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お金の移動方法について(その3)




目次

第一章:各移動方法のメリット・デメリット
@ 現金
A 過去の遺物化したTC
B 海外のATM引出できるカード
C 海外送金とTransfer Wiseなどの新興サービス
D ANZ銀行などオーストラリア銀行口座を日本で開設
E オーストラリアで銀行口座を開設+日本から送金
F クレジットカードでキャッシング

第二章:総合判断 考えるべきポイントとミックス案

第二章:総合判断 考えるべきポイントとミックス案


 さて、このように多種多様の方法があるわけですが、一言でいえば一長一短があり、冒頭で述べたように正解なしです。ネットを見ると、いろんな人がいろんな意見をおっしゃってますが、大体がある限られた局面においてのお話で、全ての局面においてダントツに優れた「これだ!」って方法は無いと思います。またその人の置かれた状況によって正解もまた違うでしょう。

 一般論的にいえば、小口の生活費だったら海外ATMが使い勝手がいいですし、大きな出費の場合はクレジットカードが向いています。ですので適度にミックスさせるといいように思います。

 つまり、現地で語学学校の費用を払うような場合はクレジットカード支払が向いてますし、はじめからシェア探しをやるつもりであればすぐに現金が必要ですからATMで引き出せるカードがあると良いでしょう。家や学校が決まって(住所や口座管理手数料の学割特典など)こちらの銀行口座を開設し、予め作っておいたトランスファーワイズなどで送金をしたり、などです。

 渡豪前に豪ドルがお買い得であり、渡豪するまでにそのメリットを得ておきたいならば、国際プリペイドカードのチャージを外貨チャージにして有利な時期に豪ドルに換金しておく方法もあります。入国後に有利な時期がきたと判断するなら、その時点で送金するなど。

 さらに、不測の事態に備えて(紛失、カード磁気の損耗)、複数の手段を用意しておくと良いでしょう。


 どの金融機関が良いのかになると、最近では多くの金融機関、さらには金融機関以外の業者さんも多数参入してきて一概にいえなくなってきてます。大昔はシティバンクの独壇場だったのですが、リーマンショックなど銀行そのものが大丈夫なんか?という根源的な疑問もあったりして、このあたりを考えていくと迷宮に迷い込みます。そうです、金融というのは精密に考えれば考えるほどワケが分からなくなるものなのですね。

 「分からん!」でほっぽり投げていたら話が進みませんから、気を取り直して幾つか判断基準を設けて、もう一度整理してみましょう。

 交換レートの良さ : 送金系がだいたいよく、次にクレジットが良く、その次に海外ATM(+3-4%)、ワーストは日本円現金(+10%)。

 コスト=手数料ですが、これはさらに手数料A(初期コスト)と手数料B(ランニングコスト)に分かれます。
 手数料A(作成コスト) :クレジットと海外ATM系が一番安くて無料。送金は5000円前後の作成・送金コストがかかりますが、トランスファーワイズなどだと1000円前後で済みます。現地オーストラリア口座は口座開設そのものは無料ですが、そこに日本から送金すると送金コストがかかります。

 手数料B(ランニングコスト) : 海外ATMは200円程度の手数料とレート損があります。オーストラリア口座のATMの場合でも手数料はかかりますし、口座管理料もかかります。クレジットにはサーチャージがかかる場合もあります。現地オーストラリア口座のキャッシュカードのEFTPOSのキャッシュアウトをするのが一番安いでしょう。日本円現金は交換手数料+レート悪悪で論外レベルかと。

 しかし考えるべきポイントはまだあります。

 
為替レートの変動
 損得勘定でいえば、これが最大級に大きいです。

 下のグラフは、日本円・豪ドルのGoogle Financeのデーターをキャプチャーしたものです(2019年12月段階)です。

円豪ドルレート変化


昔はもっと詳細なグラフだったんだけど、最近こんな感じになっちゃいました。まあ似たようなグラフはYahooファイナンスほか、証券会社やFX系のサイトに山程あります。その中からもっともレンジが広そうなTrading Viewというところに掲載されていたグラフをキャップっておきます。

円豪ドルレート変化

これは1994年(僕が最初にオーストラリアに来た年)から今までの25年分くらいのスパンでありますので、移り変わりが分かりやすいと思います。 ★★★★★★この図 世界経済と留学/ワーホリ3−1:為替の動きにどう対応するか とfaqmoney03と同じ。連動して更新すべき
 真ん中あたりでドカンと下がっているのが、いわゆるリーマン・ショックです。これだけ見ていると昔は豪ドルが安かったようですが、しかし1990年代中頃は100円台に達した時もあったし、もっと昔の話になれば280円台で留学したとか、米ドル360円時代には440円だったいう大昔の話も聞いたことがあります。

 それが何か?というと、「レートというのはコロコロ変わる」ということです。

 そして80円がプラスマイナス8円ブレるだけで10%(100万円中10万円)ぶっ飛びますから、手数料なんか問題にならないくらいの巨大な差になります。つまり現在のレートで全額をプリペイドカードに外貨リチャージしてしまったり、あるいは送金してしまったとして、そのあとに円高になったら大損です。しかし、円高を期待して待ってて裏目に出たらこれも大損します。

 そして、将来為替がどうなるかは、おそらく誰にも分からないでしょう。こういった為替という巨大な変動要因を考えたら、チマチマ手数料を計算していることが空しいとすら言えます。


 これが最初の方に述べたこと(カードの名前なんかどうでもよくて、本質が大事)の本質のその2である、いつ為替交換するか?論です。

外貨(為替)交換の時期について


 そのカードの名前が、プリペイド/デビット/クレジットであれなんであれ、まずこの為替交換の時期に着目すると良いです。

 一般にデビットカードは、使用時(買物時とかATM引き出し時)に為替交換をしますのでその時点でのレートが適用されます。クレジットカードの場合は、そのカードの契約内容によって、使用時の時点か、毎月○日〆の翌月○日払いという基準時のレートによるかが決まります。

 これらは使用するときまで引き落とし口座の日本円のままであり、使用時に先立っての貨交換はしません(できません)。

 プリペイドと呼ばれるカードの場合には注意が必要です。一般に予めそのカードにお金をチャージ(入金)しておいて、その分だけ使えるような形だからプリペイド(先払い)なのですが、カードの契約種類によって、日本円でチャージする場合と、外貨でチャージする場合があります(選択できる場合もある)。日本円でチャージする場合は、為替レートの時期は上のデビットと同じですが、外貨チャージの場合はチャージした時点(外貨交換の地点)が為替レートの時期になります。

 いまあなたが渡豪を3ヶ月後に控えていて、どんどん豪ドルが高くなっている傾向にある場合、このままいけば3ヶ月後の渡豪時点で交換したら損をするんじゃないかと思われるなら、今の時点で、プリペイドの外貨チャージをしておけば良いでしょう。

 逆に豪ドルが下がっていて、このまま待てばもっと下がって得をすると思うなら、外貨ではなく日本円でチャージしておくか、あるいはデビットやクレジットを使えばよいでしょう。

 併用策は、例えば手持ちのお金の半分を送金(or 外貨チャージ)して、あと半分はリアルタイムの為替で出来るようにして(日本円チャージやデビットカード、クレジット)にして、そのときどきで有利な方を使うという手もあります。だけど滞在中ずっと上がりっぱなしだったら、「ああ、全部外貨リチャージにしておきゃよかった」という話にもなりますから、これも完全ではないです。

 さらに、初動費用(学校代や最初のステイ代とか)だけクレジットにして、あとは(日本円チャージのプリペイドかデビットで)ATMでコンスタントに下ろすという方法もあります。このメリットは、得もしないが損もしないということです。つまり毎週コンスタントに引き出していた場合、1年で52回下ろすわけで、その時々で円安円高があるわけですが、コンスタントにやるから結局為替レートは年間の平均値に限りなく近づくと言うことです。まあ、なかにはその人が下ろす日に限ってレートが悪いという特に運の悪い人もいるでしょうが、数学的には平均値になるでしょう。無難なパターンともいえます。ただし、そんなに多数回下ろすなら、手数料を考えれば送金の方がトータルでは得だという気もします。

 
現地での利便性
 お金の移動を考える場合、誰しもどうしても日本からオーストラリアまで通貨を移動させることだけに集中し、その後のことはあまり考えない傾向があるでしょう。

 しかし、現地に来てしまえば日々の生活が始まるわけであり、その日常での利便性が大きなポイントになります。交換・利用場所や時間帯が限られてしまったら、日常活動の制約になります。こちらの生活が進めば友達も掃いて捨てるほど出来るでしょうし、バーベキューやらパーティー、勉強、バイト等々忙しくなってくる筈です。シティにこもって、日本人だけの狭いサークルで生きていくなら交換場所も近いでしょうけど、現地に溶け込めば溶け込むほど、活動範囲も広く、また多忙にもなります。シティに常に行くとは限らない。このあたりは考えどころです。

 あと、ATMなどのカード引き出しの場合、1日下ろせるのは10万円(約1000ドル)までという制限があったりします。その額は銀行によってマチマチですが、学校の費用とか初動で沢山必要なときは毎日下ろし貯めないとならず、面倒ではあります。また、前述のように紛失その他で再発行を頼むときの手続きの煩雑さや所用日数なんかもポイントになるでしょう。事前に調べておかれるといいです。

インターネットバンキングと不測の事態
 ATMでやる場合、こちらから日本の口座を操作/指示しやすいかどうかという点もあるでしょう。その場合、インターネットバンキングがどれだけ使い勝手がいいかどうかですね。

 それともう一点、不測の事態への対応です。
 カードを落としたとか、暗証番号を3回間違えたとか、磁気不良になったとか、もっと悲惨なケースだとATMがカードを飲み込んでしまって出てこない、カードは出てきたがお金が出てこずレシートを見たら残高を引かれていたなんてこともあります。特に最後の2パターンは悪夢のような事態ですが、僕も何度も目撃してますし、僕自身、アブダビ(アラブ首長国連邦)に旅行にいった際、夜10時にATMにカードを飲み込まれてしまいました。「きゃー!」ですよ。

 このような不測の事態への対応の良さというのもポイントになるでしょう。まあ、分かりにくい基準なのですが、そういうことに慣れている金融機関が良いのでしょう。例えば、サービスデスクが24時間対応であるとか、日本語対応なのかとか、どんな質問をしてもチャッチャと答えてくれるなど対応がしっかりしているか、再発行が簡易迅速に出来るかとか、そういったことです。なお、現地のサービスデスクなんかよりも日本に電話した方が早いです(こちらでは格安で国際電話できますので)。リスク管理の項と重複してきますが、この際、サービスデスクとの番号等もちゃんと控えておくこと。その際「0120」なんて番号ではダメです(海外からはかからない。
 
ちなみにATMにカードが飲み込まれてしまった場合の対応ですが、とっとと諦めて、速攻で日本に電話して再発行してもらった方がいいです。ATMが設置されている銀行に申し出ても、ATM部局と支店の行員さんとでは役職が違う場合が多く、ラチが開かないからです。お金が出て来ず差っぴかれていた場合ですが、これも即時日本に電話して、事態を説明し、調査してもらってください。大体(というか僕が経験した範囲では全部)OKになってます。ただし即やることが肝心です。何週間も経ってから申し出ても説得力に乏しいですし。


 はい、もうこの時点でかなりヘロヘロになってきたと思います。同時に複数の局面と視点を考えないといけないので、頭がウニになってきますよね。

 僕が思うのは、何度も言ってますが、リスク分散のためにも適当にミックスさせておくと良いということです。

 一応、「例えばこんな感じ」ということでモデル案を考えてみるなら、下の@クレジットカードとA海外ATM引き出し可能カードは必須で、B送金などはオプションといったところかと思います。

 @クレジットカード
 大口の支払には最大の長所を発揮します。使う/使わないはともかく、一枚は持ってこられるといいです。なぜなら身分証明機能、ブッキング機能があるうえ、携帯電話のレンタルの際に必要だったりします。あると便利というより、ないと非常に困る局面があります。

 A、海外ATM引き出し可能なカード(デビットでもプリペイドでも)
 ポイントは、(A)現地ATM引き出し可能+(B)日本の口座に追加入金可能という2点です。すなわち、着いたその瞬間から24時間いつでもどこでもキャッシュ化できる利便性、さらに緊急時の日本からの送金が非常に迅速&簡単であるという点でポイントが高いです。この2条件さえ満たしていれば、名称なんかなんでもいいです。実質的に同じ機能を持つ手段は増えています。
 これらは作成コストが割安なので、使う/使わないに関わらず一枚持っておかれるとよろしいかと思います。

 B送金その他(オプション)
 手間も時間もかかりますが、@Aのカード系はカードを入れている財布を落としたらお手上げというリスクがあります。また、現在が円高でそのメリットを確定したいと思うときもあるでしょう。その場合は時宜に応じて送金などの手法を使えば良いと思います。


 以上、あれこれ詳細に各手法を見ましたが、大雑把に言ってしまえば一長一短です。
 「これだ」というほど決定版があるわけではない。それに、多少の損だの得だの言ったところで知れてるっちゃ知れてます。例えば為替レートにしても、元金が少ないならその差異もしれてます。また予算の項でも言いましたが、お金というのは最初の一週間にドンと使ったら、あとはボチボチしか出ていきません。

 それぞれに一長一短があり、考え出したら泥沼になるなら、カンドコロだけを押えて、適当なところでパキンと決めて、切り上げたらいいです。他にもやることは沢山あるでしょうしね。

 逆にあなたが投資家退職者ビザでこちらで悠々自適に暮すとか、億単位の資産を有利に運用するかいうならレートがちょっと違うだけでも大差がつきますので慎重に考えるべきでしょう。まあ、このくらいのお金を動かせる人は、僕ごときに言われるまでもなく十分にお考えだとは思いますが。

 ちなみに、予算200万円くらいの長期留学 or ややリッチなワーホリの場合、当面使わないお金はこちらの銀行の定期預金にいれちゃったりするのもテです。こちらは金利高いですからね(だいぶ低くなったけど、それでも日本のゼロ同然に比べたらまだマシ)。



作成の手間暇と落とし穴

 各種カードにせよ、Transfer Wiseなどのサービスにせよ、実際に使えるようになるまでに1−2週間くらい見ておいてください。早ければ一両日で使えるようになるものもありますが、意外と時間がかかります。

 オンラインでOK!とか書いてあるくせに、途中で「郵送で」とか時間が読めない手続きが入ってたりもするし、あるいは日本の携帯にSMSで認証コードを送ったりするので、自分が日本にいないと手続できないものもあります。

 さらに最近の傾向として、人気不絶頂のマイナンバー(国民9人中約8人に拒否られてる〜普及率12%)をなにがなんでも使わせようとしたり、マイナンバーが嫌いな人はダメなものも多いです。

 

学校へ現地での支払方法
 語学学校に現地で申し込む場合の支払い方法ですが、かなりゆるやかです。すなわち、@オーストラリアドル現金、Aオーストラリア建てトラベラーズチェック、Bクレジットカードなど各種の支払いを受け付けてくれる学校が多いです。ただし、クレジットの場合は1-3%前後の手数料を徴収する学校もあります。

 意外と知られていないのですが、これらの手段をミックスすることも可能です。例えば全費用が5000ドルだった場合、うち3000ドルをクレジットカードで、1000ドルをTC等で、さらに1000ドルを現金で支払うことも可能ですし、クレジットカードの限度額の関係でこのようなミックス方法を取る場合も実際には多いです。

 但し、逆に融通のきかない学校=銀行振り込みやクレジットしか受け付けていない所もあります。その場合にもATMから現金を引き出し、そのお金を現地での振り込みやダイレクトデポジットするなど方法はあります。が、クレジットカード「しか」ない場合はお手上げになりますので、上に述べたように何か一つに固定せずに、AがダメならB、BがダメならCという具合に複数のルートを用意されるといいです。
 この複数化=リスク分散化は、滞在中起きるかもしれない盗難、紛失、磁気不良、パスワード三回間違いロック(ありがち)、、などなど、リスク管理の意味からもとても大事だと思います。


その他の方法(裏技)
 大した準備もしてないうちに現地に着いてしまったという方をサポートする場合もあり、その際よく使うのは、「僕(誰か他人)の口座を経由する」という方法です。
 僕は、25年来のCitiバンクの顧客(SMBCプレスティア)なのでオンラインバンキングで1日あればオーストラリアに持ってこれます。これを利用して、あなたの日本円口座から、日本にある誰か(僕とか)の日本円口座(つまり普通の口座)に送金(普通の振込)をして、その上で僕(他人)がオーストラリアの口座まで送金し、引き出して、あなたに手渡し(あるいはあなたの口座に送金)すればいいです。
 僕なりその他人に対する信頼があるのは絶対条件ですし、またSMBCの場合4000円(外貨交換と送金にそれぞれ2000円)かかります。それさえOKなら、あなたがやるのは、日本国内で日本円を送金するだけ(普通の送金)です。一番ラクで、レートも悪くないです。

 他の裏技としては、現地にいる日本人と直接交換することです。あなたがオーストラリアに着いたばかりで日本円を豪ドルに交換したかったら、オーストラリアから日本に帰るところでオーストラリアドルを日本円に交換したい人を探すことです。現地の日本人用の掲示板でときどき広告が出てますし、自分の知り合いネットワークを使って、誰かいたら教えてって予め探しておくことです。成功するかどうかはわかりませんけど、相手を見つけてしまえば、それが最強最速でしょうね。


 以上です。お疲れさまでございました〜。


 ★関連リンク = 予算・費用について
 ★関連リンク = 語学学校の選択の基準(その2)予算で選ぶ 語学学校の経費の構造
 ★関連リンク = 世界経済と留学/ ワーホリ3−1:為替の動きにどう対応するか

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