このコンテンツは、1990年代に中高生留学を調べていた時に作成したものです。以後、全く更新しておりませんので10年以上古いコンテンツです。今後も更新する予定はありません。

したがって、リアルタイムにこのとおりである保証はないし、それどころかまず「違う」と思ってください。

「古文書」的な意味しかないので、バッサリ全部削除しようとしましたが、敢えて残しておきます。
かなり詳しく調べましたので、現在においても尚も「参考」としての資料価値があるからです。
 いわゆるハウツーマニュアルとしては無価値ですが、ものの考え方、システムの成り立ち方という原理部分、あるいは日本人的に盲点になるような部分などは、そう変わるわけもないし、今でも十分通用します。ご自身であれこれ考えたり、調べたりする参考にはなると思います。




APLAC/STUDY IN AUSTRALIA 3-5

第3章 オーストラリア留学生活の実態(5)

3−5.充実した留学生活のためのヒント


(1)カルチャーショック・ホームシックを乗り切る

     母語の通じない、まったくの異文化の中に身を置けば、どんなに環境適応力のある人でもカルチャーショックやホームシックになることがあります。そんな時、どう対応したらよいのか。解決方法は人それぞれですが、ここでは「こんなこともあるのだ」という一般知識として覚えておいてください。

    ●カルチャーショック

       カルチャーショックとは、単に自国文化との差異に驚くばかりでなく、その差異が「どうしても許せないもの」として新しい環境への適応を阻害し、「何がなんでも日本に帰りたい」といった状態になることです。要因は文化の違いによる価値観や生理的感覚のギャップから生じます。たとえば、一般に日本人は清潔感に関しては繊細なようで、「コーラを回し飲みするのはイヤ」「靴のまま部屋にあがるのはイヤ」などといった生理的な嫌悪感からカルチャーショック症状を起こす人もいます。また、公衆の面前でキスされる、抱きしめられるといったスキンシップ感覚のズレも、カルチャーショックの原因となりえます。

       もし、あなたがカルチャーショックを感じたら、まずは「ここは外国なんだ。自分の価値観・常識と違うことがあって当然なんだ。そして外国とはいえ目の前にいる人は自分と同じかけがえのない人間なのだ。自分は納得できなくとも、そういう文化が存在することは事実なのだ」と事実として認識することが大切です。異文化がそこに存在することを認められれば、生理的に受け付けなかったものに対しても安心感を持てるようになるでしょう。
       どうしてもカルチャーショックに耐えられなければ、留学を途中で切り上げて帰国することも致し方ありませんが、それは最終手段。できるだけカルチャーショックを自力で乗り越えるよう努力しましょう。異文化を理解し、認める・・・これが留学の神髄であり、醍醐味でもあるのですから。

    ●ホームシック

       意欲・食欲がなくなる、孤独感に襲われる、日本にどうしても帰りたくなる・・・これらはホームシックの典型的な症状です。通常の病気と同じように、初期症状において発見するのは難しいものですが、「早期発見、早期治療」に越したことはありません。ホームシックは目に見える病気とは違うので、特に治療法というものはありませんが、とにかく「私はホームシックなんだな」と自覚することが大切です。なんとなく気力が起きなかったり、なんとなく体調が悪かったりしたら、「もしかしたらホームシックなのかな?」と自問してみましょう。なかには自分がホームシックになるなんて認めたくない人もいるでしょう。しかし、こういった経験は海外生活をした人なら誰にでもあるもので、むしろ自然な現象です。事実を否認すればするほど、自分自身を苦しめることになります。できるだけ早期に自覚し、回復に向けて意識的に努力しましょう。

       ホストファミリーや寮長・寮母さんにもその旨話し、必要があれば日本のご両親や友達と国際電話で話をするのもいいでしょう。最も効果的なのは、現地で楽しいことを探すよう努力すること、現地に何でも話せる友達(ホストファミリー)を作ることです。あまり精神的に無理をせず、長い目でホームシックと付き合うことが大切です。多少の波があるかもしれませんが、そのうち自然と直ってしまうものですから、あまり深刻にならず楽観的に受け止めましょう。

(2)親同伴生活のすすめ

    少しでも早く現地の生活に馴染ませるため、そして留学直後のホームシック、カルチャーショックを少しでも和らげるために、最初の2〜3ヶ月間、ご家族が現地に同居することをお勧めします。日本とは全く違う学校生活に慣れるだけでも大変なのに、生活そのものまで親元から離れた未知の世界から始めるのは、思春期の子供にとって大変な負担となります。もちろん、ご家族が現地にいても海外生活経験のある人がいなければ、生活そのもので苦労することでしょうが、それでも10代の子供一人よりはずっと心強いでしょうし、親御さんにしても子供さんの学習環境を知っておくことは先々考えると決して損ではないはずです。

    尚、留学生の親御さんが現地で生活される場合には、3ヶ月までならふつうの短期滞在観光ビザで問題ありませんし、6ヶ月まで継続して滞在できる長期滞在者用ビザもあります。また、未成年の学生の保護者用ビザもあり、3ヵ月までなら語学学校にも通えますし、11ヵ月ごとにオーストラリアを出国すれば、最長でお子さんの留学終了まで滞在することができます。

    現地生活に関することは別途資料「APLAC海外生活体験マニュアルノート」がありますので、ご参照ください。

    もちろん、慣れない海外での生活ですから苦労は伴いますが、親子一緒に最初の苦労を味わうことにより、お子さんにとっていかに留学が大変なことか、親御さんの理解も深まるものと思います。

(3)”ともだちづくり”の大切さ

    親御さんが同伴生活されることも留学生にとっては大きな心の支えとなりますが、もうひとつ留学初期に大切なことは「ともだち作り」です。留学初期に何でも相談できる仲のよい友達を作れるかどうかで、留学の成否がほとんど決まってしまうといっても過言ではないでしょう。年齢に関わらず一人ぼっちは本当に辛いものです。ただでもホームシックやカルチャーショックにかかりやすい状態でいるところに、友達の一人もいないのでは、初心を忘れて後ろ向きになってしまうのも無理はありません。そこで、まずは留学初期のまだ不安半分、期待半分でわくわくしている時期に友達を作ってしまいましょう。
    現地で友達を作るには、積極的な態度が必要です。黙っていたのでは誰も近づいてきません。こちらから積極的に自己紹介し、皆に馴染んでいくよう努力しましょう。もちろん、合う/合わないはありますから、好きになれないクラスメイトと無理して付き合う必要はないのですが、知り合いを増やしていけば、その中から心を許せる親友が見つかる可能性も高くなるはずです。

■コラム:日本人留学生がいるメリット■

学校選びの際によく、「日本人留学生が誰もいないところがいい」というリクエストを聞きます。日本人同志で常に固まって行動していたのでは、折角留学した意味がないとの懸念があるためでしょう。確かに、日本人の多い学校はそういったデメリットがあるかもしれません。が、他の日本人留学生がいることのメリットも忘れないでください。何週間かの短期留学、しかも英語力だけが目的の場合なら、日本人のいない環境の方が適しているかもしれません。しかし、長期留学に臨む場合には、他の日本人留学生がいる環境の方がかえって望ましいことが多々あるのです。

長い留学生活の間には、時には英語ばかりの生活にうんざりして日本語を思い切り話したくなる時がありますし、そのことによって精神的に安定するものですし、同郷の留学生が頑張っている姿を見ることで、お互いに励まし合いにもなるものです。もちろん人間同士ですから、日本人留学生同士が性格的に合わないこともありますが、居て害になるということはありませんし、特に不慣れな留学初期には日本人がいるというだけで落ち着くというメリットの方が大きいものです。

(4)カウンセリングの重要性

    カウンセリングは、留学の成否を担う3本柱「事前の正確な情報収集」「本人の意欲」「本人に合った学校選び」を現地で支える重要な鍵となります。事前にどんなに努力し、完璧に準備したつもりでも、留学前には予想もつかなかった問題が現地では露呈してきます。これは情報収集の努力不足や間に入った留学斡旋業者のせいだけではなく、おいしそうに見える料理も実際食べてみなければ何とも判断しきれないのと同じことで、完全にこういった問題を避けることは不可能です。しかし、起きてしまった問題に対処する際、十分な知識と経験を持った現地在住のカウンセラーの協力があるのとないのとでは結果に大きな差異が生まれます。

      たとえば、A子さんの場合。
      彼女は16才でオーストラリアに留学しました。日本の学校でも成績優秀な「優等生タイプ」でしたが、そのとおり、オーストラリアの学校でもまじめに勉強し、学校の先生からの評判は上々でした。ところが留学して1学期間が終わろうとする時、受入先のホストファミリーから「身体の具合が悪いといって部屋に閉じこもったきり、1週間もまともに食べてない」という連絡がありました。学校のカウンセラーからは「おそらくはホームシックでしょう」と呑気な回答がありましたが、異例の措置として学期間休暇にカウンセラー宅に預かることにしました。ホストファミリーからの話を総合しつつ、直接本人にカウンセリングするうちに、新たな事実が判明してきました。A子さんの家庭は裕福ではありますが、家庭内不和があり、そのために彼女は「家族関係」というものが苦手だったのです。同時にA子さんは愛情に飢えていることにも気付いたカウンセラーは、親とは異なる「愛情」を彼女に注ぐことにより、A子さんはこの休暇中に徐々に明るくなっていきました。また、カウンセラーの判断で、ホームステイという環境から寮を付設した他の学校への転校を勧め、その結果、A子さんは寮生活の中で問題を乗り越え、自立していきました。このA子さんのケースでは、日本人カウンセラーが懇切丁寧なカウンセリングを行い、適切な判断を下さなければ、愛情に飢えた不安定な状態でせっかくの留学を途中断念し、帰国することになっていたでしょう。

    本当に適切なカウンセリングを実現するためには、カウンセラーは技能だけでなく、時間的にも精神的にも相当な努力が必要です。ただでも不安定な思春期の子供を異文化環境に連れてきた上で面倒を見るというのは、責任も重大ですし、大変なことなのです。本当にこれだけの責任を背負ってプロフェッショナルなカウンセリングを提供してくれるのかどうか、業者を選定する際には十分注意しておくべきチェックポイントといえるでしょう。実際には事前にチェックしきれないのが辛いところですが、依頼した業者のカウンセリングが適切でないと判断した場合には、他のカウンセラーを探すことをお勧めします。


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