逆に賛成論は、「今更そんなレベルの議論をするのか」といううんざり感が多いし、議論するだけ時間の無駄と思っているフシがある。論拠も「ほとんど全てのデーター」で、詳しくは例えばご本家であるIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)のレポートをちゃんと読め、というのに留まるケースが多い。要するに「(反対論は)まともに相手にされていない」「天動説的な扱われ方」って気がします。でもって、The Summary for Policymakers of the Working Group I contribution to the IPCC Fifth Assessment Report という、最新ホヤホヤのレポートをダウンロードして読んでみても、”Warming of the climate system is unequivocal(明瞭な)"ということで、以前と変わりがない。
ただ、その後継者のようなAndrew Boltという評論家が出てきます。彼も「なんだかなあ」って感じで、これもどこの国にもいるんですよね、こういう人。ここでも前後の文脈を無視した換骨奪胎がなされています。4分30秒あたりですが、ここではデビット氏がオーストラリアに招かれ、温暖化に懐疑的な人々から多くの質問を受け付けているのですが、そのなかで「過去15年で温暖化が緩和したり止まっている」という主張を投げかけられ、「(そんな話聞いたこと無いけど)、その情報(温暖化ストップ)ってどこで聞いたのですか?」と答えている部分を捉えて、「彼は全く何も知らないということを自ら表したのだ(revealed as a complete know-nothing)」と要約されているという。その論拠にボルト氏は自分のブログにデーターグラフを出しているのだけど、このグラフ自体どこから引っ張ってきたの?という疑問がある。なぜなら、念の為に、引用されているGISSデータをチェックしに本家のGISS Surface Temperature Analysisに行ったみたけど、そこには数々のグラフがダーッと並んでいるし、大体どれもちゃんと上がってるじゃん。
この番組でもホスト役のPaul Barry(著名なジャーナリスト)人は「やれやれ」って感じ、真剣にそれほど反論してないです。まあ、実際アラン・ジョーンズは、温暖化問題にもあまりにも事実の歪曲がひどすぎるので、メディア管理の当局(Australian Communications and Media Authority)から「事実に関しては"extra careful"であるように」と行政指導すら受けているくらいですから(でも全然守る気もないようだが)。ゆえに「ときどきパラレルワールドに迷いこんでしまったかのようだ」「彼を排除したら、我々も仕事がなくなっちゃうかもしれませんね」というコメントで終わっているという。
ほかにも色々(数十本)ありますから、英語とメディアの勉強かたがたどうぞ。ACA plays the sick trick(Episode 37, 14 October 2013)もヒドイ話で、「(ずる休みの)病欠のために簡単に診断書を書いて儲けているトンデモ医師がいる」というスクープ番組で、レポーターが隠しカメラをもって患者を装って実情をレポートするという9チャンネルのカレント・アフェアを取り上げています。
ここでは、顔をぼやかして放映された当の医師が「それは私だ!」名乗り出てきて、"I cannot tell you how pissed off I am."とお怒りです。 なぜかというと、くだんのリポーターは、「いやあ、ズル休みしたいので診断書書いてくださいよ」と言ったのではなく、職場のボスに辛く当たられて職場に行きたくないと、背を丸めてほとんど泣き出さんばかりであり、「ああ、これはヤバイな」と思って、気を楽にするためにジョークを言ったのだが、そのジョーク部分だけが放映され、いかにも虚偽の診断書を気楽に作っているかのように放映された。
”I personally have attended to a number of Suicide cases......Men in their thirties ... and then having to explain this to their wife and 4 and 6 yr old ... it’s hard !!!!!! Often a male this age is dragged in by their girlfriend who is really concerned about them and we only see the tip of the iceberg so any male stressed and bullied I take very seriously.「私(医師)はこれまで幾度も自殺してしまったケース、特に30代の男性のケースに立ち会っていますし、それをまた奥さんや4歳や6歳の子供に説明しなきゃいけない、、めっちゃくちゃハードな作業なんですよ!!この年代の男性は、彼のことを真剣に心配しているガールフレンドに引きずられるようにして診察を受けることもあります。それでも私達はまだ氷山の一角しか見えてないんです。職場でいじめられているとかストレスがあるとか訴えるこの年代の男性がきたら、それはシリアスに受け止めてやってるんです」
「それをこんな嘘八百のニュースプログラムに仕立てやがって」ということで、彼はとってもpissed off(怒り狂っている)なわけだと。もっともこの医師が嘘をついている可能性もあるのだけど、それは一部始終を隠しカメラで撮っていたのだから当該番組から提供してもらえれば簡単に検証可能です。だから番組に提供するように申し入れたけど、拒否られ、さらに親会社に申し入れたけど、これも拒否。でもって、過去にも2001年に同社の同番組は似たようなことをやって、その虚偽がバレて、フリーランスのレポーターは裁判所で罰金刑を受けている。にも関わらず、またやるか?という。なお、番組にはパート2もあってACA plays the sick trick pt 2、他のドクターも名乗りでています。
しかし、こんなこと(メディア検証)ばっかりやってるので、このMedia Watchという番組は、マードック系あたりから目の敵にされていて、ブログや掲示板などにネガキャンされてたりします。
他にもこの種のメディア検証系のサイトは沢山あります。
主としてアメリカ系が多いですけど、FactCheck(わりと評判が良いらしいけど、話題がアメリカに偏っているのでよくわからんかった)、あるいはFair、AlterNet、MEDIAWATCH、Indepedent Media Centerなどなど、沢山あるようです。
資金がないので(所持金6ドルでスタートしたとか)、National Geographicをスポンサーにつけて、だからこそ写真も残っているのですが、内容は極めて哲学的なもの。読んでないのでなんとも言えないのですが、書評などを見ると、やはり文章が良く、そして内容がいいんでしょうね。そういう気違いじみたことでもしないと自分を奪回できないような気がしたということ、またその道中の半端ないしんどさと、24時間絶えず行われ続ける自己省察。最後の方に、都会生活に戻ってきたとき、「本当の意味では未だ戻ってきないのかもしれない、おそらくは永遠に」(2分13秒)、「安全と自由との絶えざる緊張関係(tention between being safe and being free)」「安全であるためにいかに自由を自ら犠牲にしなければならないか」「しかし、ときとしてそれらを解放させてやらないとならない、恐怖によって人生を縛られないようにするためにも」などの言葉が印象的です。これらの言葉は、意味不明な人にはイミフなままでしょうが、こちらにワーホリ、ラウンドしてきた人には直感的に何を言っているのか分かるんじゃないかな。
SafecastというNPO団体(Safecast(日本語版))のボナーさんは、原発事故発生後にデーターが全然ないことに愕然とし、「じゃあ自分らで作ってしまえばいい」ということで短期間に作ってしまい、事故1週間後にはもう測定に入っている。特に印象深かったのは、”Because Safecast is a very lean, scrappy, punk-rock organization to some extent, we were able to move really fast and just get things done,” (「Safecastが寄せ集めのパンクロックな集団であったがために、迅速に行動して成果を出すことができた」)という下りです。そして「彼らはすぐに独自のオープンソースハードウェアとソフトウェアのプラットフォームの開発に乗り出した。GPS装置を搭載し、車や自転車リュックサックに装着可能で、5秒毎に数値を測るカウンターをデザインしたのだ。ソフトウェアの面ではカウンターによって集められたデータをsafecast.orgを通してアップロードでき、マップ上で誰もが見られるデータとして公開するプラットフォームを作った。またSafecastのiOSアプリ経由で、1200万箇所を越えるデータを基に、現在地の放射線量を知ることもできる(紹介記事の原文)」。
それよりも音楽が気に入って、Alex Wurmanって人の作品なんだけど、最後に流れる"You're my faborite"というこの曲が秀逸。特にサビもオチもないピアノのフレーズで、イントロだけで終わってしまうような起承転結の無さ(一応あるけど)がいい。鳴ってるだけで、すっと「入ってこられて」「持っていかれる」感があって、それが好きです。
この曲に、見惚れてしまうようなようなイラストを誰かがくっつけている映像です。これ誰が描いたのかな。"Space Tree Wallpaper"で検索すると分かるよとか書かれているのだけど、わからなくて、でも、iPhone5のwallpaperにはなっているようです。
曲想と絵が合っていて、オーストラリア(でなくても良いのだが)のド田舎を旅行した時の空間感・時間感が甦ってきます。「結局ココからやって来て、ココに還っていくんだろ」っていうところに連れて行かれる。冒頭で述べた超大事な「自分って何?」という "Who am I?" よりも根源的な "What am I" 的なところ。