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第5章:食事
5.5.自炊編(2)調理してみよう
25th.Oct.96
いよいよ調理ですが、作るにあたって「調理設備」の問題があります。
室内にキッチンの無い宿泊設備に泊まってしまえば調理のしようがありません。宿決めの際に、その宿に調理設備(クッキングファシリティ) があるかどうか確認しておかれると良いでしょう。
部屋に到着したら、調理設備や炊事道具(ユーテンシルズ)をチェックしてみましょう。通例」調理設備あり」となっている場合は、皿やナイフ、フォーク、鍋、フライパン、フライパン返し、包丁などは十分とは言えないまでも大体揃っています。
ただし、問題は「ごはん」です。米はあるのですが、炊飯器がそうそう供えつけてあるわけではないという点です。「ライスクッカー」とか「スチーマー」とかいう名で安いのでしたら数千円で売ってるとは言ってもわざわざ買うのも勿体ない話ですし(日本に持ち帰っても電圧とコンセントが違うから使えない−これも来てくれたらお貸ししますが)。もっとも、昔は炊飯器なんかなしに皆ごはんを炊いてたのですから、これも鍋で炊けば十分とも言えますが。
いわゆる火廻り、レンジですが(「ストーブ」 という)、これが日本とちょっと違います。見た目には洗濯機のような直方体をしていて、だいたい上面に4つのレンジ、中段がグリル、下段がオーブンになっています。電気とガスの二種類がありますが、概観や構造、使い方は同じです。ちょっと馴染みの薄い構造ですが、焼き物(ステーキから焼き魚まで)はグリルで案外とうまいこと焼けます(ただし水分がなくなって干からびないように注意−こまめに見るかホイルで包むなど)。電気のものは火力が心配ですが、240Vということもあって意外と強力です(ただし、ジワジワ熱くなったりするので時間のカンどころが必要)。
具体的なメニューは、いちいちお教えするほど知ってるわけではありませんが、食材の関係でできない純和風料理(河豚ちりや、ハモなど)はありますが、大抵のものは出来るでしょう。『アジの塩焼、豆腐と大根の赤だし、納豆と卵焼と焼海苔』なんてのは、買い出しをちゃんとやれば簡単ですし、「揚げだし豆腐」なんてのも揚げればそれでいいのですから簡単です。出来合いのものが中々簡単に手に入らないので、非常に基礎的な調理方法を書いてある料理本を持参されると重宝するでしょう。
そこまで手間暇をかけずに、簡単だけど披露宴のように豪華なメニューとして『ロブスターと牛フィレのステーキ、パンとサラダとワイン』などがあります。これだと調理といっても塩胡椒して肉をオーブンに入れるだけのことです。値段的にはロブスターが群を抜いて高いですが(1尾で2500円前後か)、あとはフィレ肉は高いといっても一人分100〜200円ですので、知れてるでしょう。ロブスターの頭はいいダシがでますので後で吸物になります。これは簡単すぎて面白くないでしょうが、手間が掛からない料理は他にも色々あるでしょう。ニジマス(レインボー・トラウト)をホイルで包んでオーブンに入れるだけ。シドニー名物生牡蠣にレモンを絞るだけ。「マリネ」というシーフードミックスが100グラム100円以下で手に入りますが(見た目結構豪華です)、これを白ワインで炒めてスパゲッティとからませるだけ、など。要するに、「懐かしい日本料理」を忠実に再現しようとすると、『生サバ一匹からバッテラを作る』『鰹まるごと一匹自分で捌いてタタキをつくる』等全ての工程を一人でやるということになりますが(それがまた面白いのですが)、それにこだわらなければ、基本的に食材が新鮮で安く豊富なので、それほど手間をかけることなく食べられるということでもあります。
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その他スーパーに行けば、お手軽なインスタント食品が売ってます。カップ緬や1個15円程度のノーブランド商品のインスタントラーメンもありますが、多いのが『○○の素』系統の粉末状のものです(レシピーミックス)。中々変わった料理が多く(そう思うのは日本人だからで、一般的にはポピュラーだからインスタントものがあるのでしょうが)、『トマト&ハーブ・ソーセージ』やら『モンゴリアン・ラム』、『マレーシア風チキンのクリームソース煮』『チキンとマッシュルームの白クリームソースのパスタ』などなど。日本と同じく、用意すべき材料と作り方が書いてあります。例えば前述のマレーシア風の作り方の説明を書き移すとこんな具合です。
DIRECTION(作り方)
Heat the oil in a large frypan or wok.Add the chicken、onion and red pepper and stir fry on high heat5minutes.
(大きめのフライパンか中華鍋に油を入れて熱します。鶏肉と玉ねぎ、赤ピーマンを入れて強火で5分間炒めます。
Add the Recipe Mix and stir fry for 1 minute longer.(レシピーミックス(このインスタント食品)を入れてさらに1分ほど炒めます)
Add the water and peanut butter to the frypan or wok and stir well. Cook on a high heat for 5 minutes stirring regularly.Serve4.(水とピーナッツバターを入れてよくかき混ぜます。強火で5分間、定期的にかきまぜて出来上がりです。4皿に盛って下さい)。
大体どれも、「材料炒める」+「粉を混ぜる(水を加える)」というシンプルなパターンのようです。各材料の量はパッケージの「用意すべき材料」の欄に載ってますが、大体パッケージの写真を見ればおおよその検討はつくでしょう。
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他にもいろいろなインスタント食品がありますので、辞書を引き引き取り組まれるのも一興でしょう。またチャイナタウンや中華系のスーパーにいくと、「豆板醤」「海鮮醤」「冰花梅醤」にはじまって見たこともないような調味料やら缶詰やらがズラリと並んでます(あれこれトライしてると本物らしき中華料理の味になることもあります)。冷凍物の点心類もあります。またデリカテッセンにいけば、チーズや薫製肉(ハムなど)が「なんでこんなに種類があるんだ」「どこが違うの?」というくらい並んでますので、ビールのお供によいかもしれません。
こんなことを書いていたら本当にきりがないのですが、調理できる料理の範囲は日本にいるよりシドニーの方が広いと思われますので、知恵と創造力をしぼって野心的に挑戦してみてください。健闘を祈ります。
以上、食についてはほんのサワリしか述べておりませんが、もっと色々知りたい方は、シドニー食生活向上委員会のページ までお越しください。
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