シドニー現地生活者のための(和食)料理メモ





− シドニー食生活向上委員会編 −






食材の入手・代用について

 日本食の材料は一般の食料品店ではなかなか購入できないことが多いと思います。通常は皆さん東京マートや中国・韓国系スーパーなどの日本食コーナーで日本からの輸入品を購入されているかと思います。が、日本からの輸入品は輸入用に商品設計されていないため、価格も高く、味も輸入過程で落ちてしまっていることがしばしばあります。

 これまで、できるだけ安く、質のよいものを入手しようという根性で、日本食の材料を他国産のもので代用しては挑戦してきました。その中で他国のもので代用できる食材をご紹介しましょう。

◆米◆

 ジャパニーズ米(ジャポニカ米/ショート・グレイン種)は、「Sun White」というブランドのものが普通のスーパー・食料品店で購入できます。500グラムパックから25キロパックまであり、大きなパックほど相対的に単価は安くなる。日本の米と殆ど大差ない。
 また、同じく「コシヒカリ」も販売されています。オーストラリアで採れたお米で、Sun Rice社から売り出されています。普通のスーパーなんかでも売ってますが、日中韓系スーパーでは10キロ(場合によっては25キロ)パックで売ってます。2012年時点の相場で、10キロ20ドルくらいです。パッケージにKOSHIHIAKRIとか、SHSHI RICEと書いてます。


 その他、東京マートや韓国中国系スーパーなどでは、「菊」「錦」などの銘柄もある。カルフォルニアから輸入されているようで、値段はずっと高い。日本から輸入している「あきたこまち」なんかも売ってます。

 また、最近よくあるオーガニック食材の店にも種々のお米が売られています。うれしいのはオーガニック玄米などがあったりすることで、上記のコシヒカリに混ぜて食べるとなかなかGOODですね(写真右)。


 日本米以外のお米は、これはムチャクチャ沢山あります。単に「タイ米、長粒種」というものではなく、世界は広いです。ジャスミン・ライスという米もよく見かけるが、これはジャスミンの香りがして、中華やインド料理(カレー)、タイのチャーハンなどアジア系の料理によく合う。

 イタリア米は、短かめで、ふっくらして、粘りがあり日本米によく似ている。炊くとツヤがあって美味しい。リゾットに最適。普通のスーパーで売ってます。その他、ブラウンライス(茶色をしている)とワイルドライス(黒い米)のブレンドしたものも売っている。

 食生活向上委員会お米編に詳しく書いておきました。


◆もち米◆

 カルフォルニアからの輸入物が入手可能。900グラムで3ドル程度です。
 中国産のもち米はロンググレイン種のもので、上述のカルフォルニア産のものに比べると粘りが少ない。チャイナタウンのバーリントンで入手可能。糯米という名称で売られています。大手スーパーで見掛けることもあります。


◆小豆/あずき◆

 お赤飯やあんこの原料となる小豆は「天津赤豆(Red Beans)」といい、チャイナタウンで入手できる。500グラムで2ドル前後。但し、ゴミや虫食いなども混入しているので、煮る前に取り除いておくこと。

 オーガニック小豆も売ってます。量り売りで買えます。


薄切り肉を求めて!

 薄切り肉はアジア系スーパーの冷凍コーナーで売ってます。また、韓国系・中国系肉屋さんでも売ってます。

 薄切り肉といえば、韓国系ショップで味が漬け込んであるブルコギ(韓国焼肉、日本の焼肉定食に似てる)用の肉もあります。安くて美味。

 ただ、プルコギはお手製で漬けることも可能ですし、融通がききます。ちなみに漬けるタレの内容は、リンゴペースト、醤油、酒、ニンニクのスライス、しょうが、ねぎ、タマネギ、植物油などです。プルコギの作り方は、語学学校などに通っている人だったらクラスメートの韓国人に聞いておくといいでしょう。「よくぞ聞いてくれました」的に得々として説明してくれるはずです。



薄切り肉の肉屋 薄切り肉の肉屋
 さて、探せばいろいろあるもので、最近ではもっぱらChatswoodのLemon groveという駅前のジミなショッピングセンターの奥の韓国系肉屋さんか、その手前の中国系肉屋さんでゲットしています。韓国系の肉屋さんの方は日本人客も多く、日本語で「すきやき」「しゃぶしゃぶ」とかいっても通じますし、「豪州産日本和牛」「特上カルビ」とか書いてます。実は上の写真にもその表示が写っています。右上の写真をクリックするとその部分だけ見られます。中国系の方は、奥からパックに入ったものを出してきてくれます。

 だんだん分かってきたのですが、中国人も薄切り肉を食べます。また中国人も「火鍋」という鍋料理を好み、そこに薄切り肉を入れることから、実は中国系の肉屋さん(これはシドニーには数十、数百軒とあるでしょう)尋ねてみれば結構あるかもしれないです。薄切り肉=thinly sliced meat、鍋は hot potですから、Have you got any thinly sliced meat for hot pot?って。

 あとは日本食材店だったら、冷凍で薄切り肉を売ってますが、やっぱりちょっと高めですよね。ただ、その値段さとクオリティと利便性であなたが納得するかどうかですよね。




<メルボルンのTetsさんからの補足情報>

     薄切り肉は,家庭用電動スライサーさえあれば自宅で作るのが便利で,かつ安上がりです.電動スライサーは百貨店などでTiffanyというメーカーのものが60ドルくらいで手に入ると思います.

     あとは牛や豚,羊のロースやもも肉の塊を買ってきて冷凍し,カチカチに固まったら外に出して,ちょっと表面が解けかけてきた頃が切り時です.この方法で,薄切り肉を使った料理が毎日楽しめるようになりました.

     また羊肉の薄切りや好みの野菜を焼き,ゴマ・おろしリンゴ・しょうゆ・にんにくを合わせて一煮立ちさせた後,酢を加えたタレを作れば,あの懐かしの○○○○ビール園のようなジンギスカン鍋が楽しめます.オーストラリアの羊肉ステーキは臭みが強くて嫌いという言う人にはおススメです」


<ついでにAPLaC田村からの蛇足情報>

     その昔、ホームブッシュのフリーマーケットでついにスライサーを購入しました。但し予算の関係で手動。それでも85ドルもしました。探し方が悪い&真剣味が足りないのでしょう、tetsさんのように「65ドル電動」というわけにはいかなんだ。「面倒臭いし、まあええか」で買ってしまった。プロ用の器具の店ということもありますが、ほんまもんの電動なんか425ドルもしたし。

    99年1月付記(面白いからこのまま残しておきます)
     最初に書いてから随分時間が経ちました。最近はどうかというと、殆ど薄切り肉にこだわらなくなってしまいました。レパートリーが増えてそんなに薄切肉をつかう料理を作らなくなったというのが大きいです。

     それと、包丁でスライスできるようになりました。最初は「柳刃包丁で半解凍で」という感じでしたが、だんだん、殆ど凍ってる状態でも、また柳刃じゃなくても、そこそこスライスできるようになりました。コツは結局包丁をよく研ぐことでしょう。研ぎが上手くなったのでしょう。炒め物やすき焼き程度の薄切り肉ならば、別にそんなに神経質にならんでも出来上がりにそんなに差がないです。ただしゃぶしゃぶ用は難しいですけど、しゃぶしゃぶ自体そんなに食べなくなってしまった。味覚の変化というか、「しゃぶしゃぶって結局タレの味だけじゃん」みたいにクールになってしまったみたいです。ただ、最後のスープは好きですけど。

     ←2005年追記:しゃぶしゃぶやすき焼き系の肉は面倒なのでこの技はあまり使わなくなりました。本当はこうやった方が、肉質を吟味してから買えるからベストなんですけど(薄切り肉だと吟味できない)、面倒くさくて。ただ、炒め物とかお好み焼きに入れる程度の肉だったら半解凍の肉を包丁でスライスするくらいで十分です。豚肉スライスだったら、中国系スーパーでキロ7ドルくらいのpork neckを塊で買って、分割してラップに来るんで冷凍しておくといいです。使う分だけ半解凍してスライスしたらそれでOK。

     ←2012年さらに追記:すき焼きとしゃぶしゃぶ以外薄切り肉は使う機会は皆無。すき焼きもたまにやるくらい。もうほとんど要らない/使わないって感じです。
     豚肉の生姜焼きは、コールズなどのスーパーで普通に売ってるPork Fillet(豚フィレ肉で棒状で売ってる)を厚目にスライスすると美味しいです。この豚フィレ、値段は高いが、臭みがなくて柔らかくて美味です。だからそもそも「薄く切る」必要がないし、むしろ薄くない方が美味しいですよ。
     すき焼きも皆でせーのでやるよりは、「すき焼き風丼」みたいなカジュアルな調理の方が多くなりました。この場合は、そのへんのアジア系食材店の冷凍庫からパックに入ってる薄切り肉を4−5ドルで買ってきて解凍、小分けして使うって感じで大体間に合います。
     ただ、味的にいえば、初期の頃にやっていた「良いステーキ肉を柳刃でスライスしてやるすき焼き」がベストではあります。なんせ肉の質が全然違うし。

◆みりん◆
 シンガポールで作られているものが、日本からの輸入品よりも安価(日本の会社のライセンスで作られている)。シンガポール産「日の出 本みりん 1.8リットル」が、現在わかってるところでは一番お買い得。

 しかし何も買わなくても味醂は自分で作れるのでは?ということでその昔トライしてました。酒にザラメを入れて(酒1カップにザラメ1/2-1/3カップの割合)、とろみがつくまで煮ます。このままでは甘すぎるので、もう一回酒を入れて薄めてみると、味醂っぽくなります。実際に使ってみましたが、違和感なく使用できました。

 最近では、みりん、料理酒、とんかつソースなどは、クロウズネストの「夢屋」さんで、格安で量り売りしてくれますので、もっぱらそちらを買ってます。





◆料理酒◆



 チャイナタウンで「糯米酒」「米酒」が3ドル〜10ドル多種あるので、お料理にわざわざ「日本酒」を買わなくても十分代用できる。
 ただ1〜2ドル代のものは流石にマズイと思います。ケミカルな感じがするので、微妙な味付けには不向きだと思います。

 2005年改訂:この銘柄まだ売ってますけど、なんだかしらないけど滅茶苦茶高くなってます(何倍にもなってる)。関税でも変わったのかしら。いずれにせよそんなに出してまで買うほどの品質じゃないですね。上記のように、クロウズネストの夢屋さんで買ったほうがと得。

 あと、日本酒を売ってる地元の酒屋で、日本の一升紙パックのお酒が16ドルくらいで売ってます。
 ただ、「日本酒を売ってる地元の酒屋」ってのが中々見つからないのですよ。僕が知ってるのは、ニュートラルベイのTheo’s(ウールワースの向かい)、ノースブリッジのショッピングセンター(東京マートのあるところ)のリカーショップ、それとチャイナタウンのThomas StとUltimo Rdの交差点角の酒屋さんくらいです。

 2012年改訂:普通の日系食材店で料理酒が売られるようになりました。アジア系食材店でもそうですね。かなり安くなってきてます。リッター3−4ドルくらい。

 

◆米酢◆
  台湾産。600mlで2ドル50。「工研酢」。  オーストラリア産のものは、ぶどうから作る酢のようで、やや酸味に欠ける。台湾産のものは日本のものとほぼ同質。これも中国系スーパーで手に入る。

 酢飯にするような普通の酢だったら、コールズなどのビネガーで十分。こだわりがあるなら東京マートその他で、いろいろな黒酢とか売ってます。

 あと中国の鎮江黒酢(鎮江香醋と表記)は、飲茶などに合います。とっつきはちょっと悪いけど、慣れると味が深くて美味しい。最近の餃子系のタレはこればっか。特に水餃子系に合う。スーラスープを自家製でやるときもそう。


◆いりごま◆
 普通のスーパーでマコーミックが出しているものがある(炒ったものかどうか注意)。また、キャムシー(Cmapsie)でも手に入る。

 クロウズネストの夢屋さんで、タッパーに入れたものを売ってます。


◆こんぶ◆
 韓国産のものが安い。肉厚のもの、薄手のものがメーカーによって異なる。キャムシーあるいはアジアンフードの店で手に入る。

◆きな粉◆
 キャムシーのお店にありました(大き目のお店ならある)。"roasted"と、単に"bean powder"となっているものとの二種類があります。bean powderは青臭くて、きな粉としては使用できないので、必ず"roasted"の方を購入してください。

 
◆かんてん◆
 「燕菜絲」という名前で売られている(本当は「燕」の中の「口」がない漢字なのだが、この字は日本漢字に無い)。1cm幅の日本で売ってるものとは形状が異なり、「半透明なビニールの紐」を30センチ位に切ったものが、くっついて袋に入っています。  小さくちぎって、一晩水に漬けて、ふやかし、砂糖を加えて煮ると良いようです。水にもどすと増量するので一回に5本程度で十分でしょう。  ただし、(ふやかし&煮る)水のレシピーが今ひとつ確定的に掴めず試行錯誤段階にいます(硬くなりすぎたり、柔らかすぎたり)。知ってる人は教えてください。


◆むぎ茶◆
  これも韓国系ショップで安く手に入ります。韓国人麦茶好きだし。


◆しょう油◆
  キッコーマンのものは1リットル6ドル程度で、そこらへんのスーパでも売ってます。肉をマリネにしたりするには韓国産の醤油で十分です。韓国産のしょうゆは、中国産のものに比べて癖も少なくほのかな甘味もあり、一番日本のものに似ている。1リットルで2ドル程度。

 東京マートなどにいけば、さすがに「有機栽培大豆減塩なんたら」という多種多様な醤油がゲットできます。


◆葛粉◆
 中国系スーパーでも葛粉は入手できますが、品質は今ひとつ。
 タピオカスターチを見つけてきて、これで葛餅を作りましたが、こっちの方がずっと美味です。500グラムで80セントと安価だし、タピオカスターチで作られることをお勧めします。

 スターチ(片栗粉みたいな粉)を鍋にいれて、水で溶かし、火にかけて煮詰めていくのですが、水分が蒸発するにつれて葛状になります。書いてしまうと簡単のようだけど、「えー、全然なんないじゃん」と諦めかけた頃に一気に煮詰まり、ほっておくと焦げますので、気をつけてください。「そろそろかな」と思ったらとろ火にして油断なきよう。年季がモノをいいます。



◆白いんげん豆◆
 白い大型でやや平らの豆。普通のスーパーや、チャイナタウンでも手に入ることもあるが、イタリア食材店では安定的に入手できます。Lima Beansという名称で、よく見るとアメリカからの輸入物(オーストラリアでは作付けしてないのかもしれない)。これを使って和菓子の白アンが作れる。


◆黒豆◆
 中国系スーパーで入手可能。やや日本産に比べると(特に丹波産の黒豆)、小さい。半分位の大きさです。質はそれほど良くないのですが、味はしっかり黒豆です。

 
◆干芋◆
 これも中国系スーパーの菓子売場で売ってます。ほのかな甘みが美味。
 ときどき干し柿が売ってたりすることもあり(僕が何度か買っているのは、Chatswoodのジャスコ)、けっこう美味です。


 
◆油揚げ◆
 アジア系スーパーの冷凍コーナーで普通に日本製が売ってます。
 でも、ディープなトライをしたかったら、中国系スーパーで、10センチ角くらいのものを小分けにして冷凍しておくと、味噌汁、煮物にすぐに使えて重宝します。メーカー名は「長青」、商品名(?)は「新鮮豆腐泡」など。


◆ひじき◆
 これもアジア系スーパーで、日本のもの、韓国のものが売ってます。中国系だと「海草干」と表示されてます。

 注意:日本製のものでなく、かなりエキゾチックなもののときは、根っこがついたまま乾燥して塩漬けにして売られているので、水で6時間ほど戻してから根を切らないと堅いです。他の海草が混入してたりして、取り除くのに手間がかかったりもします。そのかわり海草の香りがして、日本産のものよりもむしろ美味しい。
 多分、日本でうられているヒジキは、何らかの加工をして戻す時間を短縮してあるのでしょうか(すぐに戻りますから)、そしてその加工過程で香りが多少失われるのでは?と思います。推測に過ぎませんけど。
 ヒジキがどういう状態で海に生えているのか分かって面白かったです。意外なところで楽しませてもらえます。


◆はるさめ◆
 はるさめは馬鈴薯(じゃがいも)から加工したものですが、輸入された日本製品を購入すると高くつく。代わりに、チャイナタウンにグリーンピースを加工して作った「龍口粉糸(VERMICELLI)」を利用すれば、100gで$1程度と安くあがり、味もやや歯ごたえが固い程度で大きな差はないでしょう。




◆パン粉◆

 オーストラリアのパン粉は粉状のものが多いが、韓国産のならばほぼ日本のものと同じで安価。


◆そうめん◆
 日本食売り場では入手できるが、細いスパゲティー(エンゼルヘア=天使の髪、2分茹で上がり表示)で代用できる。ラーメンにもなります。
 アジア系食材店でもそうめんは多いです。ただし、値段に比例はしますね。素麺だけの味を純粋に楽しみたいなら、三輪素麺みたいな高いブランド品はやっぱり美味しい。安いものだと腰がなくて粉っぽい。だから、素麺を使ったアジア系料理のような感じに使う。



◆とんかつソース◆
・キャムシーなどに行き、韓国産のもの(Ottogi Pork Cutlet Sauce)を入手すると日本のものの半額程度で手に入る。味も遜色ないと思うが、若干甘みに欠けるという向きは、お好みでリンゴソース(例えばSPCというメーカのApple Smooth Sauceなど。普通のスーパーにある)などを適宜加えてみて下さい。なお、このアップルソースは、カレーに入れたり、肉をマリネにする時にも重宝します。

・さらにスパイシーにしたいときは、ステーキソース("Steak Sauce"という名称で売られている)を加えてみるのもテです。
・上述と重複しますが、クロウズネストの夢屋さんで日本のとんかつソースをプラスチックボトルに小分けにして売ってます。



★「キャムシー」「アジア系スーパー」「夢屋」とか、「何処にあるの、それ?」という方は、こちらのSHOP案内編へどうぞ。




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