今週の1枚(00.10.30)
Olympic の風景(その6/女子マラソン編)
「そういえばそんな事もありましたな」なんて、どんどん風化しつつあるオリンピックですが、まだ先月の話です。ちょっと離れた方がクールに見えるのかもしれません。
今週は、女子マラソン。
その1(聖火リレーとか開会式の街の様子など)。
その2(カヌー/カヤックの様子)
その3(バドミントンの様子)
その4(アーチェリーの様子)
その5(近代五種の様子)
スタート地点は、ハーバーブリッジを渡ったノースシドニー。
ウチの近所でもあり(といっても3キロくらい離れてるけど)、ぶらっと見に行ってきました。
同じように、近所のオージーがぶらっとやって来てました。周囲の車の駐車状況からして(特にそんなに車が溢れかえってるわけでもなかった)、ほんと歩いて来れる範囲の人々が、家族連れでのんびりやってきてるという感じでした。ただし、こちらの人の「歩いていける」範囲は広いですけど。30分くらいだったら、ニコニコ歩いてきますから。
このオリンピックを通じて、見に行った人からは「周囲は日本人ばっかり」という話をよく聞きました。日本のマスコミの報道なんかもそうでした。でもね、僕らが行った場面では日本人なんてあんまり居なかったけどなあ(テリー伊藤さんとはすれ違ったけど)。
女子マラソンは日本期待の種目、しかも、ノースシドニーは日本人が比較的多く住んでるので、それなりにやはり日本人の人も散見されました。でも、下の各写真のスナップを見ていただければわかりますあが、数でいえば地元オージーの方がずっと多いです。
女子マラソンは「沿道を日本人観客が埋め尽くした」、、、かのような話も聞きましたが、スタート地点ですらこの程度で、後半の33キロ地点では、僕の見たかぎり日本人なんか一人それらしき人がいた程度でした。
これは余談ですが、日本人というのは、同胞日本人の比率を実際よりも水増しして言う、あるいはそう見えてしまう傾向があると思います。観光旅行で、あるいは語学学校で、「日本人ばっかり」というのはよく聞くフレーズですが、これも実際よりも誇張してるケースが多いように思います。そんでもって、大体そういう人は海外土着度が低い人のような気がします。
これは推測なんだけど、おそらくその人にとっては真実そう見えるのでしょう。でも、それは、
仮説1 : その人が日本人の多く集まる特異な場所に、日本人集団の一人としていたからそう見えるのではないか。
仮説2 : 意識の上で、日本人と日本人以外を分離して見ている。英語不得手とあいまって、「日本人以外の人」は、コミュニケーションを取る対象ではなく没交渉であり、単なる風景、背景に過ぎないから意識の上でも軽んぜられる。結果、その目には日本人ばかりが浮き上がって見え、日本人一人とオーストラリア人一人が等量にカウントされていないのではないか。
仮説3 : アジア人を見たらみな日本人だと思っている。言うまでもないですが、シドニーでアジア人を見たら、中国人か韓国人、インドネシア人などと思ってた方がいいです(絶対数では彼らの方が遥かに多い)。
もっとも、「あからさまに日本人」という人はいます。こういう、明らかにわかってしまう人、シティなどには少なからずいるのですが、あれ、なんであんなに分かるんだろうなあ。どこに識別ポイントがあるのかな。歩き方とか、雰囲気とか、オーラというか、どっかしら現地に溶けてなくて、浮いてるという。何というのか、周囲をちゃんと見てないというか、どっかスクリーンの映像を見てるだけみたいに、「今自分はここにいる」という現実認識が希薄な感じ。サファリパークのライオンバスに乗ってるような感じ。よく「日本人は狙われやすい」とか言うけど、あんな浮き方してたら日本人でなくても狙われるかもね。
オリンピックに話を戻しますと、実際に日本人ばっかりだった会場もあるのでしょう。サッカーとか、柔道初日とか。でも、僕が見たマイナー(日本から見たらの話)な種目の会場だけでなく、一般的に町やオリンピックパークなどを見てても、そんなに見かけませんでした。いくら話に聞いても、「ほんとにい?」って感じで。でも、本当にそうだとしたら、日本人というのは、非常に限定された特異な地点にウンカのごとく湧いて出て、それ以外には殆ど存在感がないということになります。なんか、それって、忍者みたい(^^*)。
それはさておき、マラソンですが、「見た〜」という感じの一番しない種目でした。
そりゃ、無料で沿道で見てるだけなんだから当たり前なんですけど、観客席が組まれてるわけではないから、ちょっと前に背の高い奴(これが沢山いる)が立っただけでもう見えない。
スタート地点の各写真もわりと見えてるようですが、たまたま視界が開けたときにシャッターを押してるだけの話で実際はもっと見えないです。こういうときは、身長190くらい欲しいですねえ。
それにスタート地点というのは団子状態ですから、下の写真のように一団として目の前を通り過ぎていったらそれでおしまい。20〜30分待って、10秒足らず見えて、それで終わりという。結構ムナしいもんです。
写真上は、あっけなく終わったスタートを見終わって三々五々帰る地元の人々の図。ねえ、こうして客観的に見ても日本人なんかそんなにおらんでしょ。
場面は転じて33キロ地点。ハーバーフィールドからファイブドックにかけてです。
スタートのあと、一回家に戻って、それから車で「このへんだったら車停めて見られるだろう」という地点に行きました。
のんびりした郊外で、人々ものんびり待っておりました。
写真右端ですが、遠方の空を見てたりしました。なんでかというと、中継のヘリコプターが何機も(10機以上いたように思う)先頭集団の上空を飛んでるわけで、そのヘリコプター集団が段々近付いて来るにつれ、現在位置がわかるからです。
待つこと30分、やっと先頭集団がやってきました。車のラジオで聴いた「先頭集団3人のうち日本人2人」というのが最終情報でしたが(それもずっと中継してくれるのではなく、時々言ってくれるに過ぎない)、この地点で見た先頭集団
は二名だけでした。
右の三枚は、トップの高橋選手。
以下、山口、市橋選手ほか、各選手が通り過ぎていきました。
しかし、TVも何もないので、次に誰が来るかなんて全然分からず、また33キロ地点ともなるとやってくる間隔もだんだん開いていきます。スタート地点はあっという間に終わって物足りないのですが、後半戦になると、これはこれで大変です。なにしろ、5分くらい誰も来ないで、「もう、終わりかな〜」と思ったらまだ走ってくるという。で、沿道側としては、遅くて難儀してる人ほど「頑張れ!」て気になりますから、拍手も盛ん。途中で帰ったら悪いって気もして、30分くらい居ましたが、最後にはキリがないので帰りました。
しかし、今回のマラソンは全部知ってる道を走ってくれたので42キロという距離感が、やっと初めてわかりました。だから、いかに人間離れしてるかも、よく分かりました。なんであんなに走れるんだ?という。
写真・文/田村
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