第6章:交通機関
1999年06月28日、2010年03月16日 2017年11月補訂



お金について(その1)/外貨交換



※長期留学、ワーホリさんなど長期滞在をお考えの人のために、かなり細かく各方法を比較検討・解説していますので、こちらもあわせてご参照ください。

  →語学学校研究/渡豪準備FAQ「お金の移動方法」


現金での交換


 まず、一番簡単だけど一番損な方法は、日本円現金をそのまま持ってきてオーストラリア国内(空港や市内銀行、観光地の両替所)で交換する方法です。確かに簡単なのですが、交換レートが良くない。

 さて、ここで交換レート(為替レート)という言葉が出てきましたが、どうしてもこの問題を避けて通るわけにはいきません。交換レートは、毎日のニュースで「今日の東京市場は1ドル101円36銭でした」「円安ドル高」などと言われているもので、すっかりお馴染みのものですが、一般にTVニュースなどに登場しているのは「アメリカドルと日本円との交換レート」であって、ここでは「オーストラリアドルと円との交換レート」が対象となりますが、基本的な仕組は同じです。


 まず注意すべきは、本日の外国為替市場における交換レートが1A$=¥80だとしても、現実に我々個人がこのレートで交換できることはまずないということです。外貨を魚や野菜に例えると、TVで報道されているレートは魚河岸や生鮮市場でのセリ値や卸値のようなもので、我々個人客が実際に外貨交換をする銀行等の末端窓口での小売値は自ずと違います。

 さらに、日本円をドルに交換するときと、ドルを日本円に交換するときとでは交換レートが違います。つまり売値と買値があるわけです。

 またこの値(レート)は各金融機関が毎日値付けしているのですが、各銀行によってレートが違います。さらに交換方法(現金交換、小切手、電信送金など)によってもレートが違います


 細かい原理を書いていくと混乱するので、簡単に具体例を挙げますと、レートが1ドル85円と新聞に載っていたとしても、実際に銀行に行って換えると1ドル=87円など不利なレートで交換させられます。ただこれもA銀行とB銀行とではまたレートが違っています。

 さらに、日本円をドルに交換するレートが85円、ドルを日本円に換えるときのレートが75円とします。今ここに100万円持っていて一旦ドルに交換し即座にまた円に換えたならば、もとの100万円はあっという間に87万5000円に減ってしまいます。差し引き12万5000円はどこにいくかというと、これが銀行の儲け。売値と買値が10円違うだけでこれだけの落差が生じるわけです。そして、観光地の両替所などを見てますとこの売値買値のギャップはさらに激しく、15円前後違っているときもあります。

 というわけで、ニュースで「1ドル○円」となっていても、実際には私達が交換する際には様々な(より不利な)レートでやらざるを得ず、またそのやり方ひとつで結構な差が出てくるということです。そして、その中でも日本円現金を現地でドルに交換する方法は、数あるレートの中でも一般にかなり率が悪いです。


 したがって賢い換金のコツは、
(1)できるだけ有利な交換レートを選ぶこと。
「有利」というのは、オーストラリアドルに交換するときには「円高」であるということで、A銀行が1ドル78円でB銀行が80円のレートだとしたら(銀行によってもレートが違います)、78円のA銀行で交換した方が得だということになります。

(2)再び日本円に戻さないで済むようにする。
大量に使い残してまた日本円に換金するとなると、そこでまた換金差損が発生します。二重差損です。そこまで銀行を儲けさせてあげることもないでしょう。

※読者の方からメールでお教え戴きましたが、日本円→USドル→オーストラリアドルと、敢えて二回チェンジする方法もあるそうです。そんなの二回利ざや取られて損じゃないか?と思いきや、日本円−豪ドルの交換比率は非常に悪いのに対して(売価と買価の差)、アメリカドルの場合はそれほど悪くはない。だから一旦米ドルを間にカマせた方がむしろ交換比率は良くなる場合があるということです。「なるほど」と思いましたが、時期によっても勿論違うでしょうから、実際に比べてみて検討してみてください。



トラベラーズチェック/TC 

注:日本でのトラベラーズチェックの発行は終わってますので削除しても良いのですが、しかし、まだ世界的にはあるでしょうから常識として知っておくべき部分もあります。またキャッシュパスポートのように発想はトラベラーズチェックと同じというものもありますので、この項目は残しておきます。

→MORE

現地のATMで直接おろす方法


 最近ではすっかり有名になったと思いますが、シティバンクに日本円を預金しておくと(円普通預金口座)、海外のATMで現地通貨で引出すことができます。つまり、オーストラリアのATMでオーストラリアドルで引出せます。これは、今やシティバンクの専売特許だけでもないようで、都銀でもいくつか実現しているようです。お確かめください。なお、シティバンクは郵便貯金とも提携しているとのこと。

 手間暇掛からず、レートは多少悪いですが(+3〜4%)、作成コストがゼロであることと、圧倒的に利便性に勝るので有力なオプションになるでしょう。

 オーストラリアのほぼ全てのATMで使えます。はるか昔は限定されていたのですが、今はそんなことないです。オーストラリアではATMの数が非常に多いです(スーパー、ガソリンスタンド、パブの中にすらある)。そして、24時間使用可能です。

 もう一つのメリットは、不測の事態などでお金が足りなくなったら、逐次日本にいる家族に頼んで補充して貰えることです。この場合、海外送金ではなく、日本から日本の口座に普通に入金するだけだから簡単です。自分でネットバンキングでやることも可能でしょう。また日本の口座に入れたら即こちらで引き出せますから、緊急の時に便利です。

 ただしオーストラリアのATMは、引出し限度額が500ドルないし1000ドルにしていたりして、大きなお金を動かすには不向きす。この「限度額」は、二つ意味があって、一つにはカード盗難被害を最小限に防ぐために1日の利用限度額を設定しているという意味。もう一つは機械それ自体の限界です(そんなに大金を機械においていない等)。後者の方が実際的には問題で、例えば週末の遅くになってくると、現金の補充がないまま保存している紙幣が少なくなり、全部20ドル札になったりします。

 もう一つの難点は、こちらのATM操作に慣れていないということです。とりあえず画面に指示が出ますが、この英語が分からなかったらアウトです。

 右のATMはかなり古いタイプのもので、上部に一行表示が出ます。今時こんなタイプはかなり骨董品ですけど、新しい写真がないです、すみません。でも、まあ、原理は同じです。左端の青キーがwithdrowなどの指示を、その右の緑のキーが口座の種類を、白いキーが数字を、右端下の緑が「OK」つまりエンターキーです。今は画面タッチないし、画面に全部指示がでてくるタイプが多いです。

 では、簡単に使い方を説明します。どんな機種でも原理そのものは同じですから。

@、まずカードを入れる。
これは分かると思います。
中にはカードを半分差し込み、すぐに引っこ抜けというのもあります。カード内容を読み取ればそれで十分だからですね。この場合、"remove"あたりの英単語が出てくるでしょう。
A、暗証番号(PIN)を入力+OKボタンを押す
日本語でいえば「暗唱番号を入力のうえ、確認ボタンを押してください」という部分ですが、暗証番号のことをPINナンバーといいます(Perspnal Identlification Number)。
「確認ボタン」は、「OK」ボタンです。こんなの解説しなくてもわかりますよね(^_^)。
これを英文で表示されると、"Enter your PIN and press OK" になります。分かってしまえば、どってことないでしょ。以下の各ステップごとに「これでよし」となったらOKボタンを押してください。
B、口座を指定する=SAVINGS
「ご利用になられる口座の種類を指定してください」というところですね (Select your account)。
同じカードに複数の口座が乗ってるときがありますので、どの口座を使うか?です。口座はアカウント(Account)といいます。
ここで、一般に、Savings(普通), Cheque(当座), Credit(クレジット)口座が示されます。カードを作った銀行から特別な指示でもないかぎり、殆どの場合は普通口座で良いはずです。セイビングス、です。
C、何をするか?=WITHDRAWAL=引き出し
「ご利用になられるサービスの内容を指定してください」
これは、Withdrawal(引き出し)、Balance(残高照会)、Deposit(預け入れ)です。最近、Depositは見かけなくなりましたし、こちらもそういう機会は少ないです。殆どがウィズドロウアル(引き出し)かバランス(残高照会)でしょう。
D、金額
「ご利用になられる金額をお選びになるか、またはご入力ください」
最初から、20ドルとか、100ドルとかボタンがある場合が多いです。少額のものが多い(オージーは財布代わりに50ドルだけおろしたりするから、そんなに一気に多額におろさない)ので、「こんなんじゃ全然足りない!」というときは、「Other Amount(その他の金額)」ボタンを押してください。入力画面になります。また最初から入力画面だけって機種もあります。

 なお、BCDの順番は機種によってバラバラです。
 でも、予めこういう質問がくると予想しておけば対応できる筈です。

E、レシートの要否
「お取引明細がご利用の方はボタンを押してください」
Reciptがいるかということです。YESかNOボタンを押せば済みます。
F、稼働〜現金・カード・レシートを受け取る
「ただいま照会中です」というのは、"your transaction is now being processed"と、昔学校でやった「現在進行形+受動態」で表示されます。
そのあとに、「住宅ローンは今がチャンス!」とかいう、どーでもいい広告画面になったりすることがあります。
だいたい、カード→現金→レシートの順番で出てきます。

 以上です。二回連続してやれば誰でもマスターできます。ちょろいです。見慣れぬ単語で「げげ」と思うのは、Withdrawal(引き出し)、Savings(普通預金)くらいです。この二つだけ覚えておけば大体大丈夫でしょう。

 なお、キャッシュカードではなく、クレジットカードでおろす方法もあります。



電信送金


 その他、最も交換レートが有利なのは、銀行での電信送金でしょう。但しその為にはオーストラリアの銀行に口座を開設しておく必要があります。前述のANZ銀行等の日本支店で口座を開設することが出来、キャッシュカード発行のサービスもあるそうです。ただし、この場合、シドニーだったらシティのド真ん中のマーティンプレイス支店までカードを取りに行かねばならないのが手間です。何度か付き合って取りにいったことありますが、かなり混んでて、30分〜1時間前後かかることもあります。

 また、口座を作らなくても銀行のカウンターで受け取れるように送金する手続もあります。


 クレジットカードの場合も決済時点で交換レートの問題はつきまといますが、現金交換に比べれば遙かに交換レートは良いので、これはこれで有力な選択肢となります。ただし、いちいちクレジットカードを使うのもわずらわしいし、当然ながらそこらへんの八百屋の店先では扱ってませんので、現金は現金で多少持ちあわせが必要です。


 以上をまとめてみると、銀行口座まで開設するのでなければ、基本的には必要なお金についてはTCないしはATMでおろす。
 日本円TCにするかドルTCにするかは、上述の利害得失を考えて決める。

 金額的にどの程度必要かは後に関連個所で現地相場を述べますのでそれを合算すればある程度判明すると思います。今となっては日本よりも物価が高いので、国内旅行滞在費分より若干高めにといったところでしょうか。それに加えて、ドルTCの場合は、現地で適宜クレジットカードを利用しつつ、最後にはTCを使い切るようにする。予備に現金を持っていくといったところでしょうか。


 ただし、これは短期滞在を念頭に置いています。
 もし、数週間とか数ヶ月以上のみっちりした現地体験をお考えでしたら、冒頭に述べましたように、 →語学学校研究/渡豪準備FAQ「お金の移動方法」 をご覧になって下さい。期間は長いわ、費用は嵩むわで、ここの数段、腰を据えて検討していますので。


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