このコンテンツは、1990年代に中高生留学を調べていた時に作成したものです。以後、全く更新しておりませんので10年以上古いコンテンツです。今後も更新する予定はありません。
したがって、リアルタイムにこのとおりである保証はないし、それどころかまず「違う」と思ってください。
「古文書」的な意味しかないので、バッサリ全部削除しようとしましたが、敢えて残しておきます。
かなり詳しく調べましたので、現在においても尚も「参考」としての資料価値があるからです。
いわゆるハウツーマニュアルとしては無価値ですが、ものの考え方、システムの成り立ち方という原理部分、あるいは日本人的に盲点になるような部分などは、そう変わるわけもないし、今でも十分通用します。ご自身であれこれ考えたり、調べたりする参考にはなると思います。
APLAC/STUDY IN AUSTRALIA 4-1
第4章 留学プランの具体化
留学プランを具体化する前に、「留学前に注意すべきチェックポイント」をここで繰り返します。
@心の準備−−本人が明確な留学目的と学習に対する意欲を持ち、家族もそれをよく理解し、協力する体制があること。
A情報収集−−事前に現地の情報を詳細にわたって収集し、納得した上で留学を決断すること。
B環境選択−−本人の目的、性格、進路に合った学校、滞在先を厳選すること。
以上3点が留学前にチェックしておくべき「留学を成功させる3つの鍵」といえます。@については本人と家族間で解決すべきことですが、A、Bとなると、どうしても留学斡旋業者の力を借りずに行うことは困難です。
そこで、留学プランを具体化する際に必要となる、「留学斡旋業者の選び方」そして「学校の選び方」をお伝えしましょう。同時に「留学費用」について、ご説明します。
※「いっそのこと業者を通さず、自力で編入手続きをやってみようか」というチャレンジ精神旺盛な方のために、「個人でやる留学手続きコーナー」を第5章に加えました。
1.留学斡旋業者の選び方
留学斡旋業者を選ぶ際には費用だけでなく、そのサービスの内容や質、現地の教育に関する知識などを目安としてください。留学について知り尽くし、非常に木目細かいサービスを提供している業者も多くありますが、残念なことに現地の先生方や留学生からは無責任な業者へのクレームも多く聞かれます。
業者を選択する際、判断に基準となるチェックポイントを、この冊子のはじめに「オーストラリア中・高校留学についての”まことしやかな”情報」として列挙しました。正解については、関連する各章の本文中で説明したつもりですが、再度確認の意味をこめて、どこがどのように事実と異なるのか、まとめて説明しましょう。
オーストラリア中・高校留学についての
「まことしやかな」情報
− 正 解 − |
■親権者代理人(カウンセラー)責任範囲チェックポイント■
*留学生、学校、滞在先への定期的な連絡
*父兄面談への代理出席
*成績票や学校側からのコメント・連絡の翻訳と、保護者への通知
*問題が起きた際の緊急対処と、保護者・学校との連絡の仲介
*予防接種や修学旅行等の許可連絡の仲介
*日本の教科書配布(義務教育期間内)や日本語学習についてのアドバイス
*パスポート、ビザ、健康保険等の更新手続き
*学校への授業料等の支払い手続き(滞納すると退学の対象となる)
*環境に合わなかった場合の、転校やホームステイ変更手続き
*学期間休暇中の滞在先手配
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●オーストラリアの学校では成績が悪くても、不登校児でも、受け入れられる?!
ある程度日本の学校で問題があっても、意欲されあれば受け入れてくれる学校があることは事実です。ここで注意して欲しいのは、「受け入れてくれるのは、学校なのか、業者なのか?」ということです。業者が不登校や暴力など日本であった問題を受入校に報告せずに留学先の学校に編入させているケースもありますし、日本の在学校からの成績証明を捏造しているケースすら見受けられます。学生は業者ではなく、学校に受け入れてもらうべきですが、こういったケースはいわば「問題のある学生を受け入れているのは、学校ではなく業者にすぎない」ということになります。ところが、その受け入れた業者が無責任だった場合、学校側がその学生の面倒を見なければならず、「こんなことなら、もう二度と業者は使わない」とか「もう留学生受入はやめた」と残念な結論に至った学校もかなりあります。
確かに、日本の学校では思うように成績が伸びなかった学生が、オーストラリアに来てからめきめきと成長したケースはありますし、不登校で悩んでいた学生も楽しく通学しているケースもあります。しかし、それは「日本では駄目だったけど、オーストラリアでならうまくいく理由」があったからこそなのです。人間、異常が生じるのは何がしか問題があるからで、その問題には原因があるからで、その原因から逃げてもなんら問題解決にはならないのです。例えば、家庭環境に問題があって不登校になっている学生の場合、オーストラリアに来たからといって不登校癖が治るというわけにはいきません。家族と離れることで余計に精神的に不安定になり、学校を欠席すると寮長にバレるからと寮は出るものの一日じゅう町をふらついていた、といったケースもあります。コミュニケーションの不自由な異文化の中で、日本で抱えていた問題・傷口を更に大きくして途中帰国せざるをえなかった学生もかなりいます。「環境さえ変えれば問題が解決する」ということは決してないのです。
オーストラリアの教育制度は日本に比べれば寛容ですし、選択肢の幅も広く、個性を尊重した教育がなされているとは思います。日本でうまくいかなくても、その原因が単純に日本の教育環境に馴染めなかったことだけなのであれば、オーストラリア留学を契機に挽回のチャンスはいくらでもあると思ってよいでしょう。
成績の悪さや不登校を理由に留学を諦める必要は全くありません。しかし、「オーストラリア留学は万能だ」とは決して思わないでください。日本でうまくいっていない原因をよく把握し、本当にオーストラリア留学が最善の道なのかどうかをよく検討した上で、留学を決めてください。「どんな問題のある子もオーストラリアでは受け入れる」というわけではありません。信頼できる業者のカウンセラーに現在抱えている問題を開示すれば、ぴったり合った環境探しを手伝ってくれるなり、留学そのものを延期するなど、的確なアドバイスをしてくれるでしょう。
●通常は試験を受けなければ編入学許可されないが、当業者には特別なコネクションがあるので、当業者が仲介すれば面接のみで簡単に編入学できる?!
オーストラリアの学校では留学生受入基準が学校によって異なります。試験を受けなければ編入学許可しない学校、面接のみでわりと簡単に受け入れてくれる学校等、様々な編入学許可基準を持った学校があるだけのことです。一部、特定の学校のリクルーティングを特定の業者が一手に引き受けているケースもありますが、通常は業者が「面接のみで編入できます」と勧める学校は、本人が直接申し込んでも同じ手続きで編入できるはずです。逆に言えば、「当業者が仲介すれば面接だけでOK」という業者は試験・審査のある学校を選択肢から外していると判断できます。
また、編入手続きに際して、本人(親)からの申込のみ受け入れ、エージェント(業者)からの申込には一切応じないという学校もあります。勿論、自力で編入手続きできる方ばかりではりませんので、業者を利用するメリットも大きいのは事実ですが、同時に業者を利用することによって実は留学先の選択肢を狭めているのだということも、知っておくべきでしょう。
●ESL(英語を母語としない学生のための英語クラス)付設の学校なら、すぐに英語力が伸びる?!
外国語を習得した経験のある方ならお分かりとは思いますが、そもそも「語学力がすぐ伸びる」なんてことはありえません。いくら覚えが早いと言われる中・高校生でも、学校生活を無理なくこなせる英語力がつくまでには、個人差もありますが、1年〜1年半くらいかかります。
但し、効率的な習得方法というものは、あるように思えます。多民族国家のオーストラリアでは英語が共通語であるため、外国語としての英語教育には長い歴史がありますから、効率的な英語学習技術にかけては世界でも研究が進んでいると言われてます。その一例が学校内に付設されたESLです。ESL専任の教師育成も進んでいますし、確かにESLでの学習は留学生にとってもメリットが大きいでしょう。しかし、ESLの英語教育が万全かというと、やや疑問が残ります。その理由は第3章で詳しく述べましたが、他にもインテンシブスクールなど望ましい英語教育の場があります。ESL付設だけを条件に学校選びをせず、各自に合った方法で英語力養成機関を選択すべきでしょう。
●学校が請求するデポジットとは、「返還されない寄付金」のようなものである?!
これも学校によって異なります。デポジットとは本来の意味では「預り金」であり、留学中に留学生が発生させた弁済金に充てるために事前に徴収しておくものです。しかし、学校によって、このデポジットの定義が異なります。
@本来の意味での「預り金」。留学修了時に弁済金に充てる必要がなければ全額返還されるもの。
A表向きは「預り金」で返還可能。しかし、留学終了時に任意で「寄付金」として学校に寄付することもできる。
Bまったくの「寄付金」であり、返還されない。
*学校によっては上記のうち、複数のデポジットが存在する場合もあります。
上記のように、デポジットには返還されるものと返還されないものがありますので、「デポジット」の意味を事前によく確認しておきましょう。
●留学期間に学んだことは、日本では単位として認められない?!
正確には「日本で単位として認められることは実際上あまりない」ということです。留学中の単位認定については日本側の学校長の裁量に任された形になっています。もし、留学の際に日本の高校に籍を置いておき、留学中の学習について報告すること等を条件に学校長が単位認定を保証してくれるのであれば、まったく問題はありません。但し、日本の高校での単位認定が価値を持つのは、日本の大学に普通受験しようと考えている場合だけでしょう。
また、世界共通の高校修了を証明する単位とみなされているIBディプロマを履修することで、日本の高校卒業と同じように普通受験の権利を認めている日本の大学もあります。IBディプロマコースはオーストラリアでも一部の高校で履修することができます。
…・・・以上のような情報を分かりやすく説明してくれるかどうかで、信頼に足る業者かどうかの判定は可能になるでしょう。
最初に留学斡旋業者選びを誤ると、学校選びの段階で大きなミスを犯す可能性が高くなります。通常、留学斡旋業者は学校に対して留学生を紹介すると同時に、紹介料として授業料の10〜15%にあたるリベートを受け取っています。リベートを紹介者に支払わない方針の学校もありますが、業者側としてはどうしてもリベートを支払ってくれる学校を紹介したくなるものです。依頼した業者から1校しか候補となる受入校の名前が挙がってこない場合には、「他にはどんな学校があるのか」「どうしてその学校が私にぴったりなのか」を説明してもらいましょう。
何についてでも「現地のことはよくわからないから」と諦めてしまわないことが大切です。疑問に思うこと、納得できないことは、問題意識をもって突っ込んだ質問をしてみましょう。あなたの質問に対して、正直に、正確に、分かりやすく答えてくれていると感じられたなら、その業者は信頼に値することと思います。
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