ランギロアへの想い




    374/381 GEG00343 福島麻紀子 ランギロアへの想い
    (13) 92/06/12 00:08



          焼けつくような太陽の匂い
          そのわりに心地よい風が肌をよぎる
          小型のプロペラ機から降り立つと
          海の香りが肺の中まで入りこんでくる

          空を見上げる
          あおい
          青空という色は、こんな色だったのか
          宇宙まで続いてるって改めて認識するような青空

          海に浸る
          どこまでも透明なあお
          海というのは、こんなにも澄んでいるものだったのか
          地球を包み込んでいる存在の重さを感じる

          海中散歩
          群れをなす珊瑚礁
          えもいわれぬ美しい姿の小魚たち
          堂々と自由に体を揺るがすバラクーダ
          あどけない表情のナポレオンフィッシュ
          素早く身をひるがえすシャーク

          午後の贅沢な昼寝
          やしの木の下
          涼しい風が通りすぎていく
          『ぼとっ!』
          凄い音に目を覚ます
          すぐ近くに落ちてきた「やしの実」
          もうちょっとずれてたら私、死んでた
          そんな自由さが とても嬉しかった

          夕刻、環礁の内海と外海の海峡へ行く
          いるかの家族が戯れている
          地元の子供たちが私を招き入れる
          「ほら、イルカだよ、4頭いるよ、ほら、あそこではねた、
           あれはおとうさん、あれはこどもだよ、ほら、みてみて」
          地元の言葉なんかわからない
          だけど、私たちの会話に語学は要らない

          海中をまっかに染める夕焼け
          しだいに赤が黒へと変わっていく
          星、星、星
          宇宙にはこんなにたくさんの星があったのか
          まるで「ほくろてんてん」といった感じ
          夜空中が星だらけで 吐き気がしてくる
          宇宙が手にとるように近くに感じられた

          オーストラリアから自分のヨットで航海してるジョンに会った
          星空のもと、夜が更けるまで語り合った
          自分が生きてること
          生活すること
          夢を捨てないこと
          星光に照らされた彼の顔はひたひたと輝いていた

          眩しいばかりの朝がやってくる
          なにもかも きらきらきらきら 光ってる朝
          寝坊してたらもったいない
          早く起きて感じなくちゃ
          自然の息吹を
          地球の生気を


    初出:92年6月12日(福島)

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