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インターネットについて(その2)
1997年当時のインターネットの状況(2)
昨年の12月5日付で書いたインターネットについてに引き続いて、「インターネットについて(その2)」です。
いきなり訂正があります。「その1」の冒頭、『インターネットを始めて約1年が経過しましたが』と書いてありますのは僕のカン違いでした。今現在(97年4月)こそが、インターネットを初めて丁度1周年になるのであって、昨年の12月時点では「8ヵ月」程度。あの時点で1周年になるのは「パソコンやり始めて」とかそんなもんだったでしょう。枝葉末節のことなので訂正もしませんでしたが。
つまりですね、パソコン始めたのが一昨年の晩秋(日本の)かそんなもんで、それから約半年間、日本語版を立ち上げ、初期不良の嵐かなんだかハードディスクの初期化すること十数回、パソコンの知識も文献もろくにないまま荒馬慣らしのように悪戦苦闘して(ここらへんは来た当初の英語習得に似てるな)ました。この間は、もっぱらワープロで生活マニュアルを書いてましたが。で、ようやくインターネット接続までこぎつけたのが昨年の4月。そのまた半年後(昨年10月)、一度は「うげ、面倒臭さ」と止めていたHTML学習を復活させてホームページ開設までこぎつけたわけですね。大体、半年単位でステップアップしてますね。
というわけで、インターネット接続1年、ホームページ開設6ヶ月ということになるわけですが、それはそれなりに思う事もあります。
一つはホームページの数の爆発的増加です。1年前はもっとスカスカというか、「ああ、マトモにボリュームある日本語読みたいなあ」というくらい、読みでのあるホームページは少なかったように記憶してます。「ホームページ作ってみました」で燃え尽きてるサイトが多かった。ところがぎっちょん(死語)、ちょっと目を離しているうちにどんどん面白いサイトが増えてきます。この1年におけるパソコンのハード技術の進歩より、ホームページの質の進歩の方が勝ってるのではないかと思われるくらいです。だけど、これ、前回(12月)にも同じようなこと言ってますね。要するに、その傾向は一貫して継続しているということでしょう。
何というか、「ホームページのためのホームページ」という段階は過ぎて、ホームページを作ることにそう大きな意義はなくて、問題はそれを使って「何を伝えるのか?」という段階に移行しているように思います。非常にイイ傾向ですが、同時に当たり前の傾向でもあるでしょう。今でもあるんでしょうけど、「うちの猫の○○で〜す」と猫の写真が出てきてそんで終わりという、ほのぼのというか、電話料金返せというサイトは相対的に減ってきて、「おお、よくぞここまで」という内容的に充実してるサイトが増えてきました。
「内容的に充実」というのも、僕の基準でありまして、何ももっともらしいエッセイやらデーターギッシリというのだけが「内容」ではなく、非常に細分化された、もうごく一部の人しか知らないようなオタク情報も当然「内容」に入ります。「オタク情報」などと表現しちゃうと、ネガティブな印象もあるのですが、ある物事について一定の深さを正確さをキープしようとすれば、どうしたってオタク的になっていくと思います。ノーベル賞を取った学術論文などは、見ようによってはオタク情報の極致でもありますし。誰だって、マイナー趣味の一つやふたつあると思いますが(一般に知名度はないけど、とても好きというミュージシャンや小説家とか)、その部分を「これでもか!」と掘り下げて展開してるサイトに出会うと、嬉しいですね。「やった!」と思いますねえ。でも、もっともっと増えて貰いたいものですし、まだまだいける筈です。
具体的には、最近そう思ったのは、そうですね、諸星大二郎という漫画家がいて、高校の頃から好きだったのですが、「知ってる人は知っている」という感じで一般に語られることも少ない作家でもあります。でも、さすがネットは広い。ありました。よくぞここまでという、諸星大二郎全データーサイト。「うひゃ〜、すげ〜」ってな感じです。好きな人はどうぞ(→行ってみる)。これ、興味のない人には全く無価値というのがイイですね。情報というのは本来そうしたものだと思うわけです。万人に役に立つ情報なんて、天気予報くらいじゃないですか?
日本ではインターネット本がウナリをあげてるそうですし、以前日本から持ってきて貰った雑誌を見ても、「これが980円?」というくらい情報満載。付録CD-ROM活用も含めて全部読むのに1年くらい掛かりそう(ほとんど広告という気もするが、どこまでが広告なのか判別つかない)。ほんでも、インターネットのサイト紹介本とかいうのがあるらしいですが、見たことないのですけど、あんまり役に立たないではなかろか?だって取材して、編集して、印刷して、本屋に並んで、あなたが読むまでの間に、あっさり状況変わっちゃうんじゃないかなあ。先週も、日経インターネットイエローページさんから、掲載メールを戴きまして、内容を確認してくださいとのことで見たのですが、確かに以前自分が登録したとおりなんですが、やっぱ数ヶ月前の自分のホームページの解説というのは、もう古色蒼然としているわけです。で、これから編集して刊行ですから、これが世に出る頃には又変わっているかもしれない。サーバーも変えて、アドレスも違ってるかもしれない。
ほんと日進月歩といいますか、誰かのページを見て、「ううむ、物足りない」「それは違うやろ」と思った奴が、次の日に新しいホームページを立ち上げたりしてますし、次から次へと進化していきます。なんか知らんけど、異常に有名なところというのは、意外と「なんで?」というくらいしょーもなかったりもしますね。もちろん、「窓の杜」のように人気と実力を兼ね備えている超強豪もおりますが、検索エンジンの「週間アクセスベスト20」とか見ると半分は「たまごっち」関連だったりして、アテになんねえなあという。かくして、ネットの現状を見るのは、自分でサーフィンして廻るしかないんじゃないでしょうか。
一方では、あまり進化とは言い難い変化をしているジャンルもあります。ひとつは総アクセスヒット数の90%を占めると思われるエッチ系です。数は増えてるし細分化もしてるのでしょうが、営業サイトが増えました。Q2系も多い。ほんでもって、自分のホームページに広告料取って、他のサイトのバナーをバシバシ貼ってるところなど雨後のタケノコのように出てきて、もう「ゼニカネの嵐」が吹き荒れてますな。ちょっと前まで、エッチ系のサイトというと、アメリカの通信品位法問題に関連して、ブルーリボンあしらったり、バックを黒くして、「表現の自由のために闘うぞ」「俺たちゃ好きでやってんだ」という、それなりに意気込みがあるサイトが多かったわけですが、もう最近はゼニカネ系が多い。
ところでエッチ系ページのヒット数は、ほんまにスゴイです。その他の非エッチ系サイトの1桁、どうかすると2桁違いますもんね。「みなさんお好きですね」というのが如実に分かって微笑ましいというか。「ホームページやってみようかな」と思ってるあなた、やってみたらお分かりかと思いますが、ほんと〜〜にアクセス数って伸びないもんです。1日3人、開設1ヶ月メールはゼロ(リンク依頼の返事とDM以外)なんて話も聞きます。
うちも年末からカウンター(隠してますけど)付けて見てますけど、おかげさんで月間30%程度の増加率で、現在ようやく平均1日50ヒット位いくかなというところです。一説によると、一日100ヒットいかないと一人前ではないとか。でも、100ヒットは容易じゃないよ、冗談じゃないよ、とも思いますね。ちょっと前まではホームページの数も少なかったからアクセスしてくれる確率も高かっただろうけど、日本語サイトだけで数十万ある現在、ちょっとやそっとじゃ見てもくれない。サーチエンジンに登録して「新着」欄にあるうちは比較的来て貰えるけど、それ過ぎたら、数百の関連サイトに埋没して、なかなか見に来てくれるものではないです。どこかのサイトの人も言っておられましたが、「いかにしてリピーターを増やすかが鍵」であると。同感です。サーチエンジンからのマグレ当たり的な来訪は、時が経過するにつれて、競合が増えるから低下していくだけですもんね。
そんななかで、1日100万ヒットの朝日新聞は別格としてもですね、1日1000ヒット単位のエッチ系サイトはスゴイわけです。まあ、カウンターなんて画像一つロードしたら1カウントとかいういい加減なカウンターもあるし、数を自分でいじくる方法(初期値を増やすとか)もあったりしてアテにならないのですが、それにしても凄い。同じホームページやってる身としては、嘆息するよな凄さですね。再び「人間って、結局、エッチさえ出来たらそれでイイわけね」という気もしますが(多分に真理という気もしますな)、自分もその一人であるわけだから文句も言えませんね。
ほんでも、こんだけヒット数が違うと、中々数字が伸びないカウンターのストレス解消に、自分でもエッチサイトやってみようかなあ、なんてふと思っちゃったりしますね。2〜3日ネットを巡ってドワワと画像をダウンしてくれば、2〜3Mb分の画像などすぐに手に入ります。あとは、手慣れたhtml技術で、扇情的なタイトルとか文章とかくっつければいいわけですね。それで、「アクセス数10万!」とかやってみたいもんですね(やってみたら結構難しかもしれませんが)。でも、やらないのは、それで10万いってもムナしいからかもしれない。エッチ系でも主張をもって堂々とやってはるところは、それなりに筋も通っているのですけど、なんかもう「手っ取り早くアクセス欲しさ」でやってるのが見えてしまうような貧しげな所もありますな。
しかしですね、それでアクセス数増やして、広告取って、バナーをボンボコ付けてるサイトってのは、正直言ってムカつきます。くだらない他人の広告画像(またこれが20KB以上する)を何枚も何枚もダウンさせおって、しかもピクセル表示指定などやることやってないから、画像が出るまで下が表示されないとかいうイライラサイト。ダイアルアップユーザーのこと考えてるのかと思うわ。このバナーをガンガンつける馬鹿野郎サイトの傾向は、どっちかというと海外の方が強かったのですが日本でも流行ってるのかしらん。「インターネットでビジネス」っつって大騒ぎした挙句そんなセコい小銭稼ぎしか思いつかんのか、と。逆効果だと思うけどなあ。
それともう一点、これはエッチ系とは直接関連しないのですが、著作権がうるさくなってるのかなあと。
アニメとか有名人の画像とか、あまり見掛けなくなりました。コミック系のサイトとしては、これは打撃やろなあと思います。前述の諸星大二郎サイトも絵はなしです。ツライわ、これ。音楽系もね。思うのですが、弁護士がこんなこと言ってはいけないのでしょうが、著作権も善し悪しだなあと。「僕はこのCDが好きです」と言って、自分が持ってるCDの表紙をスキャンしたり、歌詞をのっけたりすることって、別に全然構わないではないかと思いますね。著作権法だって私的利用の例外、引用など大幅な例外規定があるわけだし。勿論重んじなければならない部分も多分にあるのですし、著作権意識の普及に努める重要性は認めます。頑張ってるおられる方には敬意を表します。が、一方では必要以上にビビりまくってるキライもあると思う。ビジネスとか営業で、どっかのキャラクターを吸引力として使うのは論外だけど、ビジネスでもない、ごく趣味でやってるホームページに、出典明らかにして引用するのに何がイケナイのかね?と。法解釈云々を除いても、常識としてどうなんかと。
まあ、著作権は、特にインターネットは一国の法律だけで律しきれないし、万国条約もあります。政治経済的にはアメリカのメーカーの意向が物凄く強かったりもします。難しいのだけど、ずっと昔、パソコン通信でも著作権が流行って、でも実態は、自分の意見をケナされた奴が、悔し紛れにケナした奴に向って「俺の文章を勝手に引用したから著作権違反だ」みたいな、しょーもないレベルも多かったです。誤解、悪用されやすい法律だと思います。もともと、こういう知的資産をどう管理するかというのは、一片の法律でどうこうできるほど簡単なものではないのでしょう。
ちなみに、パソコンは前述の通りビギナーですが、それ以前には8年ほどボロワープロを駆使してパソコン通信の異業種交流フォーラムをやってました。その話はまたいずれするとして、そこでも、歌詞を引用したくて、直接日本音楽著作権協会に電話して問い合わせたことがあります。「僕はOKだと思うけど、駄目なら著作権法の何条にひっかるるんでしょうね」と聞いたところ、「いやあ、営業目的でなくて、私的に楽しんでる分には構わないんじゃないですか」とのことでした。ほんでも、ホストのNIFTYとしては、「慎んでください」というアナウンスをしてたように覚えてます。
なんというか、こういう部分でもひっかるのですね。法律的には違法でなくても、とにかくトラブルを避けたいから「自粛」するという態度。そら、僕も弁護士として正式に聞かれたら、「大丈夫と言って、あとでトラブルになったら責任問題だな」とは思いますもんね。安全圏内の答を、オフィシャルにはするでしょう。ほんでも、法律を遵守し、他人の権利をちゃんと守ることと、意味なくビビッたり、事勿れのために自粛しまくるというのは、本来全然別の話の筈ですわ。人々の痛みや現状を正確に理解しようともしないくせに、トラブル防止のための放送禁止用語とか、そこらへんに通じるものがあるのかなという気もして、釈然とせん部分はあります。
とかなんとか言いつつ、うちのサイトもトップページに著作権注意文を入れてますが、@営業目的ではないこと、A出典を明らかにすること、の二点さえしてくれていれば、いくらでも引用なさって結構です。なお、リンクは、書いてますとおりフリーです。あんなものは一種の出典明記に過ぎず、それまでいちいち許可必要とかするのはナンセンスだと、僕は思ってます。リンクに許可をえること(少なくとも報告すること)が「ネチケット」だと言われますが、そりゃした方が礼儀正しいし好感度高いかもしれませんが、「必要」とは思いないので異議あります。そんなこと言ってたら、公正な批判すら出来ないではないか。なんか「村社会」っぽいオキテで僕は好かんのですね。
長くなりましたので、二つに分けます。もう少し続けさせてください。
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1997年4月6日:田村