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Essay 931:世界の深層潮流〜今後のコロナ展開を監視するための基礎知識

〜世界の巨大ビジネスの方向性
〜医療製薬会社のトレンド
〜ビッグチャンスと利権構造


2020年04月25日
写真は、最近買い物にいったときに近所で撮ったもの。山火事のときはいつも茶色っぽかった空も、今は本来の青に戻ってます。でも外出禁止なんだよね。なんて皮肉な、、てか、ほんとは普通に皆出歩いてるけどね。エクササイズや(食べ物の)買い物はOKですので。


 今回はちょっとやり方を変えて、テーマごとに小出しにします。前々回は2回に分けたほうが良かったし、前回なんか3−4回に分けたほうが良かったです。一回で全部書こうと思うと長いし、ダレてくるしで、細く切ります。

 同時に、毎週月曜定期というのは去年の段階でやめてますので、週イチでもなく、月曜でもない感じにします。今年からまた月曜定期にしてるのは、のんびりやってたんで「腕がなまってるかどうかを確認したかった」というのが本当の趣旨です(あんまり鈍ってなさそうだったのでよかったけど)。

 ということで、とりあえずまずこの部分だけあげます。週末に読めたほうがいいっしょ?


背景事情

(1)世界の巨大ビジネスのやり方が変わった(M&Aメイン)

 ここ10-20年ほど、世界的な巨大企業のビジネス(商売)のやり方が変わってきているように思います。

 本来、資本主義におけるビジネス(商い)というものは、他人に先駆けて(頑張って)、安くて良質なもの(サービス)を提供することで競争を勝ち抜いて儲けましょう、成功しましょうゲームでした。その原則が認められるうちは、成功者が億万長者になってエンジョイしようとも、貧富の格差があろうとも、まだ納得できる。スティーブ・ジョブズが大富豪になっても、まあ、あれだけの仕事をすればねって思える。

 しかし、その原則が崩れてきて、最近の巨大ビジネスは、自分で良いモノを開発したりしなくなりました。全部がそうだというわけでは勿論ありませんけど、そういうケースが目立つようになってきた。

 自分でモノを作らずにどうするんだ?といえば、優れた商品を持ってる会社をカネの力で買収するわけです。その傾向は前からあって、例えばGoogleがYouTubeを買収したり、ソフトバンクがYahooを買ったり。最初なんかで当たって一財産築いたら、あとは金の力でどう買収していくかという世界になる。一種の投資ゲームになる。

今、ソフトバンクもWeWorkを買収しました、大損しましたってやってますけど、だんだんなんの会社かわからなくなってきてますよね。

考えればこの流れは委託生産とかOEMという形で昔からありました。Apple社も開発能力はあるけど製造能力がないという欠点を逆手に取って(開き直って)、作るのは全部世界に外注にだしている。自分で作ると、膨大な工場投資や人件費が経営の負担にもなるし。トヨタはもう自分ではエンジン作ってなくて委託生産がメインだし(ダイハツとか日野とか)。

ここではその良し悪しは論じません。ただそういう潮流があるなーってことだけ。


(2)世界の金は医療・介護

以前エッセイ909で書いたことですけど、日本の国家予算のかなりの部分が医療介護に注ぎ込まれている。

 いちいちリンクをたどるのが面倒だろうから、909で使った画像をもう一回出しつつ、自分で引用しておくと、
 国税庁のページによると、今日本の国家予算は100兆超えてます。どんどん増えて来年は104兆?うち税収は60兆ちょい、その他の収入を含めて70兆にも満たない。あとは国債(借金)で、30兆以上。100兆強の使いみちは、まず「借金の返済(国債費)」で24兆くらい。30兆以上借りて24兆返している(利払いとか)で、借金はどんどん増える。ま、それはさておき、その他の使途で一番大きいのが社会保障費(医療、介護、年金など)で35兆もある。その他の使途は、防衛費、公共事業、文教費などいずれも5-7兆規模であり、もう圧倒的に社会保障費が多い。借金ではない歳入70兆のうち35兆円は社会保障関係に回してるとするなら、もう半分は医療費その他に消えている勘定になる。

 あと地方交付税交付金ってのがドーンと16兆くらいあって、これが防衛+公共事業+教育の合算くらいあるのだが、こういう仕分けをしてしまうとわかりにくい。地方自治体に対してヘルプ仕送りをしてるようなものなんだけど、じゃあ、地方自治体はそれを何に使っているのかってのがわからないと全体の社会福祉関係がいくらかかるのが見えない。ただ、まあ地方においても社会保障費の圧迫は厳しいだろうから、同じような比率(約半分)で使ってるとすれば、8兆くらいは地方自治体の医療費その他に使われているとします(正確には個々の自治体によって違うけど)。合算するなら70兆のうちの43兆くらいが医療年金その他だとします。

 もうこの時点でハッキリ見えてきますよね。日本国がどうなってるかというと、まず借金漬けになっている。借りては返すけど毎年積み残しが増える。これが一つ。もう一つは、圧倒的大部分が医療などの社会保障関係です。半分以上これ。つまり借金まみれになりながら、必死に医療とか年金とか回しているのが今の国家の実像でしょう。少なくとも数字的なそうでしょ。

 兆とかいうからピンとこないけど、これを月収レベルに置き換えれば、月収70万円の家庭で、43万円を治療費とか介護費に使ってるわけですよ。なんか、そんな家計ちょっと想像できないくらいなんだけど、国家レベルではそう。これに比べれば教育費5.5万、光熱や生活整備(公共事業)7万、家のセキュリティ(防衛費、セコム代とか)5万(ちょい高い気がするけど)程度に過ぎない。

 結論として分かりやすく言えば、「月収70万円の家庭で、43万円を治療費とか介護費に使ってるようなもの」「日本国の実体はなにか?と言われれば「老人と病人のサポート団体」」

 ということで、とにかく医療介護費(社会保障費)が突出して多くて、軍事費(防衛)なんか比率でいえば話にもならない。

 もうこの時点で「戦争はないな」って僕は思いますね。だって本気でやろうと思ったら軍事費の比率がメチャクチャ増えるはず。日露戦争のときで予算の70%、太平洋戦争のときはなんと85%軍事費で使ってる。だから、今の程度の支出(5%)では戦争をやりたくても出来ないし、やるならすごく限定された局地戦だけでしょう。これは大なり小なり高齢化している先進国だったらどこも似たようなものだろうし、もし今世界でガチで全面戦争しようと思ったら、もう自国内の老人と病人は全員放置&見殺しにするくらいの覚悟は必要でしょう。そんなこと出来るわけないから、だから戦争なんか予算的に無理っぽい。


 さて、軍産複合体がどうのこうのというのがありますが、実際問題、先進国的には戦争して儲けましょうとかいうのは難しく、絶対服従の子分(日本)に売れない商品(オスプレイとか戦闘機とか)を押し売りするのが関の山でしょう。激しく商品(武器)を使ってくるのは、激しくドンパチやってくれている第三世界の内乱などですけど、それも世界全体の底上げと経済発展ともに減ってきたら、もう軍産ビジネスはネタとして美味しくなくなってると僕は思う。

 思えば世界的に大受けしたのは911が最後で、あとは売れないプロレスのシリーズみたいなもので、イスラム国シリーズはショッキングな首切断でデビューしたものの、その後なんだかよくわからないまま泥沼化してしまう。まあフセインやビン・ラディンのようにキャラ立ちしたスターがいないのが辛いところですね。その後ウクライナで揉めたり、マレーシア航空機を墜落させても、「だから何?」で終わってしまうし。フランステロで「これからはSNSだよね」とばかりにFBとコラボして世界的にトリコロールモードに仕向けようとしても、イラクの住人あたりから「ウチはその百倍の被害を毎日受けてるんですけど」「それはスルーですか」とツィートされるとなんだか火が消えたようにシュンとなってしまい、北朝鮮のオンディマンドミサイルはすぐにギャグのネタになってしまい、イランで英雄将軍を殺しても、自分から「ごめん、間違いだった」とか言ってしまう始末で、さっぱワヤです。要するに「売れない」。もうやめたら?って感じ。

 しょぼいパイを争奪するよりは、デカいパイを争奪したほうがいい。だから医療介護分野の方がケタ違いに儲かる可能性がある。

(3)製薬・医療メーカーの動向

これからは高齢化で医療費増大だから製薬メーカー就職は勝ち組だよねとか言われてたけど、実は、製薬会社で大リストラがやられている。もう唖然とするほどのどこもかしこも。あれ、おかしいじゃん、なんで?というと(これはエッセイの904番で書きましたけど)、、、

一つは医療費が増大している「からこそ」、国も財政が厳しくなって必死に値切るようになること。薬価改定の嵐です。医療薬剤というのは一般ビジネスとしては不思議なところがあって、国家保険システムのある国では、最終的な顧客は「国」そのものであって、病院でも患者でもない。しかも客が価格の決定権を持っている(薬価、医療点数)という不思議な世界です。客(国)が貧乏になれば、値段を下げろと言われるし、実際言って下げている。だからどんどん儲からなくなっている。もう普通にやってちゃダメだという。

2つ目に新薬開発(創薬)のコスパの悪さ。とにかく新薬開発には10-20年スパンはザラという途方もなく時間がかかる。また狙ったとおりに開発できるのはまずなくて、Aのために作った薬が実は偶然Bに効くことが判明みたいな偶然の作用が強い。スーパーエリート開発技術者でも一生に一つ商品が作れたら大勲章、多くは一生やるけど何にもならないという世界。大体、新薬として承認されるのは「3万分の1」と言われるくらいで、その成功率はとてつもなく低い。

第三に経営視点でいって儲かるかどうか?で、せっかく創薬して承認されても、もっと画期的な手術方法とか治療法が出来てしまって薬が要らなくなる場合もあろうし、いろんな要因から患者自体が減ったとか、違う症状を示すようになったとか不安定要素も多い。また大抵のメジャーな病気は開発され尽くしている反面、あまりにもニッチな病気の薬を作っても対象者が少ないからペイしない。

第4に、医療の方向がAIやIoTとか(AI検査、遠隔治療とか)、ロボティックとか、そっち系にシフトしてること。それは薬学ではなく、IT(情報工学)とロボット工学の世界です。


さてこれらの業界事情と、上でかいた(1)(買収ビジネス)とを重ね合わせるとどうなるか?

おわかりかと思いますが、いちいち自前でシコシコ創薬をやってるくらいなら、現在売れている薬を持ってる中小メーカーを買収してしまった方が早い、ってことになります。

これが今の世界のビッグビジネスの潮流で、頑張ってイイものを作って、売るというよりは、マネーゲームで買収作業をするという金融的な部分が大きい。

そこでのビジネスの中心は「成功するM&A」のような世界金融技術分野であり、同時に「売り方」です。アップル社のように「アップル信者」を世界的に増やす新興宗教的マーケティングなど「売り方」がメインになると思われます。

(4)医薬と国家利権

アップルやトヨタは、マーケに特化するとかいっても、まだ一般消費者相手にしてるからわかるんだけど、医療の場合の顧客は国だから、そういうマーケテイングは出来ない。医療が一般消費者を相手にする場合は、健康食品とか特殊な健康法とか保険のきかない整形手術とかその方向だからちょっと違う。

でも「国相手の売り込み」ってなんなの?だれが決めるの?といえば、各国のお役人であり、薬価審議会とか薬の承認を決める「専門家委員会(要するに学者)」でしょう。話があまりにも特殊に技術的だから、政治家の出てくる余地は少ない(まあやれないことはないけど、そんなに日常的ではないだろう)。

だとしたら、そこに複雑な利権構造が発生する可能性はあります。発生していると断言する資料はないけど、その可能性はかなりあると思う。

もっとも誤解してほしくないのは、利権=お金がからむことではないですよ。何をするにも予算は必要でお金は絡みます。清廉潔白にやってもお金は絡むし当たり前。またそれぞれのセクターが率直に自分の情報を提供し、それらを突き合わせて総合的に優れた政策を立案するのはむしろ理想とするところで、各方面に人脈やら情報の流れがあっても、それは当然だと思います。そして、その政策立案過程での個々人の働きが正当に評価されて、後日報われる(天下りとして迎えられるとか)のは、これもある程度は自然だと思います。だから、なんでもかんでもダメダメ言ってるわけではないです。

ただし、そこにはアカウンタビリティ(説明責任)と透明性は必要だと思うわけです。「なんでそうしたの?」と聞いたら「それはですね」と納得のいく説明をしてほしい。それが納得できる限度で、批判はしませんし、逆に「おつかれさまです」と労をねぎらいます。しかし、それが無かったり、どう考えても納得できなかったら、それ自体がおかしいとして批判されるべきでしょう。秘密保護法で、指定秘密の数がいきなり1500とか1800とかになって、何がそうなのかというと外務省が購入したワインまで「秘密」指定されてて、情報公開を要求すると黒塗りばっかで有名な「のり弁」状態になってって状況はよろしくないです。

また、これって、いわゆる「原発村」の構造によく似てます。
何がどうなって、誰が本当の権力者で、誰がライバルでとかいう図式が非常に見えない。
これに比べれば、政治家なんかプロレスみたいに分かりやすい。こっち陣営に近藤と土方と沖田がいて、あっちに西郷と大久保と桂がいて、とか登場人物のキャラも役割も目論見もよくわかる。でも、役所の奥の院と、大学の奥の院とで、どういう複雑な人脈と、力関係と、シガラミと、金の流れがあるかなんか、外からはわからん。

特に日本の特殊体質=なんでも家元化していって特殊な権力構造と収益構造を構築していく習性=から考えて、日本の2大伏魔殿である「大学・アカデミック」「官僚世界」が合体し、これに大企業がジョイントして聖域化してるから、政治家でも中はよくわからないと思います。田中真紀子くらい豪腕の政治家だったら外務省とサシで喧嘩出来ても、しかし結局は喧嘩両成敗みたいに降ろされちゃいましたからね。

原発村にせよ、感染村にせよ、政治家もよくわかってないっぽい感じがします。今回もなんでこんなに検査が少ないのか、なんで検査権を保健所(厚労省)が独占販売みたいにやってるのか、矢面に立たされて説明させられている当の政治家も教えてもらってないんだと思う。賢い官僚さんから「お言葉を返すようで恐縮ではございますが、大臣、〜〜であり、〜〜であって、〜〜ですから、ここは絶対必要なのです」と丁寧なレクチャーを受けると、「そ、そうか」となるんだけど、ほんとは頭悪いからよく分かってない。だから答えられないって感じ?

コロナの今後の想定ポイント

以上の背景事情を前提にした場合、これらが今後のコロナ収束にどう関係するか?

いわゆる陰謀論とか抜きにして、ごく普通のビジネスマインドとしてみると、以下のようなことが予想されます。それは利権というか、商機(ビジネスチャンス)というかは言葉の問題で、良いも悪いもないです。普通に考えていくと、こうなっていくんじゃない?という。


(1)検査利権

検査をするにせよ、国がどの検査法、どのメーカーの検査キットを、正式な検査として承認すかどうか、そこでイロイロありそうです。それは、ウィルスの有無を検査するPCRなどの検査にせよ、抗体の有無を調べる抗体検査にせよ同じこと。

そう遠くない時期に、再び国境をあける際に、「非感染証明」ないし「抗体証明」を持ってないと出入国できないかいう手法を取る可能性があります。そのときに公的に証明できるのはどの検査キットを使って、誰が検査して、誰が証明書を発行するのか?という問題になって出てきます。

いずれ僕らもこれらの証明書が欲しくなるときが来るんだろうけど、それが発行できるような体制になっているかというと、まだまだなっていない。そのあたりをどうするんだ?という問題はあるでしょう。

(2)治療方法や薬剤

どういう治療方法が有効で、どの薬剤、どのワクチンが有効なのかを、最終的に決めるのは国(の専門家委員会)だろうけど、ここが最大の天王山になりそうな気がしますね。ビル・ゲイツの血漿製剤とか、いろいろな治療法が提唱されてますし。アビガンが効くとか、効かないとか。

(3)便乗利権

 オーストラリアで、1月時点で20枚入りマスクが40ドルとかいうのが、4月に700-800ドルで売られてて、ぼったくりじゃってニュースがありました。Medical supply company charging $786 for a box of 20 face masks accused of exploiting coronavirus crisisですけど、もとはABC放送の7:30レポートという調査報道番組です。Livingstone Internationalという会社で、1月に40ドルだったのが、今では7-800ドルになってて、そこから仕入れている薬局や卸があとで請求書を見てガビーンとなっているという。まあ、この会社だけが値上げしているわけではないのだけど、ここは特に高いと。

 しかし、オーストラリアには値段を統制する法律はないです。てか、バスやガス代などの公共料金以外にそんな価格統制権を国家が持ってたら、それはコミュニズムっぽいわけで。ACCC(消費者庁みたいな)も動くんだけど、まあ、勧告どまりじゃないかな。で、そもそも政府自体がこの会社と沢山取引してるらしく、ますはそこからだろ?(ブラックリストに入れるとか、取引をやめるとか)。

 ここで調べてて、これ悪質だなと思った別の点があって、それはChinese companies jack up the price of face masks being sold to Australia by 1000 per cent in a racket 'bordering on extortion'とデイリー・メール社の記事で、100%中国系の会社がやってるって書いてるんだけど、これはどうかな?なぜって、どこの会社がやってるのか全然特定できてないこと。さきのLivingstone社は、調べてみたら”Livingstone is a wholly owned Australian business established in 1984. ”ということで、ここは100%オーストラリア資本の会社です。本社がマスコットにあるし、当然輸入なんかもやってるだろうし、もとが値上げしてるからしょうがなくってこともあるかもしれない。少なくともここは中国の会社ではない。じゃ、「中国の会社」ってどこなの?というと、デイリー・メール社は明らかにしてないし、その後政府の対策はどうするとかいっても、「かつてオリンピック開催で1票差で負けたのが悔しくて意趣返しをしてるんだ」とかいう、「はあ?」という話で。なんかシドニーオリンピックの影の立役者みたいなおっさん引っ張ってきて語らせてるんだけど、なんかそれってただのオヤジのお話じゃん。

 大体、デイリーなんたら系の新聞はイエローペーパー(スポーツ新聞的な)ものなんだけど、日本では今はスポーツ新聞の方が忖度しなくていい記事書くけど、こっちはまだこんな程度かって。ただでさえ、世界的にいろいろ社会の醜い面が露出してきているご時世なのにねえ。またこういうの読んで真に受けるんだよな、基礎的な批判能力がないと。だから今回も書いてるわけですけど。

(4)情報利権

国のやり方についての批判を封じるためのあれこれ。原発事故における放射能を、味噌もクソもまとめて「風評被害」だといったり、批判する人を放射脳と揶揄したりっていう一連のメディア操作です。
既に、外務省が日本政府のコロナ政策の批判対策として24億円を計上したとか(ほかに厚労省もやってるみたい)、しかし、それはそれで問題なのだが、やる前からバレてるという手腕の劣悪さも問題のような気がする。

毎日見てて気づくこと

 結論、というほどでもないけど、毎日世界のニュース〜チラ見程度のレベルで日々数十から百個くらいの世界各国の英文記事を眺めていくと、なんとなく流れのようなものが見えてくるような気がします。このあたりが知的パズル的に面白いのです。

「あれ?」と思い始めたのは、だんだん研究が進んできて、この治療法はいけるとか、やったけどダメだとか、その種の情報が錯綜してきてることです。

スイスの名門製薬会社のロッシュ社は、新しい検査方法を作って売り込むらしいですけど、そこでロッシュのCEOが、今世界に出回ってる抗体検査キット(既に100種類以上あるらしい、すごい)は使い物にならない、ダメだとか切って捨ててるんですけど、大した根拠も示してないです。

 例えば、
Roche CEO Calls Some COVID-19 Antibody Tests a 'Disaster', Questions Makers' Ethics(New York Times)
Roche CEO Blasts Faulty Coronavirus Tests While Touting Own Product(Bloomberg)

 これ、科学的な所見を報道する記事というよりも、単にロッシュ社の「営業」じゃないかって思ったんですよね。他社の製品をディスって、ウチが一番ですよーって。記事としての公平性がないんじゃないか、よくある意見広告というか、ステルス記事広告じゃないかって。まあ、ブルームバーグの記事は、「While Touting Own Product(他方で自社製品を強力に売り込みながら)」って書かれちゃってるけどね。

 なんかそんなのが増えてきたような気がします。大した根拠もなく(○教授はそう言っているとかいう単一の見解程度の)、あれはダメだ、これは不正確で信用できないとか、ディスるやつ。

 「なんでかな?」と考え始めたのが発端です。すでに世界大(商)戦が始まっているのではないかと思ったのですね。だから、これからの先の科学的な記事は、科学的っ「ぽい」だけであって、実質は「広告」じゃないかってくらいに意識で見てたほうがいいと思う。○大学の検査によると○と判明、とかいうのも、鵜呑みにしない方がいいかなってね。

 アビガンだって、「めちゃくちゃ効くからこれが出たら他の製薬会社が潰れるから必死で無視しようとしている」という見解から、「あとで臨床検査を繰り返すにつれ、思ったほど効かないどころか、一定の場合には大きな副作用があることが判明」という見解まで、ネットで調べる同時存在で見つかります。どっちが本当なの?って。

 ちなみにロッシュ社って、インフルエンザのタミフルの会社です。だんだん世界的に「言うほど効かないじゃん」って評判が下がってるタミフルですけど、ロッシュ社は臨床試験のデーターを5年くらい隠してたんですよね。What the Tamiflu saga tells us about drug trials and big pharma 。国際的なNPO=1万4000人の学者が協力して欠けている情報を探し回って完成させてます。

 まあ、とりあえず思うのは、権威のある大学や機関の、権威のある大先生が何を言おうが発表しようが、とりあえず鵜呑みにすんな、ってことですね。ま、原発事故のときに履修済みだとは思いますけど。








文責:田村


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