(その2)
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おもちゃ箱第2弾は「おいしいお菓子シリーズ」。お菓子大好きな私(福島)がシドニーのおいしいもんを脈絡なくご紹介します。
●キングアイランドのクリーム
クリームといってもケーキについてる生クリームや、シュークリームに入ってるカスタードクリームや、牛乳の小型紙パックみたいのに入ってる液体の生クリームとも違います。これと同種のクリームを私は日本で食べたことがありません。たぶん存在はしているのだろうが、少なくとも私のような庶民の口に入るようなシロモノではないと思います。
正式な製品名は、「THICKENED CREAM(濃縮クリーム)」と言うらしく、他にもこの類の商品はありますが、その中でも「キング・アイランドのクリーム」が最高。お値段も「最高」ですが(って言っても300mlで$2.50から3.50の間くらい)、やはりキングアイランドのが一番サッパリなめらかでおいしい。
キングアイランドとは、オーストラリア大陸の南東に位置するタスマニアとビクトリア州の間に浮かぶ島。チーズやバターなど良質の酪農製品を生産しており、「キングアイランドの○○」というだけで、ありがたがるオージーもいるほど有名です。いわば「キングアイランド・ブランド」を確立しているようなもんですが、ブランド名が先行して中身が付いていけないどこかのブランド品とは違い、本当にキングアイランドのクリームは群を抜いてうまいのであります。
この味を文章で表現しろと言われても、私にはそんな文才はない。今も「何とか表現しよう」と手元において舐めながら書いているのですが、うーむ、困ったものだ。クリームばかりが減っていく・・・。そうですね〜、まず、高級ケーキの生クリームを想像してください。あれってベタベタとしつこくなくて、サラっとした上品ななめらかさですよね? そこから甘みをすべて引いてください。(ぜんぜん甘くない)で、もうちょっと液状に近いトロッとした感じを想像してください。はい、それです、それ!!(こんな説明で分かるかっつーの)
さて、これをどうやって食するかといえば、スコーンにジャムと一緒にタップリ乗せてほうばるもよし、ブルーベリー、イチゴなどベリー系の果物にかけて味わうもよし。(こっちではシーズンになると、ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリーなど生の野イチゴ系が庶民に手が届く値段でスーパーに並ぶので、うれしい。)勿論そのまま舐めても超おいしいのですが、なにぶん脂肪分が高いのでデブのもと。おお、こんなに舐めてしまってはいけない、いけませんわ、殿・・・と拒んでみても、やはり手が出る舌が出る。デブ化を防止するためには、やっぱり果物に少しだけかけて味わう程度にして、あとは冷蔵庫にしまっておくことです。
スーパーで入手可。チルド製品コーナー(冷蔵売場。生クリーム、牛乳、ヨーグルトなどデイリーフーズ売り場の近く)に置いてありますので、お試しあれ。残念ながら日本に持込むには検疫を受けねばならないので、オーストラリア滞在中にしっかり楽しんでください。
●パブローバ
ケーキ大好きオージー少女に教えてもらった「オーストラリアのケーキ」です。といってもパブローバの歴史はあまり古くはなく、この10〜20年くらいの間に広まったものだといいます。パブローバなんてネーミングからして、あまり英語ルーツじゃなさそうですが、もともとはアンナ・パブローバという名前の有名なバレリーナ(ロシア人だったかな?)が来豪したのを記念に、オーストラリアのシェフが開発したものだそうです。
まあ、食べもん大好き人間としては、頭でっかちなイワレなどより、実物のおいしさが重要。どういうシロモノかといいますと、タマゴの白身をホイップして作ったメレンゲを表面にちょっとこげめがつく程度に軽くオーブンで焼いたものに、生クリームと果物がかざってあります。(だから見た目は白い)メレンゲ部分はけっこう甘いのですが、甘みを抑えた生クリームとの相性が絶妙。甘いの苦手な辛党族も、これなら知らず知らずの間に平らげてしまうでしょう。
もちろん、お店によっても味はまちまちで、ウチの近所にあるギリシャ系ケーキ屋さんのパブローバは結構甘めに仕上がってまして、日本から来たばかりの日本人には「うわ〜、こりゃ甘いわ〜」と不評でしたが、私は好きです。また、どのケーキ屋さんでも置いているわけではないので(たぶん製造工程が他のケーキと違うためでしょう)、ケーキ屋さんに入ったら「Do you have Pavlova?」と確認してください。(レモンメレンゲパイは見た目がパブローバに類似しているので要注意)また、スーパーにはパブロバの土台部分だけ売っていますので、自分で生クリーム等を飾って食するのも一興でしょう。
このパブローバをブッシュタッカー(ブッシュやアウトバックで食べる野生食)としてアレンジして出しているレストランもシドニーに何件かあります。木の皮をはいで、そこにパブローバのメレンゲ部分を塗り付け、ブッシュタッカーご用達の香辛料(名前忘れた)を振って、まるめて食べるというもので、これはこれでまた別の趣があります。
また、オーストラリアの代表的家庭のケーキとして、「レミントン(Lemington)」があります。チョコレートスポンジケーキにココナッツをまぶしたもので、スーパーでも四角くカットされたラミントンが何個がパックされて売っています。オージー家庭では夕食の後に必ずといっていいほどデザートを食べますが、そのデザートメニュー、頻出度ナンバーワンのお菓子と言えるのではないでしょうか。
●マッドケーキ
ここまで来たら、チョコレート関連商品をご紹介しないわけにはいかなくなりました。私はオーストラリアに来て、オージーのチョコレート・ラブラブぶりにはいたく感嘆させられました。日本じゃチョコレートなど「オンナ・コドモの食べるもの」として正当な評価を受けていないような気がして心外なのですが、オーストラリアでは違います。大の男が昼日中から、コソコソ隠れることなくチョコレートをモリモリかじりながら町を闊歩しています。ニュースエージェンシーという新聞・雑誌屋さんにもレジ付近にチョコレートなど甘いもの類が並んでいるのですが、学校帰りの女子高生だけじゃなくて、煙草買いに来たおっちゃんがチョコバー1本買って、その場で買い食いしてたりします。これ、ホントです。オーストラリアにいらしたら、よく観察してください。
本当に老若男女に至るまでチョコレート大好きみたいです。健康に悪い、ニキビが出る、デブになる等、一応気にはしているようですが、なんやかんや言いながら、板チョコ1枚くらい平気で食べてる。学校の資金源も保護者に売らせているチョコレートによる貢献度が高いというし、「めぐまれない子供たちへの募金活動家」と称する人々がオフィスに売りにくるのもチョコレート。
そんなチョコレート好きの国民がチョコレートケーキを放っておくわけがない。で、オーストラリアにはチョコレートケーキがあれこれあります。代表的なのは先ほど述べた「レミントン」ですが、これは「ちよこれえとぉ〜!!」というほどチョコチョコしていません。他にもチョコレートスポンジベースの「ブラック・フォレスト」等ありますが、やっぱり「マッドケーキ」でしょう、ここで触れるべきなのは。
「マッドケーキ(Mudcake)」は直訳すると「泥ケーキ」なのですが、要するに泥まみれのケーキのようにチョコレートまみれのケーキってことでしょう。確かにすごいボリューム。一応チョコレート味のスポンジケーキが基本なんだけど、その間にもうチョコレートそのまんまという感じのクリームが挟まってて、更にスポンジをこの「チョコレートまんまクリーム」がねっとりと取り囲んでいるという具合。確かにおいしい。でも、さすがの私でも1個食べきれるのは相当体調のよい時だけです。2人でシェアして丁度いいかなってところ。
更に先刻のケーキ大好きオージー少女に教えてもらったのですが、「Death by Chocolate(チョコレートによる死)」というセンセーショナルな名前のケーキを売ってるチョコレート専門店があるそうです。私はまだトライしていないので、調査後追って報告いたしますです。
●ユーカリ・キャンディ
オーストラリアといえばユーカリ。コアラも愛するユーカリの木はオーストラリア原産で、町のそこここで見られます。1枚葉をむしって匂いを嗅いでみると、なぜか懐かしい香りが・・・そう、ヴィックスヴェポラップの匂いなんです。
このユーカリの葉から抽出したユーカリ油は、以前にトップページで紹介しましたが、いわば「オーストラリア版がまの油」のような存在です。お湯に数滴たらしてその蒸気を吸い込めば、鼻炎や咳など呼吸器系の病気に効き、お湯に溶かして手足に塗ればスキンガードになるという。オーストラリアでは、アロマセラピーの代表的オイルともいえます。
「ユーカリ・キャンディ」とは、このユーカリの抽出液が含まれています。だから「のど飴」としても効果ありますし、すっきりさわやかな気分になります。私はこのユーカリキャンディのとりこになってしまい、ほとんど毎日なめているのですが、両親の来豪の折に紹介したら「クサイ!」の一言で一蹴されてしまいました。確かに好みはあると思いますが、せっかくオーストラリアにいらしたのなら、オーストラリアの味、ユーカリ・キャンディに挑戦してみませんか?
いろいろなメーカーが出しているようですが、たいてい1袋$2.5前後だったと思います。そこらのスーパーで売ってます。
●アーノッツのビスキー
オージーは何でも単語を省略しますが、ビスケットは「ビスキー」になります。このビスキーを製造している最もデカい地元企業がアーノッツ(Arnott's)。最近は流入してきたアメリカ資本に対抗できず経営的に難儀しているようで、吸収合併の話も漏れ聞こえてきます。まあ、どこが株主になろうが、おいしいビスキーを提供してくれれば我々消費者はそれでよいわけですが。
で、アーノッツの商品はたぶん数十くらいはあると思うのですが、そのうち「オーストラリアの代表的お菓子」と評されているのが(評しているのはワタシだが)、「ティムタム(TIM TAM)」です。チョコレートソースを2枚のビスキーで挟み、更にそれをチョコレートでコーティングしたthickなチョコビスケットです。確かに甘いことは甘いけど、冷蔵庫で冷やして食べると、2個、3個とイケちゃいます。尚、チョコレートクリームを挟んだプロパー商品のバラエティもので、ヘーゼルナッツ版とキャラメル版があり、これらもイケます。但し、甘いの苦手な方にとってはキャラメル版はちょっとツライかもしれません。
実はこの商品、シドニー大学に留学していた頃、アジアの留学生の間でひそかに人気で、「オーストラリアには”オーストラリア独自のおいしいもん”がないけど、これだけはオーストラリアが誇れる唯一のお菓子だね」なんてコメントして笑ってました。
もう1つ、アーノッツのビスキーでお気に入りの1品をご紹介します。「グレンガリー(Glengarry)」という商品名ですが、わたしゃ今初めて商品名を認識しました。(普段はパッケージデザインのみで認識して購入している−−それが消費者というものでしょう。)
いわゆるショートブレッドというタイプのビスケットで、普通のビスケットよりもバターの含有率が高いのか、口当たりも重くしっとりしています。これもプレーン味に加えて、マカダミアナッツ入りというバージョンがあり、ワタシはこっちの方が好きです。
これもスーパーのビスキー売り場にあります。15本入り(200g)で、フランクリンというスーパーでは、$1.75〜$1.89で売ってます。
その後の情報:
97年2月末、私の大好きなビスキーメーカー、アーノッツが「グリコ・森永事件(みたいなもの)」に巻き込まれてしまい、2週間ほどアーノッツ商品が一斉に店頭から姿を消すという一大事が起こりました。犯人は金銭目当ではなく、過去の事件の捜査の洗い直しを要求して、アーノッツ商品に毒物を混入するぞと強迫しました。その2週間の寂しかったこと・・・。ビスキー売り場はもぬけの空なのです(他メーカーの商品はあるけど)。ただでもマーケットシェア争いに苦戦していたのに、これはアーノッツにとっては大きな打撃だったことでしょう。
で、どういうわけだかわからないけど、2週間後にアーノッツ商品が店頭に復帰しました(このあたりの経緯については詳しく報道されていない。ちゃんと犯人と和解したんだろうか?)。嬉しくなって真っ先にグレゴリーを購入しましたが、開けてみたら焼きすぎでやや茶色くコゲていました。たぶん、久々に運転開始したもんで、工場のベイクドマシーンの温度調整がうまくいかなかったんだろうな、と、元メーカー勤めの私は思わずアーノッツにまたもや同情してしまいました。
●スティッキー・ライス・プディング
これはどうやら東南アジア系の国々で愛されているデザートらしく、タイ料理とかインドネシア料理のお店でデザートメニューに載っていることがあります。正確にはその国の言葉による名称があるわけですが、すみません、覚えてません。まあ、オーストラリア国内なら「スティッキー・ライス・プディング」と英語で言えば通じるでしょう。
スティッキーというのはベタベタと粘着力のある状態を指しますが、もち米をふかしたような感じのネチャネチャした米がベースになっており、更に小豆が混じっていたりなんかして、「どこがプディングやねん?」とやや納得いかないのですが(たぶん日本のプリンの概念が限定されすぎているのだろう)、このお赤飯の親戚のようなものに温かいココナッツミルクをかけて召し上がっていただきます。この米と小豆のハーモニーが懐かしい和菓子を連想させてくれます。甘みはあまり強くありませんが、何と言っても「コメ」ですので、おなかいっぱいになった食後にすべて平らげるのはハードかもしれません。数人で1つシェアするくらいで丁度よいのではないかと思います。
おそらくタイ、マレーシア、インドネシアのレストランなら、デザートメニューに取り込んであるのではないかと思われますが、私が今までで一番感動したのは、ニュータウンにあるインドネシアン・レストランで食べたものです。お値段的には、お店によりますが、たぶん$2.5〜5.0くらいでしょう。また、アジア・フードを扱っているお店でも、タッパー入りで売っていることがあります。
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