第一章:各移動方法のメリット・デメリット(承前)
C 海外送金
上記の貸金決済法により、あるいはその前からオーソドックスな金融機関の海外送金ではない、ユニークな送金サービスが沢山登場しています。今までコラム的に書いていたのをまとめてみました。
これらは銀行から銀行へという金融機関相互の送金ではなく、第三者機関が仲介に入り、ユーザーの便宜を図ろうとするものです。
---この箇所は2013年時点で更新をやめて、以下、単なる参考に留めます--
その理由は、
@、あまりにも年がら年中変わり過ぎる。次々に新しい方法が出てくるわ、販売終了の嵐だわで、リアルタイムに正確に把握しきれない。半年前の情報ではアテにならないです。
A、これが一番大きいのですが、あれこれ緻密に検討した結果、どれも一長一短あって、そんなに画期的に素晴らしい方法はないという点です。ただし、一長一短は人によって変わります。あなたの置かれた特殊な状況にピタッとハマる方法があれば、一長ゼロ短になるのでオススメになるでしょう。しかし、それは個人的事情が強すぎてこの場での解説に馴染みません。
だもんで、あくまで「参考」に留めます。
各方法のHPなどでは、いかにも得であるかのように書かれてます。当たり前です。しかし冒頭に書いたように100%得だったら彼らが儲からないわけですから、どっかでは絶対なにか取ってる筈です。しかしそれは巧妙に隠されている(わかりにくい箇所に書いてある)場合が多いです。
どういう点に気をつけるべきか?ですが、
・為替レート (Visaの国際レートに○%上乗せとか書いてある筈)
・作成手数料、入会金、会費、その他なんらかの名目で取られるか
・手間がかかるか(申請方法、カードの受取方法、現地での利用方法で制約があると実際問題使えない場合もある)
・実際、自分はそれをどんな局面でどのくらい使うか?によるコスパ計算(手数料が固定である場合と、比例(○%)である場合、利用する金額が大きいほど前者の方がお得だとか)
ただ、まあ、大雑把な感覚で言えば、これを必死に調べて極めたとしても、それによって得られるメリットと労力のコスパを考えたら、英単語の一つでも覚えた方が実益あるように思います
→ということで参考にするためにみる(クリックすると内容が表示されます)
KVBの円送金
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KVBの円送金は、オーストラリアで活発に活動するようになったKVBという会社の扱っているサービスです。昔っからやってますね。KVBは、香港ベースの外為銀行で、KVB 昆侖国際有限公司というのが正式名称のようです。
ホームページはここにあります。
よく宣伝されている円送金ですが、要は邦銀よりも円の評価を高くし、交換レートを1−2円ほど良くしている点にポイントがあると思います。この為替レート差だけを考えればお得と思われます。
ただし、同じ外資のCitiバンクもいいセンをいっていて、一番最初に本稿を書いた(2005年5月)でのレートを比べてみると、KVB87.74円、Citi87.65円で、Citiの方がむしろお得だったりします。ちなみに同じ外資である新生銀行を見てみたら、87.74円でした。KVBと全く同じですね。まあ、レートは時間によって違いますし、ある一点で比べたものが全てではないですが、レートの良さは何もKVBの専売特許ではないとは思います(というか邦銀がおしなべて高いのだけど)。ホームページで比べてみると、為替レートが載ってるページは、
KVBはここ、
Citiはここ、
新生銀行はここです。
なお、各更新時を比べてみると、
2008年09月--KVB89.48 Citi89.60 新生89.71
2010年02月--KVB82.34、Citi82.45、新生82.11
2011年07月--KVB87.82、Citi88.10、新生87.55
2012年08月--KVB82.68、Citi82.90、新生82.44でした
そして、2013年01月16日は、KVB93.85、Citi93.90、新生93.62でした(トレンドが分かればいいから以後この変動は更新しません)
もう、このくらいの僅差になってくると、それほどナーバスにならなくても良い気がしますね。
それによく考えてみると、レートひとつでケリがつくほど話はシンプルではないのですね。KVBの場合(別にこの会社のせいではないのですが)構造的な問題が二つあります。一つは、円送金をするにしても、円送金に関わる送金手数料というのが発生することです。KVBは日本に支店がないようですので、あなたが実際に円送金をしようと思ったらどこかの邦銀にいって、オーストラリアのKVB銀行口座に円建て送金を依頼しなければなりません。そこで送金手数料がかかってしまう。そのときいくら掛かるかは、あなたのお近くの銀行の料金表次第であって、KVBの手の届かないレベルの話になります。もし、この円建て送金手数料がレート差を超えるくらい高かったら意味がないです。これはKVBも親切に「但し海外送金(円送金も含む)には、送金元の日本側の銀行で送金手数料、送金先のNZ、豪州もしくはカナダの銀行で支払銀行手数料(受取銀行手数料)が発生します」と書いていてくれてます。
第二に、KVBは地域密着型の銀行ではないので支店数が極端に限られ。オーストラリアではシドニーやメルボルンに一店舗づつしかありません。KVBに円送金をする場合、円送金をするか、円建てのTCを作って持っていくかの方法があるわけですが、いずれにせよKVBに行ってオーストラリア現金を受け取ってくることになります。シドニー支店はシティのタウンホールの交差点のCitiバンクのビルの18階にありますが、コマメにそこまで行くのも面倒でしょうし、土日は休みで、営業時間は5時までという制約があります。かといって一気に何千ドルもの現金を引き出せば、帰り道がドキドキです。だからしばらく預かって貰ってオーストラリア銀行の口座に送金してもらうか、速攻で預金するという方法になるでしょう。そうなると後述するオーストラリア銀行口座開設にまつわる問題が付随します(住所や管理料など)。
その他
幾つもあり、僕も詳細を詰め切れていないのでとりあえず挙げておきます。
JTB海外送金サービス
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これはJTBの会員が、専用のJTB海外送金サービス口座へ振込みするだけで、海外にいる指定した引出人に送金するもので、引出人はJTBが発行するカードを使って、海外のATMで現地通貨を引出すことができるというものです。要するに邦銀の海外キャッシュカードを、JTBがやっているようなものです。違うのは「預金口座」でもないし、口座振込人と引出人が別であるとかいう点ですが、実質的な機能では同じでしょう。特に「あとから送金」するような場合には、日本円で日本の口座に振り込めばいいだけなので、ほとんど同じだと言っていいでしょう。
デメリットしては、入会金とか年会費とかがありそうなのと、初動の手続きがどれくらい面倒なのかとか、銀行そのものではないのでネットバンキングその他の機能に制限がありそうなところでしょうか。
詳細はココです。
MasterCardキャッシュパスポート (トラベレックス)
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トラベレックス(英)とVISAの提携でATMキャッシュパスポートを発行していたが、貸金決済法以降マスターカード・キャッシュパスポートになった。
詳細はココ
この特徴は「ATMでおろせるTC」のようなものでしょう。豪ドル建てTCを作ってTCの帳面を貰う代わりにカードを受け取り、現地のATMで下ろせるという、TCの不便さを解消したものです。またマスターカードと提携したので、マスターカードの加盟店の場合(これは多いだろうが)、デビットカードとして使える。もっとも人気が出てきて、円建てでも使えるし、その場合には一般の銀行ATM引き出しにデビットカードが付加された形になる。
特徴&デメリットは、トラベレックスが旅行用両替屋さんという性質上、カード作成などをする店舗が、空港とか主要観光地など旅行関係にシフトしていることでですね。ここが銀行系と大きな違い。しかしオンラインで作成でき、カードは郵送という簡易なパターンもあります。
あと作成費用が入金額の1%ということで、幾ら入金するかによってTCその他の費用よりも高いか安いか決まります。100万円とかだったら1万円かかるけど、30万円だけTCにしようとして5000円の手数料を取られるなら、このカードだと3000円だからお得だろうと。
あと為替レートの設定が結構高めです。同種外貨ATMの為替手数料が無料だから、他の銀行ATMが3-4%の手数料を取ることからすれば似たようなものか、、、と思ったけど、それを差し引いてみてもちょい差があるような気もします。例えば同一日にシティや新生銀行をみると93-4円のレートが99円だったりして。
HSBCプレミア インターナショナル・外貨キャッシュカード
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詳細はココ。英国系の香港上海銀行。外資だけあって、普通の円預金口座のキャッシュカードがそのまま海外ATMで使えるのはCitiや新生と同じ。特徴的なのは、最初から外貨建てでキャッシュカードを別途作ることが出来ることであり、この場合現地ATMの為替手数料は無料になるのはトラベレックスと同じ。但し、トラベレックスよりもレート良さげではある。また、銀行なのでオンラインバンキングなども利用範囲が広く、外貨預金なども出来る点ではシティと同じ。シドニー現地にも支店が幾つかある。
デメリットしては、日本における支店数が少ない。来店予約で見ても全国6店舗しかないこと。そこはまあ郵送その他で出来るとして、隅々まで読んでみたところ口座管理料が月額5000円かかるというのは痛い。月平均1000万円以上預金がある真に「プレミア」なお客様には無料なのだが。だからこれはお金を持っていて、外貨運用を行い、それも中国系ビジネスも睨んでいる人には良いかもしれないが、そうでなければ--。
VISA DEBIT
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VISAによるクレジットではないデビットカード。しかし海外ATMでも現金の引き出しが出来るので候補になりうる。これは各銀行がVISAと提携しているかどうかによる。例えば、
スルガ銀行のキャッシュカード一体型VISAデビットカード、
楽天銀行の楽天デビットカードがあります。どちらもユニークで使い勝手も良さそうだが、前者は地方銀行なので東海方面には強いが、全国的な店舗展開はあまりないこと。後者は、もともとがネット銀行なので支店数が少ない上、支店名が音楽(サルサ支店とか)なので、いわゆるポップな楽天のノリに親しみを覚えたり、日頃からよく利用している人には向いているかも。年会費も1000円くらいだし。
その他、ソニー銀行の
MONEYKitというものあるが、これは米ドルを基軸とするので、アメリカに行くならいいが豪ドルだと何かと不便かも。米ドルで資産管理をしている人には良いかも。
↑このように色々あるのですが、各内容を理解する際に一番気をつけるべきは、「ATMで引き出しているつもりで高金利で借金してました」って事態にならないようにすることだと思います。以下、ややこしいですけど、コトバの問題について多少書いておきます。
コトバの説明
@、クレジットとデビットの違い
本来は会計用語で、貸方に書くかどうか、信用創造機能があるかどうかですけど、難しい話はさておき、ぶっちゃけ簡単にいえば「ツケにする」「後で払う」のがクレジットです。商品を買ってクレジットで払うと、その時点でお金を持ってなくてもクレジット会社が肩代わりして払ってくれる。こっちはあとで精算するまでに(○日締めの翌月○日払いとか)お金を用意すればいい(引き落とし口座に入金)。注意すべきは、クレジット払いの本質は「立て替えて払ってもらう=借金」だということです。
デビットは買った時点で預金口座から引き出されてしまいます。いつもニコニコ現金払い(決済)ですね。「あとで精算」という作業がないし、借金ではない。
A、ATMとキャッシュカード。そしてクレジット/デビットカード
正確にいえば多分「キャッシュカード」なんて概念はないと思います。決済方法としてはクレジット=信用(後日)決済か、デビット(即時引き落とし決済)かの二種類しかない筈です。ただ、日本のこれらのカードが入ってきた時に「ATM引き出し」とセットになって売りだされて、その際に「キャッシュカード」というコトバが使われたんだと思います。だから、一般的にキャッシュカードといえば、「ATMで預金を引き出せるカード」という意味で使われていますし、僕もここではそういう意味で使ってます。
でも「ATMで引き出せる」ことと、それが即時決済(デビット)かどうかはレベルの違う話です。「外食か自炊か」ということと「洋食か和食か」というくらい全然レベルが違う。でもゴッチャになってるからややこしい。
オーストラリアの銀行で口座開設するとカードをくれますが、これは日本のキャッシュカードに相当し、ATMでお金を引き出せますが、同時に商品を買うときにもクレジットのように使えます。ただしクレジット(後日精算)ではなくデビット(即時決済=EFTOPOSという↓)です。ですので、オーストラリアでは「キャッシュカード」という英語は無く、「デビットカードを発行しますね。ATMでも引き出せるし、エフトポスとしても使えますよ」と言われます。知ってないとチンプンカンプンでしょう。
B、注意すべきは借金になるかどうか
「海外で使えるカード」には、クレジット一体型カードとか、オンラインデビットカードとか名称やルールは様々なんですけど、注意すべきは以下の二点だけだと思います。
(1)ATMで現地通貨(オーストラリアドル)を引き出せるかどうか
(2)その「引き出し」は、純粋に引き出しなのか、それとも借金の一種なのか
ここでややこしいキャッシングという用語があります。「海外ATMでもキャッシングサービスがご利用になれますので、現地通貨を入手できます」と言われながらも、それってデビット的に即座に口座から引き落としになるのか、それともお金を貸し付けられているのか、です。もし後者だったら、「引き出し」ではなく、利息を払わなきゃからないから損です。「キャッシング(現金化)」というだけだったらどっちの意味かわからないです。
ただ、借金(クレジット)の意味でいっていても、(A)通常のクレジットのように期日に引き落としてもらえばそれまでの金利はつかないもの、(B)そうではなく年率15%とかバカ高い金利を払わされるのか、の2つの意味があります。前者Aであれば、特に問題はないです(リアルタイムの残高がわかりにくい=期日にドカンと減るくらいで)。後者だったら問題です。「海外ATMでバカ高い金利を払って借金することが出来ます」と言ってるに過ぎませんから。
C-2 Transfer Wiseなどの新しい送金の潮流
2018年ころから新しい波が世界的に出てきています。
トランスファーワイズが有名ですが、他にもいくらでもあります(ググってみたら出てきます)。
トランスファーワイズが画期的な点は、送金手数料が安く、為替レートが有利な点です。これは破格といってもいいくらいの差で、これまでのようなどんぐりの背比べ的なものではないです。なぜこんなに安くできるのか?ですが、頭いいなーと思うのは、海外送金なんだけど海外送金をしてない点です。
これまで換金や海外送金というと、VISAなどの国際大手が仕切っていて、各金融機関は利用料を払ってそれを使わせてもらうという形でした。だからどうしても手数料もレートも高くなる。ところがトランスファーワイズなどのニューウェイブは、これを利用していない。
じゃあどうするのか?といえば、例えば日本円10万円をオーストラリアに送る場合(80円レートで125ドルとして)、あなたはトランスファーワイズ日本支店に10万円送金したら、トランスファーワイズ・オーストラリア支店が、それに相当する125ドルをあなたが指定するオーストラリアの口座に送金します。日本円をオーストラリアに持ってきてないのです。送金も換金もやってない。
このままだと日本支店は10万もらいっぱなしだし、オーストラリア支店は125ドル払いっぱなしでおかしなことになりそうですけど、でも、各国支店の取引をトータルすれば帳尻は合うわけです。また、オーストラリアから日本に送金する場合もあるわけで、トータルすれば大差ないのでしょう。この「トータルでいえば大差ない」って部分に着目して、大胆に「送金しない送金サービス」という新しい波が出てきたというわけです。
トランスファーワイズは設立は2011年ですが、日本での営業は2016年からです。一般に知れ渡りだしたのが2019年くらいでしょう。今は雨後の筍のように多くの機関が似たようなサービスをやってます。それにゆうちょ銀行なりセブンなりが相乗りしたりしています。
ただ新しいだけに、ここはアジアメインに特化とか、これは口座開設までに時間がかかるとか、そこはそれぞれです。
2019年以降は、うち(APLaC)を利用される方もトランスファーワイズが多いですかね。
D ANZ銀行などオーストラリア銀行口座を日本で開設
これは便利なようで不便だと思います。まず、日本で開設しても、現地の支店(シティの真ん中)までいってカードを受取らないと実際には引出せない場合が多く、また銀行が混んでたりすると結構待たされたりすることもあります。初動一週間は多忙ですので、時間の浪費だという気がします。また、日本で開設する場合、5000円くらいの口座開設費用が取られるでしょうし、オーストラリア銀行に日本から振り込むときにまた送金手数料(換金手数料)などがチャージされたりします。
ちなみに、オーストラリア銀行口座をオーストラリアで開設する場合、手数料はかかりません。
E オーストラリアで銀行口座を開設
こちらで銀行口座を開設したあと、日本にいる家族などに頼んで送金してもらう手もあります。この場合もやはり送金手数料はかかるのです(通例4000-5500円くらい)。
最大の問題は、
急場に間に合わないという点です。
★「着いたらすぐに銀行口座を開設しなきゃ!」と思いこんでる人が多いのですが、それってあんまり合理的な根拠はないです。
「間違いだらけのワーホリ&留学/現地に着いたらすぐに銀行口座を開設すべきか?」にも書きましたが、着いてすぐには作らない方がいいし、また作れないくらいに思ってた方がいい。なぜなら、@住所が未定、A学生証提示による口座管理料無料が得られない、B開設しようにも、銀行営業日&時間に拘束されるし、土日は動けず、カードが来るのは5営業日だから1週間かかります。
反面、着いた当初はやりことが満載で、やれ携帯電話を開通させなきゃならんわ、宿も決めないといけないわ、学校の手続きや登校もあるわで、口座の開設なんか普通一段落ついてからやるものです。
身分証明としてパスポートとクレジットカードを持参されるといいと思います(各銀行各窓口によって言うことが(人により、時期により、支店により)バラバラなので、これでOKというスタンダードがわかりにくいのですが、大体パスポートとクレジットカードがあればOKというケースが多いです)。なお、学生割引(口座管理料無料)をやってる銀行が多いので、語学学校などに入学して学生証を貰ってから作成するとよろしいでしょう。
オーストラリアでの銀行口座ですが、こちらで生計を立てるのでなければ(働いたり、ビジネスをしたり、小切手を貰う機会があるなど)でなければ、口座を開いても、預金などはしないで、もっぱら引出し専門になると思います。だとしたら、口座なんか開設してもあんまり意味がなかったりもします。口座管理料(アカウントフィー)というランニングコストもかかるし。
EFTPOS 〜知っておくべき現地のやり方
こちらではデビットカードがやたら普及しています。
EFTPOS(エフトポス)という名称で知られてますが、スーパーをはじめ、大きな店だったら大抵使えるでしょう。
クレジットと違うのは、その場で口座から引き落とされることです。
さらに特筆すべきは、スーパーなどでは
キャッシュ・アウト/cash outというレジで現金を引き出すサービスがあることです。「スーパーのレジで預金の引き出しが出来る!」という点で画期的です。便利ですし、引き出し手数料も取られないからお得です。
レジでカード精算をしてる途中で、"any cashout?"(えにきゃっしゃう?)って聞かれます。
もう少し詳しく描いておきます。
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EFTPOSのやり方は、レジ(というのは日本語で本当はcasherという)の人にカードを渡すか、自分で備え付けの機械にカードの磁気面を滑らせて読み取らせます(この行為を英語でスワイプ(swipe)といい、"swipe your card"って言われることもあります)。次に口座を聞かれます("Cheque or Savings?")が、多くの人はセイビングス(普通口座)でしょうから、"Savings please"。自分で機械のSAVボタンを押せと言われるときもあります。で、レジの人が購入金額をマシンに入力する際に、"Any cashout?"と聞きます(聞き忘れる人もよくいる)。下ろさなかったら"No thanks"、あるいは掌を振ってNOのジェスチャーでも可。「暗証番号を入力してOKボタンを押してください(PIN and OK, please)」と言われるので、そのとおりにやると、あとはレシートを貰って一件落着。
ついでに書いておくと、スーパーによっては「ポイントカードはお持ちですか?」と聞かれます。Colesの場合はFly Buy Card、Woolworthの場合はEveryday Cardです。「ふらいばい?」「えぶでかあ?」って聞かれるでしょう。聞かれるタイミングは人によってマチマチ。最後まで聞かない横着な人も多い(というかオージーは言われなくても最初から出している)。
ただし、全ての店でEFTPOSが使えるわけではありません。スーパーなどの大規模店ならまず使えますが、カフェとかテイクアウェイとかではキャッシュオンリーの店も結構多いです。カードは使えてもクレジットのみって店もあります。使える場合、暗証番号を入力するためにカウンターの中に入っていくこともありますし、ワイヤレス機械になってる店もあります。
キャッシュアウトで200ドルを引き出すくらいだったら普通ですけど、1000ドルもキャッシュアウトしている人は滅多にいませんし(僕は未だかつて見たことがない)、地元民的な目で見たら、かーなり異様です。治安的にも危なし。
F クレジットカード
メリットとしては、第一に
送金コストがかからず、第二に
持ってさえいれば良いという簡便性、第三に
安全性です。
この安全性は、語学学校の授業料など大きな出費の場合には威力を発揮します。数千ドルの現金をTC交換やATM引き出しで持って歩くのはリスキーでしょう。またATM引き出しも、1日1000ドルとか制限があるので大きな支払には向いてません。
ただし、クレジットの場合、
海外利用限度枠などを設けている場合がありますので、先に確認しておかれるといいです。また電話一本で引き上げることも可能です(カードによるだろうけど)。
この確認は絶対にやっておくべき!
皆さん結構あやふやで、いざ語学学校のカウンターで支払をするときダメだったということがよくあります。
もう、
2回に1回は失敗しているくらい。
なぜかというと、非常に細かな点でつまづくからです。
やれ「海外の場合の利用可能範囲は10万に限る」とかいう基礎的なことから、やれ口座残高の計算を間違えた(直前にドカンと使っているので利用限度額が狭まってる)、やれ「それは去年までの規定で今年から変わりました」、やれ「それは在職中のもので、退職したら限度額が減る」、、などなど。
これらは「VISAカードだから」とか大雑把な一般論では決まりません。クレジットカードというのは世界的な決済機関(VISAとか)に、各国の金融機関や企業(三井住友とか楽天とか)が契約し、さらに消費者のニーズに合わせて個別に商品化しているものです。だからクレジットカード契約って一口に言っても、細かく数えたら無限の、少なくとも数十数百のパターンがあるでしょう。ゆえに一般論だけ見てても意味ないです。
また、こちらに来てから電話して問い合わせようとしても、以下のようなトラブルがあります。
@国際電話のかけ方が分かってるようでわかってない、市外局番ゼロ抜きを忘れたり国番号81を忘れたり、
A問い合わせ電話番号が間違っている(0120番号は海外からかからないしし、050で始まるIP電話は繋がらないときもある)、
Bやっとつながっても今度は営業時間が時差との関係でズレて急場に間に合わない、
Cかかったと思っても「秘密の質問」など初期設定を忘れていて用件を果たせない。
以上、これは意地悪で書いているのではなく、全部実例があります。
ほんと、よくあるんですよ。僕や学校の人はもう慣れてて「はいはい、パターンその7ね」みたいに「じゃ、こうしましょ」って定石的対応もできるけど、本人的には「きゃー!」ですし、一人ぼっちでそうなったらリスク管理の章で書いた二次災害を起こすかもしれないので気をつけて(必死になって電話かけてて財布をその場に置き忘れるとか。それに気づいて益々パニックに陥って路上に飛び出して車に轢かれるとか。「事故」ってそういうメカニズムで起きますから)。
特に時差の関係で、シドニー(NSWの州)のサマータイムは時差2時間、日本の営業時間が朝9時でも、こちらでは11時。それに「審査&処理するのに30分〜2時間ほどかかります」とか言われてまたイライラ待つという。
突然大きな出金をしようとすると、日本側で不正使用の疑惑アリで支払を停止する場合もあります。その場合にも日本に連絡を取って、金額を確認しGOサインを出す必要があります。
いずれにせよクレジットの場合、すぐに日本と連絡が取れるように予習しておかれることを強くオススメします。これは後日、カードを紛失したような時に緊急連絡する際の予行練習にもなります。やっておいて損はなし。
オーストラリアの場合、基本的に
VISAとマスターズしか使えないくらいに思っておくといいです。アメックスは使えない場合が多い。学校支払などにもまず無理。ダイナースもそう。JCBなど日本系は、ごく限られた観光系を除いてはまず使えないと思っていいです。
さらに第四のメリットは
オーストラリアでの利便性です。これがデカいからマストアイテムに数えました。
オーストラリアではクレジットカードを持ってないと身動きが取れないケースが多々あります。語学学校でもクレジット以外の支払は一切受け付けていないというところもあるくらいです(現金すらダメ)。また、旅行の際の切符や宿、コンサートの予約など
ブッキング系はクレジットカードオンリーですので、それらが全滅する恐れもあります。以前、身内の不幸で急遽帰国しなければならなくなった人がいたのですが、クレジットを持ってなかったから航空券が取れず、どうしようもなくなってしまいました。翌日旅行代理店に行けば良いのですが、そうなると朝一番の便を逃してしまうし。そのときは臨時で僕のクレジットカードで予約を取りましたけど、そんなにいつでも他人が使わせてくれるとは限りません。是非一枚は持っておけという所以です。
また、クレジットカードは、銀行口座開設の際の
身分証明書になるという大きなメリットもあります。
さらにクレジットカードには付帯するサービスがあります。例えば、
海外旅行保険が自動的にくっついてくることもありますし、マイレージとリンクしているカードであれば、学校費用など大きな出費をクレジットを利用することによって、帰国便や旅行の足しにすることも可能でしょう。そのあたりはよくお調べになって賢く利用されるといいでしょう。
デメリットとしては、最大のものが
残高管理がしにくいという点です。キャッシュだったら財布を見れば一発で分かるものが、クレジットだと決算・引き落としを過ぎてみないとよく分からない。特にレートが決算時の場合、その日がくるまで一体幾ら引き落とされるのか分からないという問題があります。
第二のデメリットとしては、場合によっては
サーチャージがかかることです。一般に買物などにはあまりかかりませんが、語学学校などでもかかる場合が多いです。大体1−4%くらいですが、これによって他の支払手段と費用がトントンになる感じですね。
第三のデメリットとしては、
現金化出来ないことです。これは致命的な弱点で、学費や旅費のような一般的な消費活動の場合は使えますが、シェア代の支払など個々人間の支払には現金以外使えません。そして、ワーホリや留学で数ヶ月滞在する場合、学費以外に何が一番出費がデカイかといえば、実はシェア代だというのが殆どのケースでしょう。
クレジットカードでもキャッシング機能はあります。しかし、ちょっと待ってください。上で述べたように、それって「引き出し」なのか「貸し付け」なのか?そのあたりはクレジットカードの契約次第です。本人は引き出しているつもりでも、「貸し付け」られてたら、年利18%とか途方もない金利がかかります。カード会社に問い合わせるなり、しっかり調べておきましょう。
以上を総合すれば、クレジットカードの特性は、
大きな支払や緊急時等には威力を発揮するのだけど、それ以外の日常場面ではあまり使わないということです。特に留学生やワーホリさんのように日常のキャッシュフローが低い場合(毎月数十万円の入出金がある世帯家計や自営業とは違って)、日常局面ではほとんどキャッシュ(ないしEFTOPOS)で済ませてしまうのではないでしょうか。最も大きな出費は家賃(シェア代)だと思われるところ、これは商店ではなく普通の市民(シェアメイト)に支払うわけだから現金でないとダメだし。
ただ、クレジット払いは、オーストラリアでは広く活用されてます。喫茶店のコーヒーや、アイスクリーム一個でもクレジット受け付けているところもあります。使い勝手は悪くないですよ。だけど、アジア系のフードコートやら安いお店(したがってよく利用する店)の場合、クレジット手数料を取られるのを店側が嫌がったりして、キャッシュオンリーにしてたり、最低15ドル以上でないとカードはダメってしてるところもあります。
つまり、
初動・大量支出局面→クレジットカード
平常チビチビ支払局面→ATM引き出しなど
という併用策が無難なところだろうと思うわけです。
クレジットに関しては、メリットともデメリットとも言えるのは、為替レートで、こちらに来てから有利な時期を選べるけど、決済時がズレこむ場合には運を天に任せることになること(これはカードの種類によって交換時期が違うみたい)。また、日本円で払うか、豪ドルで払うかと選択を言われる場合もありますが、日本円のときにかなり悪いレートで示されている場合もありますので注意。よくわからなかったら豪ドルで払うといいです。
安全性の点では、キャッシュよりも安全でしょうが、盗難紛失後の迅速な処理、さらにスキミングされていないかの定期チェックなどは念頭に置いておくといいでしょう。
あ、それとクレジットカードというのは、会社を辞めたら途端に作れなくなります。自営業者がクレジットカードを作るのは本当に大変なんですよ〜。僕もこちらで作るのに7年かかった。なんせ過去三年分の(黒字の)税務書類を出して厳しい審査を受けるわけですからね。まあ車を持ってたらOKとか結構ルートはあるようですが、でも、起業をはじめる準備で1年、軌道にのるまで2年、黒字になってから3年ですからね〜。ですので、「クレジットカードを作るためだけに入社する」という人もいるくらいです。退職してもカードはパーになりませんから。ですので、もし退職を考えておられるなら、辞める前に作っておかれることをオススメします。
以上を総合して、どうすればいいか?を考えてみます。
ここまで読んだ時点で、「おし!」と方針が決まった人は、もう読まなくてもいいです(^_^)。
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★関連リンク = 予算・費用について
★関連リンク = 語学学校の選択の基準(その2)予算で選ぶ 語学学校の経費の構造
★関連リンク = 世界経済と留学/
ワーホリ3−1:為替の動きにどう対応するか