(その4)
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97年2月11日
増加し続けるオーストラリアへの投資
SMH/1997年2月8日記事より
FIRV(Foreign Investment Review Board/外国人投資調査委員会)の発表によると−−−
外国人によるオーストラリアの不動産への投資額は、1996年6月までの1年間で124億ドル(12兆円)に達し、前年比26%の伸び。投資額のうち3分の1がニューサウスウェルス州に注ぎ込まれている。
アジア系企業は、食品産業や地方への投資を行う傾向があり、日系、中国系企業は食肉加工業へ、韓国、インドネシア、ブルネイなどは牧場や食肉輸出業に投資をしている。
しかし、同時に目立った特徴として挙げられるものは、都市部の不動産への投資である。昨年度において外国人投資全3921件のうち3359件以上が不動産投資であった。外国人投資の承認率はほぼ85%前後とのこと。
不動産分野での最大投資国はやはりアメリカで、38億ドル。2位がシンガポール(12億ドル)、3位が香港(10億ドル)、日本は4位で5.6億ドル、5位がマレーシアで4.3億とか(以下、イギリス、フランス、ニュージーランド、中国、スイスと続く)。
外国人によるオーストラリア不動産投資は、1994年、わずか1年で60億ドルから110億ドルまで2倍弱伸びた(これは時の天安門広場の事件で4万名にものぼる中国人をオーストラリア政府が特別に受け入れ、彼らを基軸に居住用不動産が買われたことによるとされる)。
95−96年の1年間の、外国人のオーストラリアへの投資額(不動産に限らない)は過去最高の570億ドルまで跳ね上がっている。いかに外国人がオーストラリアに投資をしているかことである。ただ、これによって、オーストラリアの著名な企業も次々と外国人の手にわたっていたりもする。
オーストラリアへの外国人投資一般で言えば、アメリカ(240億ドル)とイギリス(130億ドル)が圧倒的なシェアを保ち(両者あわせて前頭史学の3分の2に達する)。ただ、国によって投資先はやはり異なるようで、アメリカは製造業やサービス業に集中し、もっぱらヴィクトリア州に向けられる傾向がある。日本からの投資は、製造業、鉱工業、不動産に向けられる。
これと対照的に、香港、韓国、東南アジアからの投資は、圧倒的に不動産投資に集中している。これは一部にはアジアの大富豪が、母国になにかあった場合(政情不安や内戦など)、家族のための避難場所としてオーストラリアを選ぶ傾向があると言われている。
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同日の関連記事として、外国人投資家による不動産の「不法」取得が報道されています。
オーストラリアの不動産は、そう簡単には外国人には買えないように規制がされています。これは8年前に制定されたものなのですが、実際にはそう厳しくチェックされてるわけでもないようです。
なにしろチェックといっても、スタッフが18人しかいないらしく、この人員で昨年度4500件もある取得申請をチェックしようとしても、表面上の書類審査以上に追跡調査をしようにもなかなかできない、と。
一方、オーストラリアの金融機関や開発業者は、投資規制の緩和を期待しているし、アジアの新聞に恒常的にオーストラリア不動産への投資の広告を掲載し、特別の低利融資まで図っているとか。
閣僚のなかには規制緩和を求める声もあるが、オーストラリア政府としては、今後の不動産投資規制を続ける意向。しかし、現行規制のままでも外国人投資家が投資しうる領域は結構あります。すなわち、新たに開発された土地(で住民のいない土地)、旅行者向けの不動産、既存の住宅地であってもオーストラリアに住む企業の重役の居住用としてならば購入OKとなってます。
今後どうなるのかですが、域内自由貿易をめざすAPECとの絡みもあり、どちらかといえば、自由化の方向に向わざるを得ないでしょう。
それでも進行するマルチカルチャル/アジア系赤ちゃんの急増
SMH/1997年2月8日記事より
シドニーの町中を歩いている限り、アジア系の顔立ちをしていても疎外感を感じることは、殆どありません。それだけ沢山アジア系住民が多いということですが、統計的にこの傾向は強まっているようです。
NSW州において、アジア出身の母親が産んだ子供の数は、最近6年間で33%も増加しているそうです。一方では、ヨーロッパ出身の母親の子供は減少傾向にあるとか。
NSW州の厚生省のレポートによりますと、1995年に州内で出生した赤ちゃんのうち、10人に一人はアジア系であり、そのうち4人に1人はシドニー中心部、5人に1人は
南西部で生まれているとのこと。
いま「アジア系」と言いましたが、ここでは「アジアで生まれた女性が産んだ」という意味であり、その女性が二世とかでオーストラリアで生まれたならば例え中国系であったとしても数から除外されてます。だから、民族血統でいえば、「アジア系」はもっと多いことになると思われます。まあ、「たまたま(親の転勤などで)アジアで生まれたヨーロッパ系の女性」も「アジアで生まれた女性」になるのでしょうが、比率でいえばそう多くないでしょうから、あまり考慮しなくてもいいでしょう。
だいたいにおいて、産室に入った女性の26%は海外生まれだそうです。これって日本におきかえたら飛んでもない数字になるでしょう。だって、産婦人科行ったら、平均して産婦さんの4人に1人は海外生まれの外国人(だった)んですから。どんなんか、ちょと想像しにくいかもしれない。
ちなみに95年で最年少でお母さんになったのは12歳、最年長は54歳。12歳はまあ分かるとしても、54歳というのはすごいですね。というか、この間日本の看護婦さんと話したら、最近では日本でもマルコー(高齢出産)になるのは、従来の35歳ではなく45歳になってきているとか。
晩婚化とともに晩産化も進行していて、産婦さん全体の14%が35歳以上だったと。これ、1990年では10%でしかなかったので、継続して進行しつつあるのが分かります。また、全体の17.4%が帝王切開による出産で、プライベート保険(国民健保にあたるメディケアの他、「任意保険」のように加入する保険)に加入してる場合、帝王切開を選ぶ率は2倍になるとか。金の心配がなくなると、帝切ってやるようになるものなんでしょうか。
シドニーの西部、南西部での出産が多く、総数87,391人というのは州全体の4分の1に相当するそうです。人口増加地区ということになるのでしょうか。
正確に統計が取れてるわけではないのですが、現場のお医者さんの話では、アジア系の女性の方が難産になる確率は低いとの印象をもっておられるようです。
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