エッセイ396/APLAC 世界史から現代社会へ（60）　インド（2）　ヒンドゥー教とイスラム教の対立　～なぜ1000年起きなかった対立が急に起きたのか

今週の１枚（09.01.26)

　　ESSAY ３９６　：　世界史から現代社会へ（60）　インド（2）　ヒンドゥー教とイスラム教の対立　～なぜ1000年起きなかった対立が急に起きたのか

　写真は、昼下がりのCoogee。ビーチ近くの商店街にて。遅めのランチをとったときの一枚。強い陽射しと、妙にシンとした町並み。のんびりした臨場感を味わってください。

　先週に引き続いてインドシリーズです。
　今週は、インド全土に吹き荒れているヒンドゥー過激派とイスラム教徒の抗争について考えてみます。

　現在のインドが抱える問題点は多々あるのですが、最も大きなネックになっているのが点でしょう。イギリスからの独立を果たしたガンジーも、ヒンドゥー教とイスラム教を融和することは出来なかったし（逆に暗殺されてしまう）、つい先日のムンバイ・テロなど、インド国内の社会不安要因になり続けています。またカシミール地方の領有権など、独立以来延々と60年以上隣国パキスタンとモメている根本原因も、さかのぼればこの二宗教の敵対性にあります。

　これだけ見ていると、インドではさぞかしイスラムVSヒンドゥーが不倶戴天の仇敵のように争い続けているように思えるのですが、インドにイスラム教が入ってきたのは、ここ100年200年の話ではありません。1000年前から入ってきていますし、数百年にわたるイスラム王朝もあります。両教徒がそれほど仲が悪いのであれば、大昔から内乱状態になってたはずだし、いい加減どっちかに決着がついていても不思議ではない。実は、よーく見てみると、インドにおける両宗派はずーっと融和関係にあり、険悪になるのは20世紀に入ってからです。それまでずっと上手くやってきたのに、直近100年ほどで突如として喧嘩を始めている。なぜか？なぜこれまでうまくやってこれたのか、なぜそれが急にダメになったのか？そのあたりを考えてみます。

イスラム教徒の侵入～ムガール帝国

　インドにイスラム教が入ってきたのは、８世紀頃まで遡るようです。イスラム教徒のアラブ商人が海上ルートでインド入りし、イスラム教を伝えます。10世紀後半からアフガニスタンに本拠地を置くトルコ系のガズナ朝が侵入し、13世紀初頭にはガズナ朝から独立したゴール朝がインド北部を支配し、300年にわたるデリー・スルタン朝の基礎を築きます。14世紀にはデカン高原まで南下遠征し、いっときは全インドを支配するほどの勢力を誇ります。

　これだけ”よそ者”が侵入して巨大王朝を建てたというのに、全インドのヒンドゥー教徒達は”尊皇攘夷”をやらなかったのか？という気がしますが、あまりそのような記述は見あたりません。それは地域レベルでのイザコザはあったでしょうが国家的な紛争はない。推測するに、インドというのは巨大なモザイク社会であり、それ自体が一つの世界で、統一的な国家意識や民族意識もそれほど無かったのではないでしょうか。例えば、中国がモンゴル軍に侵略されたとき、日本国内で「全アジア人よ、団結せよ」という発想にならなかったのに似てます。要するに「対岸の火事」。当時の南インドはヒンドゥー系の王朝が栄えてますが、初期のチョーラ朝はタミル人王朝で、メインストリームのアーリア系ではないです。また、南部は南部で、バスコ・ダ・ガマがやってきたり、ポルトガルが拠点を築いたりしてるわけで、それぞれに自分のエリアで忙しかったのでしょう。

　北インドにやってきたイスラム王朝も、ヒンドゥー教徒をむりやりイスラムに改宗させるようなことはしていません。また、インド在来の社会体制をそのまま認めて統治するという現実的な方法をとったようで、一般庶民にしてみれば雲の上のおエライさんの首がすげ変わった程度の感覚だったのかもしれません。なお、イスラムという新しい文化がインドにやってきたわけですが、イスラム教の中でも神秘主義（スーフィズム）と言われるカルチャーが、徐々にインド社会に浸透していったそうです。

　16世紀になると、インド史上唯一といっていい全インド統一王朝であるムガール帝国が出来ます。1859年に植民地支配をしていたイギリスに滅ぼされるまでの約350年間、インドに君臨した帝国です。ムガール帝国の存続期間というのは、日本史でいえば大体戦国時代の初期から（武田信玄が生まれたあたり）、幕末の頃までです。

　ムガール帝国の起源をさかのぼると、あのチンギス・カンまで行きつきます。チンギス・カンのモンゴル帝国が四人の息子達によって分割統治されますが、次男チャガタイの領土のうち西チャガタイ・ハン国があり、そこで重役だったバルラスがティムール帝国を作り、中央アジアからイランを支配します。そのティムール帝国が滅亡し、一族のバーブルが北インドに流れて、それまでのデリー・スルタン朝を倒して作ったのがムガール帝国です。巨大インドの巨大王朝といっても、先祖のモンゴル帝国時代からみたら、分家の分家の分家に過ぎないわけで、いかにモンゴル帝国が途方もなく巨大な帝国だったかわかります。

　ムガール帝国では、3代目皇帝のアクバルが有名ですが、彼は頭ごなしにイスラム教を押しつけるようなことはせず、ヒンドゥー教も十分に認めていました。それどころかこのくらい偏見の少ない皇帝も珍しく、自分の王宮にバラモン、ヨーガ行者、ジャイナ教徒、キリスト教（ポルトガルのイエズス会）、ゾロアスター教徒を集めて議論させて楽しんでたそうです。イスラム教徒以外に課せられるジズヤ（人頭税）も廃止し、多種多様な社会階層から人材を抜擢して、政府にはあらゆる人種の人が重用されてます。このためイスラム王朝が出来ても、インド国内はそれほど動揺せず、ナチュラルにイスラムとヒンドゥーが融合し、それが文化的にはイスラム・ヒンドゥー文化と呼ばれるものになっていきます。

　イスラムの文化というのは、偶像崇拝が禁じられているところから、抽象的なデザインのようなものが多いです。モスクに壮麗なモザイク模様が施されたり。一方、ヒンドゥー教は極彩色のコテコテなタッチで、エグいくらいに誇張された神様がマンガのキャラのように、これでもかと登場します。ヒンドゥー教の下世話なまでのポップさと、イスラム教のソフィステケイトされたタッチが融合して、例えばタージ・マハルのような名建築が生まれたりします。タージ・マハルは、五代目ジャハーンの時に作られていますが、愛妻を失ったジャハーンが彼女を悼んで作らせたものです。自分の墓は未完で終わっているのに奥さんだけ壮麗な廟があるという、歴史的にも珍しいレディファースト建造物です。

　民衆レベルでは、前述のようにイスラム教のスーフィズムが浸透します。スーフィーはぼろ布をまとった行者の意味で、イスラム教の中でもちょっとスピリチャルというかオカルティックな一派です。禁欲的な修行を行い、トルコなどでも有名な回旋舞踊（白い布状の服を着て一心不乱に回る）を行い、トランス状態になって神との一体化を図るという。この思想は、神秘的であるがゆえに同時に柔軟であり、八百万の神々のヒンドゥー神秘世界ともマッチングしやすかったのでしょう。

　イスラム教は、もともと「あれをしろ、これをしてはいけない」という事細かな規則の集大成で、いわば法律みたいなものです。それが中東あたりのイスラム帝国が覇権を確立し、官僚支配が進むにつれて、官僚的な無味乾燥な法規集のようになりかけていました。戒律を何よりも尊ぶイスラムの原理主義からすれば、スカートみたいな布をはいてヒラヒラ踊って「神との一体化～」とかやってるスーフィズムの連中は邪道呼ばわりされたりもしますが、それだけに”潤い”があり、イスラム圏外の世界に入っていきやすいポップさがあったのでしょう。インドでは、このスーフィズムが、イスラムとヒンドゥーの融合に大いに機能したらしいです。ただそれだけに、コチコチの原理主義からみたら「あんなもんイスラム教じゃねえ」って許せない部分もあるんでしょうねー。でも、このスーフィズムのおかげで、国によっては、イスラム教国でありながらも戒律にあまり縛られずに民主化や自由化出来たりもしているわけです。

　このようにインドにおいてイスラム教が浸透＆融合していく中で、イスラム教も微妙にその性格を変え、ヒンドゥー教徒のなかではイスラム教に改宗する人も多くなります。また、このような経緯でインドのイスラム教の中には、中東からやってきた正統派と、ヒンドゥーからの改宗派があるそうで、その差がまわり廻って東西パキスタンの分裂につながっていくそうです。

　このようにイスラム教がインドに入ってきても、それほど強くイスラムを押しつけたわけでもないし、自然な形で融合していったようです。現在、インドの全人口のうちイスラム教徒が占める割合は約11-14％で（資料によっても違う）、ヒンドゥー教徒が圧倒的多数を占めているインドでは明らかにマイノリティです。しかし、実はインドはインドネシア、パキスタンに次いで世界第3位のイスラム大国でもあります。なんせ人口11億ですからね。10％だとしても日本の全人口くらいはいます。結構なボリュームです。

イスラムとヒンドゥーの対立

　イスラム教徒とヒンドゥー教徒の対立は、20世紀に入り、イギリス植民地支配に対するインド独立運動が活発になる頃から始まります。インド独立と同時にパキスタンも独立するわけですが、イスラム教徒はパキスタンへ、ヒンドゥー教徒はインドへという大がかりな民族大移動のような状況になり、その際にインド各地で暴力沙汰が起きて、数十万人の犠牲者を出したばかりか、国と国との戦争（第一次印パ戦争）にもなります。以来、パキスタンとインドは、カシミール地方の領有権をめぐって衝突し、３回にわたる戦争を起こしたばかりか、インドが核兵器を持てばパキスタンも持つという具合にエスカレートしていきます。また数多くのテロ組織が生まれ、活動をしています。このあたりの詳細は、いずれパキスタンのところでやるつもりです。

　インド国内における両教徒の対立は、1990年以降激しさを増します。1992年にアヨディアのバブリ・モスク破壊事件が起きるわけですが、どうもここはインドにおけるエルサレムのような場所のようです。ムガール帝国初代皇帝のバーブルが建造したイスラムの寺院（モスク、マスジト）のことをバブリ・モスクと呼びます。このモスクが建造されたアヨディアは、ヒンドゥー教の聖典ラーマーヤナに出てくるラーマ王子（最高神ラーマ）の故郷であり、ヒンドゥー教的には聖地。この聖地に、侵略者イスラム教徒が勝手に異教の寺院を建てたのはけしからん、という具合に話がつながっていくようです。

　紛争の伏線は既に1949年にあり、このときヒンドゥー活動家がラーマ神の彫像を設置し、州政府が施設を閉鎖しています。しばらく何事もなく推移していたのですが、野党であったインド人民党（BJP）が「アヨディアにヒンドゥー寺院を建立しよう」という政治的キャンペーンを展開、これが国家レベルの問題になり政府肝煎りで調停が進められてましたが不調に終わり、ついに1992年10月、15万とも20万人ともいわれる過激なヒンドゥー教徒がこの地に集結し、防戦するイスラム教徒と乱闘を交え、モスクを破壊してしまいます。これがキッカケになり、紛争はインド全土に波及、犠牲者数は（これまた資料によってマチマチなのだが）、死者600人あるいは3000人、負傷者6000人という大惨事に至っています。この騒動は、インド第一の国際都市ボンベイ（ムンバイ）にも波及し証券取引所が３日も閉鎖されるなど国際的ニュースになり、インド経済に信用失墜という大きな打撃を与えます。また、周辺のイスラム系諸国は揃ってインド非難声明をだし、イスラム過激派の報復を招きます。

　以下、「目には目を」という報復合戦が続きます。2002年にはグジャラート州でヒンドゥー教徒の乗っている列車が焼き討ちされ、この報復としてイスラム教徒の店舗や住居が襲撃され、2000人の死者をだしています。2005年にはネパールとの境にあるアヨドヤのヒンドゥー仮寺院が襲撃されています。このテロ合戦はさらにエスカレートし、去年だけでもインド各地で爆発テロが頻発していますし、11月27日にはまだ記憶に新しいムンバイテロが起きてます。但し、ムンバイ・テロについては不明な部分が多いです。

イスラムの寛容、ヒンドゥーの寛容

　このように独立以来のインドにおいては、仇敵パキスタンとの数十年にわたる紛争があり、またイスラム教徒とヒンドゥー教徒とのテロ合戦のような暴力沙汰が頻発しています。しかし、インド4000年の歴史をみると（あるいはイスラム教徒が入ってきた8世紀以降においても）、イスラムVSヒンドゥーという図式になるのは20世紀以降のことに過ぎません。それまでは目立った紛争はない。ずーっと和気藹々と長いことやってきたのに、ここ最近になって突如として喧嘩をはじめているという。

　なぜか？
　なぜ突如として喧嘩をはじめたのかという理由を知りたくて、手持ちの文献を漁り、ネット上を数十のサイトを回覧したのですが、「なるほど！」という納得のいく解説は見あたりませんでした。

　ただ、なんでそれまで仲がよかったの？という理由は分かるような気がします。僕らがなんとなくイメージしているのとは違い、イスラム教もヒンドゥー教も本質的には非常に寛容な宗教だからです。

　ヒンドゥー教ですが、（58）インド序章で触れたように、ヒンドゥー教というのは僕らが思ってるようなカチッとした宗教ではなく、大いなる混沌であるインド文化そのものであり、「宗教」というよりも「文化」と言った方が良いです。その大いなる雑食性と消化力によって、緻密なバラモン教もそのうちに咀嚼していますし、イスラム教すらスーフィズムを通じて吸収し、アウトプットとして仏教やシーク教を生み出したりしています。要するに「何でもアリ」という、宗教界のヴァーリ・トゥードみたいなもので、言語だけで細かく数えれば数百ある混沌雑多な大インドに相応しい思想なのでしょう。

　まあ、「何でもアリ」と要約してしまうのはあんまりなので、もう少し教義的に言うと、例えば「梵我一如」という究極思想があります。梵天（ブラフマン＝宇宙の真理）と自我（アートマン）が合一する、個人レベルで言えば修行を通じてついには宇宙の真理と同化するという発想です。この梵我一如思想においては、究極真理はたった一つなのだけど、それが現実世界に現れるときは無数のバリエーションをもっている。ありとあらゆる形態で出現する。多様なる現象世界と普遍的な絶対世界との究極的な一致ってやつです。

　なんかプラトンのイデア論みたいですけど、この例で合ってるのかわかりませんが、例えば「生物は必ず死ぬ」という真理があったとします。この真理はたった一つだけど、現実世界での死のあり方というのは、それこそ人間における病床死、戦死、餓死から動物、昆虫、植物、ウィルスの死に至るまで数え切れないくらいのバリエーションがあります。現象世界での現れ方は無限だけど、真理は一つ。あるいは、太陽というのは常に一個しかなくて同じように輝いているのだけど、曇ったら見えなくなるし、地球の自転角度によっては居なくなって夜になるし、夕陽にもなるし、ときには日食も起きる。でも太陽そのものは変わらない。見え方が違うだけ。

　この原理をさらに抽象的に昇華させたのが釈迦の仏教です。釈迦は、バラモン教やヒンドゥー教にあったバラモン階級の絶対優越とか、カースト制度とか、そのあたりの宗教的ヒラヒラ装飾物を一切排除し、真理というエッセンスだけを抽出し、「法（ダルマ）」と呼ばれる抽象的原理を打ち立てます。真実世界と世俗世界にわけ、世俗において出現する全ての事物はダルマによって規定され、全ては連関し因果がある（縁起思想）。釈迦の仏教は、一時隆盛になりますが、カースト否定などあまりにインド土着文化と相反するので廃れていきます。

　いずれにせよ、抽象的な究極真理はたった一つと置く一方で、現実世界においては無限の多様性を認めるという点では同じです。仏教のいう色即是空＝この世にあるものは全てはうつろい、本質的には存在しない「空」であるという発想もしかり。これは日本においては平家物語的な無常感として受け入れられています。この発想に立てば、現実世界において目に見える違いなんか、どーでもいいっちゃどーでもいいわけです。神様だって色んな姿形で現れてこようし、礼拝の仕方がバラバラであろうが、「そんな細かいことなんか気にするな」という寛容性に結びつきやすい。だからこそ、どんな宗教や思想が入ってきてもそのまま丸呑みできてしまう。「寛容」というよりは「積極的な無頓着」という感じですね。

　ヒンドゥー教の寛容性、許容性があったからこそ、数百の言語と民族がひしめくインド亜大陸のメインストリームになれたのだと思いますし、それゆえに普通の意味での宗教ではなく、インド文化の総称と評されたりもするのでしょう。

　一方、イスラム教はどうかというと、これもまた本来的には「寛容の宗教」と呼ばれています。
　もともとコーランでは、「神の慈悲において全ての存在をありのままの姿で許すことを言う」「許しておけ、かまわないでおけ、やがてアッラーが御自ら判決を下し給うその時まで」「宗教には無理強いは禁物」とちゃんと書かれているそうです。

　イスラム教徒は全世界で11億人、去年(08年）の新聞記事によると史上初めてカトリック信者数よりも多くなったそうです（全世界の19％、カトリックは17％、但しキリスト教全体では33％）。これほど沢山イスラム教徒がいる割には、イスラム教というのはキリスト教ほど熱心に布教活動をするわけでもないですし、異教徒に対して厳しい弾圧を加えることも歴史的には少ない。それなのに何故これほど世界に普及しているのか？です。インドネシアなんか90％以上がイスラム教徒です。

　イスラム教が他の文化エリアに普及したのは、イスラム教の教義の優秀性とか純粋性とかではなく、むしろその寛容性にあり、世界史上の多民族国家を統治するに相応しいものだったからという指摘があります。実際、史上イスラム教国の巨大帝国といえばオスマントルコが思い浮かびますが、あそこも宗教的・民族的にものすごく寛容な政策を敷いたので有名です。もう異教徒だろうが異民族だろうが全然OKという。イスラム教が栄えている中東からアジア方面というのは、古来シルクロードなどでペルシャ文明やらギリシャ文明やらがあったところです。それらを吸収しイスラム文明という形で統合していけたのは、異質な存在の共存や融合を認めるイスラム教の寛容性にあり、これを称して「パックス・イスラミカ」とも言うようです。

　インドに入ってきたイスラム教徒も、土着ヒンドゥーと融合します。特に、ムガール帝国３代目のアクバル、その孫のダーラーによって積極的に融合されていきます。この両皇帝は、一個の人間としてもかなり真剣に考え、また政策者として差別のない社会システムを構築し、さらに文化事業者として積極的に文化交流を進めています。

　もとより、本来の形でいえばイスラム教とヒンドゥー教は水と油というくらい違います。偶像崇拝を許さないイスラム教に対して、ヒンドゥー教は偶像マニアと言いたいくらい強烈な偶像キャラを沢山生み出してます。象の頭のガネーシャ、４本の腕に武器をもってるヴィシュヌ、ドクロでつくったネックレスをかけ、手に切り取った生首を持っている破壊と殺戮の女神カーリー、その他エグさ炸裂の神様が目白押しです。ちなみに、日本の仏像で千手観音とか阿修羅など異様に手や顔が多いものはヒンドゥー神の影響だそうです。

　ほかにも差異は沢山あります。一神教のイスラム、多神教のヒンドゥー。豚を食べないイスラムと、牛を食べないヒンドゥー。神の前では平等なイスラムと、不平等（カースト制度）なヒンドゥー。

　これだけ違ってたら、どこに接点があるんじゃ？と言いたくなりますが、あるんですよね、接点。「寛容性」という接点が。この両者の寛容性によって、インドでは1000年ほど上手いことやってこれているわけです。

対立の原因と構造

　では、どうして２０世紀になったら人が変わったように両者が喧嘩を始めたのでしょうか？
　これは、先ほど述べたように、結局これだという回答が見つかっていません。だから自分に対する宿題にしておきます。

　ただ、今の時点で、「多分、こんなことじゃないかな」という推測は出来ますので、備忘録かわりに書いておきます。

　いきなり極論仮説を書きますが、結局のところインドに西欧流の国家システムが持ち込まれたのが原因ではないか、と。つまり西欧流の（今では世界スタンダードの）近代国家というシステム、民主主義や政党政治という方法論です。それが対立の元凶というわけではないのだけど、触媒になったのではないか。

　なぜか？というと、両教徒の対立が激しくなるのは、イギリス植民地統治の末期でありインドの独立機運が高まる頃からです。近代国家といい民主制というのは、要するに人間が集まって集団を作り、その集団パワーで決めていくということですよね。これは、それまでてんでバラバラの個人主義でやってきたインドにおいては新鮮だったのかもしれません。しかしそれは同時に、似た者同士のグループ化を促します。党派制が出てきてしまうのですね。集団内部には一体感をもたらし、他集団にはナチュラルな敵意を抱かせる。

　なんというか目覚めちゃったんでしょうねー。例えば、東京の会社の職場には全国各地の出身者が一緒に仕事をしてます。日頃は別に出身なんか気にもとめなかったんだけど、飲み会の席でふとしたことから関西VS関東とかお国自慢的な話題になり、酒が入っているので激しい言い争い発展し、無礼講とは言いながらも思いっきりシコリが残ったりします。以後、なんとなく関東派と関西派という派閥が職場に出来てしまう。なにかのキッカケでグルーピングが行われると、個人がその集団に飲み込まれ、集団単位のライバル関係が強調され、そのグループ抗争でいかに優越するかが最重要課題になり、個々人の心情や生き方まで変えてしまうという。

　インドでは、ヒンドゥー８対イスラム１くらいの割合（残り１はシーク教など）ですが、気にしなかったら、別にこんな数字はどってことないです。しかしひとたび集団単位で意識し出すと、多数派VS少数派という構図になります。また、イギリスも末期においてはイスラムとヒンドゥーの仲間割れを画策してベンガル州を分割したり、インドムスリム連盟を作ったり姑息な手段をつかったりしましたし。

　イギリス植民地支配が圧倒的に強かった頃は、イスラムもヒンドゥーも手に手をとって団結して対抗しています。しかし、だんだん独立は時間の問題という具合になってくると、独立運動内部で、あるいは独立後の新政府の構想に関して、主導権争いのような意識も芽生えてきたでしょう。それに、これまではムガール帝国～イギリス支配という非民主的な政治だったので、ある意味普通の庶民達は気楽でした。自分達では何も決められないけど、別に決めなくても良かった。ところが独立という話になると、自分達のことを自分達で決められるようになります。そうなると、イスラムならイスラムのやりかた、ヒンドゥーならヒンドゥーの価値観というのがあるわけで、その違いが鮮明になります。ということは、ますます派閥意識が先鋭になっていきますよね。

　インドが独立する際、パキスタンが分離独立しますが、これもイスラム教徒達が自分達だけでやっていきたいという意識の表れです。インドは独立以来ずっと議会制民主主義を貫いています。つい先日までやっていた中南米などは、年がら年中クーデターがあったり、独裁政権があったりしますが、インドはイギリス統治が長かったせいか（ガンジーもネルーもイギリスで弁護士資格を取ってるし）、珍しいくらい模範的な議会制民主国家です（例外は一時のインディラガンジー政権くらい）。でも民主主義というのは、つまりは多数決の原理でことが動くということであり、数の論理になるのですよね。そうなると、１対８の絶対少数になるイスラム教徒としては、ヒンドゥー多数派の下でイジメられるんじゃないかって恐怖心が芽生えても不思議ではないでしょう。

　インドが独立するとき、議会制民主主義はもとより、カースト制度の公式廃止、政教分離など近代国家としてのシステムは十分に備えています。ネルーやガンジーなど独立時の政府首脳陣（国民会議）は、イスラム教徒とも一緒にやっていきたかったでしょう。映画「ガンジー」でも、ガンジーら首脳とムスリム連盟党首のジンナーが会談するシーンがありましたが、最後まで統一インドを希望していたジンナーも「もう私には押さえきれない」と哀しげに去っていくシーンがありました。ムスリムといえども一枚岩ではなく、ジンナーがいかに奔走しようとも、妥協にも限度があるということです。

　一方、政党政治や選挙になると、集団パワーがひときわ重視されます。それは「票田」という下世話なレベルにも強い影響力を持ちますし、無茶苦茶でも分かりやすい主張を唱えるとそれなりに人が集まり、政治パワーになることを意味します。ここで、「偉大なるヒンドゥーよ、立ち上がれ」みたいにアジる阿呆がいっぱい出てくるわけです。しかし、主張というのはメチャクチャで過激である方が分かりやすいんですよね。このあたりから話が低レベルの暴力沙汰になり、血なまぐさくなっていきます。

　それまで普通のインド人にとって、自分達が「インド人」「ヒンドゥー民族」だなんてあんまり自覚してなかったでしょう。明治維新以前の日本人が、自分のことを”日本人”だとは全然思ってなかったように（だから先覚的な坂本竜馬などは日本人という概念を好んで使った）。国が独立するとか、自分達でやっていくということになると強烈な民族意識が芽生えます。ここまでくると偏狭な人種差別やナショナリズムに転化するまでもう少しです。

　「我々インド人民は、ムガール帝国などイスラム王朝に支配され、その上にイギリス帝国主義に蹂躙されてきた。この国は誰のものか、我々のものである。我々は誰か、インド人民であり、4000年歴史を誇るヒンドゥー教徒である。今こそ積年の屈辱を晴らさねばならない。偉大なるヒンドゥーの精神に立ち返るのだ。あいつら（ムスリム）は神聖な牛を食べるのだぞ、信じられるか？人間じゃない。我々の信仰をゴミのように扱う。許せるか。わずかばかりのムスリムが、10倍近くいる我々を支配してきた。何百年もだ。しかもあいつらは侵略者であるか、自分のカーストの低さから抜け出そうとして改宗した裏切り者ばかりだ。もう沢山だ。ヒンドゥー人民にヒンドゥー教を、イスラム教徒には死を！、、、、」てな感じだったんでしょうね。いま、想像でアジ演説を書いてみたんだけど。

　こんなことを大声で言われたら、「そうか俺たちは割を食っていたんだ、なんかメチャクチャ腹がたってきたな」って気分に乗りやすい人も出てくるでしょう。「そんな簡単に、、」とは思うのだけど、でも歴史はそんなにも簡単に人々が惑わされることを教えてくれます。かくして過激な主張を売り物にする集団や政党が出現します。そして、後から俺も一旗あげてやろうと新規参入する人間は、さらに過激なスローガンを叫び、ついには言うではなく実行（暴力沙汰）を起こして大衆の人気を得ようとします。

　そういえば日本の幕末の志士達も、「志士」という名に値するのは一握りであり、大多数はただのカスだったという話があります。食い詰めた次男坊とか百姓身分から逃げてきた連中が京で一旗揚げるため、長州藩邸を訪ねたり、「毛唐なんぞ皆殺しじゃ」と大法螺吹いては酒を飲み、名を挙げるために要人を暗殺したりしたといいます。ヒドい例になると「御用盗」(革命資金の強制カンパ）と称して、商家に押し入り強盗を働くヤカラも多かったといいます（だから治安維持として新撰組がおかれた）。長州も薩摩も老獪で、最初はこういった連中をおだてて倒幕気分を盛り上げておきつつ、いざ維新が成就したら、優秀な人物は幕府側にいても重用しますが、無能な人材には鼻もひっかけない。武士階級は消滅、刀も取り上げ、出世したかったら受験しろで、不平士族が反乱を起こしたら弾圧します。クソの役にも立たない連中だってことは首脳陣や正規軍にはわかっていたのでしょう。それと同じ事がインドでも起き、その場合の”尊皇攘夷”がヒンドゥー至上主義だったというだけのことでしょう。

　かくして売名的に、あるいは狂信的に、イスラムのモスクを襲ったり、罪もないムスリムの母子を惨殺したりする馬鹿が出てきます。そうなると収まらないのはイスラム教徒で、「なんちゅーことすんねん！」と激高し、そこで襲った真犯人にだけ報復すればいいものを、誰がやったか知る術もないのでヒンドゥー寺院を焼き討ちしたりします。そうするとまた罪もないヒンドゥー教の母子が死にいます。殺された家族はたまったものではなく、死んでも恨みを晴らそうと固く誓い、さらに、、、という具合に、憎悪が憎悪を呼び、報復が報復を呼びます。ガンジーが非暴力主義を唱えたのは、まさにこの泥沼を見越してのことなのですが、なかなかそこまで浸透しない。

　ヒンドゥー過激派には、民族義勇団（RSS）という有名な集団があります。もともとはイスラム教徒からの自衛団として始まったのですが、若者の軍事教練やらヒンドゥー至上主義思想の培養所になります。これってハッキリ言って宗教団体ではなく、ただの右翼、それも極右団体です。ヒンドゥーがこれまで「いい人」過ぎて寛容すぎるから奴らがつけあがるんだみたいな思想からしたら、融和と非暴力を唱えるガンジーはヒンドゥー内部の裏切り者です。だから、このRSSの青年によってガンジーは暗殺されてしまいます。

　この過激だからこそ分かりやすい集団は、大衆の人気を博していきます。この勢力を背景に、野党インド人民党が勢力を伸ばし、1998年には独立以来政権を維持していた国民会議派を押しのけて政権を取ってしまいます。でもって、こういう集団はヤンキー的メンタリティを持ってるから、国際社会でインドは舐められてる、俺らの強さを見せてやるという感じで、核実験を行い、核兵器保有を誇らしげに世界にアナウンスするというところまでいってしまうわけです。一方、イスラム教やパキスタンにおいても鏡に映したように同じ連中がおり、せっせとテロに励むと。

　以上のような流れで、イスラム教とヒンドゥー教が血で血を洗うような抗争を始めて現在に至っているのではないかと推察されます。
　このパターンは、アフリカや中南米など第三世界でよくあります。独立→派閥による主導権争い→民族主義、ナショナリズムの高揚→さらに細分化されたセクト主義→憎悪の増殖による報復合戦とテロ合戦という。

　ただ、これだけでは解明できない問題もあります。それは、なぜ90年代以降再燃したか、です。印パ独立同時の1940年代後半にドンパチがあったのはわかりますけど、それからしばらく目立ったことは起こらず、1990年以降モスク事件を境にドンパチが再び燃え上がったか、です。これは、おそらくインドの経済発展ということと関連があるのだと思います。なかなか生活が楽にならないという庶民層の不満が、現政権への不満になり、こういう形で勃発したと。

　このあたりは後でインドの経済発展のところで考えてみたいと思います。以上の記述だけだったら、ドンパチ内乱をやってるアフリカの国と似たり寄ったりですが、しかしインドはBRICｓの一角を担う赤丸急上昇の経済を誇ります。イスラムVSヒンドゥーなど、大きなインドのほんの一部の問題に過ぎません。それはテロ合戦が激しくなってますが、それとて11億人の大国の中では僅かな部分しか占めません。それは多分、日本でオウム真理教の地下鉄サリン事件があったからといって、外国のメディアが「日本全国津々浦々で血で血を洗う宗教戦争が起きている」と報道したら日本人の現場感覚からかなりズレてるのと一緒でしょう。

　いずれにせよ、ヒンドゥー教徒とイスラム教徒の対立という言い方がなされてますが、よーく見てみたらあれは宗教戦争ではないし、本質的に宗教の教義などが問題になってるわけではない。それは単なる民族主義、単なるセクト主義による抗争であり、その抗争に宗教的大義名分をくっつけてるだけだり、抗争の後半は「やられて悔しいからやり返す」という憎悪の報復でしかないと思います。

　これも日本に置き換えてみたらわかりやすいと思うのですが、日本の右翼が靖国神社参拝を唱え、床の間に「天照大神」なんて飾ってあったりするのですが、別に宗教団体ではなく、また構成員も敬虔な信者というわけではないのと一緒。あるいは首相の靖国参拝を非難するアジア諸国の態度にカチンときて、靖国擁護を唱える人だって、宗教的熱情にかられてそう言ってるわけではなく、ナショナリズムでしょう。「隣村の連中に馬鹿にされると猛烈に腹が立つ」という社会本能的な感情でしょう。それと同じ事なのでしょうね。

　もう一点、これだけの説明だったら単なる極右勢力の興隆ということになってしまいますが、それだけで政権まで取れるものじゃないでしょう。単なるナショナリズムだけでは説明できない、まっとうな主張も含まれていた筈です。ヒンドゥー主義が隆盛になるのは、①独立時前後、②1990年代以降の二期あるのですが、なぜ一貫しないで波があるのか。多分こういうことだと思います。①独立期は、インド民衆が人権意識、自治意識に目覚め、その母体となる「われわれ」という母体集団に目覚めます。それはまっとーな権利意識や民主化の過程です。ただその「われわれ」という集団認識において、ガンジーやネルーのような「全てのインド人民」という幅広い概念ではなく、宗教的、民族的なカテゴリーの方が庶民的には実感しやすかったのが不幸の始まりだったのでしょう。しかし、こういったインドの民族意識や権利意識の盛り上がりがあったからこそガンジーやネルーの国民会議派が国民の支持を得られ、独立に至ったわけです。

　まっとなー権利意識の高まりが、政治パワーを獲得するための集団化を促す。この集団化を行うコア原理として、多数派に共通する宗教や文化、民族が採用されちゃったりすると以後ダッチロールになってしまう。このパターンは世界共通で、ナチスだって最初は貧しい労働者の権利主張から始まってます。本来寛容的だったイスラム教から、今日なんであれほど原理主義が出てきたかといえば、東西冷戦など大国のゴリ押しという作用があったから、反作用として民族的集団化の必要があり、そこで原理主義になってしまったってことでしょう。

　②1990年代以降の勃興ですが、実はそれ以前でもRSSなどの草の根ナショナリズムは徐々に成長していってます。インド人民党も着実に議席を増やしています。彼らが1998年で政権を取るまで、クーデターとか革命らしきものは無く、ひたすら選挙、選挙、選挙で勢力を拡大しているのですね。ある意味、模範的な民主社会です。「イスラム教徒は皆殺し」のような過激な主張だけでは、こうは勢力拡大は出来ないでしょう。そこには一般庶民の、極めてもっともな政治的主張があったからです。独立以来政権を担当していた国民会議派も、ガンジーに続きネルーが死去したあとは求心力を失い、苦しい政局運営を強いられます。経済的にもパッとしないから庶民の暮らしも楽にならないし、ダレてくれば政府内部で汚職も横行する。こういった政治に対するまっとうな不満というものは、それは自然にあったでしょう。そのごくまっとーな要求の受け皿になったのがRSSであり、インド人民党でもあるわけです。ただのテロリストグループではなく、ちゃんとした政党として活動していたわけです。

　以下、次回への予告編になりますが、独立以後のインドの政局運営は難しいです。そりゃ難しいでしょうよ。あれだけ雑多な民族・言語・文化が入り乱れ、カースト制度など近代経済国家を作るためには邪魔な古いシステムが頑強にはびこってる社会で政治をやっていくのは一筋縄ではいかないでしょう。また、宗教や民族紛争はなにもイスラムとヒンドゥーの専売特許ではなく、インディラ・ガンジーを暗殺したのはシーク教徒ですし、その息子のラジブ・ガンジーを暗殺したのはタミル派です。しかし、そうやって苦難の滑った転んだを続けながらも、インドはBRICｓの一角を担い、次世代の超大国候補にまで成長しています。すごいもんだと思いますよね。

　名もない庶民層の代弁者として、草の根的に支持を集めてついに1998年に政権をとったインド人民党ですが、人民の期待に応えられなかったらあっさりクビになります。2004年には選挙で敗北し、政権を明け渡しています。それに、インド人民党＝RSS＝ヒンドゥー至上主義＝テロ集団なんて甘い理解でいてはなりません。”らしいな”というのは核兵器保有宣言くらいで、実際に政権を取ってからの政策というのは、実はこれまでの路線＝経済自由化政策とIT産業育成であり、国際的には中国との和解や親米歩調（イラク戦争支持＆グローバリゼーション推進）だったりするわけで、あんまりというか、全く民族主義的ではないのですね。今回は、ヒンドゥーVSイスラムという視点でインドを見ましたが、それだけでインドをわかったつもりなってると大コケするということで、底の深い国です。

　なお、2004年選挙の敗北ですが、インド人民党は「これだけ経済的に成功したんだ、輝く未来へ」"India Shining"というスローガンで選挙に臨んだのですが、輝いてるのは一部のIT特権エリート層だけじゃないかと民衆はシラけたとも言われています。代わりに政権を取ったのは統一進歩連盟ですが、この中核にあるのが国民会議派であり、国民会議派を率いているのはラジブ・ガンジーの未亡人ソニア・ガンジーです。ソニアはイタリア出身のカトリックなので政治家としては難しいのですが、その息子のラーフル・ガンジーが政界のプリンスとして注目されています。70年生まれの38歳。なんせ並の血統ではないですからね。父にラジブ・ガンジー、祖母にインディラ・ガンジー、曾祖父にネルー初代首相を持つという。本人はハーバード大学とケンブリッジ大学で学び、ロンドンの経営戦略コンサルタントで働き、インドに戻ってソフトウェアの会社を起業してたというから、血統を抜きにしても並ではないです。政界に転身しはじめたのはここ数年で、手腕は未知数ですが、もし血筋どおり有能だったら、西欧社会と西欧経済を知悉しているだけにバケるかもしれません。注目されているゆえんです。

文責：田村

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