このコンテンツは、1990年代に中高生留学を調べていた時に作成したものです。以後、全く更新しておりませんので10年以上古いコンテンツです。今後も更新する予定はありません。

したがって、リアルタイムにこのとおりである保証はないし、それどころかまず「違う」と思ってください。

「古文書」的な意味しかないので、バッサリ全部削除しようとしましたが、敢えて残しておきます。
かなり詳しく調べましたので、現在においても尚も「参考」としての資料価値があるからです。
 いわゆるハウツーマニュアルとしては無価値ですが、ものの考え方、システムの成り立ち方という原理部分、あるいは日本人的に盲点になるような部分などは、そう変わるわけもないし、今でも十分通用します。ご自身であれこれ考えたり、調べたりする参考にはなると思います。




APLAC/STUDY IN AUSTRALIA 1-3

第1章 留学と人生プラン


1−3. 留学のデメリットとメリット

〜マイナス面も考慮に入れて


「留学さえすれば、何もかもうまくいく」とは決して考えないでください。すべての物事がそうであるように、留学にもメリットとデメリットがあります。しかも、中・高校生の留学は最も多感な時期に、言葉や文化の壁のある環境に一人で入るわけですから、さまざまな問題が生じるのも当然といえましょう。まずは、デメリットの方から考えてみましょう。

------【留学のデメリット】 ------

●環境になじむまで

    海外生活の経験者ならどなたも実感をもってご理解できると思いますが、自分が今まで生まれ育った国を離れて、言葉も文化も違う環境で暮らしていくことは、それ自体が大きな壁です。成熟した大人でさえも、しばらくは戸惑い、ストレスを感じ続けるものです。よく「若いうちは環境適応能力があるから」などと言いますが、確かに若い方が新しい環境に慣れるのも早いものですが、留学当初の不安定な状態から、環境に慣れて落ち着くまでは様々な問題が起こります。いわゆるカルチャーショックはこの時期によく起きますが、適切な処置を怠ると悪化して精神的な障害に繋がる恐れもあります。また、不自由な英語でのコミュニケーションの上でもストレスがたまりがちですので、しっかりした精神的支え(留学目的意識、友達、カウンセラーなど)がないと、挫折しかねません。

●国語(日本語)教育のおくれ
    長い間使わない言語はたとえ母語であっても忘れがちです。もちろん日本語を話せなくなることはありませんが、まだ十分な国語力を養っていない中・高校生が日本を離れることで、日本語能力を向上させる機会を損失するのは、ひとつのデメリットです。オーストラリアは世界で最も日本語教育が盛んな国なので、日本語の授業に参加したり、ネイティブ用の日本語の特別レッスン(土曜学校、通信教育や家庭教師)を受けることで多少は忘却を防止できます。が、やはり日本の学校に通っているのと比べれば、国語力の発達には支障を来しがちなので、意識して取り組まねばなりません。

●日本の教育カリキュラムのおくれ

    日本の大学への進学も考えている場合には、日本のカリキュラムもフォローしておきたいところです。が、英語での授業についていくだけでも大変な努力が必要ですから、日本の教科書分まではなかなか手が回らないでしょう。「二兎追うものは一兎も得ず」と言いますが、この際、日本のカリキュラムのことは忘れて、現地での学習に集中した方が、将来的にはいい結果が得られることと思います。また、日本の大学への進学を目指す留学生のために、世界共通の高校卒業資格を取得する道もあります。

●日本社会への不適合
    「郷に入っては郷に従え」と言いますが、現地の生活習慣に慣れるに従って、次第に留学先国流のマナーを身につけ、日本式の礼儀作法は忘れていくものです。実際、異国で育った日本人がいわゆる「大和撫子」タイプの女性になることはあまりありませんし、留学から帰国して日本社会に再度戻った時には、きっと疎外感、違和感を感じることでしょう。よく、帰国子女が日本の学校でイジメに遭うという話を聞きますが、異物受容に寛容ではない日本社会ではまだまだありうる話と覚悟しなければならないでしょう。しかし、本来ならば、もっと多くの留学生が行き来することにより、日本も異文化を自然に受け入れられる国になるべきとは思うのですが。

●親の目が届かないことへの不安

    留学生として我が子を送り出す親御さんにしてみれば、多感な思春期に自分が直接的に子供の生活管理に関与できないという不安があるのも当然です。確かに、寮を付設した学校では寮長や寮母さんが留学生の生活指導まで見てくれますし、ホームステイ先のホストファザー、ホストマザーも、我が子のように何くれと無く面倒を見てくれるでしょう。しかし、親の教育方針というものは家庭によって違いますから、預けた先の保護者代理人の考え方によって、子供は大きく影響を受けることになります。たとえば欧米では高校生くらいになれば当然のように家族公認のボーイフレンド・ガールフレンドがいて、週末にはデートに出掛けたりするものですが、日本の家庭ではデートすら許さないという親御さんもいらっしゃるでしょう。「他人の水を飲ます」選択をするのもひとつの教育方針ですが、親御さんにとってある種の不安は留学中付きまとうかもしれません。

●健康上の不安

    通常、留学する際には海外傷害保険等に加入しますから(オーストラリアの場合には学生ビザ取得の際に留学生用健康保険への加入が義務付けられます)、多少の風邪や小さな怪我などなら、まったく心配いりません。しかし、万一、大きな病気をわずらった時など、言葉の不安もありますし、医療の考え方の違いなどで戸惑うこともありましょうし、何と言っても遠く離れているご家族にとっては辛いところです。すぐに駆けつけたくてもビザの問題、航空券の問題など、そう簡単に駆けつけるわけにはいかないという意味で、不安は残るでしょう。

●教育費用

    確かに留学はお金がかかります。学校探しから留学手続きまで、すべて自力でできる方なら、費用の比較的安くていい学校を探し出せますから、日本の私立高校と同程度の金額で済むかもしれませんが、仲介業者を通せば、それなりの経費がかかります。費用に見合っただけの収穫があるかどうかが留学を決断するポイントとなるでしょう。
    ちなみにオーストラリアの中・高校に1年間留学すると、その費用(学校へ支払う授業料及び滞在費用)は学校によっても幅がありますが、約140万円から250万円ほどかかります。これ以外に教科書代、制服代、休暇中の旅行費用、生活雑費やカウンセラー費用などの支出も考慮せねばなりませんし、留学斡旋業者を通せば総額で年間300万円前後の予算を要します。
    費用についての詳細は第4章 4−3.「留学費用について」を参照ください。費用の節約方法も紹介します。

    悪い面ばかり考えていると、せっかくの決断も揺らいでしまいますね。同時にメリットも挙げてみます。ひとえに本人の努力次第という部分が大きいのですが、「がんばれば、こんなご褒美がある」ということが留学生にとっての勇気付けになることでしょう。

------【留学のメリット】------

●自分に合った教育環境で学習できる

    学校の選び方次第ですが、先述のように世界には様々な選択肢が用意されていますので、自分にぴったり合った教育環境を探しさえすれば、ストレスや違和感を感じずに自然に自分の能力を伸ばしていくことができます。また、オーストラリアの場合、治安、気候、自然環境に恵まれていますので、ゆったりした気持ちで学習することができるでしょう。

●異文化の中で獲得するもの

    今まで生まれ育った国を離れて異国で生活してみると、当たり前だと思っていた常識が実は日本、あるいは自分の周囲だけにしか通用しない常識だったことに気付かされることが多々あります。違う考え方や違う習慣を吸収することで、本当の意味での国際感覚は養われていくものです。特に若いうちに、「ああ、いろんな考え方があるものだ」と体験をもって知ることは、長い人生において大きな糧となることでしょう。
    また、留学先の国の人々はもちろん、世界各地から学びに来ている留学生など、様々な国からの、様々な文化背景を持つ友達もできます。こういった生の国際交流を通じて培われた人間関係は、生涯の財産となるでしょう。

●語学力が伸びる
    英語はいまや世界共通言語といえます。日本でも英語教育の重要性が叫ばれて久しいものの、世界に通用する英語力を備えた日本人は意外にもまだまだ少数です。特に文法や作文は得意でも、ネイティヴスピーカーと対等に会話できるようになるには机の上の勉強だけでは不十分です。若い頃に吸収する語学は、特に、聞き取り能力や発音などは習得が早いと言われています。

●就職先・居住先など将来の選択肢が広がる

    中・高校での留学経験は大学留学で有利になるばかりでなく、将来の就職先や生活・滞在先が日本国内から広く世界へと拡大する可能性をも秘めています。

●成長というおみやげ

    留学生として我が子を送り出した親御さんにとって、最大のおみやげは「空港に迎えに行ったら、見違えるように成長して帰ってきた我が子の姿」でしょう。異国で一人で勉強することは、たしかに人を自立させ、人間的に大きく成長させます。英語が上達することや、留学という箔がつくことよりも、この「人間的な成長」が留学の最大のメリットではないでしょうか。

■留学カウンセラーからのメッセージ■

日本の学校で「うまくやっていけない人」が海外留学でなんとかなると思うのは、考え違いです。
オーストラリア人と対等に授業についていくには、想像以上の努力とかなりの覚悟が必要です。寮生活においても規律を重んじた集団生活に適応できなければなりませんし、ホームステイにおいても家族の一員として暮らすわけで、決してお客様ではないのです。そこでは、日本にいるときより一層厳しい現実が学業面、生活面において要求されます。甘い考えでの留学は挫折しか生みません。
但し、日本の教育制度の枠に入らず行き詰まりを感じている学生、日本の学校で得られないものを渇望している学生ならば、大いにオーストラリア留学は勧められます。オーストラリアの中・高校は多種多彩な選択科目が用意されていますし、学校それぞれに特色がありますので、自分に合った学校を見つけ出すことが出来れば、学業面だけでなく、人間形成にも大きく寄与することは間違いありません、



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