【B】日常生活編 |
1クラスの人数も選択した科目によってまちまちですが、多くても30人くらいまで、少ない科目だと数人ということもあり、概して先生の指導が行き渡った小規模のクラス運営となります。
【C】校則・風紀編 |
ある公立学校の校則を参照したい方は、ここをクリックしてください。
また、体罰もありえません。子供の人権擁護が徹底している社会背景もあって、先生が生徒の身体に触れることすら許されていないからです。そもそも先生と生徒が1対1で教室に残っているだけで、「子供の人権侵害」として訴えられかねないのです。
留学生も例外ではなく、このルールに従わねばなりません。授業態度だけでなく、宿題の提出を何度も忘れるなど、学習態度も評価の対象になります。怠けていると退学を通告されてしまうので、注意を要します。
【D】スタッフ編 |
留学生の相談に個別に応じている専門の留学生カウンセラー役の先生がいる学校も増えています。また、事務手続き等を行うのはAdministrator、 編入手続きの担当は、Registrarと呼ばれています。
校長(Principal、私立校では Headmaster / Head mistressと呼ばれることもある)はかなり仕事の範囲が広く、学校全般のマネージメント業務だけでなく、各学生の選択科目の承認から問題ある学生の更正まで幅広く責任を負っており、特別に留学生担当スタッフがいない限り、留学生の世話をするのも校長先生の役割です。
【E】学校行事編 |
オープンデイと呼ばれる学校行事は、日本の「文化祭」のようなもので、一般にも公開され、学生だけでなく地域の人や保護者も参加します。こういった行事は学校の雰囲気を知るのに適した機会ですので、できれば保護者も一度は覗いておきたいものです。他に1年に二度くらいは父兄が面談に訪れ、学習経過、進路などについて各科目の先生と相談します。この父兄面談の際には保護者代理人が出向くべきでしょう。
◆検討◆ 各学校の特徴 |
英語力が十分つくまでの過程の3ステージ
TからWの4つのレベル(学校によってはT〜Vまでのところもある)が設けられており、学生の英語力に見合ったレベルを選択して勉強できる。入学当初は校長先生との親子面接及び英語のテスト(約2時間)の結果で、レベルを判定され、最適なクラスに編入する。1学期ごとに上のレベルに進級するチャンスがあるが、今のレベルでまだ英語力が不十分と判断すれば同じレベルを繰り返してもよい。たとえば、レベルTでは全く英語を知らない学生をも対象にしているが、ゼロからスタートした学生はこのレベルTを2回繰り返すことで、実力をつけていく。但し、受入期間は最長で5学期間(15ヶ月間)なので、それまでにレベルWを卒業できるよう努力しなくてはならない。
授業時間は55分で、9時から3時まで。クラス人数は5〜30人。制服はない。校舎は質素だが、いい教師陣を集めるために多額の費用を投下している。授業は英語だけでなく、あらゆる科目を履修し、その中でその科目に頻出する単語や言い回しを身につけていく形式。たとえば数学では、基本的な用語から始まり、実際の問題説明や演習をこなしていく。授業方法はコミュニカティブ・アプローチが取り入れられており、授業そのものは学生にとって楽しくなるよう工夫されている。但し、どのレベルでも宿題は多く、先生によっては頻繁にテストがある。また、二週間に一冊ほどサイドリーダー用の本を与えられ、読後レポートが課される。
Tレベルでは全く英語を知らないところから始めるが、レベルWでは小論文を書いたり、新聞を読みこなす程度にまでもっていく。かなり効率的に実践的な英語力を身につけられるようである。
Wレベルを修了すると卒業となり、いよいよ一般の中・高校への正式編入が可能となる。卒業までにかかる時間は個人差もあるが、中学卒業程度の英語力からはじめたとすると、半年〜1年くらい。
但し、インテンシブスクールそのものには寮はない。ホームステイが手配できればよいが、シドニー近郊では家庭の質、価格が揃ったいい条件の家庭は見つかりにくい。ノースシドニー教区のインテンシブスクールではホームステイの手配も学校が請け負ってくれるが、それ以外の2校については寮付設の受入校に入学許可書を発行してもらう形をとれば、そこの寮で生活しながらインテンシブスクールに通うこともできる。
尚、 インテンシブスクールは直接入学許可書を発行しないので、カソリック系の学校へ入学手続きをしなければならない。つまり、カソリック系スクールの本校生としてインテンシブスクールに派遣される形をとるので、インテンシブスクール卒業後にはカソリック系の学校へ正式編入学することになる。
民間の語学学校に設けられた、中・高校編入学を目指す留学生を対象とした準備コース。オーストラリア各都市の英語学校で見受けられる。が、都会の英語学校は意欲の中途半端なワーキングホリデーメーカーや年上の日本人学生等が出入りしているため、よくない刺激を受けるなど問題が発生しやすい。先生の質は学校によりかなりバラツキがあるが、授業内容はよくても他の学生に影響されて校内の雰囲気がだらけがちとの声もある。
また、英語学校から留学生活をスタートする場合には、学生ビザを取得する時点では最終受入校が確定しておらず、英語学校から入学許可書を発行してもらうことになるので、英語力がついてから現地で学校探しをしなければならない。(ESLを付設していない中・高校が入学許可すると同時に提携している英語学校を紹介する場合もある。)
滞在先は希望すれば英語学校がホームステイを手配してくれる。
日本人留学生のニーズに合うESL授業を提供している学校もあり、留学生の上達レベルを注意深く考慮して徐々に通常授業に参加させていく形をとる場合もある。が、学校付設のESLの限界は何と言っても専任教師が1〜2人に限られてしまうこと。一人の先生がすべての科目で頻出する必須単語や表現を網羅できるのか?という疑問も残る。
但し、ESL付設の学校に編入する場合には、渡航前に最終受入先である学校から入学許可証をもらえる(つまり、留学先が確定した上で渡航できる)というメリットが大きい。
英語力さえあれば、日本からの留学生も受け入れられるが、かなり金銭的に余裕のある家庭の師弟、しかも学業面でも優秀な学生を除いて、成功しているとは言い難いようだ。名門校に通うのはほとんどがイギリス系の貴族社会を反映したような高貴な家庭のお嬢さん、お坊ちゃんだから、まず周囲の貴族的雰囲気に庶民の子供は排他的なムードを感じてしまう。しかも、彼らはデキる。ただでも英語力のハンディがあるのに、能力的にも差をつけられ、劣等感にさいなまれる。その結果、自信をなくし、やる気もなくし・・・というパターンもある。確かに、名門校に入って友達をたくさん作れば、将来同窓生が社会の要所で活躍するようになり、このコネを利用することができるというメリットはあるが、「名門」への憧れだけで選択してしまうと、辛い目にあうかもしれない。
カソリックにしてもアングリカンにしても、経済的なバックに宗教団体がついているため、学校の設備は公立校に比べれば充実している傾向があり、寮を付設した学校もある。共学校もあるが、男女別学が圧倒的に多いのも特徴。但し、あまりに宗教色の強い学校に入ってしまうと、雰囲気についていけずに疎外感を抱いてしまう場合もあるので、編入学の際には宗教色の強さを事前に調べておくことが大切。
家庭が裕福でない分、学習意欲も高くなく、素行(煙草、喧嘩、ドラッグ等)に問題がある場合もあるが、せっかくオーストラリアという移民国家に留学するのだから、本当のマルチカルチャリズムの現場を体験するのも非常に価値があることと思う。が、学校の設備は私立に比べれば劣るし、ESLも移民の師弟を対象としているため、日本人留学生のニーズには合いにくい。公立校を目指すなら、英語力を十分つけてから編入すべきである。
滞在先に関しては、エージェントを通じてホームステイの手配を手伝ってくれる学校もあるが、学校付設の寮はない。また、公立校の先生たちは給料が安いため、昇給を要求してよくストライキを起こすので、休校になる頻度も高い。
※NSW州内の公立校の留学生受入基準、申込方法については、第2章 2−3を参照のこと
受入基準は、@在学校で5科目以上の主要教科を修了しており、成績評定3.0以上、ATOEFL500点以上、もしくはIELTS5.0以上。英語力が及ばない編入学希望者には提携する英語学校を紹介するが、入学許可書は英語学校によって発行される。年齢は問わず、現在は17才から25才までの学生が学んでいる。学校というより進学塾のような雰囲気で、学生たちは授業中も真剣そのものだし、宿題も多く出される。みな学業に忙しく、素行上問題を起こす暇もないので、厳しくする必要がないという。
日本の高校を卒業してから、更に海外の有名大学の受入ラインであるTOEFL600点を取得するのは大変なことなので、オーストラリアの大学入学を目指すなら、高校からこの学校に編入し、HSC高得点取得を目指した方が近道といえるかもしれない。
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