このコンテンツは、1990年代に中高生留学を調べていた時に作成したものです。以後、全く更新しておりませんので10年以上古いコンテンツです。今後も更新する予定はありません。

したがって、リアルタイムにこのとおりである保証はないし、それどころかまず「違う」と思ってください。

「古文書」的な意味しかないので、バッサリ全部削除しようとしましたが、敢えて残しておきます。
かなり詳しく調べましたので、現在においても尚も「参考」としての資料価値があるからです。
 いわゆるハウツーマニュアルとしては無価値ですが、ものの考え方、システムの成り立ち方という原理部分、あるいは日本人的に盲点になるような部分などは、そう変わるわけもないし、今でも十分通用します。ご自身であれこれ考えたり、調べたりする参考にはなると思います。




APLAC/STUDY IN AUSTRALIA 4-2

第4章 留学プランの具体化(2)

4−2.学校の選び方


(1)学校選びのポイント

学校選びの際のチェックポイントとしては、以下のようなものが挙げられるかと思います。追って、それぞれについて検討してみましょう。

      公立vs私立、共学vs男女別学、ロケーション(街からのアクセス、気候、自然環境、親権者代理人居住地からの距離)、教育方針・特徴、校風、規模、学力レベル、卒業生の進路、宗教色の強さ、寮があるか、設備の充実度、医療設備の充実度、スタッフの質、選択科目の充実度、校内アクティビティの充実度、日本語教育の浸透度、、留学生の受入状況(人数、国籍、日本人留学生の割合、受入基準、ESL教育、留学生用専門カウンセリングの有無)、費用
    @公立vs私立、共学vs男女別学
      日本国内で進学を考える場合には、公立か私立かは大きな選択ポイントとなりますが、オーストラリアでは果たしてどうでしょうか? 日本の場合、公立といえば「授業料が安い」「居住地によって学区が定められているので限られた選択肢しかない」「校風が荒れている学校もある」「卒業後、同窓会等地元の人脈に繋がりが持てる」等のイメージが、また私立には「授業料が高い」「居住地にこだわらず希望する学校を受験できる」「学校の特色がはっきりしている」等のイメージがあり、それらが公立vs私立という軸で選択をする要因になっているものと思われます。
      が、オーストラリアへの留学を考える際には、公立vs私立にこだわる必要はほとんどないと言えましょう。理由は、
        1)公立、私立に関わらず、学校の特徴がバラエティ豊かであること
        2)留学生の場合には授業料に大きな差異がないこと
      ・・・・が挙げられます。

      それでも更に突っ込んで、公立vs私立という軸で差異を指摘するなら、

        「公立では教師組合による賃上げ交渉をめぐるストライキがわりと頻繁に発生し、その度に休校になる」
        「一般に公立よりも私立の方が質の高い先生獲得に熱心なので、州政府によって規定された給料しか貰えない公立の先生よりも、いい先生を抱えている確率が高い」
        「オーストラリア人学生の授業料は公立の方が断然安いので、比較的裕福な家庭の子供が私立に通う傾向があるため、公立には家庭問題、素行問題などを抱えた学生がいる確率が高い」
        「同じ理由から、公立の方が移民一世の師弟が集まる傾向にあるため、様々な文化背景、家庭環境の子供たちが集まった”マルチカルチャリズム(複合文化主義)”を体得することができる可能性が高い」
      ・・・等が思い浮かびます。

      また、一口に私立といっても様々な学校があります。

        @カソリック・システミック、
        Aカソリック系ノン・システミック(インディペンデント)、
        Bアングリカン系インディペンデント、
        Cその他インディペンデント
      ・・・の4種類に分けられます。

      費用は@が最も安く、A、Bの順に高くなる傾向にあります。この費用を反映してか、@カソリックのシステミックは庶民的な雰囲気の学校が多く、宗教に関しても比較的寛容で留学生受入にも積極的なのに対し、Bアングリカン系の学校は裕福なイギリス移民の師弟により占められているという傾向があります。
      また、HSCの試験結果も費用に比例しており、裕福な家庭の師弟ほど学業成績がよい、という一般的傾向は見られます。が、必ずしも費用の高い学校が高い学業成績を収めているというわけでもありません。たとえば、HSCのトップ5000人(全体の10%にあたる)のうち、約半数は公立校の学生です。

      しかし、何度も繰り返しますが、こういったグループ分けでは語りきれないほど「オーストラリアの学校は、各学校の特色が豊かである」という事実をお忘れなく。公立・私立という枠組みにこだわらず、留学生にぴったり合った環境を選択するよう努力なさった方が賢明です。(但し、事実上、公立校への編入学は限定されている。詳細は第2章 2−3参照のこと

      また、共学vs男女別学という視点で考えた場合にも、特にどちらがよいとか悪いとか決めようもありません。基本的には本人の性格と希望に従って選択すればよいのではないかと思います。但し、公立校は通常共学、カソリック系、アングリカン系の私立校には男女別学が多い(共学校はほとんどが新設校か、近年合併した学校)という特色があります。

      ところで、オーストラリアの教育者の間では「中・高校生に関しては男女別教育の方が望ましいのか、それとも共学の方が望ましいのか」という議論が盛んです。共学支持派は年々増加する傾向にあるようですが、男女別学支持派も「男女別学の方が学業的に成功する確率が高い」という調査結果をもとに論戦しています。これは思春期の男女が同じ教室にいると、異性の目を気にして余計なことに神経を使い、本業の勉学に集中しにくいという見解。特に、理数系の科目に関しては女子が男子に遠慮して、伸び伸び力を発揮しにくくなるという研究結果が発表され、共学校でも「理数系科目は男女別クラス編成であること」をウリにしていたりします。

    Aロケーション
    (街からのアクセス、気候、自然環境、親権者代理人居住地からの距離)
      学校を選択する上でかなり大きなポイントとなろうかと思います。まず、「街から学校までの行き来が便利かどうか」ですが、保護者の立場からすれば「できれば悪い刺激が蔓延している都会には近づけたくない」と思われるのも当然でしょう。しかし、あまり街を離れた田舎の学校に編入してしまった場合のデメリットも考慮しなければなりません。
      特に、何か不測の事態が起きた場合に、すぐに親権者代理人(あるいは日本から保護者自身)が現場に駆けつけられる距離か?というポイントです。いくら質のよいカウンセラーあるいは留学斡旋団体が親権者代理人となっていても、飛行機を乗り継いだり、何時間ものドライブの末に到着するような距離にいては、実質的には十分なケアはできません。できれば、親権者代理人の居住地から車で2時間以内で行ける範囲で、よい学校を探されるのがベストではないかと思います。

      また、自然環境にも恵まれていた方が学業に専念できてよいでしょう。オーストラリアは都会でも街中に緑があふれており、都心から1時間も車で走れば、野生のカンガルーやコアラが生活しているような大自然のふところに突入してしまいますので、この点においてはオーストラリア国じゅうどこでも問題はないでしょう。

      シドニー郊外エリアについてコメントするなら、北部、東部はイギリス系の比較的裕福な家庭が多く、南西部は移民して間もない家庭が多いという傾向はあります。また、都心に近い学校ほど不動産価格の関係から敷地が狭く、こじんまりした学校が多い一方、南西部には自然に囲まれた広い敷地を有効活用した学校が多くあります。

      気候について。オーストラリアは一般に「温暖な気候」と言われていますが、巨大な大陸ですので、北は年中暑い熱帯ですし、最南端のタスマニアは北海道の緯度にあたる寒い地域です。また、同じニューサウスウェールズ州でも、州都のシドニーは温帯ではありますが日本に比べると、まるで春と秋の2シーズンしかないように感じられるほど1年を通して過ごしやすい気候ですが、一方、やや内陸部に入ると夏は乾燥して暑く、冬は氷点下まで気温が下がるような地域もあります。ですから、留学先を決定する際には、その特定地域の気候についても、よく調べた方がよいでしょう。気候が温暖でなくとも学業に差し障りはありませんが、たとえば水泳をやりたい学生がタスマニアに行っても泳ぐチャンスは限られますし、逆にスキーをやりたい学生が亜熱帯のケアンズに留学しても、スキー旅行代は日本にいる時以上にかさんでしまうことになります。

    B教育方針・特徴、校風、規模、施設、卒業生の進路
      学校選択の際、もっとも気になる、そして気にすべきポイントでしょう。教育方針や特徴、規模、施設、卒業生の進路等は各学校が用意している「学校案内(Prospectus)」を取り寄せて読めば、おおよそのことは分かります。しかし、学校自身が出版する広告材料(=学校案内)にマイナス面も含めた”気になること”が全て書かれているでしょうか?
      近所の学校なら自然に耳に入ってくる評判、校門から出てくる在校生の様子や文化祭等から読み取れる校風など、本当に知りたい生の情報は日本に居てはなかなか入手できません。これらの情報は留学斡旋業者でも(本人が留学した経験のある学校でもない限り)把握するのは難しいものですから、頼みの綱の業者の力もここで限界が出てきます。もちろん、業者も学校案内に書かれているような情報は伝えてくれるでしょう。

      しかし、それを一方的に信じる前に、この目で見て実状を確認してはいかがでしょうか。できれば留学を決める前に保護者ともども現地の学校を視察されることをお勧めします。信頼できる留学斡旋業者や在住の知り合いの方に事前にアレンジしてもらって、興味のある学校を訪問し、校長と面談したり、授業を見学したり、在校生や近所の人から話を聞いたりして、雰囲気をつかむのが一番よいと思います。それでも学校というものは入ってみて初めて分かる部分がありますから、合わないこともありえますが、できる限りの努力は事前にしておくべきと思います。そして、万一その学校が合わなければ、また現地から評判を聞いたり、同様に現地視察を通して研究し、気に入った学校に転校すればよいのです。

    C寮の施設
      寮を付設した学校は(特に都会の場合)それほど多くはありません。そして、寮内の施設や規則なども寮によって相当差異があります。寮長・寮母さんの責任範囲と権限、お小遣いの管理方法、学校までの通学方法、寮内の施設(バスルームや食事)、寮内の規則、寮内の医療体制等、事前に確認しておきましょう。また、現地視察の際に、寮母・寮長さんと面談するのもよい方法です。

    Dスタッフの質
      オーストラリアの先生は授業に関して裁量の範囲が広いため、先生の質如何で授業内容や学生の学習態度・意欲が大きく影響されます。実際、オーストラリアの先生は玉石混交と言われていますので、いい先生のいる学校を選択するべきです。先ほども触れたように、私立校の方がスタッフの給料が高い傾向があるので、いい先生が集まっているかに思われますが、授業料が高い学校が必ずしもよいスタッフを抱えているというわけでもありません。このポイントについても、できれば現地視察の際に在校生の話を聞くなり、授業を見学させてもらうなりして判断することをお勧めします。
      また、授業だけでなく、留学生にとってはカウンセリングの善し悪しがキーポイントとなりえます。留学生の少ない学校では直接校長先生が留学生のカウンセリングを担当することが多いようですが、留学生専門のカウンセリング担当者がいれば、その方と面談してみてはいかがでしょうか。英語が分からなくても、会ってみると人柄などは結構分かるものですし、顔だけでも知っているというのは後々安心感にも繋がるでしょう。

    E選択科目、校内アクティビティの充実度
      留学生本人が学習したい、あるいは興味の持てる科目やアクティビティ(乗馬、アーチェリー、アブセイリング等)が用意されているかどうか。これは学校案内にも記されていると思いますが、より内容について深く知りたければ、その科目を選択している学生に感想を聞く方法が望ましいでしょう。また、学校によっては音楽や美術、スポーツなどの特別コースを設けたり、個人レッスンが受けられるところもあります。

    F日本語教育の浸透度
      日本語学習の遅れを心配するなら、日本語教育が盛んな学校がよいでしょう。もう一つ、日本語教育が浸透した学校のメリットは、ネイティブ、あるいはネイティブに近い日本語を流暢に話す先生が常駐しており、授業とは関係なく日本語で相談に乗ってもらうことも可能だということです。慣れない英語だけで生活を送っていると、時に精神的に不安定になるものですが、日本語の先生相手に雑談をする中で気分が晴れることもあるものです。

    G留学生の受入状況
    (人数、国籍、日本人留学生の割合、受入基準、ESL教育、留学生専門カウンセリングの有無)
      何と言っても大切なのが、受入基準です。面接だけでよいのか、在学校での成績で評価基準があるのか、英語力はどのくらい必要なのか、どうやって証明するのか(TOEFL、IELTS等の受験が必要か)、また、希望する学年に空きがあるのかを確認しましょう。
      また、英語力が十分なくても入学許可書(Confirmation of Enrollment)を発行(=入学許可)してくれる場合には、英語力がつくまでどのように勉強するのか(指定の英語学校へ通うのか、校内のESLに通えばよいのか)を確認しましょう。
      留学生の人数については多ければいいとか少なければいいとかいうものではありませんが、あまりにも日本人留学生ばかり、という学校だったら留学する意味が半減してしまいます。せっかく海外で異文化体験をするのですから、できれば様々な国籍の留学生を受け入れている学校が望ましいでしょう。また、留学生専門のカウンセラーがいるかどうかも確認し、いなければ留学生が抱える問題について通常どのように解決しているのかを聞いてみましょう。
      尚、いずれの質問についても、本人と保護者にとって納得できる回答が得られなければ、その学校は候補からはずしていった方がよいでしょう。また、学校側がサポートしきれない部分については、信頼できる親権者代理人に任せるよう手配しましょう。

    H学力レベル
      学力レベルだけで学校を判断するのはリスクが大きいと思います。というのは、どんなに学力レベルが高くても、留学生と現地の学生とは将来の方向性やバックグラウンドが異なるのですから、留学生にとってメリットがあるとは限らないのです。たとえば、日本の学校で受験だけを目的にあくせく勉強するやり方が合わなくて留学を決断した学生が、いわゆるトップレベルの学校に編入してしまえば、日本とさして変わらない勉強漬けの生活を強いられることになります。但し、将来的に大学進学を考えている場合には、学力レベルも参考にして選択すべきでしょう。
      学力レベルについては、シドニーモーニングヘラルド(新聞社)が出版している「Guide to Schools 」を参考にするとよいでしょう。学校の教育方針や生徒数といった基本的な情報だけでなく、全州統一試験HSCの学校ランキングや大学進学率など指標となる数値が掲載されています。しかし、一般的に言って、日本の学校に比べれば、オーストラリアの私立校は一部を除いて学力レベルに大きな違いはなく、どの学校にもいわゆる進学組、学生生活エンジョイ組、就職組等がバランスよく混在している傾向にあります。

    I費用
      もちろん、安いに越したことはありませんね。しかし、費用よりも優先させるべき大切なポイントがあることは、当然ご承知でしょう。費用については追って詳しく述べます。(第4章 4−3参照)

(2)留学スタート時期は、いつがベストか?

    留学準備は余裕をもって1年くらい前から進めるのが望ましいでしょう。 英語養成を目的とした教育機関(英語学校、ESL、インテンシブスクール)では、留学生の受入は空きさえあれば基本的には年間を通していつからでも可能です。が、一般の中・高校では学期始まりから受け入れます。英語力養成の必要がない学生の場合、学期始まりを意識して留学計画をたてた方がよいでしょう。
    オーストラリアはタスマニア州を除いて1年が4学期に分かれており、それぞれ2月、4月、7月、10月から始まります。但し、留学生枠に空きがあった場合のみ受入ますので、どうしても行きたい学校があれば、空きが出るまで待たなくてはならないかもしれません。また、学年の後半から編入するよりも、1学期あるいは2学期くらいから参加した方が授業にもついていきやすいですし、学校側も受け入れやすいようです。また、英語力がまだ十分でない学生が、最終受入先への編入タイミングから逆算して「来年2月から最終受入先への編入を目標に、今年の4月から英語学校へ行こう」といった計画をたててもあまり意味がありません。英語力習得が予定どおりのペースで進むかどうかは分かりませんし、その計画に追いつめられるかのように勉強しても、よい成果は出ないでしょう。

    では、何年生から留学するとよいでしょうか。基本的には「留学したい」と決断した時が留学時と考えればよいと思います。オーストラリアの大学への進学を目標に留学するなら、高校1年生を終える前に留学した方がHSCテスト受験準備の面から有利といえますが、それよりも「留学したい」という意欲を優先すべきでしょう。高校3年生から留学を決断した場合、英語力養成と同時にHSC受験準備で2年ほど余計にかかるかもしれませんが、それでも「遅すぎる」ということはありません。高校を卒業(あるいは中退)して、30才でオーストラリアの高校に留学し、大学まで進学している人もいるのです。
    但し、英語力について考慮するなら、全くの初歩は日本語で説明された方が効率もよいので、できれば中学1〜2年生までは日本の学校で留学準備を整えた方がよいかもしれません。但し、中学生の場合、親元を離れて異国で一人でやっていくのは、かなり大変なので、よほど意欲のある学生でなければお勧めできません。留学初期だけでも親同伴で現地生活をするのであれば、その限りではありませんが。

    また、言うまでもありませんが、予算が十分にあるかどうか確認してください。留学中に予想外にお金がかかってしまい、途中帰国せざるをえなくなるという事態は避けたいものです。

(3)転校も可能!!

    学校選びの際に是非とも覚えておいて欲しいのは、「転校は簡単・自由」ということです。教育を受ける側に強い権利を置くオーストラリアでは、留学生もその対象外ではなく、学校選択は本人と保護者の意思でいくらでも自由にできるのです。もちろん、転校したい学校に空きがない等、そう簡単にはいかない面はありますが、入ってみた学校が合わなければ、より適した学校を探して転校することも制度的に許されているのです。実際、学校というものはいくら事前に情報収集しても入ってみなければわからない部分が多いものですから、まずは気軽な気持ちでとりあえず入ってみて、最初の学校に居る間にもっと情報収集していい学校を探してもよいのです。


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