シドニー雑記帳
妊娠レポート(その1)
「結婚しました」をようやく書いたぞと思ったら、いきなり妊娠した福島です。またまたプライベートな話題ですが、折角だから「シドニーで妊娠したらどうなるのか」を時間の経過とともにルポしていきましょう。といっても、「日本で妊娠したらどうなるのか」についてはよく知らないんで、日豪比較はできないですけど。(在日妊娠経験者から情報提供していただけたら幸いです。)
とにかく、渡豪してから今までろくすっぽ医者にもかかったことがなかったので、オーストラリアの医療制度のことすらよく知らない私たちが、妊娠→出産→育児という大事業をやっていくわけで、当然その過程ではいろいろ予期せぬハプニングが起ることでしょう。しかし、毎日、少しずつ新しい発見があるのは面白いもので、その過程をご一緒に楽しんでいただければと思います。
そんなわけで、いつまで続くかわからないけど、とりあえず今日は「レポート その1」です。
今8週間めですが、実は5週間めに発覚しました。「最後の生理がはじまった日(=つまり、卵を製造しはじめた日)」から○週間と数えるものらしいので、5週間めというと「ちょっと遅れてるかな?」というタイミングです。つまり、信じられないほど早かった。というのも、私の周期は実に規則正しくて、2日とズレることはないので、3日過ぎた時点で「あれ?」だったわけです。余談ですが、生理周期は日本では大幅に遅れることも結構あったりして予想がつかなかったのですが、オーストラリア来てからは極めて正確になりました。ストレスのない生活をしてるせいでしょうか。
そんなわけで、至急市販の妊娠テスターをラース=夫に買ってきてもらって、使ってみたらポジティブと出たので、すぐに近所の一般医(GP−General Practitioner)に行きました。勿論、ラースも一緒。
「最近の妊娠テスターは非常に正確なので、ポジティブと出たなら妊娠と認めます。検査をするにしても、こんなに早い時期ではテスターと同じ検査方法しかないので。但し、6週間を過ぎるまでは流産のリスクは3分の1、12週間までは8分の1あります。」とのこと。つまり、「So,it's a bit early to be happy too much.」ということで、7週間めに入るまでは誰にも言わずに過ごしたのでした。
オーストラリアでは健康上何か異常があった場合には、まずは一般医にかかります。で、必要があれば一般医から専門医に紹介してくれるというシステムになっています。従って、このお医者さんにかかるのは最初の一回だけになるわけで、あとは妊娠と認めたこの一般医が出来ることといえば、一般的な注意事項を申し渡すことと、出産までのアレンジをどうするかというコンサルティング業務になります。
まず最初に聞かれたのは、「どこで産みますか?」という質問でした。つまり、メディケア(国民健康保険)の効く公立病院を選ぶのか、それともプライベート保険しか効かない私立病院を選ぶのか?という意味です。しかし、ここで大きく勘違いした私は、元気よく「オーストラリア!」と答えてしまいました(^^*)。
実際、日本、デンマーク、アメリカで産むという選択肢も検討してたんです。デンマークという選択肢は実は魅力的なのでした。なぜなら、医療技術も優れているらしいし、国民保険ですべてカバーされるので、お金は一銭も支払う必要がないんです。でもね〜、妊婦が飛行機に乗れるのは7ヵ月までで、そうすっと12月頃から臨月の2月末まで、いっちばん寒い時期をデンマークで過ごすことになるんで、それはちょっと遠慮したいなあってことで。マイナス20度の極寒地で大きなお腹抱えて生きていける自信はないっす。
日本で出産するメリットとしては両親が側にいるから安心とか、日本語が通じるとかありますが、親が出産したのは遥か遠いかなたなので情報源としてはあまりアテにならないし、別に英語でも困らないし。
それに、日本の産科はなんとなく信用置けないような気がするんです。弁護士として医療過誤事件を担当していた田村から聞いた話では「産科の医療過誤事件はよく耳にする」そうです。というのも、脳外科のように日々技術が進展していく分野では、お医者さんも一生懸命最新情報に追いついていかなきゃならないから必死に勉強するのに対して、産科というのは放っておけばちゃんと産まれてくるから、新しい知識やら技術やらは特に要求されず(本当は要求されるのですが無くてもやれないことはない)、怠慢になってしまう医者もいるのではないか、とのことで。といっても、まじめに頑張っていい仕事している産科のお医者さまもおられるのでしょうが、いいお医者さんかどうかを判断するのは素人には難しい。
オーストラリアで看護婦している日本人の方からも聞きましたが、西洋では出産といえば夫婦の共同作業と捉えられているから、ラマーズ法が一般的。それに対して、日本ではラマーズ法とかいっても形だけで、夫が分娩室に入れてもらえるのは最後の15分程度で、有名無実のようなもんだとか。もっとも日本だと、出産前に夫が頑張ってラマーズ法を習得したところで、いざ出産の時に忙しい仕事から抜け出せるかどうかという大きな問題があるから、事実上難しいのは想像に難くないですけど。
と検討した結果、やはり一番現実的なのは、今の私たちにとって安定した環境で産めるオーストラリアかな、と。私としてはオーストラリアの技術を信頼して、「オーストラリア!」と答えたつもりだったんだけど、お医者さんはそんなことは聞いていなかったのでした。
ともあれ、プライベート保険に加入していると伝えると、「じゃ、私立病院ね」と当然のごとく私立病院選択という方向性で、あれよあれよという間に話が進んでしまいました。公立病院にお世話になる分にはほとんど国民健康保険(メディケア)でカバーされるのでコストはかからないのですが、私立病院となると全額個人負担になります。そこで、私立病院にお世話になりたい人はプライベート保険に加入することになるというわけです。しかし、余計な出費をしてまで私立病院にお世話になる必要性がどこにあるのか、私にはよくわからない。「結婚したことだし、プライベート保険も入っておいた方がいいかな」程度の理由で、加入しただけのことです。つまり、私立病院と公立病院の違いなんか、国民保険でカバーされるかどうかということしか知らないわけです。この一般医に確認しておくべきだったのですが、なんせこっちは「妊娠と認めます」と言われた時点で二人とも舞い上がっているので、冷静に聞いてらんない。なぜ私立病院を勧めるのか?という根本的な質問するのさえ忘れてました。
とにかくこの一般医の説明によれば、どうやら私立病院で出産する場合は、産月まで毎月一度個人医院の産科(Obstetrician)に診断してもらうのが普通のパターンらしいです。で、「今すぐ産科の予約を済ませること」という。なんでもこの付近では産科が不足しており、妊娠が発覚した時点ですぐに予約しても「もういっぱいです」と断わられるんだそうです。近所の産科数軒分の電話番号を教えてくれて、「家に帰ったらすぐに電話しまくりなさい」と指示されました。
5週間めで発覚する人もそう多くはいないだろうし、まさか今から予約いっぱいなんてありうるんだろうか?と不審がりつつ、電話してみたら、やっぱり最初の2軒は「もう2月は予約がいっぱい」と断わられました。3軒めでようやくOKが出ましたが、初診は10週め以降からになるとのことで、7月中旬に予約をとりました。しかし、不思議ですよね〜。なんで今から2月の予約がいっぱいになるんだろう?「もしかして皆、妊娠する前から産科予約してんじゃないの?」と疑いたくなります。
そして、この産科からも「私立病院で産むつもりなら、至急病院の予約をとりなさい」と、これまた急かされたわけです。本来なら産科経由で私立病院をアレンジするのだが、初診日まで待っていたら私立病院の予約がいっぱいになっちゃうから、今すぐ自分で電話しろというのです。
ここでハタと気付いたのですが、確かにプライベート保険には入ってるんだけど、加入したのは先月だから、あと9ヵ月は「ウェイディング期間」なんです。ウェイティング期間というのは、保険加入してからある一定期間は保険が効かない待ち期間のことを言うのですが、産科に関しては加入後9ヵ月から保険が効くようになるんですね。指折り計算してみましたが、どう計算しても出産予定日までほんの1〜2週間ほど足りない。遅めに出てきてくれれば、ギリギリ保険でカバーできるタイミングなのですが、早産だってするかもしれないのにリスク負ってまでわざわざ私立病院で産むこともなかろうってことで、公立病院作戦に切り替えることにしました。
もう一度、予約を入れた産科に電話して、「やっぱり公立病院で産みたいんですけど・・」というと、「それなら16週間までは予約できないから、今病院に焦って電話しなくていいよ」と言われました。なーんだ。公立病院はメチャ混んでて、長蛇のウェイティングリスト
なんて言われているけど、産科に関してはそんなに混んでないんだ。そりゃ産気付いてる妊婦を前に「来月まで待ちなさい」とは言えないもんなあ。
しかし、そもそも公立病院と私立病院の違いについても知らないし、産科に通うことが本当に必要なのかも疑わしいし(産科の話では産科の費用だけで1500ドル程度で、そのうち国民保険でカバーされるのは500ドルだけ)、国民保険が効かない筈の私立病院予約状況がやたら早くから満員なのも何となく不可解なので、もう一度プロに話を聞いてみたくなりました。
で、コミュニティ誌で見掛けた、「NSW Family Planning Association」という組織に電話をかけてみました。「妊娠したんですけどぉ、一般的なことだけお話し聞かせてもらいたいんですけどぉ」と言うと、さっそく医師の予約を取ってくれました。一般医の診察料は、寄付金として1回8ドル。超格安です(前回の一般医ではコンサルティング料だけで37ドル取られ、国民保険で返ってきたのは21ドルだけだった)。ついでに「通訳は必要ですか?」とも聞かれました。さすが、移民国家オーストラリア。この国の医療システムに慣れていない移民のためのサポート体制整ってますね。そりゃあ、妊娠5週間時点で35週間後の病院予約をとるために電話しまくらねばならないような環境で、すべての人が無事出産できるもんかいな?と疑問だったのですが、ちゃんとこういうコミュニティサービスがあるのね。
閑静な住宅街にある一軒屋の一室で、普段着のおばあちゃん先生が実に丁寧に質問に答えてくれました。(ちなみにオーストラリアの医師は皆普段着です。日本のお医者さんは権威の象徴みたいに白衣なんか着てますが、オーストラリアでは「患者は実験対象じゃないんだから」「人と話をするのに普段着で接するのは当然」という認識が通ってるみたいです。)
このおばあちゃん先生から聞いたことをまとめると、こーゆーことです。
『出産する場所としては、大きく分けて3つの選択肢がある。公立病院、私立病院、そして産婆さんによる自宅出産。3つめは何かトラブルが起きた場合に危険なので、初産の人には勧めない。
公立病院と私立病院との主な違いは、私立病院では医師を指定して特定の医者にいつも診てもらえるのに対して、公立病院ではその日の当直の医師が出てきて診察するという点。公立病院で産みたいのなら、すぐ近所にRoyal North Shore Hospitalがあるが、そこの産科は評判がいい。とにかく電話してみなさい。確かに公立病院はウェイティングリストがいっぱいというのは事実だが、あなたの場合はまだ6週間なのだから、初診日が3ヵ月後だろうが6ヵ月後だろうが、大きな問題ではない。焦らず心配せず、今はとにかくリラックスして過ごしなさい。
また、公立病院でも産科や産婆がいて、毎月胎児の様子などをチェックしてくれる。つまり、個人医院の産科と同じ役割が期待できるので、わざわざ産科に通う必要はない。』
というわけで、8ドルで全ての疑問は解決したのでした。この先生の言うとおり、近所の公立病院に電話してみたら、あっさり予約取れちゃいました。個人医院の産科と同様、初診は10週間めからとのことで、そのタイミングで予約入れてくれました。なーんだ。どうやらこの近所は裕福な人が多いから、「個人産院+私立病院コース」の方が「公立病院コース」よりも人気あるってことみたいです。
で、現在、個人医院の産科と公立病院と2箇所で初診受けることになっているのですが、とにかく最初は両方行ってみて、比較検討してみたいと思っています。個人産院にお世話になると当然お金は余計にかかるので、その価値があるかどうかを判断するつもりです。つまり、二股かけてるってワケです。
2人のお医者さんから共通してアドバイスされたことは、@飲酒・喫煙を控えること、AFolic Acid(葉酸)を3ヵ月まで毎朝飲むこと、B余計な心配はせず、リラックスして過ごすこと、C過度な運動は避けるべきだが、適度な運動はすること、D栄養バランスのよい食生活をすること程度で、耳新しい情報は特にありませんでした(Folic Acidは初耳だったけど)。
私はもともとお酒はほとんど飲まないのですが、煙草は吸います。といっても、1日10本程度のカワイイもんですが。便秘防止に朝2本、夕食後2本、プラス、ホームページ書いてると思わず火をつけたくなるんだな。で、煙草は本当に胎児に有害か?という議論がありますが、医学的に証明されているのは「喫煙した妊婦の場合、胎児の成長が阻害される傾向がある」ということ程度らしいですね。未熟児が産まれる確率が高くなるとか、その程度。よく脳に悪影響を与えるとか聞きますが、それも怪しい話らしい。
ちなみにラースのおかあさんは、ラースのおにいさんを6.5キロで出産し、大変なメに遭ったので(そらそーだろう)、ラースを身ごもってからガンガン喫煙しだしたそうで、それが効を奏してラースは3.5キロで産まれたそうです。知能にはとりあえず異常はないようだし(そういやちょっと記憶力悪いかも)。
それにしても、デンマーク人って赤ちゃんからしてデカイのね。だから「喫煙して子供を小さく産もう」という民間の智恵が出てくるんだろう。こんな話聞くと、「私だってそんなデカイ子産みたくないぞ、もう喫煙するしかないぞ」と思ってしまいます。それでも煙草が身体によくないことは確かでしょうから、とりあえず日々本数を減らすべく努力はしてますが、完全禁煙するほどモチベーションは強くないのよね。
他にも喫煙の胎児に対する害については諸説あるようですが、なんかどうも教条的すぎるキライがあって、まるごと信用できません。妊婦が煙草吸ってるとそれだけで「あんた、子供のこと真剣に考えてるの!」とかイチイチ周囲から非難されそうなんだもん。そんなこと言われるとアマノジャク精神がもりもり出てきて、「ほんなら喫煙してたらどんなことになるのか実験したろうじゃないの」という気になってくる。ラースなんか「禁煙して苛立つくらいなら、止めない方がいいよ」とか呑気なこと言ってますし、実際、無理やり禁煙することによる精神的な害と、喫煙による直接的害とではどっちが大きいか、立証できるんかね?という。
喫煙に限ったことではありませんが、どうも世の中の人は妊娠を一大事のようにとらえて、やれあーしちゃダメ、こうしなきゃダメと、根拠なくオーバーリアクションとりすぎてるように感じるのですが。
たとえばアロマセラピーですが、「妊娠したら一切の精油の使用は中止すること」なんて書いてある本もよくあります。その一方で、「妊婦と赤ちゃんのためのアロマセラピー」について解説した本も出ています。どうやら、妊婦と胎児に対する精油の害については、専門家の間でも意見が分かれるところのようです。が、「精油の安全性ガイド」という専門書を読むと、世間で騒ぐほどのことはないんだということが分かります。(実際に妊婦が精油によって害を受けたケースというのはほとんど見当たらない。望まない胎児を流産させることを目的に大量の精油を摂取して、本人の健康を損なった例は数あるが、そのほとんどのケースでも胎児には影響を与えず妊婦だけが害を受けている。)
どうやら「妊婦が精油を使うと危険」という認識は「せっかく身ごもった大事な命を流産させてしまってはタイヘン」という過剰保護反応から出てきた発想のような気がしてなりません。胎児を流産させるほど精油を摂取すること自体が無理な話で、先に母体がやられてるのが実態なのに。
私は今でも日々アロマセラピーを活用しています。一部の刺激が強いとされる精油は除いて、他の精油については今まで通り、あるいはモノによっては(通経作用のある精油だけ)いつもより希釈して使っています。そのうちアロマセラピー紹介コーナーで「妊婦のためのアロマ実験記録」を追加するつもりです。
ところで、今回妊娠が分かる前からラースと世界一周旅行を計画していました。8月から6週間かけて、アメリカ、デンマーク、日本と挨拶回り&里帰りを兼ねて旅する予定です。この3国には近々行かなきゃならないので、どうせ行くならバラバラ行くより、一度にまとめて世界周遊チケットを利用して行った方が安上がりだから、と決めたことです。
航空券を購入する直前になって妊娠していることが判明したのですが、だからといってこの旅行を中止しようとは一度も思いませんでした。医師にも念のため確認しましたが、「7ヵ月を過ぎたら飛行機には乗れないが、それ以前なら旅しても大丈夫。但し、余裕をもったスケジュールでリラックスして旅するように」とのこと。実践的に考えても、この機会を逸したら今度いつ日本に帰れるかも分からないわけだし、今中止する理由はどこにもないと思っていました。
ところが意外なことに「そんな妊娠3〜4ヵ月の大事な時に世界旅行するなんて!」という非難の声があちこちから飛び込んできまして、結構ビックリしました。「胎児が安定していない時期だから」「流産する可能性もあるんだから」というのですが、こっちにしてみると「それがどうした?」という。ほとんど寝言程度にしか聞えません。妊娠経験のある親や友人までそういう反応をするので、「あれれれ?」てな具合。妊娠について間違った情報が日本には行き渡っているのでしょうか?
そもそも流産というのは、その胎児が産まれてくるだけの生命力がない場合に子宮が異常を察知して流す「自然淘汰のシステム」でしょう。そりゃ、苛酷な労働や栄養不足、精神的ストレス等妊婦側の異常によって、健康な胎児を流産させてしまうケースもあるのでしょうが、逆に運動不足や栄養取りすぎが問題となっている今日、そんなケースがいくつあるのか疑問です。確かに、日本にいたら精神的ストレスはあるかもしれないけど、私のようにメチャクチャ恵まれた環境にあって流産するのなら、それはもう「この子の運命でしょ」としか思えない。「自然が判断することなんだから、人間ごときがエラそーにゴチャゴチャ言うでない」というのが私の率直な意見です。
子供のためにやりたいことを我慢するより、自分がリラックスして楽しむことによって、精神的に安定させる方が大事じゃないかと思うんですけど。旅行ったって、別に重いバックパック背負って1日50キロ歩くわけでもなし、南極探検に行くわけでもなし、ただ飛行機乗って、レンタカー借りて、自然を堪能して、友人に会って、おいしいもの食べてくるだけなんだから。
仮に旅行が原因で流産したとするなら(そんな因果関係は明らかにされようもないわけだが)、その程度で流産する子なら、家でおとなしくしてても流産するわな。そんな生命力の弱い子は現在の医療技術を駆使して産まれたところで育たないでしょう。妊娠なんて生物反応なんだから、自然に任せておけば流れるもんは流れるし、産まれてくるもんは産まれてくる筈。産まれるも産まれないもそんなの「この子の勝手」だし、もっと偉大な自然界が決めることであって、その因果関係を必要以上にこねくり回すのって、エネルギーの無駄だと思うんですけど。暴論ですか?
「あんたも年なんだし、これを逃したらまた妊娠できるか分からないんだし」とも言われるのですが、別に何が何でも子供欲しいわけでもないので、これが最後ならそれはそれでいいです。子供がない人生だって、それはそれで面白いじゃないの。なんでそんなに子供を特別視するのかね、世間の人は。
こういう周囲からの反応を見るにつけ、「なんかおかしいんじゃない?」という気がしてきます。妊娠に限ったことではなく、子育てに関しても同じで、子供に対して特別扱いしすぎるというか。まあ、昔みたいに兄弟合せて10人、そのうち3人は産まれてすぐ死にました、なんて時代じゃなくなったら、子供一人の重要度が増していることは事実なんだろうけど、あまりにも子供に関する意識・情報が偏っているように思います。それで胎教とか幼児教育とかいうケッタイなビジネスが流行ったりするんだろうけど。子供にまつわる世間の情報には、なにか異様に教条的なもの、アンバランスさを感じますね。
その結果、「救いなき寒き風景」でも書いたような現象が起きているわけで、ああいう留学生の親って妊娠した時から過剰反応してたんだろうなあとか思ってしまうわけです。
妊娠本とか育児本とかも多く出版されていますが、私はまったく読む気ないです。もし日本にいたら、片っ端から読み漁って自分なりに真実と迷信(思い込み、勘違いとも言う)を自分なりに分析することもできるでしょうが、シドニーから日本語文献取り寄せたところで限りがあるし、その限られた偏った情報に振り回されるのはゴメンです。
病院が主催するレクチャーに出席すれば、最低限必要なことは分かるでしょう。あとは自分がリラックスして、夫婦が仲良くやってりゃいいんじゃないの?という。頭であれこれ考えるより、体内感覚として「体の中で生命が育っている」という感覚を楽しみたいと思います。つわりとか腰痛とか陣痛とか、面倒臭そうなこともあるようですが、それもひっくるめて1個の生物として生殖過程をありのまま体験してみたいです。
ところで8週間めの体調ですが、全然いつもと変わりないです。よく眠れてごはんがおいしい!という。つわりも個人差あると言いますが、全然元気。そういや時々気持ち悪くなることもありますが、それって単なる食べ過ぎじゃないの?という気もするし。異常といえば、なんとなく生理の直前のような不快感が周期的に襲ってくることはあります。その度に「あれ?生理来たのかな?」と思うのですが、下着は汚れてない(^^*)。あと、突発的に「これが食べたい!」と思うことはありますね。あ、これも以前からあったんだっけ。要するに、ふだんと変わりないってことみたいですね。
ただ一つ違うことといえば、「これからファミリーが増えていくんだ」という暖かい感情。これは今まで味わったことのない別種の幸福感ですね。子供が出来ると面倒臭いこともあるけど、今まで知らなかった世界観が開けていくような、近未来に対するワクワク感はあります。日々がゆったりと流れていくというか、時間の経過のやさしさを味わうというか、うまく言えないけど効率主義的資本主義的な発想とは別の価値基準がこの世には存在しているんだ、ということを実感させられます。もっともこれは、半分は夫の愛情に支えられて起る現象なのでしょうが。
★→続編「妊娠レポート その2」もあります。
1998年07月09日:福島
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