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通学期間について (2)




A英語が出来る/出来ないで何がそんなに違うのか?

 ワーホリの方を対象に言いますと(留学生も基本的には同じですが)、英語の出来/不出来で、イチから十まで全部世界が違ってくると言っても言い過ぎではないと思います。

 例えばホームステイ。せっかく目の前に「オーストラリア人家庭の100%ナマの生活」があるのに、その実りを十分に見出せないで終わったり、それどころかステイ生活が異様に息苦しくなったり、辛くなったりします。

 もとより相性も当たりハズレもありますが、同じ条件だったら英語が出来る(つまりコミュニケート出来る)方が楽しくなる確率はずっと高いでしょう。コミュニケートできないと、ほんと音声消してTV見てるだけというか、ただの傍観者に過ぎませんし、相手から見たあなたは「ただの物体」でしかなくなっていきます。実際、家族が楽しげに喋る食卓で、何一つ理解できないまま一人でモソモソ皿を見つめて食べ続けるのは、かなり精神的にツライですし、その苦労にさして意味があるとも思えません。

 APLaCの一括パックでここ数年、いきなりシェア探しに移行してきたのはこの点もあります。ホームステイも当れば良いのですが、そういった「当たりハズレ」という要素が海外生活の冒頭にあるのは厳しいからです。

 波長の合わないステイ先でひたすら「懲役4週間」みたいな期間を送るのは、それ自体苦痛ですし、苦痛によって得られるものも少ない。もっと怖いのは「後遺症」です。つまり、ローカルの英語環境で暮すことがトラウマになり、絶対無理!もうヤダ!と思いこみ、その「反動」で、ステイ後は学校で知り合った日本人同士のシェアになってしまうというパターン。これは多いです。というか日本人コミュニティにシェア広告(例えばココとかココ)の膨大さから逆に推察すれば、殆どがそのパターンになってしまうと言っても過言ではないでしょう。皆がみんな英語環境で楽しくやってるんだったら、こんな日本語掲示板の存在自体がそもそも不要。地元の掲示板のGum Treeだけで十分です。

 人間社会というのは、言うまでもなく人間によって構成されてるわけで、人間同士の関係はコミュニケーションによって成立してます。だから、コミュニケーションが出来なかったら、海や山を見つめて暮す以外、ほんとに何にもできなくなってしまいます。

 で、実際にも、ほんとに何にも出来なくなってしまうわけです。というか、コミュニケートできる範囲でしか世界が広がっていかない。「コミュニケート出来る範囲」とは何かというと、要するに日本語の通じる「現地在住の日本人世界」しかない。だから、日本人とシェアして、友人も日本人だけで、行くところもワーホリさん御用達のような情報センターで、日本の雑誌やマンガを読んで、日本の連続ドラマのDVDを借りて、日本食レストラン食べて、英語を喋るのは買物するときに1日1分くらいしか無かったりする、、、、なんてケースも、現実にはいくらでも転がってるわけです。

 知り合いのイギリス人は、日本人ばかり6名ほどいる所にシェアしていたそうです。彼にとっては日本語を勉強したいから理想的な環境なのですが、電話がかかってきても他の日本人が誰も電話を取ろうとせず、いつも自分がとらないとならない、「みんな英語の電話取るのが恐いんだよ。でも電話の9割以上が日本人からかかってくるのに」ってと愚痴ってました。たまにしかかかってこない英語の電話(殆どがセールス電話)を怖がって知らん振りをしてるというのも、けっこう情けないですが、でも僕に言わせれば、「その気持は、すっげーよく分かる」です。これが現実。これがごく普通の、英語偏差値50近辺の素顔の日本人の姿です。

 かといって、別にそれが悪いわけでも、非難しているわけでもないです。
 そんな他人のことなんかどうでもいいし、none of my business です。

 でも、したくてそうしてるわけでもない人もいると思うのですね。本来ならもっと違うことしたかったんだけど、言葉の壁で可能性がひとつ一つ閉ざされ、消去法的にそうなってしまうという現実がある。なまじ日本語環境が整備されているので、余計やりにくい。日本人のシェア先、職場、日本人のレンタルDVD、カラオケボックス、漫画喫茶、日本人ワーホリの行き付けのパブ、もう何でもあります。そのあたりを日課のように回遊し、シティの学校にいって、シティのフラットに日本人(プラス韓国人)と2DKに12人という養鶏場みたいなシェアで暮らして1年を終える。2回目ワーホリのためにファーム仕事を目指しても、自分でファームを探す自信もないから高額の斡旋料を払って、必ずしも給与面でも恵まれているとは言い難い(日本人ばかりの)ファームに送り込まれる(例えば動画館の「バンダバーグでの”やってられるか”体験」参照)。

 こういう現実は、オーストラリアに限らず、バンクーバーでもオークランドでもロンドンでも、あるいはタイのバンコク(カオサンとか)でも、世界の至るところにあります。10年前から「海外ひきこもり」として日本のメディアでもちょこちょこ紹介されているので、今では知ってる人はみんな知ってます。別に、誰が何と言おうが、最初からそういうことしたいなら、それで全然OKです。我が道を行けばいい。

 でも、もう少し世界を広げたいなら、それなりのパワーとスキルが必要です。
 そのパワーとスキルも沢山ありますが(強靭な体力、打たれ強い精神力など)、その一つの柱として語学力があるのは、これはもう否定できない事実でしょう。

 英語が出来るかどうかでそんなに違うか?とまだ疑問の方は、日本語が出来ないベトナム人と、日本語が出来るベトナム人が日本で暮す場合を考えてみたらいいです。日本にいて、日本語が殆ど出来ないベトナム人がどれだけ苦労するか?結局出来なかったら、同じ民族コミュニティーの中でしか生きていけなくなるでしょう。それと全く同じです。

 あまりにも当たり前過ぎて語られる機会が少ないのですが、英語が出来ないのに現地に居るというのは、実は現地の感覚でいえば、結構イレギュラーなことだったりします。日本人同士でいると、英語なんか出来なくて当たり前だったりしますが、こっちの平均的な(つまり日本人社会ではない)オーストラリア人からすれば、英語なんか出来て当たり前です。

 こちらは移民社会ですので、英語ネィティブでない人はいくらでもいますし、また皆もそれに慣れてます。しかし、国民性もあるのか、日本人(&韓国人)以外の連中は、さほど物怖じせずローカルの中に入っていけるから、すぐに口語は出来るようになるのですね。英語はしょせん場数ですから。だもんで、「ネィテイブじゃなくても英語なんかすぐに喋れるもの」という(日本人にとっては)迷惑な感覚が蔓延してたりします。そんな世界においては、標準的な日本人の英語レベルというのは、かなり珍しいくらいに出来ない部類に入っちゃうわけです。「なんでそんなに出来ないのか理解できない」って言うオージーもいますよね。"poor English" って。逆に外人さんって日本に1年もいたら、ソコソコ喋れるようになってるでしょう?1年もいても全然喋れない人間なんか、彼らからしたら「ありえない」です。

 オーストラリア人は一般に人が良いですから、そういう僕らにでもフレンドリーに接してくれる場合が多いけど、「あ〜あ、こいつ、何とかしてくれよ」みたいに肩を竦められたり、聞こえよがしに溜め息つかれたり、舌打ちされたり、電話でタドタドしく喋りはじめた途端にガシャンと切られたり、全然話を聴いてもらえなかったり、要するに一個の人間としてレスペクトされないなんてことは日常茶飯にあります。僕なんか自慢じゃないけど(本当に自慢にならないけど)、現地に20年以上住んでても英語でこの種の思いをすることは未だにあります(ま、慣れっこだけどね)。

 その屈辱感はかなりツライから、日本人同士寄り添いあって生きていく、、みたいなことになるわけです。僕はそんなに人種で差別されたことはないけど、英語力で差別されることは日常茶飯事ですし、自分が英語が出来るに従って待遇が良くなってきたなってのはすごい感じました。それをヒシヒシと肌身で感じるからこそ、前述のようにクソ勉もしようかって気になったわけです。


 →さらに次を読む(Bじゃあ、4週間を17/12週間にしたくらいで差が出るの?)


INDEX

@英語を舐めたらアカン!の原則
A英語が出来る/出来ないで何がそんなに違うのか?
Bじゃあ、4週間を17/12週間にしたくらいで差が出るの?
Cそうは言っても予算に限りがあるし、、予算的にはどうなのか?
D12週行くことを前提に、最初は4週間申し込んでそのあとに延長するという方式はどうか?


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