タスマニア3000キロ爆走日記(その4)
【1月1日(月)】
→リッチモンド、ポートアーサー、イーグルホークネック
この日のドライバーはお父さん。朝から生憎の空模様のなか、まず、付近の鱒の養殖場を見学。マスたちに20セントの餌をあげる。養殖場自体は大したことないが、簡単な博物館があり、その昔いかに苦労して養殖用の魚をオーストラリアに持ってきたかが書かれていておもしろい。1年もの船旅を、ろくな冷凍施設もないままやるのである。当時の日記が抜粋されていて「○月○日、インド洋の暑さで孵化してしまった最後の稚魚が死んだ」など。往復2年の大航海を何度も何度もトライして最後に成功しているのだが、「おお、ちょっとやそっとで諦めたらあかんのだなあ」と妙に納得する。
リッチモンド
ニューノーフォークから、ホバート大橋(本当の名前はタスマン・ブリッジ)を渡り、
リッチモンド(RICHMOND)
へ抜ける。「歴史の町」(この枕言葉はこの町に限らないようだが)リッチモンドは、行ったことないので分からないが「イングランドそっくり」だそうで、由緒ある石橋と教会を見る。
クラフトショップ(工芸品屋)で、散々迷った挙げ句、皿を購入。この皿、形といい色といい、日本の角皿と言って通用するようなもので、現在に至るまで和食用に重宝してます。
ポートアーサー
リッチモンドを後にして東南に進み、
イーグルホークネック
に到着。ここで、
Lufra Country Hotel
に投宿。小綺麗なリゾートホテル。何故か部屋にテレビがなかった。
チェックインの後、有名な
ポート・アーサー・ヒトストリック・サイト
という「タスマニア版明治村」にゆく。入場料13ドルで「高い」とムッとしてしまった後では、何を見てもいちいち批判的になってしまうのだった。
昨日のホバートに続き、この日は、リッチモンド、ポート・アーサーといわゆる「観光地」然とした所を廻ったため、一般的パックツアーの「タスマニア観光」の実態を知ることが出来たとも言える。13ドルは、今考えたら別にそんな目くじら立てるほど高くはないのだけど、それまで散々雄大な自然を無料で見てきたので特にそう思えてしまうのでしょう。
なお、僕らが訪れた後、ポートアーサーは別の意味で有名になります。すなわち「無差別乱射事件」。ある日の昼下がり、食堂にぶらりと入ってきた兄ちゃんが、いきなり小銃を取り出し、目に付く人、人、手当たり次第に射殺して、さらに人質を連れて逃げ、最後は自殺したという凄まじい事件です。確か死者数は36名かそんなもんです。これを機会にオーストラリアで銃規制の大議論が起こり、厳しい規制立法が成立してます。今ポートアーサーにいったら、犠牲者の慰霊塔があると思います。
ポートアーサーの帰路、動物病院でもあるタスマニアンデビル・パークに立ち寄る。これがのんびりした所で、結構気楽に楽しめます。
夕食はホテルで摂る。
【1月2日(火)】
デビルズキッチン等→ビシーノ
朝、ホテル付近の
Tasselated Pavement(タイル舗装)
という千畳敷/鬼の洗濯岩、
Bowlhole, Tasmanian Arch, Devils Kichen
という東尋坊のような断崖を見る。
写真右、岩がタイル状にカットされているのは、方向を異にする地殻変動がそれぞれ生じたためだと解説してあった。
断崖は、息を呑みほどに底は深く、予想を遥かに越えて景観。「悪魔のキッチン」と名付けるのも頷けます。
ゴードン川クルーズやポートアーサーの経験から、「無料の場所の方が見応えがある」という経験的法則は、我々のうちではもはや揺るぎないものになりつつあるのでした。
今改めて思うと、どうもオーストラリアの場合、有料になっているのは何らかの人工的な手間がかかってる場合だけで、何の手間もかからない景観一発の場合は大抵無料ですね。ブルーマウンテンもトロッコなどが有料なだけで、見るだけだったら無料ですもんね。
進路を北に転進し、一路
ビシーノ(BICHENO)
へ。
この頃は天候が最大の関心事になりつつある。ルックアウトを求めて回り道をしたのはいいが、ボコボコの砂利道を30キロも走るハメになる。ハイウェイに出て、はっきりしない天候の下、スワン・シーの手前で、ジャパーニーズ・レストラン(KABUKI) に入る。久々のまとまった昼食であり、4ドルの白雪の熱燗、サーモンのサシミまでは良かったが、その後の弁当で、やたら油こくてしつこい”テンピュラ”(店の人はこう発音した)地獄に捉えられて約1名脱落(後遺症1日)。
スパイキーブリッジをチラリと見物した後、さらに北進し、ビシーノ到着。
Greenlawn Cottage
という、一軒家にチェックイン(といってもホスト不在の為、単にドアを開けて入っただけだが)。
ウーズのコテージとは違って、新築らしいやや現代的な造りの建物。暖炉あり。
壁一面の窓から庭の向こうの牧草地が一望出来、羊の集団が目の前で歩いている。途中、羊が5頭ほど柵を出てしまうというハプニングにお父さんは「にわか羊飼いの少年」に。
夕刻、5キロ程北にあるビシーノの町に買い物に出掛け、町中シラミ潰しをして、海辺のルックアウトを見つけ、岩のてっぺんで景観を眺める。小さな魚屋を見つけてロブスターと地元の魚(トラベリ=日本でいえばシマアジ)を買う。スーパーと定番のボトルショップで買物をしたあと、自炊する。暖炉でジャガイモを焼く。
【1月3日(水)】
ビシーノ逗留、付近散策
「今日こそは」という願望も虚しく、曇天が続く。曇天の下、羊の一群はせっせと出勤し、場所を変えて行列して歩く。出してくれるパンが温かく、美味しく、印象的。自宅で焼いているのだろう。
ビシーノ南側の半島の国立公園にゆく。8ドル払って入場したあと、しばらく走って駐車し、往復約1時間の山登りに励む(Wineglass Bay) 。「どうしてこの場所に止まっていられるの?なんで滑り落ちないの?」という巨石がボンボンと山頂まで点在している。
下山の後、さらに岬まで未舗装路を進む。帰路、Sleepy Bayに立ち寄る。磯岩に囲まれた猫の額のような浜辺には奇妙にえぐれた巨石があり、古代アボリジニーが刻みつけたかとおぼしき図形がある。コンブだらけの岩に打ちつける波頭を見る。
その足で再びビシーノの町に向かい、クラフトショップを冷やかしたあと、再びロブスターとカレイを買い、ブッチャー(肉屋)でフィレ肉を買う。昨晩よりも美味しく調理出来た。
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