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語学学校の選び方
 Part.1:地域/ロケーションで選ぶ



 学校選びは難しいです。
 「あなたの目的や予算などに応じて慎重に選びましょう」とか言うのは簡単なのですが、それが出来たら苦労は要らないです。僕も皆さんと一緒に「あーでもない、こーでもない」と悩んできました。

 選ぶにあたっての検討ポイントですが、これが意外に沢山あります。ちょっと考えただけでも、@場所、A予算、B規模、C生徒の国籍、Dコースの多様性、E目的・卒業後の展望、Fトータルとしての雰囲気などなど。数え上げていけばキリがないくらいですし、またその全てを満たす学校などないでしょう。

 しかし、角度を変えながらひとつづつ丁寧に検討していけば、「なるほど、そういう問題があったか!」と思わぬ視点に気づくかもしれません。

 同時にこういった事柄は、幾ら厳密に考えても限界があります。全ての前提として、まず序章のカタログショッピング的学校選びの危うさを先にお読み下さい。

Part.1-1 オーストラリア全体とシドニーとの比較

都会(州都)とカントリーとの差異

 学校というのは1日の大半を過ごす場所です。その学校の立地や周囲の環境によって、あなたのライフスタイルもかなりの程度決まってくるでしょう。好きな環境で毎日過ごすのとそうでないのとでは、単純に気分の問題として違ってくるでしょうし、長い期間積もり積もれば学習効率という部分で大きな差が出てきても不思議ではありません。

 APLACはシドニーをベースにしており、シドニー以外のエリアについては頻繁に取材、見学、アフターケアが出来ないので基本的に対象から外しています。しかし、オーストラリア全体で考えてみた場合、シドニーという都市の特殊性、特に語学学校に入学する場合のポイントについて述べておきます。

 まず、シドニーの他、メルボルンやパースなどいわゆる州都、都市に住む場合と、州都から100キロ以上離れたカントリーエリア(いわゆる田舎のエリア)に住む場合との差について述べます。

 カントリーエリアは、広々とした牧場風景の中にぽつんと学校があったりして、その意味ではいかにもオーストラリア!という感じで魅力的です。周辺エリアにも日本人は少なく、どうかしたら日本列島一個分くらいの広さに日本人人口ゼロに近いエリアもあります。日本人が少ないから英語の勉強にもなるんじゃないかとも思われたりします。ホームステイ=ファームステイみたいなワイルドな環境も魅力でしょう。寮が完備されているところもあるでしょう。

 僕も昔はそういうメルヘンチックなイメージを抱いていたのですが、実際にシドニー近郊のそういう学校を訪問したりするうちに、「なるほど、そういうことか」と改めて分かってきた部分もありました。そんなにメルヘンでもないなーと。一言でいえば、カントリーエリアというのは選択肢が少ない。語学学校にしても周囲100キロでそこだけってケースも珍しくないです。もしその学校が不幸にして気に入らなかった場合、他の学校に移るといっても容易なことではないです。都会エリアだったら、学校帰りに近くの他校を訪問して、今後の予定を立てることも出来ますが、カントリーエリアだと至近の学校といっても東京と大阪くらい離れていたりしますので、殆ど見当もつかないでしょう。また、実際に学校を見比べてから決めるというのも不可能に近い。

 次に、ホームステイとか寮が整ってたりしますが、実際地平線が見えるような広大な風景に家が点在しているよなエリアでは、シェアなんか物件自体がありえないですし、個室のある安宿で気楽に暮らすというオプションもないです。そもそも車がないと移動手段がない場合もあります。寮完備といっても、寮が無ければ住む場所が無いという場合もあります。要するにアコモデーションに関する選択肢が限られています。

 在校生の構成ですが、どちらかといえば少数の国籍に偏る傾向が高いようにも思います。なぜなら、シドニーなどには世界中のバックパッカー連中やワーホリが現地で学校を見て歩いて入学するケースがありますが、人里離れたカントリーではそういうことは少ないでしょう。地元エージェントもないでしょう。語学学校の生徒のナショナリティ・ミックス(国籍構成)は、その語学学校のグローバルな営業力に正しく比例しますが、ヨーロッパ、アジア、南米まで満遍なく営業活動をやれる学校はそれなりに資本力のある学校に限られますし、そういう学校は都会に多い。そうなると、カントリー系の学校の場合、たまたま日本(その他の国)の知り合いにエージェントになってもらって生徒を集めるようなケースもあり、その場合、学生の日本人比率が異様に高くなってしまいがちです。ほぼ100%ってところもあります。仮に日本人比率が非常に低く3%というケースであったとしても、今度は中国人比率が97%、しかもその殆どが広州出身だったりして、その方がもっとツライってケースもあるでしょう。したがって、入学に際しては、学生の国籍構成は要チェックでしょう。実際に自分の目で見るくらいの方がいいかもしれないです。アテが外れたとき、カントリー系はリカバリーがききにくいですから。

 日々の生活ですが、のんびりした環境なのはいいのですが、生活を織りなす構成要素が少ないという問題があります。極端な話、日本人比率100%に近い学校で、寮完備だった場合、クラスルームでもその他の時間にも学校のスタッフ以外に接するのは同じ日本人留学生だけってことになります。そして、カントリーの場合、ローカルのオージーの多くは農業とか牧畜業とかやってますから、普通の留学生とあんまり接点がないのですね。そもそも隣の家まで何キロもあるって場合、アクセス自体大変です。ガンガン近くの農家に入っていって、農作業の手伝いバイトを探せるような人だったらいいですが、そこまで突撃精神をもってる人はマレですから、結局他に行くところもないし、居場所もないから、否応なく日本人同士(あるいは学生同士)つるんで終わりってケースも多いでしょう。バイトをしようにも、ジャパレスなんて存在がないし、近くのカフェ自体存在しないってこともあるでしょう。結局、地元のウールワース(イオンみたいなオーストラリアのスーパーのチェーン)の店先だけがたまり場になったりして。

 その点、都市の学校の場合、いろいろな構成要素があります。仮に学校がイマイチだったとしても、いいシェア先を探して地元の人との交流の糸口を見出すことも出来るでしょう。バイトにしても、例えばシドニーだったらジャパレスが数百軒という単位であります。またいろいろな民族がひしめきあってますし、「外人」扱いされることも少ない。ボランティアにせよ、各種習い事にせよ、幾らでも切り口はあります。カントリー系の場合は、学校もクラスメートも環境も自分の気に入ったものだったら林間学校的に楽しいでしょうが、そうでなかった場合、あるいはもっと広げていこうとした場合、選択肢が少ないというリスクがあります。この点は念頭においておかれるといいと思います。よって、一発勝負の可能性が高いカントリー系こそ、実際に見学して決めるべきなのですが、今度はそこまで見学に行くこと自体が大変だったりします。

 カントリー系は、ハマれば自然も多いし良いのですが、そうなるかどうかのギャンブル性がやや強いかな〜というのが僕の印象です。学校に行くこと(英語の上達)以上に、「その土地に住む」ということに意義を感じられるかどうかが大きいと思います。

シドニー VS パース、メルボルンなど

 他の都市に比べてシドニーの特色は何か?ということですが、これは二つあると思います。最も巨大な都市であるということ、そして最大級にエスニック/マルチカルチャルであるということです。シドニーが巨大な都市といっても、あとで述べるように高層ビルが立ち並んでいるのは猫の額のような一角に過ぎません。

 これは声を大にして言いたいところですが、シティと呼ばれる面積はタテ2キロ、横500メートルに過ぎず、せいぜい新宿や梅田の半分以下くらいの面積しかありません。ああいう摩天楼がずわーっと広がってるわけではないですよ。それどころか、電車でちょい離れただけでのーんびりした郊外になります。圧倒的な大部分は緑豊かな住宅地です。まあ、日本の感覚でいえば「ほどほどに都会」ってところでしょう。しょせんオーストラリアそのものが世界の田舎ですからね、シドニーといえども、東京や大阪ってことはなく、日本のほどほどの地方都市、静岡、金沢、熊本市くらいに思ってて良いかと思います。

 それでも、世界中の若者がバックパッカーで来ているし、ワーホリや留学生が就ける仕事は量的にも質的も豊かです。あちこちのコミュニティカレッジで数百というコースが開催されていますし、シェアは毎週何千件という単位で回転しています。世界中の移民が集まってきてますので、色々なカルチャーをディープに堪能できるメリットも大きいです。つまりシドニーに特徴はその都会性にあるのではなく多様性にあるのだと僕は思います。

 シドニー以外の他の都市ですが、日本食をはじめとした日系部分に関しては、やはりシドニーが一番かと思います。日本以外のエスニック文化に関してもシドニーが多いように思います。二番手の都市であるメルボルンなどと比べてみても随分違う。実際に統計をみるとメルボルンもかなりのエスニック社会なのですが、ライカードのイタリア人タウン、マリックビルのベトナム系、アッシュフィールドの中国系、キャムシーの韓国系など、とっつきやすく分かりやすい形ではシドニーの方が分かりやすい。また、エスニック系が一番大きな顔をして歩いているのもシドニーでしょう。もちろん、日本系の食材/カルチャーもその気になれば幾らでもあります。いざというときに、日本人のお医者さん、歯医者さんなどもおられます。

 しかし、そんなに日系部分が豊富だったら、依存心が強くなっちゃうのでは?って懸念もお持ちの方もおられると思います。鋭いです。そう、まさに両刃の剣でして、日本系のものが豊富にゲットでき、どうかしたら日本語だけで暮らすみたいなことも可能なだけに、そこに陥ってしまう危険性もあります。陥ってしまってる人も沢山います。

 しかし、パースだったら大丈夫か?というと、パースにも日本人向けのサービスはあります。シドニーの場合はその数が多く、多少なりともバラけているのに対し、パースの場合は街中のある限られた一角だけにワーホリ&留学生が集まっているという違いに過ぎません。依存する人はどこにいっても依存するでしょうし、結局は自分次第ってことです。クレバーに環境を組み立て、調整が出来るかどうかです。

 なお、ケアンズやゴールドコーストは、都市というよりも観光地であり、日本人観光客も多いです。ケアンズなんか顕著にそうですが、基本的にはカントリーなのだけど、日本人、そして中国人観光客がやたら多く、それ自体が町を支える産業になっています。基本はカントリーですから、都市的な要素(選択の多様性)は乏しいのですが、日系観光系の仕事は多いでしょう。ゴールドコーストは、今や人口でキャンベラを越えているというくらいですから、もはや立派な都会です。ただし、エスニック的な広がりと、大都市ならでは選択肢の広さでは、やはりシドニーの方が一日の長があります。いずれもホリデーエリアでもあり、街全体にのんびり気分がありますが、わざわざそういうエリアを選ばれる学生さんも又「サーフィンもやりながら、英語も」というリラックスモードの人が多いと思われます。

 他の都市の場合、チョイスは少ないのだけど、逆にシドニーには無い「飛び道具」みたいな特徴があります。ヨーロピアン的な古い建物などの雰囲気はメルボルンの方が勝ってますし、最大のワインの産地バロッサを控えるアデレード、グレートバリアリーフのケアンズ、インド洋と透明感のあるパース、、、こういったシドニーにない素晴らしい魅力にグググと惹かれるにのでしたら、そちらをお選びになったらいいでしょう。


 語学学校の状況ですが、○○のエリアの学校がすべて良くて、○○は全てダメなんてことがあるわけもなく、基本的には個々の学校次第でしょう。ただ、シドニーは語学学校のメッカでもあり、60校以上の学校が熾烈な競争を展開しています。優秀校でものほほんとしているわけにはいかず、絶えず切磋琢磨しているという意味で、良い学校も多いと思います。ただし値段だけが取柄という学校も多く、要するに玉石混交です。東京の高校と地方の高校の選択肢の差みたいなものです。

 以上、整理すると、シドニーはなんといってもデカく、フトコロが深いので、学校にせよライフスタイルにせよ幾らでも選択し、カスタマイズしていける自由があります。同じシドニーに住むワーホリ同士、留学生同士といっても、そのライフスタイルや滞在経験は千差万別でしょう。逆に言えば、選択肢が豊富であるからこそ、チョイスのクレバーさというものが求められるのがシドニーだということになると思います。

 日本人→100%ローカルのオージーまで実は様々な階層に分かれています。

日本人同士

韓国人(性格や発想が似てる)

アジア系一般(台湾、中国、ベトナム、タイ人など)

語学学校に来ている他のエリアの人々(チェコなど東欧系、ブラジルなど南米系、サウジアラビア人など)

ビジネス学校や大学留学生(ここでインド系や中国系が増える)

地元オーストラリア人の都市生活者のうち非英語圏の移民系
(ユダヤ、ロシア、イタリア、ギリシア、マセドニア、南太平洋系、そしてアジア系)

地元オーストラリア人の都市生活者のうち英語ネィティブのアングロ・サクソン系
(NZ、イギリス、米国、カナダ系)

オーストラリア人の農村

 というグラデーションをなしていると思います。

 この順番にあなたの精神状態は安定するというか「アウェイ感」は少ないでしょう。つまり自分との接点や共通部分が多い方が楽。これはもう全然楽です。

 シドニーの特徴は、このグラデーションがしっかりあるので、自分の意欲やメンタルに合わせて濃度を細かく調節すること出来る点です。しかし、地方に行くほどそのグラデーションが乏しくなり、濃厚な白人社会に入っていけなかったら、もう日本人同士つるむしかなくなるという。

 話を分かりやすくするために多分に誇張して書いていますが、ベーシックなところはお分かりかと思います。以前、オーストラリアのリゾート地に旅行に行きましたが、良いところだったのですが、ほんとに白人率99%みたいなところで、ほとんどアジア人を見かけませんでした。そこにも語学学校はあるのですが、日本人らしき学生さん達が数人、コールズ(地元のスーパー)の前に所在なげに喋っておられました。確かにこの環境だったら、ファーム仕事でもしないかぎり居場所は乏しいだろうなーとは思ったのが印象的です。やっていける人はやっていけるんだろうけど、誰もが出来るものでもないなと。

 また、本当に濃厚なオーストラリアライフは旅行で堪能すればいい、住むまでのこともないって考え方もあります。ワーホリさんだったら語学学校のあとにラウンドに出る人もいるでしょうし、学生ビザで留学する人についても、学校終了後4週間はボーナス的に滞在できますから(学生ビザの滞在期限は学校終了後4週間)、その時点で旅行に出るという人も多いです。ちなみに、カントリーライフは、ラウンド先でのファーム仕事などでウンザリするほど体験できます。そのあたり、トータルな年間プランの組み合わせとしてお考えになってください。


1-2 シドニー内でのエリア比較

 シドニーの語学学校のエリアは、City/シティ(都心部=CBD=Central Business District))と、それ以外の地域=Manly/マンリー、Bondi/ボンダイ、North Sydney/ノースシドニーなどに分かれますが、ほぼ90%の語学学校はシティ周辺に位置しており、ここ10年ほどシティに一極集中しつつあります。

 大学系の付属学校は、大学本体の所在地に関連するので、立地に関してはバラバラですし、時としてとんでもなく遠い場合もあります(右の地図には到底収まらないくらい)。ただし、大学系は、カリキュラム指向性(大学進学コースがメイン)や料金の高さから、特にその大学進学を目的としない限り選択肢から外れてくる場合が多いとは思います。

ManlyとBondi



 マンリーの場合は、リゾート系ビーチキャラクターと、シティまでフェリーで30分かかるという立地の特殊性から、シドニー全体の中ではちょっと離れた「マンリー村」「マンリー文化圏」といった感じで存在しています。また、学校も少数であることから、学校を選ぶというよりも「マンリーを選ぶ」という感じになり、それはイコール「ビーチサイドのライフスタイルに専念する」ということを意味するように思います。まあ、話を分かりやすくするためにやや極論してますけど、ほんとマンリーから海を取ったら何も残らないというか(^_^)、「海イノチ!」みたいな人に向いていると思います。

 ただ、しかし、海は確かに素晴らしいのですが、逆にシドニーの多彩多様なエッセンスのうちから海以外のものを排除するということでもあります。「海以外のもの」とは何かといえば、例えば都市生活の多様性、利便性であり、同時にシドニー西部にみられるような200民族以上がひしめきあってる濃密なマルチカルチャルな部分です(生活体験マニュアルに各エリアの特徴をまとめてますし、シドニーレストランガイドでエスニック系のレストランを紹介しています)。

 上に述べたように、オーストラリア全体からみて、シドニーの一番の特徴は何かといえば、都市性とエスニック性だと思います。これだけは他の州都と比較してもシドニーはずば抜けているでしょう。一方、海というのは、オーストラリアの多くの州都が海岸線に位置しており、またラウンドなど旅行をする場合も海岸線に沿って移動するパターンが多いことから、別にシドニー特産ではないです。というか、オーストラリアの海の中でシドニーの海が一番詰まらない。ありていに言えば「最大の都市なんだけど、それでも海はそこそこ綺麗ですよ」という、「都会にしては」って感じだと思います。つまりは江ノ島みたいなもので、沖縄を比べてみてどっちがキレイか?って話です。

 ですので、マンリーを選ぶというのは、何らかの事情でシドニーから離れないことを前提にしつつも、第二プライオリティとしてはダントツに海!って人のための選択だと思います。ラウンドなど他エリアへの旅行を予定していないとか、3か月以下の観光ビザでの留学などの場合です。

 ボンダイですが、語学学校は、ボンダイ・ジャンクションというエリア(商業地域)にあります。そこからボンダイビーチまで約2キロ、バスで10分の距離にあります。マンリーほど「目の前が海!」という環境ではないですが、その分、シティまでのアクセスが便利です。シティ中心部まで電車で10分以内という立地の便があり、シドニー西部までもそれほど隔たっているわけではないです。実際、シドニー西部にシェアしながらボンダイまで通ってる人はたくさんいますし、ボンダイやクージーなど東部海岸エリアからシティやシティ西隣の学校に通ってる人もたくさんいます。つまり通学事情で考えれば、ボンダイとシティを分けて考える必要はないです。

シティとの比較

 高層ビルが林立する谷間を抜け、人ごみのなかを歩くシティには、シティなりにエキサイティングな魅力があるでしょう。観光地などの見所も多いですし、買物などにも便利です。日本人御用達みたいなショップも多々あります。

 そのかわり、シティの直近には住宅街が少ないことから、ホームステイや住居はそれなりの距離があるでしょうし、毎日シティまで通学しなければなりません。これまでの経験でいいますと、シティの学校に通う場合、シドニーのどこからでも通い易い反面、一番近いステイ先で30分くらいかかります。30分以内で行けたら、まあ近いほうでしょう。

 マンリーやボンダイはその逆で、シティとは違ったのんびりした郊外の風景が広がっており、閑静な住宅街や海が近くにあるなどリラックスできるでしょう。また、学校があるような所は、大体地元の商店街が広がってますから日常の買物などで特に不便は感じないと思います。むしろ、一般のワーホリさんや留学生の日々の生活からしたら、シティよりも郊外の方がずっと便利だと思います(なおマンリーも、ビーチの近くに商店街はありますし、バスで10分も走れば巨大なBrookvaleのショッピングセンターがあります)。

 ただし、生活と学校とは峻別して考えるべきです。ボンダイの学校にステイアレンジを頼めば必ずボンダイ近辺になると決まったわけでもなく、また家と学校が近すぎるのも生活圏を狭めるというデメリットも大きい。学校というのは午後3時くらいには終ってしまうし、土日には行きませんので、「海の近くで暮したい」なら学校が海の近くにあるかどうかではなく、家が海の近くにあるかどうかの方が決定的な意味を持ちます。ボンダイやクージー、マルーブラなど海辺近くに住んでシティの学校に通うというのは、地元民的にはありふれた形態ですしね。

 語学学校の環境を考えてみた場合、シティは高層ビルが多く、その1フロアに学校があるというケースが多いです。それはまだいいのですが、大きなフロアをパーテーションで囲ってクラスルームにしてますし、ビルとビルがビッシリくっついている関係で、学校全体や教室に窓というものが少ないです。それが何となく息苦しいオフィス感を醸し出してしまう部分もあるかもしれません。

 もう一点。シティは人も車も多く賑やかなのですが、休み時間やランチタイムにになったときに居場所が少ないという側面もあります。腰をおろす場所にも事欠きます。ビルの谷間の歩道で、一服して終わりって感じになるでしょう。また、学校が終わった後も、クラスメートと行く場所といえばシティの中の盛り場周辺ってことになっちゃうでしょう。

より突っこんだ考察

 以上は、「通り一遍」の比較に過ぎません。以前はこれで十分でしたが、ここ数年はそれだけでは足りなくなってきているので、さらに深いツッコミを入れます。

 ここ10-20年の大きな特徴は、シティへの一極集中が進んできていることです。
 2000年のオリンピック前後のシティの開発ラッシュによって、シティのテナント料は逆に割安感が出ました。以後、その傾向が続いているように思います。一方、語学学校の授業料は、オーストラリアの物価上昇率(特に不動産)に比べてそれほど上がっていません。上げられないでしょう。物価に比例して賃金が上がるオーストラリア人を対象とした市場ではなく、海外を市場にしなければならない留学・観光業界の宿命のようなものです。推測するにオーストラリアの語学学校はどこであれ(シドニー以外の他地域の不動産はもっと上昇している)、利幅が薄くなってきていると思われます。平たく言えば、儲からなくなってきている。

 このようなトレンド下においては、教師の人件費よりも削りやすいテナント料を削ることになり、相対的に賃料の安いシティに移動する傾向が出てきても不思議ではないです。今はなきセントマークスという優秀な学校があり、ボンダイキャンパスを持っていたのですが、テナント更新の際にあまりにも法外な家賃上昇を言われたのでボンダイキャンパスを閉めてシティに統合したという経緯もあるくらいです。

 かつてシドニーシティといえば大企業メインの丸の内みたいなところで、夜になるとチャイナタウン以外はゴーストタウンと化していたのですが、2000年前後の建築ラッシュで居住用物件が増え、「シティに住む」という形態が増え、それなりに栄えています。ただし、その住民は海外からの留学生やワーホリなど、非オーストラリア系の人々が多く、2DKに10人以上がすし詰めになっている(最高で20人というのを聞いたことがある)シェアなど、非オーストラリア系のカルチャーもまた盛んになっています。

 これら社会・経済的背景を前提にして、語学学校のロケーションをもう一度検討すると、シティ以外の語学学校は端的にその数を減らしていますし、あるとしてもNAVITASやKAPLAN(いずれもBondi, Manly双方にキャンパスを持つ)など世界組織の大企業が地元学校を買収しているケースが多い。SELCのように自前で頑張っているところもありますが、総じてどこも学費がやや高めです。これはもう経費がかかるから無理もないのでしょう。

 他方、多くの学校がシティとその周辺になるわけですが、今度は同じシティといっても、さらに細かくそのロケーションや立地、テナントビルの性格など、よりきめ細かく見ていく必要があります。シドニーシティは、タテ2キロ横500メートルの猫の額みたいな小さなエリアですが、それでもエリアによって性格の差があります。

 同じシティでも、タウンホールよりも北半分は、ホワイトカラーのオージーが多く、高層のビジネスビルや5スターホテルがあるエリアですが、タウンホールよりも南半分はチャイナタウンをはじめとして、ワーホリや留学生が密集するエリアで、非オーストラリア色が強くアジアのどっかの都市みたいです。夜歩けば、香港か渋谷かって感じすらします。

 また休憩時間の過ごし方でも、ハイドパークの近くにあるのだったら、その緑の芝生で一服できますし、チャイナタウンだったらダーリングハーバー付近でもいいでしょう。しかし、本当にド真中だと(タウンホール周辺)、チャイナタウンまで足を伸ばしてランチを食べて帰ってくるだけでも面倒くさいのではなかろうか。シティというのは、生活者のための空間というよりは観光客とビジネスマンのための空間であり、そのどちらでもない人間にとっては意外と居場所に乏しいところだともいえます。それだけに学校内部の居住性というのが大事になると思います。ラウンジなど、共有スペースの広さや雰囲気が結構大事だと。

 ただ、同じシティ近辺でもSCEのような学校だと、シティそのものではなくUltimoというところにあり、背後にグリーブという住宅地を背負った比較的のんびりした立地だといえます。フィッシュマーケットも歩いていけるし。

 しかし、そういう落ち着かない都会的な雰囲気が好きなのだ、満員電車に揺られて、摩天楼の下を人ごみにまぎれて歩くようなシティライフにあこがれる人もいるとは思います。だから、最終的には都会的な雰囲気が好きかどうかという好みの問題になります。好きにせよ嫌いにせよ、しっかり実態を知ってからお決めになったらいいと思います。見たこともない土地を勝手にイメージして決めて、実際に来てみたら「あれ、こんなハズでは、、、」ってなってもツライだろうとは思います。

 ※もっと各エリアの風景写真を見たい方は、サバーブ別ギャラリーを参照ください。


 なお、学校選びのエリアですが、本当のことを言えば、学校の特性とシェア(住まい)のコンビネーションまで考えて選ぶべきだと思います。

 例えば、比較的日本人比率が高いとか、学生サービスが良くて優しい学校に通うなら、住むべきエリアはより地元度の高いエリアにするとか、学校がちょっとハード目の環境だったら、住まいは多少リラックスして癒される環境にしようとか、そのあたりのバランスを如何に取るかが大事でしょう。カスタマイズです。これが出来るか出来ないかは、日々のメンタルに直結し、ひいては生活の楽しさや学習効率に響いてくるでしょう。

  →もう一歩突っ込んで(1-2) 学校と住まいのコンビネーションを考えてみる


 以上、学校選びにおける地域的要素でした。

 整理すると、毎日通う学校なのだから自分にとってより気持ちが良い環境、チャレンジングな環境、あとで代替不能な環境をお考えになるといいこと、プラス学校と住まいとはその特質まで踏まえてコンビネーションで考えると良いこと(単に近いとか距離的なことだけで決めないこと)がコツだと思います。

 →次(2.予算と授業料)に行く

サイト内参考リンク

シドニー生活体験マニュアル第6章:交通機関
ワーホリ実戦講座バス制覇編

シドニー生活体験マニュアル 土地カン
シェア探し入門サバーブ別解説
シドニーサバーブ&イベントギャラリー

 語学学校の選び方INDEX

序章 カタログショッピング的学校選びの危うさ
(1) ロケーション
(1-2) 学校と住居のコンビネーション
(2) 予算、授業料
(3) 学校の個性と居心地(規模、雰囲気)
(4) 目的やコース (IELTS、ケンブリッジ、ビジネスコース)
(5) 英語力別の学校の適性(初級・中級・上級)
(6) 上級編・本質編:何のために学校にいくのか?「結果を出す」留学〜学校の相対的比重を下げよ