大切なことなんです。どうもオーストラリアの会社というのは(というか、欧米も同じでしょうが)、個人の担当が定規でひいたように線引きされているらしく、「この件は○○さんじゃないとわからないから」という事態になりがちです。実に単純な用件(たとえばパンフレット請求レベル)でも、「それは私にはなんともいえない」と腰の抜けるような返事をされることがよくあります。

    これが電話での問い合わせなら「担当は○○さんだから」ってことで電話を回してくれたりするんでマシなのですが、ファックスやレターの際には要注意です。日本のノリで担当者名がわからないまま、部署宛に文書を送ろうものなら、待てど暮らせど返答は来ない。スタッフ全員が「わたし宛じゃないもん、関係ないね」で放置しておくみたいですね、どうやら。

    だもんで、ファックスやレターを送る際には、前もって電話して、「こういう用件でレターを送りたいのだが、誰宛にすべきか?」と確認し、名指しで送ることがすっごく大事です。ここで名指しすべき人を間違えると(間違えて教えられることもよくある)、受け取った人がまた別の担当者に渡したりするのに信じられないほど時間がかかるし、時にはその間で放置されて迷子になることもあるので、最初の電話でコンタクトすべき人を一発で探し当てるワザが必要です。

    できれば、最初の電話の際に自分の用件を簡潔&詳細に説明して、「コンタクトすべき人」を聞きだした上で、その人と直接話してみた方がいいです。話しているうちに「あ、そーゆーことなら僕、担当じゃないから」と言い出すこともあるし、うまくすれば電話だけで用件が済んでしまうこともあるし。が、そこまで出来たら、苦労しないんだけどね。

    さて、担当者をつかまえたところで、まだ困った問題が残っています。この人が不在だと他のスタッフが何もわからないということです。特に急な病欠などの場合、どうにもなりません。担当者の回復を祈るばかりです。ちょっとその人のファイルでも覗いてくれりゃ済む話なのに、そういう努力すらしようとしないもんね。「まったくキミタチは何のためにコンピューターをネットワーク化してファイル共有してると思ってるんだ!」と苛立つほどに、担当者以外は使いモノになりません。

    もっともこの状態ではビジネスチャンスを逃すばかりでヤバイということに気づいている人もいて、「問い合わせを受けたスタッフ全員が対応できるようにしなければ、とても国際競争力のある企業には育たないぞよ」なんて批判が新聞に載ったりしているくらいなので、賢い経営者は改善策をとっているのでしょう。しかし、こういう体質って変えるの大変そうだなあ。


    ★3度聞くまで安心するな

    オーストラリアの会社では同じことを3回聞くと3回とも違う回答が来ることがよくあります。役所の窓口ですらそうです。当初は「こんなんで、よく市民は混乱しないなあ」と感心していたけど、実はけっこう皆混乱しているみたいです。その分、言ったもん勝ちというか、交渉さえうまくやれば、なんでも通りやすいというメリットもありますが。

    上記のように「担当者じゃないからわからない」と正直に答えてくれるならまだマシで、担当者じゃないクセにいい加減な知識でもっともらしいウソを言うスタッフが実に多い。といっても、当の本人はウソついてるつもりはなくて、「担当者でもないのに親切に教えてあげている」という意識なのでしょうが、言ってる情報が間違ってるんだから迷惑以外のナニモノでもありません。

    最初に問い合わせた時はOKと言われたのに、後日別の人に聞いたら「ダメ」と言われた、なんてこともよくありますから、ぬか喜びは禁物。(証拠は必ず文書でとっておきましょう。)

    じゃあ、担当者なら必ず正しいことを言うか?ということ、これまたアテになりません。日本の場合だと役所でも会社でも各部門ごとに経験豊かな生き字引のような人が一人くらいはいて、関連することなら何でも教えてくれたりしますが、転職の多いこの国では、外から引き抜いてきた畑ちがいの人が俄仕込みでマネージャーになったりしますので、もう誰も信用できないって感じです。

    その対応策としては、同じ質問を同じ部署に3回以上ぶつけること。つまり、3人の異なるスタッフから回答を得るわけです。3回聞けば、さすがにどの回答がヘンでどの人言うことがもっともか、なんとなく掴めます。

    以前、コンサートのチケットを電話予約しようと、チケット屋さんに電話したら、最初の一人は「そんなコンサートはない」といい、次の人は「コンサートはあるが、そのチケットはウチでは扱っていない」といい、3人目にしてようやく、そのチケットを扱っている会社の電話番号を聞き出すことができました。すべからく、こんな調子です。いさぎよく、あきらめましょう(笑)。

    ★納期は明確に伝え、納期前に催促すること

    以前「オージーの仕事観を探る」でも書きましたが、本当にオーストラリアの会社は「納期」という意識が希薄です。日常、as soon as possible(省略してASAPと書くことも)なんて言ってますが、こんな悠長なことを言っていたのでは、日本側から急っつかれるタイミングには間に合いません。日本語の「すぐ」が「この1〜2時間以内くらい」を意味するとしたら、オージー英語の「soon」は「2〜3日中」くらいのズレがあります。ですから、レターにat your realiest convenienceなんて書いた日にゃ、永遠に返答来ないものと覚悟しておいた方が無難です。

    コツとしては、仕事を依頼する際には、必ず明確な納期を記載すること。それも、自分が必要な日にちから幾分サバを読んでおくことです(依頼内容にもよりますが、見積もり依頼のような簡単なもので、「常識的に考えうる必要時間+1日」が妥当なセンじゃないかな)。さらに、日にちだけではなく、「明日の午前中」とか「今日の午後3時まで」とか具体的な時間を提示すると、「あ、ホントに急いでいるんだ」って認識してもらえてよろしいようです。少なくとも、「ゴメン、3時には間に合わないんだけど」程度のエクスキューズが入る可能性は高くなります。

    そして、指定した納期の前日に「調子はどう?」とかいいながら、催促の電話を入れておくのも効果的。前日まで放置していて(あるいは忘れていて)、電話を受けて慌てて仕事に着手してる、なんてことも、結構あるんじゃないかと私はにらんでいます。

    ★稼動時間は午後4時までと思え

    ふつう、オーストラリアの会社は朝9時から午後5時まで、ランチをはさんで7時間労働です。が、午後5時近くなると、ソワソワと帰宅準備をしだすプラベート重視の人々もいますので、4時すぎてからモノを頼むのは避けた方がいいでしょう(特に大学とかお役所関係にありがち)。とにかく4時から5時の間はできるだけ仕事をしたくないものです。極端なことをいえば、他の時間帯に聞いたらOKになることが、5時ギリギリに聞いたらNOと言われる可能性だってあるかもしれません。

    稼動時間の話が出たところで、ついでながらランチタイムについて触れておきます。日本の会社は大抵12時からカッキリ1時間、示し合わせたように休憩をとりますが(忙しくて取れない人も多いが)、オーストラリアの会社ではランチタイムは個人個人バラバラにとるようです。イギリスのモーニングティーの習慣も残っているので、11時くらいに小休憩をとる人もいるためか(都心のビルの下には11時くらいになると愛煙家がたむろしている)ランチの時間は比較的遅めです。12時半くらいから三々五々ランチをとりに出かけたり、持参したサンドイッチを食べたりしてます。遅い人だと3時くらいにランチする人もいます。ですから、12時だろうが、1時だろうが、誰か彼かはオフィスに残っていますので、目的の人がつかまらなくても、伝言することはできます。

    ★オーラルコミュニケーションの後は、文書で再確認すること

    ミーティングでも電話でも、言葉を通じてコミュニケートした後は、できるだけ文書で確認を取り合うようにした方がいいと思います。これは私が英語に自信がないからだけではなく、言ってることとやってることが違うという事態を避けるためです。文書による証拠があれば、あとで問題が起きた時、「言った・言わない」という低次元のけんかにならずに済みます。これはオーストラリアに限らず、世界中どこでも共通していえることでしょうが。

    ★相手の名前を頻繁に呼ぶこと

    どうでもいいといえば、どうでもいいことなのですが、相手の名前(ファーストネーム)を覚えて、頻繁に呼びかけるというのが、こっちのスタイルです。電話であれ、ミーティング中であれ、レターであれ、事あるごとに「MAKIKO,」と呼びかけられます。そうやって親近感を醸し出すことで、仕事をスムーズにしようという無意識の配慮なのか、ふだんからそういう習慣になってるのがビジネスの世界にも入り込んでるだけなのか、理由はよく分かりませんが、とにかく彼らにとって名前を呼び合うことは大事なことみたいです。

    これは私の仮説ですが、日本語では「あなたは」という人称代名詞を使う代わりに「○○さんは」と相手の名前をいれて会話をしますね。ところが英語では、必ずYOUが入る。YOUばかりだと他人行儀な感じがするから、かわりに文末などに名前を入れて親近感を醸し出そうとしているのかもしれません。確かに名前を呼びかけずに淡々と話していると、なにか冷たい感じは受けるかもしれません。これはビジネスがどうのという問題ではなく、社会言語学の領域になるのかな?


    とまれ、名前は大事です。実際、彼らは覚えにくいであろう日本人の名前もよく覚えます。日本語名は彼らにとっては発音しにくいから、時々間違えるけど、でも覚える努力をしていることは確かです。尊敬に値します。ですから、こちらも相手の名前を覚えて、呼びかける努力をすべきじゃないかと思うに至りましたが、なかなか慣れるまでは大変です。せめて、「さんきゅー、ジョン」と「はーい、サンディー、はわいゆ」のパターンだけは言えるように練習しました。

    ★社交辞令について

    社交辞令は英語にもあります(ついでに「英語に敬語はない」なんて昔聞いたことがあるが、いっぱいあります)。表現としての社交辞令もあるけど、仕事していてよく感じるのは、「親しげにふるまう」という社交辞令があるのかな?ということです。

    どういうことか?というと、たとえばですね、昨日初めてコンタクトした人から今日二度めの電話がかかってきたとします。他スタッフに取り次いでもらった電話に出て「でぃすいず まきこ すぴーきん」と言った時点で、いきなり旧来の親友に向かって両腕を広げてキスするかのように「おー、まきーこ、はっろー、はっわいゆー」と来るわけです。一瞬「あのー、あたし、あなたとそんなに親しかったっけ?」と喪失された過去の記憶を取り戻す作業に入りかけてしまいます。

    もちろん全員が全員こんなに大袈裟なわけではありませんが、程度の差こそあれ、実態より親しげにふるまうことで社交辞令を果たしているようなところはあるように感じるのです。

    ところで、お決まりの挨拶、「はーい、はわいゆ」ですが、なんて答えたらいいでしょう? 中学で習ったように「あいむふぁいん、さんきゅ」でもいいのですが、単に「ふぁいん」とか「ぐっど」でも構いません。日常生活上、始終聞かれることなので、もう自分の言い回しはこれ!と決めておいた方が楽です。

    もちろん、ビジネスシーンでも始まりはいつも「はーい、はわいゆ」であります。答え方も日常会話と同じ。で、私、ずっと不思議だったんですね、「病気の時はなんて答えるんだろ?」って。日本語だったら「元気?」「うーん、実は風邪ひいちゃってね」といきなり現実的な会話に入っていくわけですが、英語ではそうはならない。風邪で鼻声してても「のっばっ(NOT BAD)」とか「あいむ OK」とか強がって言ってます。どうも英語では「はわいゆ」と来たら、ネガティブなことを言っちゃあイケナイみたいです。まあ、一種の社交辞令なんでしょう。

    こんなことがありました。
    取り引き先のおにーちゃんといつもの通り「はわいゆ」「あいむOK」と挨拶した直後に、かなり無理な納期で仕事を依頼すると「まきこ、実はぼく、今ひどい風邪ひいてるんだよ。これから早退しようと思ってるんだ」と。言われてみれば、もともとダミ声の彼だが、その日は特別ガラガラ声。「そうかー、そんなに具合が悪くても、はわいゆと聞かれたら、あいむOKと答えるのかあ」と、やたら感動しました。そこまでして、はわいゆの後はポジティブでなくてはならなかったのかあ、と。

    うーん、どうして英語圏の人々は、そんなところで強がるんだろう? 「自立した人間は他人に心配をかけてはいけない」とかそういう倫理観があるのかな? 社会言語学としては面白いテーマだと思うんですけど、長くなりそうなので、またの機会にしましょう。





    <ファックス編>

    電話でのコミュニケーションに自信がない私は、どうしてもファックスを多用することになります。こちらの用件を文書で伝えれば、たどたどしい英語で説明するより誤解は少なくなるし、先に用件を伝えておいてから返答を聞けば、相手の早口の英語もどうにか理解できます。

    ただし、ファックスが効力を発揮するのは、コンタクトすべき相手が明らかになっている場合だけです。先にも述べたように、部署名のみや間違ったスタッフ名で送ると、見事なくらい無視されます(時々、忘れた頃に返答のレターが届いたりする)。

    ★ファックス送信後に確認の電話をいれること

    無視されてもいいような内容なら構わないのですが、返答が必要ならばファックス送信後に電話を入れた方がいいです。ファックス周辺機器も進化したので、機械のトラブルで送信したはずのファックスが届いていないということは少なくなりましたが、そういう可能性はゼロではありません。ただ、私が送信確認の電話をお勧めする理由は別にあります。

    「ファックスなんて相手からすれば届いたかどうかわからないシロモノ」とタカを括って、面倒クサイ用件だと受け取っていないフリをするレイジー君が時折いるようです。返答がちっとも来ないので電話してみたら「あれ?、そんなファックス受け取ってないけど・・」と言われたことが一度ならずあります(こっちは送信確認簿もあるのに)。本当にどこかで迷子になってしまったのかもしれないけど、どうもこういうケースはルーティン作業ではない面倒クサイ内容に限って起こる傾向があるんですね。

    とにかく確認の電話をいれて、本人がいなければ電話口に出た人に「○○さんの机の上に置いておいてね」と頼み、ついでにその人の名前を控えておくくらいのコンジョーが必要です。実際、そうやって念押しされることはよくあります。

    ★ネイティブの英語もアテにならないぞ

    英語に自信がないと、思わずオージーの英語を崇拝してしまいがちですが、仕事しているうちに「オージーの英語も結構いいかげんなもんだな」ということが分かってきました。
    どのくらいいい加減かというと、スペルミスは日常茶飯、文法ミスもわりと頻出します(ネイティブにとっては自然な文法ミスなのかもしれないけど、ビジネスレターとしてはやっぱマズイんじゃないの?という)。

    一度、no less thanの定義でモメたことがありました。あるサプライヤーに見積もりを依頼したところ、「no less than 15 person」という条件付きで費用が提示されました。私の理解では no less thanは「以上」(つまり15人も含まれる)だったのですが、「じゃあ、15人以下の費用はどうなるの?」と改めて聞いたところ、10人から15人までそれぞれの費用があがってきまして、その15人の費用が最初にもらっていた「no less than 15」の金額と違っていたわけです。そこで???となり、あらためて辞書で確認しました。やっぱり no less thanは「以上」でいいようです。オフィスにいるオージースタッフに聞いても、私の理解が正しいといいます。

    で、このサプライヤーに「一体どういうこと??」と聞くと、「最初の見積もりの時は15人を考えていなかった」というわけ。この人、立派なオーストラリア人ですよ、それもキチンと教育されたネイティブスピーカーです。要するにこの人の言葉の定義があいまいだったわけです。ふう〜。

    しかし、自信過剰はイケマセン。ちょっとでもあいまいな単語、表現はイチイチ辞書をひいて確認しましょう。辞書ひくのが面倒臭くて隣のオージーのスタッフに聞いたりすることもありましたが、彼らの英語がアテにならないというわけじゃないけど、やっぱりオーラルコミュニケーションは誤解のもとなので、マメに辞書で確認した方がいいようです。ビジネスレターにはスラングも登場しませんから、ふつうの辞書で十分ですし。ただ、オーストラリアの社会制度に関する固有名詞や単語は、辞書じゃ調べようがないんですよね。田村先生による「オーストラリア版・現代用語の基礎知識」の発刊を待ちましょう。

    もう1点、ネイティブの英語がアテにならないといいながら、矛盾するんですけど、「相手からもらったファックスは参考になります」というお話。ファックスはビジネス英語の宝庫だもんね、自分宛てのファックスは丸暗記しちゃうくらいにしつこく読んで、決まり文句・言い回しを盗んでしまいましょう。ビジネスレター用の英語って最初はとっつきにくいけど、慣れてしまえばパターンが決まっているので、スラングだらけの日常会話に比べたらずうっと簡単です。





    <電話編>

    いまだに電話は苦手です。仕事ですからかけなきゃいけない時はかけますが、それでも「よお〜しっ!」と気合を入れてからダイアルします。でも、次第に鍛えられてきて、ソツなく仕事を遂行できる程度にはなりました。英語力向上のおかげというより、これこそコツをマスターしたおかげと言えましょう。

    ★相手が言ってることがわからない時は、遠慮せずに堂々と聞き返すこと

    自慢じゃありませんが、相手が言ってることがわからないことはよくあります。当初はその度にアタフタしてしまい、sorry?と聞き返す余裕もありませんでした(だって何度言ってもらってもわからないんだもん)。でも、だんだんわかってきたのですが、私が理解できないのは、なにも私のせいだけじゃないのです。その証拠に、勇気を出してsorry?と聞き返すと、「あ、ゴメン、ちゃんと説明するね」と言い直してきます。たぶん、私が理解できないことを言ってる時は、相手も自分で何がいいたいのかよくわかってなくて、あいまいなことをグジャグジャ言ってる時なんだろうと思うのです。日本語でもあるでしょ、そういうことって。そういう時、われわれが読み取る情報としては「あー、なんだかグジャグジャ言ってるな」という程度だったりするじゃないですか。

    相手がきちんと説明してくれてる時でもわからないことはありますが、そういう時は「わからなさの質」が違います。全体的に言いたいことはわかるのだけど、部分的に私の知らない言い回しや単語が出てくるのです。こういう時には、自分が理解したことを自分なりの言葉で言い返して、「つまり、あなたがいいたいのは、こういうことでいいの?」と確認すればいいわけです。

    だから、相手がワケわからんことを言ってても、別にビビるこたーないのです(おお、言い切った!)。

    ★よく使う言い回しは念仏を唱えるように繰り返し発音練習すること

    電話応対用語は決まってます。日本語でも「いつもお世話になります」「少々お待ちください」「失礼ですがお名前は?」「ただいま、○○は会議中です。折り返しお電話させましょうか?」みたいな特別用語がありますよね。あれと同じです。こういう決まりきった用語は、たどたどしい英語でノロノロと言われると、聞いてる方はイライラするものなので、もう瞬間的に早口で言えるよう、繰り返し練習しましょう。

    最初の頃、私は通勤途中の電車やバスの中で、一人でブツブツ練習してました。毎日毎日練習して、だんだん考えなくても口をついて出てくるようになりました。あーゆーのは、文字で追っちゃダメですね、音で覚えて、まんま発音するとイイみたいです。

    <例>:
    • あいまふれい、ひざうふぉーらんち、あっざもーめんっ
      (あいにくただいまランチで外に出ておりますが)
    • しゃらいげっはーちゅーこーりゅーばっ?
      (折り返しお電話させましょうか?)
    • くっじゅーほーどなもーめん、あいるげっはーふぉーゆー
      (少々お待ちください、ただいまおつなぎいたします)

    ★自分の表現に自信がない時は、逆にハッキリ発音すること

    自分が言いたいことが正確に表現できない時、表現に自信がない時は、思わずうやむやな言い方をしてしまいがちです。表現もいい加減なうえに、ムニャムニャ言っていたのでは、伝わるはずがありません。(こういう時、「I don't understand.」とよく言われました。そりゃそうだわな。)

    で、学んだことは、「自信がない時こそハッキリ発音せい!」ということです。文法メチャメチャでもいいんです。1つでも正確に単語を伝えられれば、相手はそれを手がかりに推測できます。ほとんど、連想ゲームの世界ですが、わかってくれれば相手から「あんたの言いたいことは、こういうことでしょ?」とできなかった英語の試験の正解がその場で得られます。こういう苦労(迷惑ともいう)をした後は、あらたな表現方法を覚えられるというオマケもあります。

    どうしても理解不能なら、文書でやりとりするという手も残されているわけだし、そんなに悲愴にならなくてもいいんですよね。




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