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今週の一枚(2018/03/26)



Essay 870:オーストラリア就労ビザ(457改メTSS/482)ビザの詳細

〜03月18日から施行された457→TSSビザ
〜本質はあまり変わらないけど、この際詳細を

 写真は、Rocksの裏手のバス停。Load Nelsonの向かいくらい。

3月18日から457ビザがTSS(482)ビザに正式に変わった件

 この点は既に「Essay 828:457ビザを始めとするビザ改正案について」で書いておいたように、去年の段階でアナウンスされていた一連の改正作業があり、その中の一つが予定どおり施行された、というだけのことです。なにか新しいことが起きたわけではありません。


 この種のビザ速報については、移民局の中にSkilled visa newslettersというのがあり、457→482についてはその2月号で書いてあります。


 しかし、お役所の通弊でわかりにくい。「なぜ官僚の作文はわかりにくいか?」という面白いテーマがあるのですが今回は見送り、代わりにAccasiaというビザ業者さんのビザ速報コーナーを紹介しておきます。サードパーティの解説のほうが分かりやすいのは、WindowsでもAppleでも同じこと。

 そのAccasiaさんのAbolition of 457 and Introduction of Temporary Skills Shortage (TSS) Subclass 482 Visa - Frequently Asked Questionsに3月18日施行の内容が解説されています。

 詳しくはそちらをお読み下さい、、って話なんですけど、当たり前ですが全文英語です。「このくらい読みこなせないでビザとかいうのは片腹痛い、もっと精進せい!」って突き放すのもアリなんかもしれない。けれども、仮にこれがロシア語で書かれてたら?やっぱ僕でも日本語でなんか書いてほしいと思うわ。だから簡単にまとめておきます。今回はこれだけで終わっちゃいそうですね。

概略と変更点 

 法律の「施行」に関してですが、一般に法律というのは遡及効(タイムマシンで時間を遡って効力を発すること)はなくて、一定期日のBefore/Afterで決めます。料金の値上げと同じです。ビザにおいては今年の3月18日までに457ビザを申請している人は旧来どおりに進められます。関係するのは3月18日以降に申請する人だけです。

 そうなると「消費増税前のかけこみ需要」のように、何がなんでもそれまでに申請しちゃおうという人が大量にいたものと想像され、だから審査時間もかかっているかと思われます。

 変更ポイントですが、 前記のエッセイで書いたように、本質的にはそんなに変わってません。「名前が変わった(457→TSS or 482)」というのが最大の違いじゃないかなー。

 ただこの機会にあれこれ整備されているので、そこが変更ポイントにもなります。英語点がIELTS5必須とか、職業リストが減ったとか(けど、こんなの「やり方次第」でしょってのも前回書いた)。

3つのストリーム

  Short Term Stream、Medium Term Stream、Labour Agreement Streamという3つがあります。この「ストリーム」というコトバは、移民局が10年くらい前から好んで使うコトバですね(学生ビザなんかで使い始めた)。別にそんな深い意味ないです。○○コースとか、第一類型とか、そのくらいの意味です。たまには違ったコトバをつかってカッコつけたかったのかな?という程度。

 この3類型のうち、最後のレイバーアグリーメントは、オーストラリア政府と交渉して認めさせるようなビジネスの場合ですので、あんまり普通は関係ないです。残る2つですが、短期コースと長期コースです。これはビザの効力の年数が違う(2年までか4年までか)のですが、長期になるほど該当する職業リストが少ない。従来のCSOLリストとSOLリストに対応して、STSOL( Short Term Skilled Occupations List)MLTSSL(Medium and Long Term Strategic Skills List)になります。

 前にも書いたけど、このネーミングがクソですね。STSOLはまだいい。ショート・ターム(ST)のSOLだからわかりやすい。だったらミディアム・ロング・ターム(MLT)のSOLってすりゃあいいのに(てか、2つしかカテゴライズしてないんだから「ミディアム」も不要だと思うが)、意味なく「戦略的(Strategic)」とか使ってる。およそ戦略的でない法律なんか無いのにね。でも「戦略的」って言ってみたかったんだろうな。だからMLTの「SOL」ではなくここだけ「SSL」になって覚えにくい!もーねー、なんかDQNぽい、頭悪そうな印象がありますね。まあ、実際には頭が悪いんじゃなくて、「こ〜んなに変わりましたよ(政府は仕事してますよ)!」というアピール(印象操作)をしたいんでしょ?って思います。

 さて、ショートリスト(旧CSOL)は範囲が広く、ロングリスト(旧SOL)は範囲が狭いです。狭いけど、それだけ需要が逼迫している(人手不足が激しい)エリアで、それだけに厚遇。ショートの場合は、1〜2年ビザの上に、更新は国内のみで一回ぽっきり。最大4年。ロングの場合は、1〜4年で更新は無制限。だからずっとロングの482で更新を重ねてればいいんだけど、そこまで職歴がついたら(ロングリストは独立移住のリストでもあるから)、自然と永住権取れちゃうから、実際問題更新なんかする必要あるのかな?って気もしますね。

 なおRSMS(Regional Sponsored Migration Scheme)など「田舎版」「村おこし特例」が前からあって、今回もRegional Occupation List(ROL)が あり、TSSでも普通のショートリストよりも多少広くなっているようです。その意味でこれまでの457ではダメだったのが田舎行ったらOKというケースもないわけではない。しかし、実際には2年以上の労働経験(次項参照)が求められるようになったこともあり、New Regional Occupation List introduced for RSMS 187 visa で書かれているように、ビジネス学校などへの留学生にとっては難しくなった(経験年数が足りない)という点もあります。

2年間の実務経験

 ここもちょっと変わったところで、これまでは「(職業)資格証明」で良かったんですけど、今度から2年の実働経験が必要になりました。だから、こっちのビジネス学校でなんか資格を身に着けたというだけではダメで、実際に働いてないといけない。この実働の場所は、オーストラリア国内なのか国外も含むのかですが、当然国外も含むでしょう。そうでないと日本から寿司職人をスカウトしてくるってことが出来ないし、企業駐在もダメって話になりますよね。

 また、この職業経験はかなりフレキシブルに考えられているようで、その職域ズバリではなく、関連する(related)でもいいというし、学生ビザの間のパートタイムの稼働も考慮に入れるかも(may be considerd)となってます。ここは、本家の移民局の頁が詳しくて、"Work experience will be considered flexibly (フレキスブルに考えますよ)”とか、メディカルについては実習インターンシップ部分も考えますよとか書かれてます。

 このように2年の実働期間が必要ってことで、すごい変わったじゃないか!って思うかもしれないけど、なんのキャリア(職歴)もない外国人にスポンサーシップなんかすぐにはつかないですよ。リアルに考えみたら、最初インターンでもパシリバイトでも始まって、そこで真面目に勤務して、「おお、こいつは使える」と覚えがめでたくなったり、それを起点にしてコネができたりして、「そろそろ先の話もしようか」とかそういう話になって、なんだかんだ書類集めたり準備してたら(数カ月はかかる)、2年くらい経っちゃうでしょう。だから、実際問題、そんなに変わらないと思いますよ。違うとするなら、日本企業がこっちで新人社員を呼び寄せるときに多少問題あるかなって程度かな(規模が大きくなればレイバーアグリーメントで特別扱いを政府に認めさせるだろうけど)。

 あとは、RSMSもそうだけど、「イージーな抜け道」を塞いだという点はあるでしょう。はじめにスポンサーありきみたいな、「ビザだしてやるから」ってことで経験ゼロでもいけてしまうみたいなパターン。まあ、おいしい話っぽく見えるんだけど、でもうまい話には裏があるじゃないけど、スポンサーの力が強くなりすぎてブラック化するリスクもあります(セクハラされまくりとかさ)。まあ、このあたりはケースバイケースで、事例によって全然違うから一元化して論じるのは無理があります。

 ただ、実働経験2年=別にこの雇用者でなくても他にスポンサーを見つけられるだけの実力のあることを求めることは、路線としては正しいんだろうなーって思います。実力も無いくせにビザが取れてしまうことがそもそもおかしいんだから。なんの実働経験もない人に最低年収500万以上ってのも考えてみれば変なんですよね。なんか抜け道を探して、なにか一つクリアしたらそれで全部OKみたいな「ズルをしようとする人間」は、オーストラリアには要らないってことでしょ。入るなら正々堂々表門から入ってこいと。そのかわり、2年間のカウントは学生ビザのバイト経験も含めるかどうかは弾力的にみましょうってことで。

戦略的!

 逆に言えば、学生ビザの段階でも、先のことを考えたらこれで就労ビザや永住権が取れそうだとというエリア関係でバイトした方がいいってことになります。でも、最初はお金が不安だからなんでもやればいいし、やればやった分だけキャリアになるから次のバイトも探しやすい。ある程度慣れてきたら、それこそ「戦略的に」動いたほうがいいということです。

 もっとも、たかが世界の片田舎のオーストラリアのビザ「ごとき」に自分のライフ設計を左右される必要も義理もないですよ。ビザが取れそう→○○方面で稼働→自分の人生は○○方面って決めてかかることはないです。バカバカしいじゃん、それ。ビザはビザ、本業は本業って割り切ったらいいんですよ。僕も弁護士で永住権とったけど、弁護士として稼働したことは一度もないよ(日本語でメールその他で相談したことは何度もあるけど、その程度)。「それはそれ、これはこれ」です。特に、どういう人生送りたいかわからん(当然だよね)場合、海外生活も含めてあれこれ経験することが大事だと思います。それが本当の「戦略的」ってことかと思います。

 就職なんか90%以上「運」ですからね。たまたま飲み屋で鍵屋(ロックスミス)の親父さんと知り合って、ウチでバイトするかい?って話になって、やってみたら古典的な南京錠から、最新のIoTまで使ったインターネット経由のロックシステムやらなかなか奥が深い。やってみるべで働きながら習い始めて(TAFEにコースがある)、それで永住権取れたという方向だってないわけではない。ロックスミスは独立永住のロングリストに載ってますからね(実際にそれで取れた人は殆どいない〜難しいというよりもそういう人がいないのだろうけど)。

 だから何度もいうけど「戦略的」ってそういうことです。「硬直的であれ」ってことじゃないよ。逆よ。どう転んでもやっていけるようにフォーマット設定するのが「戦略」ですよ。

 あれこれやって、オーストラリアはダメだったけど、それがもとで今度はNZで働いて、それでNZで永住権取れて、それをレバリッジにしてオーストラリアに戻ってくる手もあります。NZ人だというだけではオーストラリアの永住権はもらえないけど、オーストラリアに滞在就労することは出来ますし、2017年から5年オーストラリアで働いてたらそれだけで永住権取れます(New Permanent Residence Pathway for New Zealand Citizens from 1 July 2017参照)。ただしこれはNZ国籍取らないとダメっすよ。その意味で日本国籍外す(こっそりダブルにするか)必要はあります。でも、ここでは、そういうなりゆきもあるよって話です。

 そんなことしてたら制限の45歳を過ぎてしまうという懸念もあるかしらんけど、45歳過ぎたらいい加減気づけというか、そんな国家システムがどれだけ将来を保証してくれるか?アテにすんな。もっとクレバーな人生マネジメンも必要でしょ。親の介護も秒読みになってくるでしょ。それもこれもひっくるめて、多方面に展開していくだけの広いキャンバスが欲しいです。オーストラリア永住権ゲームは、気分転換と休養と海外スキル、生活スキル、精神的肉体的タフネスの錬成、その後の人生ヒントのゲット、、などなどビザが取れなくても収穫は沢山ある。こっちで得たものをあっちで活用し、あっちでさらに向上したなにかを又こっちで応用するとか、そういうマルチフィールドをどれだけ展開できるかだと思います。

英語点

 IELTS5点以上。ただし、ショートの場合はOverall5点(プラスどの科目も4.5を下回らないこと)でよく、ロングリストの場合は全科目で5点以上、Overall5点ではダメです。

 これも「厳しくなった」とか言うけど、厳しくなったのはロングリストの場合だけです。457時代はショートもロングも同じカテゴリーでOverall5でよかったんだけど、改正後はロングリストについてだけ全科目で5以上になった。

最低年収制限

 いくつかあるんですけど、年収2200万(250,000ドル)以上だったら無条件でOK(まあ当然だろう)。これは凄すぎるのであまり参考にならない。

 一般には、Annual Market Salary Rate (AMSR=市場年収)がTSMIT (Temporary Skilled Migration Income Threshold=暫定的技術移民年収制限=現在$53,900)以上であることで、且つ申請者が両基準をクリアしてることで、、、ってわかりにくいんだけど、簡単にいえば、「同業種のオーストラリア人と同じ以上は稼いでいること」です。

 つまり「安い外国人労働者だから雇う」というのはダメだと。
 このあたり移民や就労ビザというのは、基本ビジネス界の要求によって出てくるのですが、必ずしもそれだけではない。雇用側として安くコキ使えた方がいいんだけど、それを認めてると労働力全体の質が下がるし、結果的に最低賃金などがなし崩しになり貧困化する可能性もあるのでしょう。国としては、オーストラリア労働力全体のレベルアップをはかりたいという面もあり、ここで国と財界の利害は相反する。と同時に、オーストラリア労働者からすれば、低賃金の労働者が入ってきたら自分らの職が失われるリスクがあり、且つオーストラリア人を凌駕する優秀な労働力が入ってきたらこれまた失業減給リスクがある。いずれにせよ、労働者としては入ってきてほしくない。でも、怠けすぎる労働者に媚びばっか売ってたら国もビジネスも国際競争力を失うから共倒れになる。つまり外国人労働者問題=就労・永住ビザをとりまく状況というのは、財界&国&国民(労働者)の「三つ巴」であり、三国志みたいな微妙なバランスの上に成り立っているということです。これはオーストラリアだけではなく、日本でもどこの国でもそうでしょう。

 またどんな組織、サークルでもそうです。アホばっか入ってきたら全体のレベルが下がるからよろしくない。かといって優秀なのばっか入ってきたら、既存のメンバーは相対的にどんどん立場が悪くなるので悲しい気分になるという(笑)。ま、バンドでもそうで、あまりにも優秀なメンバーばかり入ってこられたら、結局自分がクビになるだけだという。かといってヘタクソ同士が和気あいあいやってても、趣味でやるならいいんだけど、完全プロ志向だったら前に進んでいかない。難しいところですよね。


労働制限

 基本変わってないですけど、「condition 8607」というのに規律されて、
 スポンサードしてくれた雇用者のところでしか働いてはいけない
 その業務を行うについて資格や登録が必要だったらそれをなすべし
 ビザ交付 or オーストラリア入国後90日以内に業務を開始すべし
 業務が終了したら60日後にビザが消滅する

健康

 細かくいえば、457時代がcriterion 4006A条項で、TSS(482)がcriterion 4007条項に準拠するて話なんだけど、これはなにか健康の問題があるような場合の扱いです。就労はできるんだけど、なんか持病があるような場合ですね。457は、そのケア費用を雇用者が払うということでOKだったけど、TSS以降はその費用がオーストラリア社会に余計な負担を負わせないという条件(個人で保険に入ってるとか)になった。実務レベルで何がどう違うのかあんまりわからんのですが。


成人の子供

 微差ですが、扶養家族に子供がいて、親の就労(457やTSS)ビザで滞在出来ている場合、その子が23歳になったらビザの効力が切れます。23にもなったら親のビザの傘に入っとらんと、一人でなんとかせえって趣旨。これは457の場合、23過ぎてもいける場合があったんだけど、これからはナシ。


申請料の値上げ

 今まで1080ドルだったのが、ショート1150ドル、ロング(ミィディアム)2400ドルになりました。実はこれが一番の改正の狙いだったりして(笑)。


スポンサーの研修義務

 これまでトレーニング(研修)の証明をしなきゃいけなかったのが、やらなくても良くなります。そのかわり、多分導入されると言われている「Training Levy」の金を払えと(企業規模により1800ドルか1200ドル/年、永住権の場合は5000ドル/3000ドル)。

 「結局、金かよ〜」って感じね。ま、「改正」っても、そんなもんよね。


Labour Market Testing

 労働市場テストといって、オーストラリアの労働市場には求める人材はおらず、この人でなければならないという証明をしなければなりません。まあ儀式みたいなものだけど、金がかかる。457時代は、プロフェッショナルな仕事だったら例外として免除されてきたんだけど、TSSになると、そこが免除されにくくなるので、雇用者としては余計な金がかかるし、面倒臭い。

ノミネーションの条件

 その職域がリストに載ってるかどうかの判断時期について、457ビザの場合はノミネート時期&ビザ発行時期の2つに必要だが、TSSになると申請時だけでよくなった。これは数少ない朗報であり、申請して審査されてる間にリストから消えた場合、以前はサヨナラだったのが、生き残れるようになった。

 457はパートタイムでもいける場合があったが、TSSはフルタイムのみ。

 ノミネーションの期間が1、2,3,4年と明確にされている、これはレビィ(前述のトレーニング代わりの税金のようなもの)が年数に応じているのに対応してるだけだと思われる。

 ノミネーション費用負担を労使どちらが負うかは457では触れてなかったが、TSSでは雇用者が払えということになっている。レヴィと併せて雇用者には負担が重くなっている。

まとめ

 とまあ、こんな感じですか。

 総じていえば、現実問題、何をどう改正したのかよくわからないって感じです。なんか現場で変化あるの?って気もする。まあ、エリアによって4年が2年になったとか小刻みに修正されているけど、出来ないことができるようになったり、出来たことが出来なくなったりというのは意外なくらいに少ない(イージーな抜け道を塞いだくらいかな)。

 職業リストにしたって、別にビザの改正とは別に年がら年中見直しの加除修正がなされてます。また、職業リストをみてても従来の651の職業が435に圧縮されてますけど、それでも多すぎじゃないですか?そんなに人手不足なのか?と。これは要するに、職業区分が細かすぎるのですよね。自動車整備の板金と塗装は別なんだけど、でも、実際に板金だけ、塗装だけなんて業者はないでしょ。大体が事故車の修理で、一括注文でしょ。板金終わったらそのまま車乗って塗装工場に持っていって塗装だけやってもらうなんてことはない。だから板金・塗装でワンセットであり、そのどっちかがリストから落ちても、そこで務めていたら両方のスキルはあるだろうから、実質問題影響はないだろう。

 あるとしたらその業界全部消えてしまう場合ですけど、そういうことはビザの改正じゃなくても、リストの見直しでよくあるから、普遍的なリスクです。また消えてしまうくらい人手不足が解消され、業界が防衛的になってるところで職探しといっても事実上難しいから同じことでしょう。連動してる。それに加えて、独立移住に関してですが、業界によって足切り点が違います。ITなんか過当競争だから、ハイレベルの戦いになってて、リストにあればいいってもんでもない。

 それ以上細かな変更については、現実レベルにおいては、ビザ業者さんと雇用主があれこれ書類揃えるのに苦労するくらいの話でしょ。労働市場テストにしたって書類揃えだし、年収制限だって経理と税務処理になりますからね。本人がやることあんまりないのですね。

 本人レベルで大事なのは、相変わらず「よい雇用主に出会うこと」です。雇用主と良好な関係を構築すれば、「面倒臭い」実務処理もやってくれるでしょう。そこがいまいちだと、面倒くさがってやってくんない。

 では(1)良い雇用主と出会って、(2)良い関係を構築するにはどうしたら良いか?といえば、

 (1)に関しては「運」です。ただ「運」というのは多分に技術的な部分もあります。出会いに関していえば「それなりの場所」にいないと出会えないこと。ロックバンドのメンバー探しに、考古学の遺跡発掘の場所にいたって中々出会えないよ。出会いたい人が出没するエリア、ようするに業界界隈ですけど、そこに自分もうろちょろしてた方が確率は上がる。

 もう一つは手数。御神籤で大吉を引きたかったら、とりあえず沢山引けです。二回ひいいたら確率二倍、10回だったら10倍ですからね。だから手数だと。言葉を変えれば「行動力」です。運勢を良くするあれこれ(占いとかお守りとか)いろいろありますけど、人生50年以上やった実感としていえば、運=行動力だと言う気がしますね。それに勝るものはない。単純な算数としてそうだということで、単純なだけに最強。

 (2)に関しては、「ちゃんとした人」に好かれる自分であれということでしょう。人間的にも、能力的にも。ちゃんとしてない人に好かれると面倒臭いことになりがちだし、馬鹿に好かれても馬鹿が伝染るだけのことで結果はしょぼい。でもってちゃんとした人って、総じてクレバーで洞察力もあるから、誤魔化しも虚勢もきかない。だもんで実質それなりの人物に自分がなるっきゃないです。

 こう思うと、別に就労ビザに限った話ではないですよね。なんでも同じ。なぜってこの世の普遍の公理みたいなものだからです。普遍だからオーストラリアのビザでも通用するだけのことです。

 ならば、ビザ獲得競争をやる過程でこの普遍的な力が底上げされるかもしれないし、実際にも底上げされます。そこが得られたら、結果的にビザが取れようが取れまいが(それは時の運もあるし)、近い将来のその力に見合ったなんらかの良き現実は起きるでしょう。50円しか持ってないのに100円相当の物をゲットするのは大変だけど、100円持ってて100円のモノをゲットするのはそう難しくないですからねー。

英語試験のムラ

 もう一つ、ロングリスト(MLTSSL=独立永住権対象の数少ないエリア)に入った場合の英語点です。Overall5ではだめで、Reading,Writing, Listening, Speaking、全てについて5点以上というのは、意外とキツイです。4つあったらイッコくらい「きゃー!どっか〜ん!」って失敗するのが通例だからです。Overallだったら、他で取り返して総合で持ち直すことは可能。

 僕も最初にこっち来た時=半年留学(20週通学)でIELTS6とりましたけど、Writingなんか5ですもんね。書くの得意なんだけど、英語論文の書き方を全く知らんかったので(IELTSコースなんかとってなかったし)、このエッセイみたいに「斬新で面白いことを書いてやろう!」という馬鹿野望で書き出して時間足りなくなって自爆。そのかわり、スピーキングで7点取って、Ovarall6になりました。いちおう「弁」護士ですからね、弁は立ちますよね。おしゃべり好きだし。

 だから総じて言えば、この改正によってダメになるとしたら、英語くらいじゃないですか?それも4科目揃えるって部分がネックであると。それ以外の雇用主がどうしたというのは、TSS条件で雇用主サイドでダメになるくらいだったら、旧457時代でもダメだったと思いますよ。



文責:田村


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