"Date.Modified" CONTENT="2015/03/26">
第6章:交通機関
6.6. レンタカー(Rent a Car )
30th.Oct.96
レンタカーの借り方やシステムは、日本と大きく違うわけでもありませんし、どのガイドブックにも書かれている箇所です。
日本から予約することも空港で借りることもできますが、ふと思い立って当地で借りることも勿論可能です。大手4社といわれているのが、Hertz、Avis、Thrifty、Budgetですが(これらは大体どの空港にもオフィスを持っている)、他にも沢山のレンタカー会社はあります。
調べるのは、イエローページと呼ばれる職業別電話帳(本当に表紙が黄色い)でもいいですし、市内ではWilliam Street(ハイド公園からキングスクロスに抜ける道沿い。第三章土地カン参照 )に両側に各社の事務所が固まっているようです(別にレンタカーの事務所はここだけではないのですが、これだけ集ってるのはやはりウィリアムストリートでしょう)。また空港に着いた際にパンフレットを持ってくるという手もありますし、NSW観光事務所でも情報は入手できます。
料金は、車種や日数にもよりますが、大体1日60〜90ドル前後でしょうか。広告をみますと、「なんと1日23ドル!」等魅力的な値段が書いてあるのもありますが、大体は23ドル「から/from」ということで、その条件に当てはまるのは非常に珍しい場合でしょう(この類の広告手法は日本と同じ)。車種は、半分は日本車ですし、殆どオートマ車でしょうから違和感はないでしょう。なお21歳未満はダメとか、保険用にクレジットカードを要求されることもあります(さもなくば保証金を取られる)。保険もついてますが、さらにオプションとして、搭乗者保険、荷物保険などもあります。
1日80ドル前後(約7000円)というのは、日本に比べれば安いかもしれませんが、それでも結構高い。1ヶ月全部借りてたら20万円強にもなりますし、二人80ドルでそこそこのホテルもあることを考えると、宿泊費が二倍掛かるようなものとも言えます。
安く済ませようと思えば、「本当に必要な日を絞り込む」ことでしょう。例えば、都心のホテルに宿泊するなら、はっきり言って車は邪魔でしかありません。都心はただでさえ迷いやすいのに一方通行と右折禁止の嵐で迷宮のようになってます。これを土地カンもないのに乗るのはかなり辛いでしょう。また、渋滞もひどいわ、駐車料金も高い(1日15〜20ドルなど)わ、違法駐車はビシビシ摘発されるわ、いずれも日本に比べればマシとはいえ、シドニーの郊外に比べたらそのストレス度は段違いですし、車を持っていても大した役にも立ちません。
どうせ借りるならば、「借りた甲斐のある」状況で借りるのが賢いと思います。例えば、都心から車で30分も走れば、シドニー周辺には、海岸や山林、農場近くの静かで安い宿は幾らでもあります。こういう場所は車がないとアクセスがしんどいのですが、逆に言えば車があるからこそ気楽に泊れもします。郊外であれば、交通量も少ないし、不慣れな外国でのドライブの危険も少ないでしょう。また大手レンタカー会社ではなく、地元の小規模なレンタカー会社は一般に料金も安いのですが、郊外に事務所を設けている場合が多いので、借りに行くまでが大変なのですが、自分がその付近に宿泊してれば大した問題でもありません。これはほんの一例ですが、ちょっと頭を使えば、宿代もレンタカー代も圧縮できるし、道はガラガラで危険も少なく乗ってて快適になります。またハンターバレーなど地方を周遊することもできますし、トランクに荷物を入れてしまえば宿の移動も楽です。
もう一つ言っておくと、シドニー周辺の景勝地にドライブしようと思うならば、都心を避けて郊外から郊外へ移動した方が時間的にも早いです。例えば、M3、M7という環状道路を使えば、北の端から南の端まで移動できますし、都心周辺まで続く渋滞や迷路に巻き込まれ何時間もロスするよりは、広い一本道を行く方が楽だし、しょっちゅう標識は出てくるので確実です。たしかに土地カンがしっかりしていて、「夕方はどの道路が混む」ということが頭に入っているなら、距離的に近い都心経由が早いでしょう。しかしそれを望むべくもない状況で、下手に都心に入り込むと、ちょっと間違えただけで、行きたくもない方向の高速道路に乗せられてしまい、はるばるハーバーブリッジを渡らされ(一回乗ってしまえば降りられない)なす術もなく遠方に運ばれてしまいます。
これも最初に強力な参考文献を紹介しましょう。完全に現地の交通ルールをマスターしたいという人は、RTA(Roads and Traffic Authority) という免許試験場&陸運局のような組織の支店に行って(これも沢山ある)、Hand Book (ルールブックとは言わない)を貰ってくると良いでしょう。無料ですし、95年11月に日本語版も出ました。
ちなみにこのRTA都心の部署は、都心部のClarence St .という通りにありますが、実はここは前述のNRMAの本店から一〜二軒隔てた(南寄り)同じ並びにあります。「前述のNRMA」 というのは、宿の章で述べましたが、オーストラリア中の宿総鑑ともいういうべきアコモデーション・ディレクトリィを発刊しているところです。行かれるならば、一気に二ヶ所廻ってくると時間の節約になるでしょう。また、NRMAはもともとJAFのような組織で、車が故障した場合電話一本で駆けつけてきてくれますので、行ったついでにパンフレット貰って電話番号を確認しておくと良いでしょう。
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運転それ自体は、日本と同じ左側通行の右ハンドルで、交通ルールも大体同じですので大きな戸惑いはないでしょう。標識も見ればおおよそ意味はわかるでしょう。以下、気を付けるべき点を多少列挙しておきます。
右方優先であること
日本では左方優先ですが、こちらでは右方優先です。
もっとも日本でも左方優先といいながら、信号や直進車優先など他のルールによって、左方優先それ自体が直接問題になる場合が案外と少ないのと同じく、こちらでも直進車優先ですし、市街地では信号が整備されてますし、田舎になると今度は車両が少ないということで、結局この違いが問題になることはそう頻繁ではないと思います。
しかし、逆に言えばそれだけに何気ない場面で登場してくるので、厄介とも言えます。「右方優先」と頭で覚えただけでは、現場の一瞬の判断が適切に出来る保証もないでしょう。基本的には慣れるしかないのですが、感覚的には「視界の右半分に心持ち意識を傾ける」「右方面からやってくる車は停まってくれないものと思う」ということでしょうか。実際にこの感覚が養われ、また問題になるのは次のラウンドアバウトだと思います。
ラウンドアバウト
要するにロータリーですが、これが大小さまざま至るところにあります。基本的には信号のない交差点での各車の調整のためのものですが、交差点内部がロータリーになっていて、交差点に入る車はどの方向から来ても必ず交差点を時計廻りに周回して、目的とする道路まで行くということです。つまり必ず左折して入り、周回しつつ、自分の目的の道路でまた左折することになります。したがって単なる直進の場合は半周廻り、右折の場合は3/4周廻ることになります。1周廻ってUターンもできます。まぁ現場を見れば一発でわかるでしょうが。
おそらく一番戸惑うのが既に他の車が周回してる中に入っていくタイミングでしょう。全ての車は右方優先の典型のように右手前方からやってくることになり、その車の流れが途切れたときに入るわけです。
一応のルールとしては、自分が交差点の南口の進入道路にいる場合、一つ手前(東口/右側)の進入路と自分の進入路との間に車両が存在する場合は、その車両が通過するまで待ち、それ以外ならば進入することになります。但し、その車両が左折信号を出しつつ自分の進入路(南口)に出て行くこと=つまり自分の前を通過しないこと=が明白な場合は進入します。
よくやるミスは、自分の左側(西口)に車が待ってた場合、つい譲って待ってしまって後ろからクラクションを鳴らされたり、右側(東口)から進入しようとする車がいながら進入してしまう場合などです。コツとしては、ともかく右側だけ注意していればいい ということです。
一旦ロータリーに入ってしまえば、自分に最優先権がありますから外で待ってる車は無視すればいいです(下手に譲ったりすると全体の周回秩序が乱れて危険)。進む−止まるのメリハリをはっきりつけて運転することが求められます。中には周回車線が2車線もある大きなラウンドアバウトもありますが、原理は同じです。
不規則な矢印信号
交差点で一点戸惑われるとしたらコレでしょう。
日本の場合、直進青信号の最後に右折青矢印信号が点灯しますが、こちらでは信号によって出るタイミングはマチマチです。つまり、最初に青矢印だけ出る場合、「赤矢印」がある場合(矢印方向にはいけない)、右折のみならず左折の矢印信号もある、などです。コツとしては、ともかく変に予測をしないで信号に従っていることです。
なお日本にも「常時左折可」標識がありますが、当地にはより頻繁に見かけます。標識は「TURN LEFT AT ANY TIME WITH CARE (安全確認すれば常時左折可)」、あるいは「LEFT TURN ON RED PERMITTED AFTER STOPPING (一時停止すれば常時左折可)」です。
標識
その他標識で意味が分かりそうもないのは、「GIVE WAY (他車優先/徐行)」、「 ONE WAY /一方通行」、「NO THROUGH ROAD /この先行き止まり、袋小路)」「DIP /前方に凹地あり」でしょうか。
街中で一番お目に掛かるのは、ノーターンライト=NO TURN RIGHT /右折禁止)でしょう。かなり大きめな交差点でも右折禁止にしている場合が結構多く、実感としては「たまには右折できる場所もある」くらいの感覚です。
一本裏通りに入った静かな住宅街などでは、HUMP という標識が良く出てきます。大体制限速度25キロなどの表示と一緒に出てくるもので、「前方に障害あり」という意味ですが、路面のある部分をカマボコ型に盛り上げて、いやでもスピードを落とさざるを得ないようにしているということです。高速で乗り上げると、かなり衝撃を食らいますので注意。
制限速度
ちょっと郊外から地方に向うと、いきなり制限速度100キロ(ないし110キロ)になります。さぞかし高速道路のように整備されてるかと思えば、片道1車線で路肩が砂利だったりします。実際に運転してると周囲の風景が広大なので100キロ出しても特に飛ばしてるという感覚はしません。しかし、これが落とし穴で、物理的には100キロ出ていることに変わりなくカーブや停止を失敗しがちですのでくれぐれも気を付けて下さい。オーストラリアの運転は特に荒っぽくはないですが、それでも事故死者の数は相当に上りますし、特に観光客は事故起こしがちだそうです。右側通行の国から来た観光客も多いこともありますし、日本人もかなり事故を起こしたり警察の厄介になっているそうです。治安もそうですが、それ以上に運転には注意しましょう。
給油はガソリンスタンドでやりますが、ガソリンとは言わず「ペトロール(Petrol)」 といいます。シドニー周辺は殆ど全てがセルフサービスの店ですが、地方に行けば店員さんが給油してくれる店もあります(そのときは、「フル、プリーズ(満タン)」で通じます(より正確には“Full it up“)。セルフサービスの給油は、日本でも規制緩和で話題になり、ぼつぼつお目見えしているそうですが、ピストル型になっている給油口をしっかり入れて、引き金のような部分を押せば注入されます。満タンになったら勝手に止まってくれますので心配いりません。
料金の払い方は、各給油口に番号がついてますから、店内のレジに入っていって自分の番号を告げれば精算してくれます(「ナンバースリー、プリーズ」で通じる)。ガソリンの種類は、無鉛ガソリンが「Unleaded(アンレディッド)」 、有鉛がsuperないしleadedです。レンタカーを借りる際に確認しておくと良いでしょうが、レンタカーの場合は新しい車が多いのでまずUnleadedでしょう。
値段は、ここ数週間のシドニー周辺の場合、65セント〜75セントです。大体メジャーなスタンド(緑色のBPや、黄色のシェルなど)よりも、零細小売店の方が安いです。なお、日本と違ってディーゼルの方が高いです。
スタンドには、大体、給油口の近くに窓拭用のバケツと器具がありますし、タイヤ圧力計付の空気入れも置いてありますので、勝手に使えばいいです。
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