Q:子供を連れてオーストラリアに語学留学したいと思っていますが、可能でしょうか? もし可能なら、予算はどれくらい見ればよいのでしょうか? また、注意点などがあれば教えてください。
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最近は、英語英才教育を目的に渡豪をお考えの方もおられるようです。これは個人的な意見に過ぎませんが、動機がご自身の向上欲求ではないのだとしたら、やめた方がいいと思います。 基本的に子連れ留学ってのはお子さんにとってのメリットもあるでしょうが、デメリットも考慮した方がいいです。それでも「自分の可能性をあきらめたくない」という方が、お子さんに負担をかけるのを承知の上で、敢行することだと思います。 お子さんへのデメリットを次に挙げます。 @お子さんの成長に伴う健康管理に対する不安 かかりつけのお医者さんは日本人を選ぶとしても、子供のことですから急な病気や怪我で近所の病院や救急病院に飛び込まねばならないことも起きますよね。その時、おかあさんがちゃんと状況を英語で説明できないがために、間違った処方をされてしまう可能性もないことはないです。また、予防接種や投薬にしても、現地の情報を入手して、おかあさん自身が受けさせるのどうか判断しなければなりませんし。 Aお子さんの精神的ストレス 一般に子供は小さいほど、新しい環境に慣れるのは早いでしょうが、個人差はあります。小学校にあがる前のお子さんなら、さほど問題なく現地に溶け込むことができるでしょうが、それでも最初の一定期間は(子供によってまちまちですが、今まで聞いた範囲では、1週間〜3ヶ月)不安定な状態になるようです。また、小学校以上になると、言葉がわかるようになるまでは地元の子供に馴染むのはなかなか難しいようです。子供といえども、小さなカルチャーショックはありますし、異なる環境に馴染むまではストレスも生じるでしょう。 また、おかあさんも慣れない海外生活で不安定になることと思います。親の精神状態って子供に強く影響を与えてくれますよね? さらに、ご主人を日本に残していかれる場合、「おとうさんと離れること」による不安定感も影響するでしょう。 帰国すればした時にも同じようなストレスが生じるかもしれません。今度は日本の友達とうまくいかなくなるとか。 1〜2年など長い期間ならまだしも、1〜2ヶ月でころころ環境が変ってしまうのはお子さんにとって本当に望ましいことでしょうか? B日本語学習の遅れ これは単に日本語を学ぶスピードが遅れるということだけを指しているのではありません。お子さんは日本語を学び取ろうとしている最中です。言語という概念が出来つつあるということは、その人間の世界観が言葉を通じて構築されつつあるということでしょう。この時期に中途半端に日本を出て、英語環境に入ってしまうと、子供さんの言葉の概念は混乱します。 もっとも、長期に渡って日本語+英語という環境で生きていくのなら、一生自分の母語は「日本語+英語」になるわけですし、周囲もそういう社会になってますからそう大きな問題ではないのですが(問題は問題だと思うけど、対処法がそれなりにある)、「日本で暮らす日本人」として日本語体系がきちんと確立できないうちに、他の言語に触れさせることの弊害も考えておいた方がいいと思います。たとえば、オーストラリアで暮らしている日本人夫婦の子で、「えんぴつズ」(複数形のSが日本語にも付いちゃう)という子がいます。子供にとっては、英語と日本語の違いなんか区別つかないんですね。 C受験タイミングへの疑問 小さいうちに覚えた言葉は使わないと忘れます。帰国直後には英語ペラペラでも、その後英語を使わない生活をしていたら、1年もしないうちに真っ白に忘れてしまいます。小さいうちは吸収も早いけど、忘れるのも早いものです。 ですから、特殊な教育機関への受験をお考えなのだとしたら、帰国してすぐに入試があるならともかく、ブランクがあるんじゃ、ほとんど意味ないです。 以下は私の言語教育観ですが、参考までに。 私は言語というのは努力次第で誰でもいつでもマスター出来るものだと思います。たしかに小さいうちから親しんでいれば(それも、継続しなきゃ意味ないですが)、発音や言葉の概念、思考方法に馴染みやすいといったメリットはありますが、大人になってから勉強すれば立派にモノに出来ます。最後まで残る課題が「発音」ですが、別に完璧な発音じゃなくてもコミュニケーションは出来ます。 しかも、英語は世界共通言語みたいになってますけど、共通言語になってるのはネイティブの英語じゃなくて、ブロークン・イングリッシュです。オーストラリアにも世界各国から移民が集まってますから、実際には各地訛りのブロークン・イングリッシュが公用語になってます。ほとんどの移民は英語教育も受けずにやってきて、皆さん実地で苦い体験を繰り返しながら学んでいきます。そして、その言語でコミュニケーションして社会が成り立ってる。英語ネイティブのオージーが就職難といわれる中、企業のトップで活躍している人の中には移民一世だっているんです(ちなみに英語ネイティブじゃない英語教師が、オージーに英語を教えていたりもします)。つまり、小さな時から英語に親しんだメリットよりも、大人になってから勉強して身につけた英語の方が実社会では数段使えるものだということです。 私らは英語ネイティブではないので、どんなに頑張っても英語ネイティブと同じレベルに英語を使いこなすことは不可能だろうと思う反面、努力した獲得した英語力に関しては、オージーに負けないぞという自負もあります。言語というのは、母語の能力に比例するようで、日本語がきちんと出来てる人は英語もかなりのレベルまでいきます。最近、オーストラリアでも若い人たちの英語能力の低下が社会問題化していまして、確かに読み書きがキチンと出来ないオージーも結構います。実際、知り合いのオージーが書いた文章見て「これなら私の英語のがマシだぞ」と思うこともあるくらいです。 語学は本人がその気になって勉強しないと伸びないものです(たとえ母国語であっても)。日本人にはどうも「英語コンプレックス」があるようで、「この子にだけは」という親心から、英才教育に英語を取り入れようとする親御さんも増えているようですが、それって「外国語を学んだ経験のない親が、英才教育産業の食いものにされているだけ」じゃないかと気になります。 小さいうちに英語を強要するよりも、小さいうちから異文化に興味を持たせ、大きくなってから「英語を勉強しよう」という自発的なモチベーションを引き出してあげることの方がずっと大事だと思います。もっとも効果的なのは、親御さん自身が「英語を勉強したことによって、こんなに世界が広がったんだよ」という実体験をもつことでしょう。その方が子供にとってはよほど説得力があるんじゃないでしょうか? それに、お子さんが社会で活躍する時代には、英語じゃなくて中国語あたりが世界共通言語になっているやもしれません。小さいうちにから特定の言語を教えるより、時代の変化に順応できる柔軟性と新しいことを吸収しようとする意欲のある人間に育てたいと思いませんか? ちなみに、自分自身の体験を通して思うのは、「語学は努力と根性でどうにでもなる!」ということ。そして、無謀にも渡豪してきた結果得たものは、英語力そのものというより、「世界にはこんなに頑張って生きてる人たちがいるんだ」「人間何やったって生きていけるもんだ」「人間みんな同じなんだ」という世界観の広がりの方が大きかったんじゃないかと思います。 |
具体的な段取り |
なお、小学校の費用ですが、その昔はNSW州の場合、無料だったのですが、現在では有料になっています。 また、その子がどういうビザで滞在しているかどうかによっても料金が違います。すわなち観光ビザで滞在しているか、子供本人あるいは家族の誰かが学生ビザを取得しての滞在であるかどうかです。 詳しくは、NSW州の教育省(NSW Department of Education and Training )のホームページでご確認ください。 以下、上記ページから適宜抜粋してみます。 Student Visa Holders: Fees and Payment これはお子さん自身が学生ビザを保持している場合についての規定です。子供さん自身が留学する場合ですね。
Years 11 and 12 A$11,600 per year Years 7 to 10 A$9,600 per year Years 1 to 6 A$8,600 per year Temporary Resident and Visitor Visa Holders ここでは、オーストラリア国民や永住権保持者以外の「一時的住人(テンポラリーレジデント)」場合、どういう人が入学できるのかというカテゴリーが記載されています。
010-099 Temporary: Bridging visas while decision made on application for other substantive visa 300s Temporary: Provisionals applying for permanency 400s Temporary: Business/occupational/cultural/humanitarian 500s Temporary: Dependents of International students (親御さんが学生ビザを取得した場合のお子さんのケース) 600s Temporary: Visitors (観光ビザで来た場合) 900s Temporary: Electronic Travel Authorities (ETAs) (同じく観光ビザ、ただしETASという電子ビザの場合=今では殆どこれですけど) Temporary Visa Holders: Fees and Payment ここではこういったテンポラリーレジデントの学費について記載されています。 Temporary Visa Holders: Fees and Payment Most students holding a Temporary Residents Visa or Visitor Visa are required to pay the Temporary Visa Holders Education Fee and an Administration fee. Fees for students who hold Temporary Resident Visas or Bridging Visas are payable twelve-months in advance. (親御さんが学生ビザを取得しているケースがここに当ると思われます)
Years K-6 Primary School A$4,500.00 Years 7-10 Junior High School A$4,500.00 Years 11-12 Senior High School A$5,500.00 (観光ビザで滞在している場合の費用がここに該当するでしょう。観光ビザの滞在期限3ヶ月に対応してます)
Years K-6 Primary School A$2,580.00 (A$215.00 per week) Years 7-10 Junior High School A$2,880.00 (A$240.00 per week) Years 11-12 Senior High School A$3,480.00 (A$290.00 per week) |
予算 |