コラム:シドニーの気候
1997年1月8日、2010年03月17日全面改定



オーストラリア、シドニーの気候





 ※このページは短期滞在者用に概略を述べるに留めています。
 より詳しく調べたい方は、留学生、ワーホリさん向けに書いた「語学学校研究/渡豪準備/気候編」をご覧下さい。



 まず、南半球なので季節が真逆になるという基礎を押さえておいてください。

 次にシドニーに気候を一言でいえば、「マクロ的にはなだらか、ミクロ的には鋭くギザギザ」です。

 マクロ(年間変化)は、シドニーには秋と春しかないといわれるくらい、日本(の東京大阪あたり)に比べれば、なだらかな気候変化であり、しのぎやすいと言えます。年間月平均気温の差が10度以内におさまっているくらい、季節の差が少ない。逆にいえば季節感が乏しい。

 しかし、目を転じてミクロ(数時間、数日変化)にすると、「一日に四季がある」といわれるくらい、温度変化がやたら急激です。山の天気みたいです。

 こういったトリッキーなシドニーの気候への対策ですが、「小刻みな変化に機敏に対応する」「決めてかからない」という点に尽きます。
 夏だからといって、夜になったらやたら寒い日もありますし、さっきまで40度だったのがいきなり20度台に落ちていることもあります。逆に冬だというのにTシャツ一枚でいける日もあります。したがって、「どんな気候に機敏に対応する」ということが望まれるわけで、「今は夏だからこのくらい」とか安易な思いこみは避けることです。

 といって、真夏にダウンジャケットからマフラーまで持ってくる必要はありません。暑さにせよ、寒さにせよ、日本ほどツラくはないですし、いくら一日の変化が激しいといっても、さっきまでタンクトップだったのが、いきなりダウンジャケットってことはないです。せいぜいがトレーナー一枚上に羽織るくらいで対処できます。

 感じとしては、Tシャツ+シャツ、軽い上着+ジャケットの三枚構造で調整していくくらいです。ただし、コマメに。つまり、ポイントとなるのは量的な装備ではなく、タイミングです。「一日中ずっと同じカッコでいない」ということです。もちろんそうしてていい穏やかな日もありますが、心構えとしては。


オーストラリア国内での気候格差
 語学学校渡豪準備/気候編のコンテンツは、留学やワーホリさんのように長期滞在型で、シェアなどオーストラリア人の家に同居する場合の注意点(湯たんぽ必須とか)でしたが、ここでは生活体験マニュアルという、ロングステイや、自分なりの長期旅行を考えておられる人のために、もう一つだけ言及しておきます。

 すなわち、旅行機会が多かろうということで、オーストラリア各地域による気候格差です。

 オーストラリアは巨大です。どのくらい巨大か日本人には中々ピンとこないのですが、日本の九州からタイのバンコクあたりまでが一つの国だと思ってください。それがオーストラリアです。日本の気候とベトナムの気候を同列に論じるのが愚かであるように、オーストラリアの気候を同一に論じるのは愚かです。

 北(赤道近くの暑い方向)にいけば、温帯ではなく熱帯です。ジャングルです。海の向こうはインドネシアやニューギニア。ワニが普通にいます。
 南(南極に近い寒い方向)にいけば、日本の北海道のような気候になり、厳しい「南極おろし」がきます。ペンギンやアザラシがいます。ちなみに、オーストラリアで「南風」は、日本の北風であり「寒風」を意味します。

 真ん中付近は砂漠か荒野です。オーストラリアは、実はサウジアラビア以上の乾燥大陸らしいです。ラクダがいます(ラクダの産地としても世界有数)。

 これらをいっしょくたにして語っても意味がありません。

 北部(QLD州のケアンズ、NTのダーウィンなど)の場合は、基本的には熱帯ですから、湿度も日本よりも高く、「どこが乾燥じゃ」って思うでしょう。年間平均30度で、いついっても温かいです。というか暑いです。年間変化は気温ではなく、雨期と乾期があります。こちらの夏が雨期で、冬が乾期です。ケアンズくらいだったらそう大差ないかもしれませんが、ダーウィンなどを起点にワイルドな旅行を計画されている方は乾期の方がいいです。下手に雨期にいくと、大洪水(関東地方全域くらいのレベル)に巻き込まれたり、激しい落雷に見舞われたりします。まあ、それがワイルドでいいんだよって人もいるでしょうけど。お気をつけを。

 エアーズロックや、アウトバックと呼ばれる乾燥地帯は、年間の季節変化なんかぶっ飛ぶくらい一日の変化が激しいです。昼間50度、夜零度という砂漠気候になります。まあ、そこまで激しくはないにせよ、それに近いくらいの変化はあります。

 シドニー、メルボルン、パース、アデレード、ブリスベン、ゴールドコーストという海岸付近の都会周辺でしたら、大体気候はシドニーと似たり寄ったりです。微妙にローカル差はありますが、しかし、それほど大差はないです。そんなことよりたまたま滞在した数日間が暑かったり寒かったり雨ばっかりだったりという「運」の要素の方がはるかにデカいと思われます。

 南のタスマニアだけは要注意で、行くのでしたら夏がオススメです。日本では冬ですから、年末年始の旅行に行くべきで、夏休みに行くべきではないと。タスマニアの夏(日本の冬、ああややこしい!)は、北海道の夏みたいで気分いいですよ。多少夜は寒いときもあるので、Tシャツ一枚だけなんて格好はしないで、それなりに。ところが冬になると、路面凍結とかしますから、あまり楽しめないです。それがワイルドでいいなら、それもありですが、お気をつけを。

 シドニー周辺部を旅行されるような場合についてです。
 まず、同じシドニーでも、海辺付近と内陸部ではかなり気温が違います。ほんの電車で1〜2時間いったくらいでも結構違う。大体はシドニーシティや、ボンダイ、マンリーなど海辺付近、あるいは西部でもせいぜい都心から10キロ以内でしょうから、大差ないです。
 ところが、パラマッタ以西、ペンリスとかウィンザーくらいになってくると、夏の暑い日など最高気温が10度近くあがってきます。海というのは巨大な冷却設備で、自動車のラジエーターみたいなものです。海に近いと空気も冷やされますが、離れていくにつれ、厳しい太陽光線によって温度がぐんぐん上がる。そして、また夜になると急激に冷えまあす。水よりも岩の方が「熱しやすく冷めやすい」というのは小学校の理科でやりましたが、そのまんまです。

 シドニーの冬は絶対といっていいくらい零下になりません。氷も張らない、雪も降らない、霜も降りない。ところが、100キロくらい内陸にはいったブルーマウンテンだと雪が降ります。海という緩衝地帯から離れるほど、荒っぽい大陸性気候の本性が剥き出しになっていく、ということですね。




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