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Essay 993:止まってるけど猛烈に進んでる世界と日本

コロナによって全てが停滞しているかのように見えるけど、実は止まってるからこそ物凄い速さで物事が進展しているとも言える話


2021年06月07日
写真は、今年は秋の寒さがきついせいでしょうか、例年よりも紅葉が目立つような気がします。それも赤系の葉っぱが目立つ。いつもは紅葉なんかそんなに気にならないくらいの感じなのですけど。


   最初にお断りしておきますが、今週はあんまりまとまったことが書けそうもありません。
 ネタ的にそこまで凝集していないってこともあるけど、今パソコンを新調してデーター移管やら環境設定(復元)というウンザリするような作業をしている最中なので、あまり時間がないというのがひとつ。

 もう一点は、国境は開くのかとか、世界はどうなるのかとか、あまりにも事態が流動的で、かつ進展が早いのでまとめ切れないこともあります。なんというか、遠足のバスにみんなで乗ってて、車窓を眺めているときに、「あ、牛だ!」と叫んだときにはもう視界から流れ去っているかのようで、今なんだかんだコメントしても、数日もしたら変わっちゃいそうな。なので何を言えばいいのか?まとまらないんですよね。

 えっと、何から言おうか、、まあ、普通の雑談みたいな感じでとりとめもなくいきましょうか。


イスラエルとアメリカの希薄な存在感

 まずは、その「遠足バスの車窓」からいきましょうか。

 先週だけでも、イスラエルでネタニヤフが失脚し、アメリカでファウチが失脚しそうな流れになってます。もうこれだけでも凄いことです。

 ネタニヤフって、かれこれ十年以上イスラエルの独裁者のように頑張ってたわけですよね。それはもちろんアメリカの後押しがあってのこと、、というか、イスラエルとアメリカの場合、どっちが主人でどっちが家来かわからんという説もあります(ユダヤ系金融資本でアメリカの根幹は抑えられているという意味で)。

 ほんでも長くなると国民も飽きてくるのか、不満がたまるのか、いろんな野党が乱立して、直近2年で4回も総選挙をやってるんだけど、ネタニヤフを覆すに足りる連立与党は組めなかった、だけど首の皮一枚の差とか。そのせいもあるのか、ないのかわからんけど、イスラエルはワクチン頑張って射ちまくってたわけだし、先日のパレスチナとのドンパチもその話題そらしというか、政権が危なくなると外敵を作るの法則どおりにやったんだけど、その甲斐もなかったということです。ついにネタニヤフ派以上の議席を結集して連立野党が与党になったと。

 まあ、そうはいっても連立与党も烏合の衆であることは間違いないわけで、ネタニヤフ以上のタカ派もいれば、左派(というか平和志向)イスラエルのなかのアラブ人の政党もある。イスラエルと言っても国民全員がユダヤ人であるわけでもないのですよね。アラブ人も結構いる。

 いきなり余談になりますが、昔お世話した人が、イスラエルに旅行したことがあったそうで、その時の話を聞かせてもらいました。イスラエルが話題になるときというのは、だいたい中東戦争とかガザとかパレスチナとかいうドンパチ系ばっかりなので、なんか国土のすべてが戦場になってるかのような、埃っぽくて瓦礫ばっかのようなイメージがあるのですが、もちろんそんなことなくて、旅行してあちこち行った感想は「すごい綺麗」な国らしいです。緑も多いし。たしかに、その昔、SBS(オーストラリアのマルチカルチャル国営放送)が世界の映画をやるんだけど、イスラエルの作品をやってたのをたまたま見たことがあるのです。外国の映画、特にあまり馴染みのない国の映画は、その国の日常風景がよく見えるわけだけど、たしかに綺麗だったですよ。

 その人はイスラエルの旅先でたまたま知り合った土地のじっちゃんにあれこれ世話になったそうです。何泊も無料で泊めてもらい、朝から晩まで観光案内してもらい、飯まで食わせてもらってというVIP待遇。あまりにも申し訳ないので、「少しですけど払いますよ」と何度も申し出たけど、じーちゃんは常に静かに首を横にふるだけで頑として受け取らない。結局一銭も受け取らなかった。最後のお別れの鉄道の駅では、ホームまで来てくれて、走り去る列車に向かってずっと手を降ってくれていたという。もう「旅に出て人の情けが身に染みる」を地でいってるようないい話なんですけど、その人は、その際に「ちゃんとお礼が言えなかった」「英語が下手だとこんなにも悔しい、というか人として当然なすべきこと(ちゃんとお礼を言う)ことも出来ないのか」とガビーンとなって、こちらに英語を勉強しに来ました。それもワーホリ前にまるまる1年英語留学して上級まで上がって、それから満を持してワーホリに来たという。いい体験してるんですよね。

 その話を聞いてから、僕もイスラエルへのイメージが変わりました。なんだ年がら年中戦争ばっかやってるわけでもないのか、てか、そんなのはごく一部のことで圧倒的大部分の普通の風景が全然見えてなかったわけねと思ったもんです。

 あー、でもね、話それるけど、旅したいですよね〜。特にこのエッセイを読んでる人は、トラベル・バグついてる人が多いだろうから(トラベルバグ=「旅の虫」で、この虫に寄生されると無性に旅をしたくてたまらなくなるという)、同じように嘆息しておられると思います。あー、どっか行きてーって。ぜーんぜん知らない、なんの脈絡も関係ないところに行きたいですね。なんで私はこんなところにいるの?という絶対自由の爽快な疎外感を味わいたいです。

 そんなこと思ってるのは世界の中の数十億人がそうだと思われるところ、だんだんコロナ規制が外れるにしたがって、凄まじい旅行ブームになりそうな気がします。今は観光業死んでますし、インバウンドもゲストハウスも冬眠状態だけど、なにがなんでも生き延びたら、あとはすごいと思いますよ。過労死するくらい儲かるんじゃないかな(笑)。仕込みをするなら今のうちですよ。

 話逸れてますので、もとに戻しますと、イスラエルっつっても、まあ僕らと同じように普通の人が住んでる普通の国なんだろうなあってことです。ネタニヤフが君臨してたのも、それなりに実績も力もあったんだろうけど、でもだんだん神通力がきかなくなった。

 そのこと自体はさておき、なんでここでアメリカの存在感が全然ないのか?ですね。また、今回のパレスチナとのドンパチでは、世界中でパレスチナ支持、イスラエル非難のデモや集会が行われ、シドニーでも何度かありました。逆にイスラエル支持でパレスチナ非難という集会はあんまり無いような気がして、もう今回はイスラエル悪者という流れじゃないかな。

 これを個人的に思うに、イスラエルがどうということもあるけど、これまでのアメリカの覇権的・ジャイアン的な振る舞いにうんざりしてるという感情も底流ではあると思いますよ。そもそもなんでアメリカとかイギリスとか中東にあんなに口出しするの?イラクもそうだし、アフガンもそうだけど、なんで他人の家のドンパチに首を突っ込むの?といえば石油利権でしょう。いや世界の警察としてとか、和平のためにとか、アフガンのときはイスラム女性の人権のためにとか言ってるんだけど、だったら国家崩壊でめちゃくちゃになってるソマリアとかさ、他にもいくらでもありそうなものだけど。

 ともあれかつてのイラク湾岸戦争どころか、遡ればアラビアのロレンスの頃から、西欧(特に英米)の中東への執着はすごかった。アメリカの言うことを聞いてくれる「いい子」のサウジとは円満にやりつつ、全然言うことをきかない悪い子のイランは徹底的に悪玉扱い。悪の枢軸とか言ってましたもんね。結局は石油利権だと思うのだけど、でも、いまやシェールガスでアメリカ本国で石油が取れて、枯渇するはずの石油がだぶついて、価格維持のための必死に調整して、ここでもいう事聞かないほかの産油国(ベネズエラとか)を悪者に仕立ててとかやってたんだけど、もうそこまで中東石油に固執しなくてもいいんですかね?てか、2030年までにガソリン車を全面廃止してEV(電気自動車)にするとかいってるから。ま、石油には産業素材として意味もあるし、発電やらその他にも効用があるからなくなりはしないまでも、石油が尽きるときに人類は死に絶えるみたいな話ではない(70年代にはそう言われていたし、だからオイルショックもあった)。

 そのへんの背景はあるんでしょうけど、世界の覇者としてのアメリカのメンツや存在感の問題として、ネタニヤフが失脚しちゃっていいのか?という疑問はあります。これまでだったら、そうなる前に政敵を暗殺したり脅迫したりとかCIAとかそのへんの連中が暗躍してそうに思うのだけど、なすすべもなくって感じ。まあネタニヤフもこれで終わるかどうかわからないし、転んでもただでは起きそうもない親父なんだけど、しかしね、ここまでアメリカの存在感が軽くなったのか?というのが、ちょっと僕には衝撃でした。

ファウチと中国非難

 これまでアメリカのコロナ対策の守護神のようなファウチ博士が叩かれています。先週は、コロナウィルスは中国の武漢研究所によって作られた人工的なもので、天然モノではなく、養殖モノだという主張に、このファウチが絡んできてます。ファウチって、知らなかったんだけど、過去長い期間にわたってアメリカ医学界のドンのような存在で、政界や軍部にけっこう顔がきくらしい。えらいのね。

 で、スキャンダルは、武漢研究所でウィルス研究をするときに、ファウチが不正な出資をして絡んでいるというもので、どうも、アメリカの主流派はファウチを切り捨てるような感じです。てかファウチを前面に押し出して、コロナとウイルスの布教活動を進めるほうがいいか、それともファウチを切り捨ててでも中国非難を進めるほうがいいかという選択の問題なのかもしれないです。それもあって、前々回か、アメリカのコロナ対策の手のひら返し(マスクもいらんし、ワクチンもどうでもいいって流れ)もあるのだと。

 でもねー、このへん、ちょっと解せない部分もあるのですよ。
 何かって、本気で中国を叩きたいのかな?と、そのあたりがどうも胡散臭いんですよね。

 いや、そんなこといっても激しく叩いてるじゃないか、ウイグルの虐殺問題とか、その前は香港の人権問題とか、数日前から天安門事件を今更持ち出してあれは虐殺なのだと言ってみたりという、虐殺祭りみたいなことやってるわけで、連日連夜中国叩きのオンパレードです。でもって、不思議なのは、不正選挙とかビッグテックの腐敗とかコロナワクチン詐欺とかには熱心にアメリカを叩く陰謀論とかネトウヨ系の人も中国叩きには心を一つにして叩くのですよね。あれ、なんでなの?

 僕が不思議に思うのは、アメリカのこの種の非難とか、正義の呼びかけとかって、ここ10年以上、全然実を結んでないのですよ。典型的な「言ってるだけ」の言うだけ番長。アメリカがもっと本気で強かったときは、言わないでエグいことを実行してたよ。実行してることすら気取られないようにやってた。こんなギャンギャンいうだけ言って、でも何も出来ずってのは、本来からしたらアメリカらしくないのですよ。

 思えばトランプが大統領になったときのロシアゲート疑惑も、さんざん大騒ぎして事実無根のでっち上げなことがバレてます。その頃はあんまり興味もなかったけど、今回の不正選挙のでっち上げとか、本末転倒の糾弾というか、偽旗的なやりかた(自分で火をつけておいて、あいつが放火犯だといって罪をなすりつける)とか見てると、ロシアゲートもそうだったんだろうなって思いますよ。さかのぼれば911も、中東介入も。昔はそれが通用してたし、いうだけではなく軍隊ガンガン出してたんだけど、だんだんいうだけになってきた。軍隊出してたアフガンでも、アメリカ兵がメンタル病んで国内で訴訟とか起こされるのが嫌だからなのか、無人飛行機で2000回も市民エリアに爆撃をして、オバマなんか爆撃王とか言われてるくらいで。もう直に手を下して戦争するのがイヤというか、国内政治的に面倒臭いんでしょうけど、だんだん最初っからやる気が無いのが丸わかりみたいになってるじゃないですかね。

 マレーシア航空機が2機墜落したのも、一つは行方不明になってしまって何をしたかったのかわからんし、もう一機、ウクライナとかあのあたりで落ちたのをロシアがやったかのように言ってたのも、結局は尻すぼみになってる。ウクライナといえば、延々火をつけて燃え上がらせようとしてるんだけど、その都度プーチンにジュッと消されて、話題にもならなくなった。毒殺未遂されたというナワリヌイも、そこをテコにして事態を展開させようというメジャーメディアの目論見も虚しく大した話題にもならない。

 もーね、新曲を出しても出しても売れない悲しいバンドみたいなんですよ、僕から見てると。なんでこんなにスベり続けるのか?と。

 だもんで香港についても、あんだけ騒いで非難しても、こと実効性という点で言えば、現実に何も動かせていない。現実を動かそうと思ったら、もっと他のやり方をすべきでしょう。ミャンマーのクーデターだってキャンキャン言うけど、でもそれだけじゃん。往年のようにとっとと乗り出していって調停をするとか、火中の栗を拾うようなことはしないし、国連監視団をって話にもならない。1−2週間ひとしきり吠えたら、あとは話題にもならない。それに中国なんか、いくら口であれこれ批判しようが、屁とも思わんでしょう。「そうですね、私が間違ってました」とか口が裂けても言うわけないし、もしそんなことを期待してるなら阿呆ですわ。じゃあなんのために言ってるのか?ですよね。

 だから逆に思うのだけど、中国叩きは手段であって目的ではないんじゃないかと。
 だってファウチと中国武漢がどうのとか非難したって、中国とアメリカが共同してウィルス(兵器)研究をしていたというところまでは客観的に事実なわけでしょ。そもそもそのあたりがよくわからないんだけど、なんで仮想敵国同士で共同して研究するの?という。まあ、そこは普通に国際的な学術協力と、その成果の軍事転用とが微妙に入り乱れているじゃないかと推察はできます。アインシュタインが結果的に原爆作ったみたいに。

 ファウチのおっさんは、アメリカ国内がやかましくて生物兵器の開発がやりにくいので、あとを中国にやってもらって研究内容を教えてもらい、見返りに資金援助する、それなら話としてわかるのですよ。学者にとって最大の「資産」は研究結果でしょ。それを得るためにはどんなことでもするでしょう。日本の感染研とか分科会とかあのへんがカタクナなまでに検査を増やさず、2類指定を外さないのは、きちんとしたデーター資料がほしいからじゃないんですかね。てんでバラバラにやられてしまったら、研究の基礎となるかちっとしたデーターにならないからじゃないの?

 さらに推測をたくましくすると、ファウチ的な立場にいたら、基礎知識もろくすっぽない、学ぶ気もない、個人的なゲスな政治利用しか頭にない自国内の馬鹿な政治家どもよりは、同じ研究をして知識も問題意識も共有できる海外の研究者同士のほうが話が通じるだろうし、意気投合もするだろうというのも何となくわかる気もします。ま、いずれにせよ、医学界のみならず、政界や軍部にも影響力を持っておきたいと野望を抱くなら、それ相応の最新の研究成果は手中に収めておきたいと考えるのもわかる。

 今回のコロナが中国開発だからといって、話の筋でいえば、お前(アメリカ)もだろ?ってことでブーメランになります。共同開発なんだし。また生物兵器をばらまいたとかいっても、わざわざ自国内でばら撒く馬鹿はいないだろうし、やったところでこの程度の殺傷力だったら兵器にならないし、もし意図的にやったとしたらむしろアメリカだろ?ってことになるでしょう。だからそんなこと言ってたら藪蛇アウトなんじゃないかね。

 さらに、もし今回のウィルスが人為的な製造されたのだったら、いま定期的になぜか自然の摂理に逆らって強毒化しているヴァリアント(変異体)だって、本当に変異体なのかどうか怪しいという考えも出てきますよね。どんどん研究開発を進めて、どんどん「新製品」をばらまいているんじゃないの?という疑いも出てくる。世の中が落ち着きそうになると、あるいは落ち着いて経済再開しようとかいう国にばら撒いて話をストップさせるとか。だって、1年以上大過なくやってたのに、いきなり急増してる国とかけっこうあるんですよねー。あんなの自然に増えたと思いにくいのよね。だから人為とかそういう示唆は疑惑が疑惑を生むだけという気もしますね。

 だから、あまりこの点は騒がないほうがいいと思うんだけど(だからこそファウチも天然説を主張してた)、それでも騒ぐということは、叩いたところで蛙の面に小便の中国目的ではなく、ファウチ外し、コロナ・ワクチン教の教祖みたいな存在を追い落とすところに意味があるのかな?ファウチさえ外してしまえば、あとは状況をコントールできるってことなのかな、それでコロナに幕引きをするつもりなのかな?という見立てもありえます。実際そう(収束方向に)なりつつあるし。

 でもあからさまにそれ(ファウチ外し)をやると問題なので、形の上では中国叩きのメインテーマを当て馬として出しておいてカムフラージュしてるとか?つまり中国は悪魔のように悪いし、その中国と結託しているファウチもデビルマン的に悪いから外しましょって。

 今回も、何を今更的に天安門批判してますけど、なんかいよいよもって本当にネタ切れなんだなーという気もしますね。いい新番組が作れないから再放送でお茶を濁すというか、そんな感じ。でも、本気で叩く気はない(あっても、それ以上の実行までする気はない)のであれば、それは頷けます。枯れ木も山の賑わいで、なんだかんだ炎上まつりみたいにしてしまって。そして提灯行列みたいに、そうだそうだで囃してくれるサクラみたいな子分がいたらいいわけだけど、それはオーストラリアのモリソン首相がせっせとやってくれているし。

 あ、そんなにマジに読まないでくださいね。僕の妄想ですから(笑)。ただ絵解きをしてるとパズルみたいで面白いなって。そんなのが毎日毎週展開されていくので、なかなか朝の連ドラみたいな感じで楽しませてもらえるわけです。

下剋上恐怖症

 ただ、まあ、いつも言うことですけど、僕らアジア人の日本人にはピンとこないんだけど、西欧系の上流クラスの連中は、実はけっこうビビってるのかもしれないです。もう経済力とか科学開発力とかで中国の方が上を行ってる可能性はあるし、これにインドを加えたらもう太刀打ちできないでしょう。特に社会の基礎インフラが少なくても開発可能なIT系は、中国とインドの存在感はすごいですし、この調子なら第三世界からどんどんジョブスやビル・ゲイツみたいなのが輩出されてくるでしょう。これがね自動車とかだったら、中国もインドも未だに世界に通用する車を作れていない(韓国ですらようやくってくらいだし)わけで、先進国優位は維持できたんだろうけど、ITとかになってくると先行者利益が少ないからすぐに追いつかれて、追い抜かれる。

 国際政治的にも、西欧、特にアメリカが笛を吹いても世界のみんなが踊らなくなってる。ぽんぽこ踊ってるのはモリソンくらいなもんです。そいえば、日本もいっとき、秘密保護法やら共謀罪やらスパイ防止法やらさんざんアホ法律作らされてたけど、あれもアメリカの差し金でしょう。だって、作ったはいいけど、実際にそれが適用されたのをあまり聞いてないもんね。まるで無駄なもの作ってるんだけど、そのくらい当のアメリカの中枢部がビビってたということなんでしょう。まあ、実際、スノーデンやアサンジにさんざん暴かれて、恥かかされてたし、政治家の個人保身からいってもガチガチに固めたいってところはあったのでしょう。だから、基本、もう守りに入ってるわけですよね、彼ら老人の心情としては。

 直近のニュースですけど、インドがまた独自性を出してて、アメリカの言うとおりに踊ってくれない。ワクチンよりも普通に薬剤のほうがコロナに効くみたいですよ〜とか、「それは言わない約束でしょ」みたいなことを平気でほのめかしてるし、「インド株って言うな」と公式声明をだしてSNS各社に指示してるし、だから先週から、「インド株」の代わりに「デルタ」って名前で呼ぶようになったしね。さらにFBやインスタ、ツイッターには、インド法を遵守しないと国内での活動を認めないと通告し、先週その期限が切れたんだけど、どうなったのかな。SNS側が猶予期間の延長を申し入れたらしいけど。

 そうかと思うと、ナイジェリアがツイッターを禁止しましたNigeria suspends Twitter operations, says platform ‘undermines its corporate existence’。ナイジェリアがどうしようが、世界のビッグテック帝国は痛くも痒くもない、、のかどうか?でも、これまで頭数にも入れてもらえなかった第三世界の国々が自分の意見を言うようになった、アメリカに忖度しなくなった、それが世界に報道されるようになったということで、ナイジェリアだけの話ではなく、広がる可能性はあります。ツイッターどうこうという話ではなく、第三世界の存在感が徐々にでかくなってるという意味で。一方、企業的にいえば、先進国なんかもうどこも少子化高齢化でジジババ過疎村化してるから、商売の旨味がないです。これから爆発的に伸びていくのは、中産階級がどんどん増えていくだろう新興国であり、そこでの影響力を失うというのは営業的にかなりきついでしょう。また、そういう新興国にこれまで資金援助をやりつづけて手なづけてきたのは中国であり、その意味でも覇権は移りつつあると思うし、10年後、20年後を考えたらかなり様相は変わると思います。

 西欧人にとって世界覇権を失うのは、ルネサンスからコロンブスの大航海時代(〜植民地時代)以来です。それまでは、キリスト生誕の「東方の賢人」が出てくるように、文化水準ではオリエント(今の中東)のイスラム文化圏のほうがずっと高かった。軍事的にもそうで、何度もやってる十字軍でも成功したのは奇襲だった一回目だけで、あとは全部負けてるし。大航海時代の先駆者であり、一瞬世界の覇者となり、南米の言語を支配してるスペイン・ポルトガルでさえ、レコンキスタ(国土回復)までは対岸のアフリカ(モロッコあたり)のイスラム教徒に支配されてたわけで、その証拠に観光名所のアルハンブラ宮殿はイスラム様式だし、ローマ帝国までさかのぼっても、彼らとガチに勝負したクレオパトラ(エジプト)にせよ、ハンニバル(チュニジア)にせよ、みんな「アフリカ人」だしね。

 でも数百年もつづけば、世界は当然俺らが仕切る意識はあるでしょう。それが数百年ぶりに失われ、日々刻々と下剋上の喫水線が上がってくるのは嫌なものなのかもしれないです。以前、日本がそこまであがってきて、西欧に取って代わるくらいの存在になったときに、日本に対して向けられた悪意や蔑視はすごかったですもんね。公式訪問した日本の首相を「トランジスタのセールスマン」と公然と嘲笑し、日本車が売れるのが悔しいから路上で日本車をハンマーで叩き壊したり、ほんとそれに比べれば今の中国叩きのなんとお上品なことか。でも、そのくらい怖いんだと思いますよ、下剋上の第一陣である俺らには逆にピンとこないけど。

 僕ら日本人の利点といえば、中国が来ようが、インドが来ようが歴史的には慣れているという点です。なんつっても「唐」「天竺」ですから。西遊記の孫悟空の物語なんか、中国とインドしか出てこないんだけど、違和感ないし。

 でも彼らのなかには、馴染みがないし、訳のわからん連中に仕切られるのは我慢ならんって人もいて、そいつらが恐怖のあまりにトチ狂ってるかのようにも見えるのですよね。このあまりにも場当たり的というか、戦略性に欠けた感じは、まともにやってる風にも見えないのですよ。感情に支配されているというか。だから、逆に言えば、わざとやってるのかなー?もちろん全員ではなくごく一部なんだけど、わざと暴走させて、時計の針を進ませているんじゃないかなーという。

 ま、でも、そんな国とか権謀術数とか、個人のレベルにおいてはどうでもいいです。オーストラリアに来て、最初の頃に学ぶのが、そんな民族とか言語とか文化とか歴史とかいっても、世界中にいくつあると思ってるんだ、そんなの全部学ぶことなんか絶対不可能だし、そんなことをする必要はない。大事なのは、目の前にいる人間が、Good GuyかBad Guyかということであり、それだけだ、と。

 

止まってるけど猛烈に進んでる世界と日本

 コロナで物事が止まってるようですけど、止まってることでそれぞれの国の問題点があぶり出しのように見えてきてますよ。そして見えてきたこと=問題状況が可視化されることによって、物事は動くでしょう。

 もちろん可視化といっても、特に注意深い一部の人だけなんだろうけど、その「一部」の量がどんどん増えてきている。どっかの統計に、アメリカ人でメジャーメディアを信用しないと答えた人が半数近くだったか、過半数だったか、馬鹿にできない割合でいるそうです。今回の不正選挙から一連の動きで増えたと思いますけど。

 今のワクチンでも、ワクチンやめとこうかな〜という、英語でワクチン・ヘジタンシー(Vaccine Hesitancy)っていうんですけど、アメリカ人の4割位がそうだと。これはどっかの陰謀論サイトが言ってるのではなく、天下のNHK(皮肉だけど)が言ってることです。米 ワクチン接種ペース鈍化 接種ためらう人 否定的な人が約4割という、あんまりそういうことを言いそうにないNHKですらそう報じている。だから本当はもっと多いのかもしれない。統計をみるとアメリカの1日あたりのワクチン接種数は(7日平均で)4月13日に338万人のピークを付けたあとダダ下がりで、直近(6月4日)で100万という3分の1以下になっている。もう「ブームは去った」という感じなんですよね。それでも累積で2回射った人は41%でしかない。この調子でいけば、5−6割くらいやったところで打止めっぽいですね。

 オーストラリアの大政翼賛会的メディアでも、始まる前はワクチン肯定派が90%以上とか言ってたんだけど、蓋をあけてみたら、約30%くらいが懐疑的だったという。なので、積極的にワクチンを打ってもらうために、巨額の予算をつけて広報をするんだとか、ワクチン射つとロットー(宝くじ)に当たるとか、いじこい努力をしてたりします。

 日本の場合も、まあ似たような数字じゃないかな〜と推測されます。最初は皆で押しかけて予約殺到、即完売って売れ行きだったのに、最近では余ってきて捨ててるとか、使わないの台湾にあげるとかなんとか報じられてますしね。

 つまり、メディアが笛を吹いてもそんなに踊らない人が増えてきてるということでしょう。まあ、前からそんなもんであったのかもしれないけど、少なくともこのコロナ時代を通じて、メディアへの信頼感が逆に増強しました〜って人は少ないんじゃないかしら?どう思う?

 これは長期スパンでみると何を意味するかといえば、大衆洗脳という作業がどんどん難しくなってきているとも理解できます。昔だったら、もう少し素直に信じてたと思いますよ。だって、イラク湾岸戦争のときに自衛隊を派遣するのは国際貢献なのか、憲法に反するのかという議論があったけど、あれは壮大な茶番であって、提灯行列を増やしたいだけだろ?って意見は少なかったのを記憶してます。でも、結果的に茶番だったよね。原油まみれの水鳥写真がやらせであることが発覚し、大義名分だった「大量破壊兵器」なんてどこにも存在してなかったのも後で事実として判明している。要するに言いがかりをつけて、よその国に攻め込んで、その元首を殺してるわけで、これを個人がやればただの強盗殺人です。国際法的にいっても侵略戦争でしょう。それを「国際貢献」とかいって大真面目に議論してたわけですよね、20年以上前は。

 未だにそのレベルの人も大量にいるとは思うけど、でも、「嘘くせえな」って検証的な態度で見る人も増えているでしょう。

 また、昨今のオリンピック狂想曲ですが、だれかのコラムで書かれていた笑ったんだけど、もうこんだけ毎日のように暴れネタが満載だと、かつての横山やすし師匠みたいな存在で、これからはオリンピックのことを「オリンピック師匠」と呼ぼうと。

 開催まであと2ヶ月ありますけど、毎日のようになんかあるんでしょうねえ。楽しみです。コロナ対策とオリンピックが致命的に矛盾してるんだから、何をどうやってもどっかでボロが出るに決まってるんだけど、それを強引に押し通したり、詭弁を弄したり、毎日新しい何かが発覚したり、面白いですねー。不謹慎かもしれないけど、やってるほうがよっぽど不謹慎だろ。

 議論も全然噛み合ってなくて、前衛舞台というか、不条理劇場ですよね。安部公房かって。「危険があるのになぜやるのですか?」「それは世界の人が来るからです」「来るから危ないんでしょう」「安全で安心ですから大丈夫です」「それのどこが安全で安心なんですか」「心を込めておもてなしをするからです」「感染の危険が増えるのは事実でしょう?」「感染しても安全だから安心です」、、、、みたいな、ここはドコ、私は誰?という感じで、強烈な地場が時空間を歪ませているかのような。

 でもまあ、菅首相も、なにがなんでも五輪利権を守り抜くという条件で首相にさせてもらったんだと思うし、誰でもいいから人柱として火炙りにされる奴が首相になればいいやって感じだったと思います。IOCのバッハくんだって、私益だけであそこまで強欲一直線にやってるのではなく、背後から何本も剣をつきつけられて、絶対開催させろよ、まかり間違っても中止させたら殺すぞくらいは言われているんだとは思いますよね。

 このへんは仕事でやらされてきてる人は沢山いるでしょう。相手方の言い分はわかる、論理的にも正しいのもわかる、個人的にはむしろ賛同したいくらいだ、だけど会社の立場的にそこは絶対にYESというわけにはいかない。まかり間違って言ってしまえばクビどころでは済まないレベルで困る。だから何を言われても、阿呆なふりをして、わざとトンチンカンな受け答えをして話を前に進ませずに、うだうだやるしかないという、非常に辛い辛い役割がありますよね。

 これはオリンピックだけではなく、コロナ&ワクチンでも同じことで、本質的に論理が貫徹してないから、随所で破綻する。ワクチンでも、普通十年かかりで治験をやって安全性を確認するのが薬剤開発というものなんだけど、それを半年で済ませてしまっていいのか?といえば、いいわけないですよね。でも背に腹は代えられないからやるんだろうけど、だったらそう言えばいいんだろうけど、そう言うと炎上するから言わない。つまり「それで多少の犠牲者は出るだろうけど、トータルでいえばプラスだからやる」「大の虫を活かすために小の虫を殺しても仕方がない」と。でも「小の虫を殺してでも」という表現が微妙にやばいから、そうはいえない。だから「安全です」と言い切るしかない。ここに本質的な無理がある。

 だいたい半年で安全だったら、今まで10年かけてやってたのは何なんだ?って話になるし、10年かけてもなおも薬害が尽きないのが人体の不思議なところ、人間の科学知識の限界なのであり、その事実は受け止めるべきでしょう。安全ではないという前提から入ったほうが筋は通る。そして筋を通すのならば、それによって被害を受けた人は国が全面的に面倒を見るとするべきでしょう。ワクチンによる因果関係があるのか無いのかわからないだろうけど、そんな証明は誰にも不可能かもしれないので、ならば因果関係があるかないかを問わず基本(あからさまに因果関係がない場合=射ったあとに交通事故にあったとか=を除き)、すべて面倒を見ると。

 いずれにせよ、どんな理由であるにせよ、病で困ってる国民がいたら面倒見るのが国家の役割なんだから、別にそれほど負担が格段に増えるとも思い難いんですけど。副作用が出たとしても、比率や絶対数で言えばかなり少ないわけですから、その全員について完全に補償したところで、国家予算でいえば大したものではないでしょ?1万人に一人死ぬとして、1億人にやれば1万人ですか。一人1億円補償としても、一万人で一兆円。多いようだが、もともと五輪の経済効果が全期間で32兆円とか試算されてるわけですから、それほど巨額でもない。実際にはそういったところで全員やるもんでもないでししょうし、集団免疫的には7割くらいでいいだろうから7000億くらいっしょ。

 だったら言い切ればいいのに。だけど、どこの国も、国家財政は火の車だからか、そこになると極端にケチになるよね。これは問題だと思いますよ。なんか金の問題というよりも、あとで自分が非難されるのがすごいイヤだからって感じを受けます。今はメンタルどこも弱いからなー。政治家なんか恨まれてなんぼでしょうに。

 ともあれ、そのあたりはボカしたまま「射ちましょー」という。しかし、副作用になると(なんで副反応っていうの?英語だったら同じside effectなのに)、「そこは自己責任で」という言い方になる。

 でも、「自己責任で」って言う局面は、オススメしない場合でしょ?止めておいたほうがいいですよ、悪いこと言わないから止めておきなさいな、でもまあ強制力はないから、あなたがどうしてもやるというなら止める術はないですけど、でも、そこから先は自己責任でやってくださいね、どうなっても知りませんよって文脈ですよね。だから自己責任を言うなら、基本、ワクチンは射つなという文脈が先にこないとおかしい。それを射てといいつつ、でも結果については責任もちませんよ、死んだら自分持ちですよっていうのは、めっちゃ無責任で、だから不審に思う人が出てくる。てか普通おかしいと思うでしょ。

 それにワクチンだって、射ったけど感染したという人もいるし、変異体が出てきたら効かないという話もあるし、完全ではないですよね。完全ではないものをリスクを犯してまで射つ必要があるのか?というと、微妙な話ですよね。まあ、万能ではないけど、それでも効能がやや勝るかな〜って感じでしょうか。

 でもさ、日本だけではなく、感染が危ないですよ、私権制限をしてでも感染予防をしましょうといえば、制限をするための補償の話が出てくる。そうなると無限に払い続けられないから、短期で終わらせる必要がある。じゃあ短期で終わらせる方法はあるのか?といえば、実は「無い」でしょう?オーストラリアのように完全鎖国してたらいいのか、といえば、鎖国し続けないといけないという意味で、解決してるのではなく、単に先延ばししてるだけ、解決を困難にしてるだけ。しかも先延ばししてるコストも被害もかかるから無限に続けられない。どっかで打ち切らないといけないんだけど、そうなるとワクチンで終了ってストーリーになるけど、変異体とか万能ではないとかいう話になると、ワクチンでも終了しないわけですよね。

 ならば論理的にはこのまま決めかねてうじうじやってる間に、だんだん経済が衰弱して、弱い人から徐々に破綻し、自殺し、、って社会が崩壊していくし、どの政権もやがてはその責任を取らされることになる。あのネタニヤフですら失脚するくらいなんだし、ずっと安泰なんてことはない。

 だもんでそういう問題の建て方にしたら「解法なし」になるのは、最初っから見えてた話じゃないですか。感染率が不明な段階ではそれも仕方ないけど、数ヶ月して数%、へたしたら1%以下というのがわかった段階で、感染防止ではなく治療設備充実方向に転換すべきだったのに、未だに感染防止を戦場にしている。そこを戦場にしてたら負けるしかないのに。将棋でいえば、何をどう指しても、最後には負け筋に収斂していくようなものです。高度なロッククライミングでも、最初に右足から入るか左足から登るかで、そこをまちがえたら先の方で手詰まりになって終わってしまうといいますが、そんな感じ。

 オーストラリアは、最初はロックダウン(というか国境閉鎖)を徹底して、補償もそこそこやって、それでゼロ近辺までもってきたけど、今度はそこで身動きがとれなくなる。数人感染者が出ただけでもう経済が止まってしまう。ビクトリアなんかまたぞろロックダウンしてる。

 日本の場合は、感染とか大したことないんだよ、ビビることはないよって方向でいこうとしたのかもしれない。方向性としては悪いものではないけど、最初のクルーズ船の対処があまりにもお粗末でいきなり不信感を植え付けてしまったのと、そのあと極端に検査数を減らすことでそういうムードを演出しようとしたのが仇になって、本気で取り組んでないかのような印象を与えた。だから以後はやってる感の演出になっていき、そのうちネタ切れになって、夜の街が悪いとか、酒が悪いとか、スケープゴートにしても妙ちきりんな話になってる。

 いずれにせよ、そこでわかるのは、各国政府の行政能力や全体の戦略性のなさ、無能さですね。また、一つのものの見方を押し付けようとするメディアやSNS経営者などの傲慢さです。結局、今回のことで一番傷ついたのは国家政府とメディアやビッグテックの信用性だと思います。逆に、細かな地方自治体などで、きめ細やかにやってるところは、住民からちゃんと評価されているでしょうから、その意味で社会全体の悪いとところがどんどん浮き彫りになっていってます。

 一旦わかってしまえば、もう二度となかったことにはできないわけで、短期的にはごまかせたとしても、長期的には矯正されていくでしょう。そういった点を考えると、まったく無意味な時間を過ごしているわけではなく、10年がかりで社会の問題点をあぶり出すのを1−2年でやってしまったとも言えます。

 その意味で、何もかもが止まってるようでいて、逆に猛烈なスピードで進展しているとも言えると思いますよね。

 オリンピックの利権性や、電通やパソナの中抜きは前々から言われていたけど、なかなかピンとこなかった。皆のお金を集めて収めている蔵に、深夜裏口にトラックをつけて千両箱をせっせと運んでるところで、いきなりスポットライトがあたってしまったかのようなもので、パソナのこの一年の営業利益が1000%上昇(10倍)とかいう無茶苦茶な話も報道されるようになってるわけです。こんなの、コロナ&オリンピックでもないとなかなか光が当たらない闇の部分だったはずで、それだけでも意義はあったと思います。

 ちなみに、じゃあ、どうやって収束させるのかといえば、やっぱアメリカ方式がいいんじゃないですかね。とりあえずワクチンを目処にするけど、強制はしない。そしてワクチンを射った人は、マスクをしなくてもいいし、すべての行動が自由になると。いずれは自由に国外に出て帰ってこれるとする。そして、ワクチンを射ったかどうかの証明は人権や差別にかかわるので、そこは問わないとする。

 結果としてどうなるかといえば、ワクチン肯定派と否定派が別れているところ、肯定派の人たちが射つのでそれはそれで効果があるでしょう。ですから、それで何となく収まっていくんじゃないのかって気もしますね。そのあたりが落としどころかと思います。

 ほんとのところは、なんか見てると、ワクチンやら、ロックダウンやら人為的方策よりも、なんかのきっかけで自然に増える時期があり、そしてあらかた感染しちゃうと自然に収束していくな感じじゃないんですかね?GO TOがどうのか、そんな因果関係なんか実はわからないと思いますよ。政権批判・擁護をする人は分かったかのような前提で言うけど、同じ事実をどう解釈するかで180度違うんだから、そのこと自体がなにかを表してますよ。「科学的」「エビデンス」とか、それをつけたらもっともらしく聞こえるかもしれないけど、実際のサイエンスや証拠の証明力でいえば、その名に値してないし、いわば文学的な「枕詞(まくらことば)」でしかないように思います。「奈良」をいうならその前に「あおによし」を入れるみたいな。それを検証する術はないんだし、その仮説に反する事例も多々あるし、多分、それを完璧に説明できるなら、超複雑系の理系作業、何兆という要素をさらに何万乗にも掛けわせるという気が遠くなるような膨大な作業になり、人類には不可能だと思います。それはここまで科学が発達しても明日の天気を100%的中させることが出来ないのと同じことです。素朴に現象だけを見てると、クルーズ船や老人ホームのように完全密閉のまま放置しておくとほぼ全滅に近くなるけど、普通の状態だと一定レベルまでいくとあとは自然に減少するという感じで、その理由は個別無限にあるということでしょう。

 ところでオーストラリアの国境ですが、ここにきて多少の動きはあります。International students to quarantine at Adelaide's Parafield Airport under new planSA州では 留学生の帰還のための検疫設備を空港内の既存の建物を利用することで、留学生の確保を目指そうとしているそうです。市中のホテル検疫は、これまでどおり帰国したオーストラリア人用に使うけど、そこに上乗せして空港で2週間検疫を留学生用にやると。

 Trial allowing vaccinated Australians to travel overseas could start in six weeksでは、新しい企画として、ワクチンを射ったオーストラリア人には、完全フリーとはいかないまでも、ゆるめた検疫方法での自由な出入国を認める方向で、6週間くらい後くらいにトライアルをやろうということです。帰国時点で、まずはすぐに結果の出る抗原検査をし、しかるのちにフルの検査をし、それで陰性の結果が出たら、もう検疫籠もりは必要ないというものです。もっとも脆弱とされている高齢者に対するワクチンがそこそこ済んできたこともあり、またここから先なかなか広まらないワクチン接種を増やすためにも、それなりのインセンティブが必要だという事情もあるのでしょう。

 そういえば出典は失念したけど、これまでダメダメ一辺倒だったモリソンも、ホテル検疫に加えて、検疫専用の施設を作ることに(ようやく)前向きになったという記事もありましたね。もともとホテル検疫だって古いホテルの空調がダメダメで(しかも窓があかないので換気もできない)、ホテル検疫やってる間に感染するという本末転倒の事案、まるでクルーズ船と同じパターンも批判されてるわけですので、なんかしなくちゃって話でしょう。本来なら一年前からやってろよってことなんですけど、いくらなんでもこれ以上ダラダラやってて、今年の下半期もこのまま続いてたら、皆の我慢も限界に来るし、皆の罵声を浴びるとしたら、昨今の打たれ弱い政治家たちはなんとか落とし所に収めていこうとするのではないかと思います。

 日本の場合は、五輪という特殊事情があり、且つ毎日のように新ネタを披露してくれるので、面白すぎて全体の流れが見えにくくなってますが、徐々にそうなっていくと思います。てか民衆レベルでは、すっかり慣れたというか、けっこうの人出だというし、緊急事態もクソもないよね。お店の過料30万円だって、収益考えたら払ったほうがマシなところはいくらでもあるだろうし。

 あとは自主的なマスクですよね。これも、ワクチン射ったらマスクしなくても良いよって言えば済むような気もします。しない人が一定レベルまで増えたら(してなくても奇異な目で見られなくなったら)、それで終わりって感じですかね。ワクチン証明は要らないと思うけど、それだと角がたつなら、例によって出来損ないのアプリでも作ればいいんじゃないですか?この種の話、年金原簿数百万消滅事件にせよ、住基ネットにせよ、マイナンバーにせよ、最近の追跡アプリにせよ〜鳴り物入で登場したけどろくすっぽ使えないというのは皆慣れてますからね。だから、ちゃんと作動しないワクチンパスポートアプリで、「おかしいですねえ」「ああ、これすぐ壊れますよね」「もういいですよ」みたいな話で自然に進ませて言ったほうがいいかもですね。タヌキ政府とキツネ国民の楽しいぽんぽこりんショーみたいな感じでさ。

 このエッセイでもよく書くけど、夫婦ケンカでもなんでも、「解決しないという解決方法」があるのだし、その方向性でいくしかないだろうし、実際にもそうなるでしょうし。

 といって、もちろん後々でしっかり検証しなきゃいけない問題は山積みですよ。なんで感染2類にあそこまで固執したのか、誰がどういう動機でそうしたのかとか、後日ための学びは山程あるし)。







文責:田村


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