余談ですが、これまで全部で4名の医師に妊娠中の旅行の是非について確認してきたのですが、どのお医者さんも眉ひとつ動かさず「そうですか」と受け止めます。こっちから「何か旅行中気を付けることは?」と聞かない限り、ノーコメントなんです。 日本や他国の医師が旅行についてどういうコメントを出しているのかは知りませんが、「飛行機は胎児によくない」といった説もあるそうですね。そりゃあ、飛行機なんて気圧の変化は激しいし、長時間振動に耐えるわけだから、タダでも身体にいいわきゃないと思うのですが、それが胎児にとってどの程度どのようによくないのかが分からないことには判断のしようがないですね。オーストラリアの医師がノーコメントなのは、こういう説を知らないだけなのかもしれないけど、実際外国で妊娠して、妊娠期間中に里帰りし、無事出産した人の話も結構聞いています。 これは私の仮説ですが、オーストラリアの場合、移民国家なので「妊娠がわかってから母国に里帰りする」というのは結構よくあることなんじゃないかと思うんですね。移民して間もない女性が妊娠した場合、「産まれてきちゃったら、あと何年帰れるかわからない、今帰らないでいつ帰る」という気分になるのはよく分かる。あるいは「やっぱり家族がいる母国で産みたい」と思って一時帰国するとか。だから、妊婦が飛行機に乗るケースが比較的多いんじゃないかな。 私もなぜか「飛行機乗れるのは妊娠7ヵ月まで」ということは以前から知っていました。考えてみると、シドニーの旅行会社で働いていた頃に、よく「○○さん、結局母国で出産することにしたから、7ヵ月ギリギリで会社辞めて帰国することにしたんだって」といったウワサ話の一環として小耳に挟んでいたんでしょう。もう日常生活の井戸端会議でも登場するような一般的なネタになってるようです。 一般的に妊娠中の旅行がリスキーだと言われる所以は、「万一なにかあったら」という漠たる不安があるからではないかと思います。重たい荷物を運んだり、長時間の移動で疲労したりするのは明らかにマイナスでしょう。また、万一何か異常があった時、言葉の通じない異国の病院に駆けつけるというのは、確かに不安です。そういった漠然とした不安を完璧に回避しようと思ったら、家でじっとしているのが一番ってことになりますね。 私の場合は、なんというか「そういう漠たる不安にとらわれたくない」という気持ちがあります。ちょっと街に買物に出た拍子に交通事故に遭うリスクだってあるわけで、そんなこと言ってたら、それこそ文字どおり何にも出来なくなっちゃう。不安材料は出来るだけ削除するに越したことはないけど、あくまでバランスが必要だと思うわけです。各自が専門家の意見を参考にしながら「リスキーだけどOK」という自分なりのラインを設定するしかないんでしょうね。 今回の世界旅行に関しては、私たち夫婦の中では既に揺るがし難い重要イベントと認識されているので、今更止める気はないです。もうこの旅行を計画しだした頃からそうなのですが、我々ファミリーの将来にとって何か大きな意義があるような気がするんですね。もう向こうから「呼ばれちゃってる」というか。勿論、将来の生活の場を視察し、移住可能性を推し量るというプラクティカルな目的もあるのですが、それ以上の精神的な意味合いが濃い。万一、旅行中に何かあって流産するようなことがあったとしても、それはそれでありのままに受け止めようと思っています。 |