今週の一枚(2017/03/27)
Essay 818:Glebe散歩道
混在するMixing Potの魅力
写真は、今回の説明用に作ったGlebe図解
Glebeの新事務所に引っ越してから1ヶ月以上経ちました。移転前の調査にあわせ、移転後のWalkingなどでちょこちょこ歩きまわってきたので、「グリーブってこんなところ」というのが多少なりとも紹介できるようになったので、書きます。
まず過去回でもチラチラと紹介してたので、復習方々書きだしておきます。
Essay 795:GlebeのAirbnbやカーシェア
Essay 807:Glebe各エリアの写真
Essay 810:Glebe図書館の写真
Essay 811:新事務所の窓から見える風景
Essay 813:Glebeのフリマの風景
Essay 814:GlebeのWaterfrontの風景
Essay 807:Glebe各エリアの写真
Essay 810:Glebe図書館の写真
Essay 811:新事務所の窓から見える風景
Essay 813:Glebeのフリマの風景
Essay 814:GlebeのWaterfrontの風景
また、AirbnbのGlebe紹介のページでは、写真家のCarly Earlさんが撮ったGlebe写真が沢山掲示されています。もっぱら人物写真を中心に撮られていて、雰囲気出てるわ―って。
今週の後半は写真たくさん載せてます。ざっと百枚あります。今週だけ「今週の百枚」にしてもいいかも(笑)。
Glebe基礎知識
Glebeって何の意味?
「Glebe」の意味は?というと、もともとは教会用語。行政区画のように教会にもあれこれ組織があり実務を動かしています(「教会行政」っていうらしい)。市町村のような地域ブロックのなかで一番小さな単位を「小教区(parish)」という。その小教区の教会の人(priest、神父さんとか)の生計をたてるために与えられた不動産のことを「Glebe」と呼ぶらしいです(Wikiによれば)。日本では、神社やお寺の所有地に相当するのかな。
もともとが教会用語なのでシドニーに限らずいたるところにGlebeという地名はあります。オーストラリアでは、タスマニア州にもGlebeはあります。NZ(Wellington)にも、カナダにもあります。北アイルランドには5つあり、アイルランドにはなんと100以上のGlebeという地名があります。アメリカは5つ(てか、Wikiに紹介されているGlebeだけで、紹介されてないものも含めたらもっともっとある)。
シドニーのGlebeも古式ゆかしく、オーストラリア開拓当時、教会所有地として1.6平方キロが付与されたのがはじまり。1790年の話だから、ほんとに開拓黎明期の話です。
郷土史的な
1800年代にはエドモンド・ブラケットという建築家が住んでて、St Johnsの教会を建築するほか、シドニー大学やセントアンドリュース大聖堂(タウンホールの隣の教会、パイプオルガンがあるぞ)もこの人の作。GlebeにはHeritage(重要文化財建造物)が多く、リストに指定されているものだけで、この狭いエリアに20個ある。
1900年初頭には、おそらくはシドニー最初の鉄道・トラムがあり、RozzeleやらLeichhardを走っていたのですが、その操車場(デポ)がGlebeにありました。その跡地を利用して、Tramshedというショッピングセンターが出来てます。「shed」というのは「小屋」という意味。この路線、現在はシドニーのライトレールとして活躍してますが、それまでは廃線になっていて、僕が来た当初は地図に鉄道の印はあるけど何も走ってなくて、あれはなんだろう?と不思議でしたね。
1970年、シドニーで最初の女性用のシェルターが作られたのもGlebe(Elsie Refuge)。DVなんて言葉のない頃、行政がやらないから自分たちでやっちゃえって作ったものです。
植物相としては、「Sydney Turpentine-Ironbark Forest」とカテゴライズされるもので、その内容は読んだけどよく分かりませんでした。すまん、植物学の基礎知識なさすぎ。ただ、白人入植者以前からの植物相の一つで、2005年には"Critically Endangered Ecological Community"=絶滅が危惧されるヤバい状態にあるものとして指定されてます。
センサス的な
2011年センサスによると、Glebeの人口はわずか1万1123人。32.7%が学生さんで、うち40.5%は大学など高校より上の学校に通っている。基本、学生街です。
半分以上(57.4%)がオーストラリア外の海外生まれで、出身国の一位がイギリス(全体の4..9%)、NZ3.5、ベトナム2、中国1.6と、中国インドが席巻している昨今、珍しくイギリス系のサバーブです。
職業でも、人口の6.6%が大学などに勤務しており、この意味でも学生街。その他、法務経理関係が4.8%、IT系が3.9%。
不動産関係では、マイホーム率が非常に低く(17.6%)で、賃借メイン(61.5%)。
土地柄か、著名なジャーナリスト(ABCの7:30やってるLeigh Salesとか)、社会活動家とか、ときどきエッセイでもその論稿を紹介している経済学者のRoss Gittenが住んでます。
Glebeの特徴〜混在の魅力
データーの羅列では退屈ですよね。これを踏まえ、且つ生活&散歩体験を混ぜて僕なりに咀嚼すると、こんな感じのサバーブです。一般論として語られるグリーブは、NewtownやPaddingtonと並ぶ、シドニー屈指のカルチャータウンであり、自由でボヘミアンな街であると(だからこそLGBT的にも開かれている)。
それはその通りなんですけど、それだけ言うんだったら、わざわざエッセイ一つ起こしたりはしません。大事なのは「なんでそうなったのか?」であり、それに留まらぬ大きな魅力があるように思います。一筋縄ではいかないというか、一色で塗れるような感じではないです。
Glebeの特徴を一言でいえば「まぜこぜ」「混在」だと思います。それもいい意味で。
住み始めて改めてわかったのですが、本当にいろんな要素がバランスよく混ざっている。
民族構成と歴史的沿革
まず人口・民族構成でいえば、これは23年前に最初に住んだときに言われたのですが、「○○人が多い」という偏りがない点です。とりあえず白人率が高い。シティは論外だとしても、Chatswoodにせよ、他のサバーブでも、アジア系など非白人系が多いです。それは別に悪いことではないし、むしろそれこそがマルチカルチャル・シドニーの魅力なんだけど、グリーブは、これだけシティに近接していながら、驚くほどアジア系が少ないです。それはなぜか?といえば、以下は推測ですけど、おそらくは歴史的沿革。シドニー最古のサバーブでありつつ、且つ商業資本による破壊(敢えてそう書く)から比較的免れているから、だと。開拓初期は100%イギリス人ですが、その頃にかっちり出来上がったサバーブであるので、空き地や空き物件が少なく、戦後の移民ラッシュや難民受け入れなど新規流入者が少なかった(彼らはもう少し離れた、不動産的に余裕のあるサバーブ=ライカードとかマリックビルとか)に拠点を構えた(のではなかろうか)。
その意味ではシティ中心部にいけばいくほど最古層なんだけど、今度は商業開発ラッシュがある。シティは言うに及ばず、隣のPyrmontやUltimoなども、ほとんど再開発によって出来上がっているから、新築マンションが多く、新規流入者が多くなる。Chatswoodなんかもそうですな。シティなんか典型的だけど、アジア系などの投資用マンション、ホテル観光客、タコ部屋系シェアなどで満たされていて、要するに「よそ者率」が非常に高く、もっともオーストラリアらしくない(本当のローカルが分からない)エリアでしょう。
それが何か?というと、オーストラリアに来た甲斐が無いというか、まだ来てないというか。日本に来て新大久保と歌舞伎町の往復しかしない外国人みたいなもので、それじゃ日本に来たとは言えない。そんなことやってて日本の何がわかるというのだ?と。「それもまた日本の現実」といえば確かにそうなんだけど、「それしか知らない」というのでは、明らかにバランスが悪い。
適度な新陳代謝
一方、グリーブにも「適度な」新規流入者はコンスタントにいます。大きな柱の一つが学生さんです。なんせシドニー大学のお膝元ですから大学生が多い。地元オージーの学生もいれば、留学生もいる。また大きなバッパーが二軒もあるから、世界各地の若者(に限らないが)もたくさんくる。431番バス乗ってて西欧率が高いのも、多分にバッパー(西欧率高い)の関係もあるでしょう。もう一つは、重要文化財が多いのでまとめてドカンと開発しにくいながらも、周辺のエリアなどで再開発はあれこれ行われています。特に、昔カート競馬場だったらハロルドパークが大開発されており、そこには投資案件として買う層もいるが、シティライフの利便性とQOLを重視する、やや所得水準も高めのカップル(バブルの頃のDINKSみたいな)も住み、気分は自由が丘的な。だもんで、その専属御用達のようなTramshedのレストランはそれぞれに趣向を凝らしたオシャレな店構えだし、ColesでもWoolworthでもないスーパーの品揃えは、安い割には高品質のものが多い。SONOMAのパンとか普通に売ってるし。
つまり、新陳代謝はあるが、適度なレベルに抑えられているという点です。過度な開発は、もう街の雰囲気をがらりと変えてしまいますからね。Glebeはそれほど地滑り的な変動はないが、コンスタントには新規流入がありつつ、でもその加減が適度であると。
そして多層混在社会になる
こういうNEW BLOODがコンスタントに入ってきつつも、一番古い層は、絶滅危機の巨木があり、その次に開拓時代の遺産建物とテラスハウスの町並みが続き、以下、時代の変遷と建築様式が変わっていくのがカタログのようにわかる建物群があり、古くからのイギリス系住人(多くはかなりの富裕層)がいて、上品な老夫婦がレストランにいる。それに大学的アカデミックな色彩が入り、サバーブ全体の知的水準を押上げ、カフェでは大学教授やジャーナリストなどが政治論を語る。意識が先端的だから、最古のDVシェルターも作られ、以降連綿とNPOなんて言葉が出てくる数十年前から社会的な取り組をする人々も多く、ウチの目の前の図書館の隣は、ゲイ・レズビアンの権利保護の団体の事務所もある。そこに商業的波がありーの、観光地化されているから中国人観光客のおじいちゃん達がとことこ歩いていたりもする。同時に、イキのいいバッパーの西欧系の若者が飲みに繰り出したりもするし、大学のコンパや勝負デートのカップルもいる。さらに、Wentworth Rdにひときわ巨大な安普請マンションが立ってますが、あれは政府の公団住宅でその昔低所得者のための築造されたもの。レッドファーンやその周辺に多いです。世界の何処でもシティ周辺エリアはドーナツ現象でスラム化する傾向があり(日本もそう)、その種の設備や町並みもあります。Glebeにも「ああ、このあたりは」ってエリアもあって、今はもう低所得者ではとても住めないくらい高くなっちゃったけど、それがまた昔の町並みとして残っている。いずれは再開発されていくのでしょうが、まだかなり残ってますね。
ちなみに所得水準でいえば、資産数十億の富裕層もいるかと思えば、全財産100ドル切ってるバッパーやら学生・ワーホリさんもシェアや賃貸で住んでて、そのバリエーションも無限大。
第一〜第四グリーブ
そして、Glebe Point Rdという目抜き通り(バス通り)を歩くと、これらの移り変わりがわかりやすいのですね。地図で新生層とか冗談めかして書いたものですが、まず、Glebe Point Rdのはじまり(Parramatta Rdから入ったあたり)は、第一グリーブ(この区分けやナンバリングは僕が勝手にしているものです)で、最近の商業資本が流れ込んでいて、概してチャラいです(笑)。見た目美しく、街路にはきれいな花がアレンジされ、お店もオシャレ。グリーブのフリマもある。大体、初心者がグリーブと聞くとイメージするのがこのあたりです。もともとは、いなたいエリアだったんだけど、地の利がいいからどんどん開発され、観光客も来てます。隣にBroadway Shopping Cetreがあり、さらにCentral ParkやUltiomo、さらにシティがあるので、あっこらへんの若いチャイニーズあたりの遠征場所でもあるのでしょう。賑やかですねー。んでも、それだけに本来のローカル色は上書きされてます。
第一グリーブが250メートルほど続いて、その後は第二Glebeになります。本来のローカル的なGlebeになります。道でいえば、真っ平らなGlebe Point Rdが徐々に上り坂になるあたりから、St Johnsの坂上に来て、またBridge Rdの谷にむけて短い下り坂があり、そしてまた上り始めてValhalla(昔は映画館だった)のあたりまでが第二グリーブだと僕は思う。このあたりは、地元民のためのエリアだけど、地元民といっても、留学生や若い人用の安いタイ料理屋も多いです。有名なSONOMAもある。そうかと思うと、在住ポーランド人の拠点みたいなオーソドックスなポーランド料理屋もある。質的に充実しているエリアで、第一グリーブよりも安価ですな。昔ながらの店もそこそこある。
なお、Glebeで覚えるべきストリートは、なんといってもGlebe Point Rdですが、これに加えるなら交差して走るBridge RdとSt Johns Rdです。この2つが第二グリーブエリアを走り抜けています。
第二グリーブを超えて、APLACのある第三グリーブになると、「古生層」と名付けてますが、ほんと昔のまんま。ちょっとまんま過ぎるだろ?ってびっくりしたくらい23年前に僕が居た頃の記憶とかなり符合する。なんも変わってない、てか変わらすぎなくらい。しばらく住んでてわかったのだが、昔からの住人達がおって、もう全員顔見知りって感じ。過疎の村と同じくらいで、登場人物なんか30人くらいしかいないんじゃないの?と思うくらいで、いつも路上で世間話をしている。このエリアには、コンビニともスーパーともつかぬ、昔ながらの「よろずや」に毛が生えたような店もあり、商品はもちろん新しいんだけど、Colesなんかと比べても値段も高い。もう下手すればなんでも30%増しくらいに高いのだけど、それでも気にせず皆買ってますね。引っ越し騒動の際に、なんでこのエリアだけ電話がないんだ、ネットが出来ないんだと騒いでましたけど、今から思うと納得です。このあたりだけ時間が止まってるんだわ。
それだけに本来のオーストラリアの姿がよくわかります。この感覚に慣れておくと、この先シドニーのどのサバーブに行こうが、シドニーを離れて田舎をラウンドしようが、共通の基礎になります。
古いだけに、昔はここが中心地の一つで、今でも市役所機能も併せた図書館があります。
また、Glebe全体でいえば、ここが一番の高台です。だから風通しがよく、僕の家決めでも、えらく風が吹き抜けていく感じがいいから決めたというところもありますね。
それを過ぎると商店街も尽きて、閑静な住宅街と、長老と僕が呼んでいる巨木のあるGlebe Pointの公園があります。あ、住宅街でも、Glebe Point Rdの東側(シティ側)は、地の利を活かしてViewを求めたフラット群が多い。しかし、かなり初期にそうしたようで、かなり年季の入った昔のビルが多いのですな。フラット(マンション)も、時期によって流行り廃りがあるので、気をつけてみてると面白いですよ。家探しでも、Viewはいいんだけど、全体に老朽化が激しく、うーんシャビーだなーと二の足踏んだところも多々あり。今のウチくらい古かったら、それもまた「味わい」になるんだけど。
道の反対街(西側、Annandale側)は打って変わって閑静な住宅が多いです。中には、凄い豪邸もあるし、セント・スコラスティカという名門女子校もある。でも、人生感じるような鄙びた安アパートもあるんだけど(もう、ほんとバラバラで凄いよ)。
本郷・湯島か百万遍か
学生街でもあり、且つ昔ながらの情緒もあるという意味では、東京では東大界隈。本郷とか、湯島とか白山とかそのあたり。特に湯島の裏手の坂道とか、ちょい緑があって、そこだけシンと静かな感じとかなんか似てます。京都でいえば京大の百万遍みたいな感じ。特に、第三Glebeは最も高台にあるから、その側面は急な斜面になっており、えらい坂道。ひーこらしんどいんだけど、それだけにアングル的に面白い風景になったり、道や地形が複雑に入り組んでいてひょんなところに公園緑地があったり、「え、こんなところがあったの?」という風景がちゃかちゃか変化するので、歩いていて面白いです。
Water Front
Glebeの水際は、ほぼ全部(95%くらい)は歩けます。僕も最初はまさか全部歩けるとは思わなかったんだけど、実は歩けてしまいます。Fish Market近くのセメント工場とマリーナがあるけど、そこだけ駄目で、あとはぐるりとTramshedやAnnandaleの境界まで歩けます。だもんで、Walkingやジョギングする人が常におり、犬は喜び駆け回るという。高村薫の「半眼訥訥」というエッセイの冒頭だったかな、東京と大阪の海岸線の違いについて触れてた記憶がある。東京の海岸線は市民に開かれていないが、大阪は開かれていると。意味は、企業所有地とか港湾設備になってて、関係者以外立ち入り禁止になってる率が東京は高いが、大阪は立ち入り自由で開放されている場合が多いと。それは海は誰のものか?金持ってたら独り占めしてもいいのか?という意識(無意識)にもつながっているのだろうということ。
Glebeの水際を歩いていて、その話を思い出した。よくぞここまで開放したなーと。実際、プライベートビーチみたいに囲って個人所有地にした方が遥かに高値で売れるだろうし、Waterfrontを売り物にするマンションもあるんだけど、でもそうしない、そうさせないという。これはかなり意識的だと思います。以前(覚えてないだろうけど)、Balmainというサバーブで、私企業が独占している海岸線を住民運動で解放させたという記念碑みたいなのがあって、そのあたりの住民意識というのは一貫して健在なんだろう。ロックスの古い町並みも、ぶっ壊して観光センターにするというお馬鹿な暴挙があったらしいのだが、そこで猛烈な住民運動があって、伝説の闘士みたいな人がいて、警官隊に引きずられていく写真があったと思います。でも頑張ってくれたおかげでロックスの裏は今もいい感じ。でも商業破壊ってすごいですよ。あのQVBだって破壊して近代的なショッピングセンターをって話があったらしいですから。住民は戦うのが仕事、みたいな感じ。
一括パック的な利点
さて、なんでGlebeを選んだのかですが、今回は一括パックをいかに運営するかという視点でのみ決めました。それは、単に利便性が良くて、動きやすいというだけではないです。教育的効果の方が大きいです。最初オーストラリアに来たときは、頭の中はまっさらの状態です。その白地を染めるように最初の一週間であれこれ体験するのですが、三つ子の魂百までというか、雛鳥の刷り込みというか、そこがバランス狂ってたら後々祟るのですね。
もともと、昔は一括パックなんか面倒臭いことはやってなくて、普通のエージェントでペーパーワークで済ませていたんだけど、2000年前後から携帯とネットの普及、シティへの一極集中によって、ワーホリ・留学生用の日本人フォーマットみたいなものができてきました。いっそ日本人ゲットーと呼んでもいいくらい、日本の感覚のまま、日本語だけでやっていけちゃうという。そういうことをしにきた人ならそれで問題ないでしょうけど(海外引きこもりをしたいとか)、そーゆーことは出来ればしたくないって人もいるわけで、でも選択肢が無さすぎ、見えなさ過ぎになった。てかね、昔は選択肢なんか無かったんですよね。海外渡豪なんか命がけだったし(笑)、来てしまえば、怖かろうがなんだろうが、ステージダイブみたいにローカルに飛び込んでいく以外にやり方はなかった。でも、それが最も痛みが少なくローカルに溶け込む道でもあります(僕がそうであったように)。
ということで単なる先入観以上に「ネット洗脳」されている、まるで新興宗教の入門者みたいな人々に、リアルなローカルを伝え、溶け込み方を伝授するのが一括パックの本質です。その観点からいって、もっともやりやすいところはどこか?ですし、グリーブにしたのはその意味が強いです。
そのためには、古い本来のオーストラリア社会も、そして最新のオーストラリアも、どっちも満遍なく触れられた方がいいです。日本でもそうですけど、時代遅れで古いまんまというエリア・人々が、リアルには80%を占めます。サザエさん的な、寅さん的な。メディアでは最先端のカッチョいい画像を紹介したがりますが、実際に街を普通に歩けば、昭和の時代からあんま変わってないよねってエリアが多いし、そのままの感覚で生きてる人が多いでしょ。だから、リアルにローカルを知るには、そういう部分にもちゃんと触れるべき。でないと「基礎がわからない」ことになる。かといって、最新のものにも触れ、且つローカルだけではなくグローバルな広がりも感じられないと。
その意味で、最古層のイギリス層をベースにしたグリーブ、その「いかにも外国っ!」って町並み、ローカルの人々の佇まいというグリーブは最適地の一つだと思います。
と、同時にある程度自分との共通属性がないとしんどいです。マサイ族の中に一人でぽつんといるような日々ばっかだとツライですよね。アウェイすぎてもいけない。かといって全員日本人という共通属性しかないなら、来た意味が無い。その点、グリーブが学生(留学生)や旅人(バッパー)の街でもあるので、同じような立場の人がうようよいるのでとっつきやすい。しかもバッパー泊まりになるので、西欧系の連中にも免疫がついてくるし。
同じ学生街ではニュータウンもそうなんですけど、あっちはエッジがきいてて楽しいです。楽しさだけならニュータウンの方が全然おもしろいです。ただし、バッパーが一軒しかないのと、エッジ効きすぎって部分もある。よく皆に説明するときに、シドニー大学の南北にグリーブとニュータウンの2つの学生街があって、音楽で言えばグリーブはフォーク系・アコースティック系で、ニュータウンはロック系パンク系、グリーブは髪の毛サラサラだけど、ニュータウンは髪の毛ツンツンだと。
で、最初の最初のおっかなびっくり段階だったら、ちょい田舎っぽくて、後背地にのんびりした緑地のあるグリーブの方が、進入角度としては柔らかくてやりやすかろうと思いました。この進入角度がキツイと、大破!心が折れて、もうイヤってトラウマになっちゃいますからね、ここの調整が一番頭をつかうところですね。
同じように、キングスクロスもいいんですけど(バッパーだらけだし)、んでもローカルの人とか濃すぎて(新宿界隈の居住者みたいな)、これもエッジ効きすぎ。また、本当のローカルの感じというのには、ちょい違うしなーと。
なんでそんなことまで気を使うのか?といえば、全ての技芸論に共通すると思いますが、頭で認識して覚えた技術よりも、無意識に刷り込まれるものの方が遥かに強大だからです。なにか一芸を身に着けた人ならおわかりいただけると思いますが、「田舎の三年都の昼寝」「孟母三遷」などといいますが、環境によって学ぶ部分というのは、意識的に勉強する部分よりも大きいです。Glebeにしたのは、「存在するだけでバランスよく学べる」という利点が大きかったということです。
写真集
さて、能書きはこのくらいにして、写真を掲げておきます。といっても、ムキになって撮りすぎて(1000枚以上あるよ)収集つかなくなってます。どうしたもんか。
厳選してるヒマがないので、ばーっと適当に選んで並べておきますね。長くなるのでテーマ別にタックしておきます。
第1グリーブ
→MORE第2グリーブ
→MORE第3グリーブ
→MORE第3〜第4グリーブ
→MORESt Johns Rd
→MORE裏道坂道
→MORE江ノ電的なライトレール駅
→MORE水辺の風景
→MORE新築マンション群とTramshed
→MORE裏道散歩〜その他いろいろ
→MORE文責:田村